映画『アナベル:死霊博物館』ネタバレ感想。一夜限りの幽霊集合パーリーナイト!

アナベル 死霊博物館 映画 ホラー

原題:Annabelle Comes Home
2019年の映画
おすすめ度:☆☆☆

【一言説明】
地獄のお留守番

アナベル 死霊博物館 ウォーレン夫妻

かつてこれほど過酷を極めた留守番があっただろうか……。

『ホーム・アローン』シリーズとは真逆のベクトルに働く過酷なお留守番が話題となった……かどうかはわかりませんが、『死霊館』シリーズのスピンオフ、アナベルシリーズの第三弾! 『アナベル:死霊博物館』を見に行ってまいりました。

同時期公開の『アド・アストラ』と比べてどっちを見に行こうかな~~。もしくはどっちも見に行こうかな~~~と思っていたら、Yahoo!大先生での『アド・アストラ』評価がなんと衝撃の2.86点! ヒエッ!
たとえ評価が低かろうと気になる映画なら見に行くんですが、他の方のレビューをざっと見る限り、これ多分寝るやつ。行くならレイトショー予定なので余計に。

SFはなあ……SFはなああぁ……。

というわけで、今回はアナベルに軍配が上がりました。
本作ではエド・ウォーレン役のパトリック・ウィルソン氏とロレイン役のヴェラ・ファーミガさんがカムバック。
二人の娘ジュディ役に、ディズニーチャンネルでおなじみの子役マッケナ・グレイスさんが出演。加えて彼女のベビー・シッター役に『ジュマンジ:ウェルカム・トゥ・ジャングル』のマディソン・アイズマンさんという豪華キャストでございます。

スピンオフといっても作品ごとに話は違うため、前二作を未視聴でもまったく問題ありません。
そしてエンドクレジット後に映像はないのでご安心をば。

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あらすじ

持てば不幸。持たずとも不幸。
ぶっちゃけ見ただけでも不幸が起こりそうな人形・アナベル。

あまりにもヤバイことが起こり過ぎるため、ヤバ現(ヤバイ現象)専門家のウォーレン夫妻が、このたび人形を預かることとなった。

専門家の手に渡れば大丈夫……なわけがなかった。
目つきだけでなく性格も悪かった
彼女は、ガラスケースの中で虎視眈々と機会をうかがっていたのだ。

そんなある日、夫妻が家を空けることとなり、絶好のチャンスが訪れるのだったが……。

※以下ネタバレです。未見の方はご注意。

 

 

感想

中々面白かったです。本家死霊館には及びませんが、面白さで言うと『死霊館のシスター』以上にハラハラしました。

冒頭で久しぶりのウォーレン夫妻が登場し、初っ端からテンションMAX!
いやはや、やっぱりエドとロレインが出てくると安心感&面白さが違いますね。

そんな彼らが預かる人形・アナベル。
彼女を後部座席に乗せ、急いで家に帰ろうとする二人でしたが、途中で交通事故が発生したことにより経路を変更せざるを得ないことに。
そして案の定道に迷う。

何故か急に立ち込める霧。突然動かなくなる車。
「エンジンを見てみるよ」と外に出て行く夫。

……。
あれ、なんか左の方に柵みたいなのが見えるな。どこかの屋敷の前に止まったのかな? それとも公園?

まさかの墓地。

霧深い墓地。立ち往生した車。でもって後部座席にいるアイツ

アカン。

ロレイン、後ろ後ろ、ならぬ横ぉーーー!!
なんでわざわざ墓地の方向に向けて地図を広げて視界ふさぐの? 絶対何か来てるって!
と思って地図を取っ払ったけど誰もいない。

からの、「いいお人形ね」。

ギャーーーース!

『死霊館』シリーズの何がいいって、怖がらせるのが古典的な手法であるところ。エグくなく、奇をてらうこともなく。けれど古すぎず、現代のテイストを混ぜつつも「きゃっ」と叫ぶだけで後を引かないお化け屋敷風ホラーな点。
変にどろどろ、怨念を感じるとか後味が悪いとか、そんなんだったら劇場では見られませんて。
そしてどの作品も家族愛が根源にある点も評価高し。

本作でも根底にあるのは、失った人にもう一度会いたいという誰もが一度は抱く普遍の感情。
ベビー・シッター、メアリーの友人ダニエラがウォーレン宅に押し掛け、保管庫に侵入してアナベルの封印を解いてしまいます。単なるオカルト好きのお騒がせ少女かと思いきや、彼女にもきちんと理由があったことが判明。ああ、なるほどね……としんみりしてしまうんですが、

ちょっと被害が大きすぎた。

アナベルが暴れすぎた。

『死霊博物館』のタイトル通り、保管庫にはアナベルのほかにたくさんの押収した呪いの品が置いてある。それをダニエラが興味本位にべったべった触りまくったせいで、いざアナベルの封印が解けたら、それらがこぞって心霊現象を起こすためにおなかいっぱい、夢いっぱい、幽霊多すぎトゥーマッチな印象に。

しかもその幽霊たちは登場人物たちになんらゆかりがあるわけでもなく、出てきてはババーンと驚かせて去っていくの繰り返しで脈絡のない感じがマイナスポイントに。
もうちょっと霊の数を絞ったら、さらに面白くなったのではないですかね。

とはいえ、何度か「ヒャンッ」となるところもあり、最後まで面白く見られましたので足を運んだ甲斐はあったというもの。
特にダニエラが二度目に保管室に忍び込んだとあるシーンでは、観客がほぼ全員びくっと飛び上がった演出があったので、やはりホラー映画は劇場で見るに限りますね。
なんつって映画館で見たのはこれが初めてなんですが、音響ゴイス。いい仕事してます。

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人物紹介

●アナベル
諸悪の根源。最凶を地で行く呪いの強さとご面相に誰もがヒエッとなること請け合い。あまりにインパクトのある顔だち故に、三作品のポスターはすべて「こいつ出しとけばよくない?」的な感じで大抵顔を強調されて配置してある。
なのに作中では何度も「いいお人形」「素敵」なんぞと評価されてるがお前らの感性はマジでどうなっとるんじゃい。
第一作目で主役のミアに旦那がアナベルをプレゼントしたときは目を疑ったが、アメリカではあれが美意識にかなうんすか、そーすか。

冒頭で「悪魔は物には憑かない。あくまで人に憑く」とエドが説明しているが、あきらかにアナベルにくっついて来てるような気がしないでもない。
エドとロレインに引き取られて早々、エドをトラックでひき殺そうとしてみたり、保管庫の霊全部を目覚めさせてみようとしたり、評判通りのやんちゃっぷりを発揮。
本家『死霊館』でもおなじみゴードン神父が聖水をかけて清めようとするが、それだけでは効果が不十分な模様。教会を解体した際に譲り受けたガラスケースに入れてようやく封印が完成するという警戒レベル。

その後も虎視眈々とケース脱出を狙っていたようで、一年後にダニエラが迷い込んできたときは頭突きで彼女の呼びかけに答えた。
その後は心霊現象のオンパレード。一応弁解すると、ほとんどは彼女本人が起こしたのではなく他の霊の仕業なので先生あいつがやりました」状態だが、やかましいわ。

解放後はロレインの娘ジュディちゃんの魂を狙い続け、すやすや眠る彼女のベッドにこっそりもぐりこんでいたりと、やってることが若干変態。おまわりさん、こいつです。

幽霊パーリーナイト状態に陥ったウォーレン家にパニクったメアリーが「これどう収拾つけんのよ!」と叫んだ際に、ジュディによって「すべての元凶のアイツをケースに戻そう!」となり、力づくでケースに押し込められそうになった。
だが頑張った。
戻ったら終わりとばかりに見えない力でケースの戸を女子高生と押し合いへし合いでご満悦してみたが、ついにはジュディ・メアリー・ダニエラの三人がかりに押し切られ、再び封印の身となってしまった。

「今はね……おとなしくしてるけどね……続編とかあったらね。見てなさいよ」

頼むからおとなしくしててつかーさい。

●エド&ロレイン・ウォーレン
ご存じ本家の主人公夫妻。冒頭で登場し、アナベル人形を後部座席に乗せてドライブに出発。特に封印用の道具も持ってきていないようで、文字通りぽんと座らせただけで発進するが、この二人だと安心感が違うなあとしみじみ。

だが運悪く交通事故に出くわし、どうやらその被害者の霊がついてきてしまった模様。そいつが後部座席のアナベルを見て「いいお人形ね」と発言するのだが、お前それ本気で言ってんのかと尋ねたい。
その後墓場の霊が車を取り囲む様をロレインが目にし、エドに至っては突如制御を失ったトラックに轢かれかけるが、さすが主人公組は強い。保管庫の霊がわちゃわちゃし始めても冷静で、教会のガラスケースを使って封印を完成させる。

この二人がいたら最強だったが、本作のテーマはお留守番。娘をベビー・シッターに預け、出張に行ってしまう。行かんといて。

案の定始まった幽霊パーリーナイトにおいては、ロレインが娘の危機を感じ取り、途中で引き返してきて悪魔退治ドーン! とかするんじゃないかと期待していたがそんなことはなかった。
ですよねー。

終盤で彼女が十六歳の時にやんちゃした話が出て来るが、ただの惚気だったことを付け加えておきます。

●ジュディ・ウォーレン
本作の主人公。エドとロレインの一人娘。おかんの遺伝か、彼女も幽霊を見る能力がある。
両親が否定的な記事で新聞に載ったこともあり、学校では敬遠されがちとなってしまい、誕生日が近いのに誰も祝ってくれないのでは……と心を痛めている。
めんこい。
本作では主要三人のぴちぴちギャルたちが全員セーターを着ているのだが、ジュディのは胸元にチューリップが三つついたやつでなまらめんこい。

ダニエラがアナベルを解き放ったせいで、ウェディングドレスの幽霊に襲われめっちゃ怖い目に遭うも、十字架でなんとか撃退(このシーンは作中屈指の大迫力)。
というか家中に十字架がかけられているとかウォーレン家怖すぎ。

霊を撃退した後は就寝するまでたいして怖い目に遭わなかったが、なんとアナベル君がお布団にこっそり忍び込んでいた。だがジュディは気づかずにすやすや隣で寝ているという、ある種危険な絵面を提供。メアリーとダニエラも十分かわいいと思うのだが、そんなにジュディがいいのか……やはり若い方が好みなんすね

深夜を越してさらに本気を出してきた幽霊屋敷において、一番幼いのだから怯えていいはずの彼女。だが三人の中では最も知識(と経験)があるために、まさかのヤバ現専門家ポジションに収まる。
曰く、「アナベルが元凶なんだから、彼女をなんとかすべきだわ」
頼もしいっす、ジュディさん!

最後はまさかの物理攻撃に出た悪魔に首を絞められたりするが、メアリーとダニエラの協力でアナベルをケースに押し込め、狂った一夜を乗り越えた。
戦士の誕生である。

今回の活躍により周囲の誤解も解けたのか、学校の皆が誕生日を祝いに来てくれてハッピーエンドとなった。

●メアリー・エレン
ウォーレン夫妻から留守を任されるベビー・シッター。多分高校生だと思うが、女子大生でもおおいに可。金髪にピンクのタートルネックがめんこい。
学校で孤立しがちなジュディのために、ピンク色のケーキを焼いて誕生日を祝ってくれる優しい子。ピンクが好きなんすね。
意中の男子ボブとの仲をからかわれ、ダニエラの訪問を許してしまう。

銀貨を渡さないと魂を奪うという幽霊・フェリーマンの過去の犠牲者に容姿がクリソツ。そのため、アナベルが封印を解かれた後は執拗にフェリーマンに狙われる。
何もないところから銀貨がころころ転がってきたら、即逃げたらいいんじゃないすかねと思うのだが、そこはホラーあるある。手にした懐中電灯が急に消えるのもホラーあるある。
なんで? 接触?
そして大事なところで再び点灯して窮地を脱するのもホラーあるある……なら最初から消えんなや。怖ぇーから!

すべての元凶・アナベルをフェリーマンから取り返す際は、漢気を見せて自身が巣窟へと乗り込んでいった。
だがあの空間は何だったんだ。
居間の向こうにフツーに犠牲者の並ぶ空間があったけど、ウォーレン家ならあるいはと思っちゃうところが業の深い一家じゃのう。

色々とあったけれど無事に一夜を乗り越え、ボーイフレンドもゲットしてハッピーエンドとなった。あっぱれ。

●ダニエラ
ある意味こちらも諸悪の根源。興味津々でウォーレン家に乗り込み、二人の隙をついてアナベルを解き放ってしまった。
それだけなら単なるお騒がせ女子だが、実は自身が運転する車で事故に遭い、同乗していた父親を亡くすという悲しい過去が判明。父親に詫びたくて霊を呼び出せそうなウォーレン家に来たかったという事実が明らかとなる。
そうか……なら仕方ない……わけがないのだが、三人の中では一番怖い&ひどい目に遭っているし、許してやりんしゃいとなる。

個人的最凶ホラーが保管庫のテレビ。呪いのブラウン管とでも銘打てばいいのか、映った相手の数十秒先の未来を映すとか怖すぎてやっとられん。
というかこの子は勝手に開くはずのないドアが開いたのに、なんで不用意にそこに入るんすかね?? ホラーあるあるがすぎやしないか。

なんとか恐怖に耐えて保管庫を脱出したものの、家をうろつくウェディングドレス姿の花嫁に遭遇。突如腹をぶすっと刺される幻覚を見た……と思ったら、花嫁の顔が目の前にドン! エクトプラズムのようなものを口からどばちゃちゃーーと吐き出され、憑依されてしまう。うへぇ……。

……と上記のようにどでかい死亡フラグを引っ提げていたが、なんと根性で最後まで生き残った。
最後はロレインを介して父親の霊と接触。「ダーリン・ダニエラ」の言葉に涙する。ハッピーエンド!

●ボブ
ウォーレン家の向かいに住む食料品店の息子。
メアリーにホの字。彼女がお向かいでお留守番をすることになったと知って挨拶に来る。メアリーもまんざらではない様子。
そのため調子に乗って深夜に再訪問をかますが、なんとギターを持参して庭でラブソングを歌うという謎プレイ。本来ならろまんてぃっくと言えるかもしれない行動を最悪のタイミングでやるもんだから、心霊現象だと思ったじゃろがい。
しかも間の悪いことに庭には狼だか魔犬だかの霊がうろついていたため、突如そいつに襲われ鶏小屋に逃げ込む羽目になった。
女子三人に男一人。てっきりこいつがヒーロー役になるのかと思いきや、そんなことはなかった。ほぼほぼ鶏小屋にINしていた。
だが最後はガッツを見せ、ギターと引き換えに狼を一時撃退。ジュディを守るファイン・プレーを披露し、メアリーの心を射止めた。

●鶏
ボブの避難仲間。だが何故か勝手に小屋の戸が開き、魔犬がうろつく外に一羽だけがてってってと出て行ってしまう。ボブはとくに助けにもいかず、「ごめんね」と言って戸を閉める有様。
鶏ぃーーーっ!

●神父
ジュディが時々目にする神父の霊。生きていないから黒い目をしている。
てっきり冒頭のゴードン神父がアナベルに呪い殺された姿かと思ったが、その後の死霊館でも彼は出てきているので別人のようだ。英語wikiにも単に神父の霊と書いてあったのでゴードンさんではないようだが、変に姿が似ているので紛らわしい。
「悪い霊がいるなら、善い霊もいる」の言葉通り、終盤にジュディたちの前に現れ、アナベル人形の隠れ場所を教えてくれる。

●幽霊たち
本作の影の主役。アナベルに影響されて活性化。夫妻もいないし鬼の居ぬ間になんとやらで大暴れする。
勝手に鳴るピアノや猿のタンバリン人形、自身の末路を映し出すブラウン管にひとりでに揺れる椅子と盛りだくさん。
その中で日本の甲冑が存在感を発揮していたが、漏れ聞こえる悲鳴から察するに、おそらくは突如乱心した当主が一晩で屋敷中の人間を切り殺して行ったのではないかと想像。なんちゅー和風ロマン。おそらく平家関連ではなかろーか。

●悪魔さん
どこぞのダース・モールさんと違ってきちんと悪魔っぽい姿をしている悪魔さん。一作目からアナベルに憑りついてる悪魔と同じやつなのかな? 

ジュディの魂を取りに来たが、中々上手く行かないので業を煮やし、最後は物理的手段に出た。悪魔が幼女の首をしめんなや。

●監督
ゲイリー・ドーベルマン氏。脚本も担当。
11月公開予定の『It The End』の脚本も担当されていらっしゃる様子。そちらも楽しみにしております。ありがとうございます。

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