映画『オールド』ネタバレ感想。脱出率0%。凶悪ビーチに閉じ込められた家族の運命は。

原題:Old
2021年の映画
おすすめ度:☆☆☆

【一言説明】
ビーチに閉じ込められた。

名作『シックス・センス』公開から早二十年。
M・ナイト・シャマラン氏の関わった作品はほぼすべて鑑賞したものの、その独特が過ぎる作風に、必ず最後は「…………うん……?」と唸らされてきた過去あり。
そして今年、2021年は8月に入り、新作『オールド』が満を持しての公開。

予告編での掴みはグンバツ。
謎が謎を呼ぶ展開が予想され。

果たして、今回は――今回こそは、「…………うん……?」と言わずに済むのか。
それとも、やはり「…………うん……?」となってしまうのか。
夏の終りのシャマランチャレンジに行ってきたんだワン。

 

※エンドクレジット後に映像はなかったざんすが、劇場公開もうすぐ終わりそうなのであんま意味ないかもしれん。

あらすじ

「みんなには、内緒だよ」
ホテルのマネージャーにこっそり教えてもらった秘密のビーチ。
青い海、白い砂浜、豊かな緑。
まるで楽園のようなその場所で、それぞれの時を刻む三つの家族

彼らはやがて奇妙な違和感に気づき始める。

「なんか……水着がキツイな」
「あれ? うちの子はどこ?」
「いや、目の前にいるし」

果たして、そこは本当に楽園だったのだろうか……?

※以下ネタバレです。未見の方は注意。

 

 

 

 

 

 

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オールド 映画

感想

タイトルとポスターがアカン。
今回のシャマランチャレンジですが、「……うん……?」「……うん……!」うんぬん以前に、ミステリとして、始まる前からすべてがネタバレしているという重大な欠陥が。

公式サイトやポスターで、

『そのビーチでは、一生が一日で終わる。』

と書いてある&タイトルが『Old』って……『老化』やん。
しかも、予告編がすべてをほぼ九割方語ってくれちゃっているため、なんというか、登場人物たちが『このビーチにいると、異常な速さで歳を取る』という事実に気づくまでの数十分間が、果てしなく長く感じる。
加えて、『ビーチから脱出しようとすると気を失う』も予告編でネタバレしているため、ひたすら「…………うん……」と、いつもとは別方向での「うん」を言う羽目に。

多分というか絶対、事前情報が何もなかったら面白かった。
タイトルも『Old』ではなく、『Beach』にしていたらよかったのでは……と思っていたら、なんと原作のグラフィックノベルは『Sandcastle』だというから、そっちにしていたらこの悲しみは防げた気がいたします。

そんなわけで、宣伝にあった『謎解きミステリ』を期待して行くと肩透かしを食い、しかもビーチの謎が解けた後も、大逆転=ビーチを脱出&過ぎ去った時を取り戻し若返る的な展開があるわけでもなく、ただただ主人公たちが年を取っていく様が映されるという、ほぼカタルシスのない結末に。

見終わった直後は、なんじゃそりゃーと思ったんですが、つまるところ、それこそが『老い』であるわけで。
年を取ることに脱出口や逃げ道があるわけもなく、生き物はすべて平等に年老い、そして死んでいく。
おそらく監督が描きたかったのは、この真理と、そしてそれを受容することの大切さだったのかなと思われます。だからこそ、安易な脱出劇にはしなかった。

閉じ込められた人たちは、最初はビーチから脱出しようとあれこれ試行錯誤しますが、残りが主人公一家だけになり、ある程度の年齢以上になると、次第に『老い』から逃げ出すのではなく、『老い』を受け入れ、『老い』とともに生きるようになる。
そうして最期は穏やかな心で、主人公一家の父ガイと母プリスカは寿命を迎えて死んでいく。

作中必至のツッコミどころとして、『肉体の加齢とともに、精神も成熟していく』というのがありますが、これは「そんなわけないだろう」ではなく、「必要なことだろう」という、監督からのメッセージだったんですね。
多分。

……と真面目に感想を書いたところで、愛すべきツッコミどころ満載の流れを以下に。

 

1.南国のリゾートホテルに旅行へとやってきたカッパ一家。父ガイ、母プリスカ、長女マドックス、長男トレントという、見事な一姫二太郎の構成。
値段の割に、ものすごい豪華な設備&待遇に大感激。到着時のウェルカムドリンクも気が利いてる!
  ↓
子供たちは早速現地の友達をゲット。マネージャーの甥っ子イドリブと仲良くなり、暗号の手紙をやり取りするなど順風満帆。
だが両親。
なんとこの旅行は離婚前の最後の思い出づくりだという。なぜ欧米映画の夫婦は八割が離婚済もしくは寸前なのか。
プリスカは身体に腫瘍が発見され、そのせいで夫婦仲に溝が入る原因となった模様。

2.翌朝、マネージャーから「秘密のビーチに招待します」と提案を受けた一家。
他もう一家族とバスに乗り込み、件のビーチへ。切り立った岸壁の細い通路を通ると、広々とした砂浜が見えてくる。
  ↓
連れの一家は、心臓外科医のチャールズ、妻クリスタル、一人娘カーラ、チャールズの母アグネスとその愛犬という面子。
犬を出すということは、犬は助ける覚悟があるんだろうな?
その他、先客として、マドックス垂涎のラッパー、ミッド=サイズド・セダン君がいた。
  ↓
なごやかにキャッキャウフフする無邪キッズ。
けれど、水着がキツくなる、やたらに腹が減る、浜辺の隅に、以前に滞在した客たちの残留物が山程落ちている……等、不穏がフオンに顔を出す。
  ↓
極めつけが流れ着いた女性の水死体
セダン君と一緒に先着したホテルの客で、海に泳ぎに出たっきりだったらしい。
「なんか帰って来ねぇな〜」じゃねえよ。海だぞ、お前。探しに行ったれよ。
悠長に待ってた結果がこれじゃないのかね。

3.そこに三家族目の看護師ジャリンと精神科医パトリシア夫妻が到着。
助けを呼ぼうにも、スマホは電波が通じず、来た道を引き返そうとすると、突如頭が重くなり気を失う始末。
加えて、老齢のアグネスが体調不良を訴えた後に死去 → 6歳と11歳だったトレントとマドックス、そしてカーラが、どう見てもティーンエイジャーど真ん中な姿にまで成長。
  ↓
プリスカ「これは……ウィルスの仕業だわ」
どんなウィルスさ。
   ↓
天然な推理を披露していたプリスカも、水死体が腐敗 → 骨になる現象を見て、ようやく『ビーチにいる=細胞の老化が異常な速度で進む』なことを認識。
曰く、『ビーチでの30分=1年』つまりは『ビーチでの1日=50年』が経過することとなり、じゃあここに一晩いたら自分ら死ぬやん、と慌てる面々。
  ↓
そうこうするうち、プリスカの腹部にあった腫瘍が突如急成長。
数分のうちにメロン大にまで膨れ上がり、ビーチでの特性『傷をつけてもすぐに古傷になる』現象を利用し、なんとその場でチャールズが摘出。
いやあ、傷が瞬く間に塞がるから便利、ベンリ……ってぬんぎゃーー。

4.そんな母の修羅場も知らず、「なんかあったの?」と呑気にテントから顔を出すトレント&カーラ。
やけに親密そうな雰囲気 → 親密を通り越して密った結果が丸わかりなカーラのお腹。
いたたまれなさが最高潮すぎて、地上波で流したらここで絶対茶の間が凍る。
  ↓
トレント&カーラといい、妙齢の女性となったマドックスといい、肉体の成長に合わせ、どうやら精神も成長かつ生物として必要な知識が自動的につく模様。
もしくはカッパ家の性教育が著しく先を突っ走っていた。いくら欧米でも未就学児童には早ぇーべや。
  ↓
五ヶ月目があっという間に臨月 → 出産へと至り、しかし急速な成長速度に生まれたての身体はついていけず、数分で亡くなってしまうカーラの赤ちゃん。
それを見て、いよいよアカンと思ったジャリンは、海を泳いでビーチからの脱出を図る。
おそらくこの老化現象は、浜辺を取り囲む岸壁に含まれる鉱物が発する磁力によるものである。ビーチにいる生物はその影響を絶えず受けているため、普通の速度(徒歩など)で磁場から脱出しようとすると、急速な磁場の変化に身体がついていかず、気絶する結果となる。
ということは、非常にゆっくりとした速度で来た道を戻る=磁場の変化に身体を慣らしつつ移動するなら脱出は可能だが、おそらくその間に二十年分も加齢することになってしまう。
  ↓
陸がだめなら海から行ってみよう! と海水へ身を投じるジャリン。
水死体が上がったことは、脳みそからきれいに消えているらしきジャリン。
  ↓
案の定、磁場の影響は水陸両用だったため、気を失う → 水死体としてビーチに流れ着くジャリン。
なんで誰も止めんのじゃい。

5.その後は怒涛のごとく犠牲者が増えていく。
ジャリンを失い、持病のてんかん発作を起こしたパトリシア。加速する時間=発作と発作の間隔がほぼ皆無により、体が耐えきれずに死亡。
赤ん坊を失ったカーラは崖を登って脱出を試みるも、当然磁力の影響を受け、気を失って落下死。
カーラを失ったクリスタルは、持病の低カルシウム血症による骨折が進み死亡。
精神疾患を患っていたチャールズは錯乱。古傷になる暇のない速度と深さでセダン君を刺殺した後、ガイとプリスカを襲撃。錆びたナイフによって負った傷から細菌が入り、敗血症で死亡。
見事な死亡ラッシュにより、結局残ったのはカッパ家の四人。
ちなみにわんこはごく序盤でおそらく加齢によって死亡しているが、「犬死んでる」だけで流したことは絶対に許さん。
  ↓
やがて夜となり、ガイとプリスカもそれぞれ老衰によって穏やかに息を引き取った。
夜が明け、すでに中年となっていたマドックスとトレントは、脱出を試みる意欲もなくなり、訪れる死を静かに受け入れる覚悟を決める。
そうして、かつて幼かった頃(昨日)のように、砂の城を作って遊ぶ二人だったが……。

 

で、一家の行く末の他に、本作の一番の肝として、『なぜ彼らはビーチに誘導されたのか』という謎がありますが、冒頭で示される通り、ホテルを含めたリゾート地はとある製薬会社が運営する施設。
でもって、カッパ家含む三家族には、それぞれ疾患を持った人が含まれていた(プリスカは腹部の腫瘍、セダンは血友病、クリスタルは低カルシウム血症、チャールズは精神疾患、パトリシアはてんかん)。
実は到着時に大人に振る舞われたウェルカムドリンクには、それぞれの病気に対する開発途中の薬剤が含まれており、彼らはずっと山の上から監視員によって病状の変化を監視されていた=治験だったことが判明する。
通常であれば、数ヶ月から数年単位で経過を観察しなければならない治験が、このビーチではわずか数時間で完了する。
トレントたちがビーチで見つけた手帳には、過去にビーチに送り込まれた被害者たちの名が記されたリストがあり、彼らはなんと73番目の被験者グループ。
リゾートを訪れたのも、会社が目星をつけた相手に格安旅行の案内をそれとなく送りつけたからであり、要は最初から仕組まれたことだった。
  ↓
夜が明けて、73回目の治験が終了した後、ビーチを監視していた製薬会社側が喜びの声を上げる。
曰く、パトリシアに薬を投与してから発作が起きるまで、8時間と17分が経過している。これはつまり現実世界においては16年半に相当し、それほど長い間発作の発症を抑える=治験成功である。

……。

…………うん……?


結局、今回のシャマランチャレンジも、いつもの結果となったようです。
これだからぁ〜〜〜〜シャマラン監督作品はやめられないんだなぁ!

人物紹介

●ガイ
職業保険数理士。子どもたちにとっては良き父だが、妻プリスカからは「あなたは未来しか見ない」と責められる。
他面子に比べると、若干気弱というか、押しが足りないというか、地味系ポジションであるものの、ビーチで襲いかかる現象に対して、最終的に一番理性的対応を取っていたのは彼ではなかろうか。
演じるガエル・ガルシア・ベルナル氏が超のつくイケメンなのもあってか、外見上の老化現象の弊害はほとんど見られず、唯一困ったのが、視力の著しい衰えだった。
砂浜では老眼鏡を新調するわけにもいかず、後半はぼやぼやした視界に妻を探したり、錯乱したチャールズを撃退するにもやっぱりぼやぼやしていたりと、迫力欠けしているのがらしいといえばらしい。

実はプリスカは浮気しており、ガイ自身もそれを知っていた節があるが、外野が消えた夜のビーチで、穏やかに二人で晩年過ごすうちに和解 → 最期は子どもたちに看取られながら、静かに老衰で亡くなった。

おそらく、ビーチを訪れなければプリスカとはそのまま離婚。円満な家庭のまま最期を迎えることは叶わなかったと思われるうえに、年齢を重ねるのは悪いことばかりではないという点も体現しており、その点はよかったよね……と思うかというと、そんなことはなかった。
製薬会社この野郎。

●プリスカ
ガイの妻。博物館の学芸員。
未来を向くガイに対し、「君は過去ばかり見ている」と責められる。
自身に良性ではあるが、3cmの腫瘍が見つかったことで死を意識。ガイと不仲になり、別の男性と交際をしていた。
マドックスにはそれを看破されており、加齢が進むにつれて、それを過ちと判断、ガイとの絆を再確認し、最期は老衰で穏やかに息絶えた。
中盤、腫瘍が突如肥大し始め、発見から手術実行の十数分の間に、テニスボール大からメロンへと凄まじい勢いで育った。
おそらく、ウェルカムドリンク内に腫瘍の増殖を抑制する薬が入っていたが、職員が喜んでいなかったところを見ると、抑制できた期間は十分ではなかったものと思われる。

実の息子を目の前にして、「うちの子はどこ?」とのたまう作中屈指のホラーシーンを披露する。
下手すればいじめかと思うところだが、6歳の子が突如15歳になってたら、そりゃしゃーない。

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●トレント
カッパ家の長男。6歳。
本作における、最もビーチの弊害を受けた人物の一人。ぴっちぴちの未就学児童だったにも関わらず、作品終了時は還暦間際という、どれほど血の涙を流しても悔やみきれない状態となっている。
マジでなんだこりゃ。
一応、カーラという同年代女子が一緒にいたため、交際 → ホニャララらからの出産立ち会いまで経験はできたものの、ダイジェストにしても凝縮が過ぎやしないかという抗議を向ける先もなく、不憫が過ぎる。

マドックスと二人、もうこのビーチで寿命を迎えるか、という心境に陥ったのもつかの間、イドリブのことを思い出し、出発直前に彼からもらった手紙を読む。
そこには、『おじさんは珊瑚が嫌い』とあった → 海岸から数十メートル先に、大きな珊瑚礁が見える → 体を覆う大きな金属管があれば、磁力の影響を受けずにビーチを脱出可能=珊瑚礁が金属管の役割をするんじゃね? という推理から、姉と二人で珊瑚礁を目指し、生還。ホテルに泊まっていた警察官に、ビーチで見つけた被害者リストを見せ、製薬会社の陰謀を暴く。
このシーンは、序盤の『普通の』ビーチで、イドリブと二人、居合わせた人に名前と職業を聞くというゲームが伏線となっているのだが、かわいかった少年が無理やり大人にされてしまった感も強く、まったくひでー目にあったね!

●マドックス
カッパ家の長女。11歳。
治験用でないビーチにて、自分よりも少し年重の男女のビーチバレーに混じれず、じれったそうな表情を見せていたが、まさかその翌々日に50代になって帰ってこようとは誰も思うまい。
トレント同様、水着キツキツ現象に見舞われ、途中から母の水着を着用。セダンとの会話にて、精神面での成熟が始まっている気配を見せ、翌朝のビーチでは、「私達の世代(50代)でも、遊び心は残っているのね」という達観した台詞を吐くに至る。

トレントと二人、海に潜って珊瑚礁を通り抜けるに辺り、着ていたブラウスの裾が珊瑚に絡まる → あわや溺死の危機となる。
幸い、珊瑚に亀裂が入ったことで事なきを得るのだが、問題なのは、その後もブラウスを着たまま泳ぎ続けた点だ。
脱げや。
また絡まったらどうするんじゃい。

最後はトレントと二人、ヘリに乗って彼らの叔母のもとへ旅立つ。「6歳のはずが50歳の甥が帰ってくるんだぜ」という弟の台詞に、「大丈夫よ」と穏やかに答える姿が印象的。
一応は青春を過ごしたトレントと違い、彼女に関してはひたすら周囲を気遣って時が過ぎた感が強く、これから素敵な出会いがあったらいいと思います。

●チャールズ
カッパ家とともにビーチに招待された一家の父。
心臓外科医で病院の院長だったが、おそらくは過労により精神疾患を患い、その地位を降ろされたことが台詞から伺い知れる。
ウェルカム薬剤の効果が切れた中盤以降、まずは無言でセダン君を刺し続ける姿が映され、その後は目を向けるたびにアカン感じで仁王立ちしていたり、かと思えば急に憎き相手の幻想を見て襲ってきたりと、実にはた迷惑なおじさまである。
静かにやばい感じになっているのが果てしなく怖い。
怖い。

錯乱し、ガイを襲う最中、プリスカに錆びたナイフで切りつけられる → サビに潜んだ細菌がまたたく間に体中を侵食し、敗血症で死亡する。

●クリスタル
チャールズの妻。別名Ms.ガラス。
美容に気を使う美しい女性で、当初はビーチで自撮りしたり、ルッキズムあふれる台詞をのたまったりといった行動が目についたが、異変が起きるにつれ、一人娘のカーラを心から大事にしている様が見え、彼女を助けるために単身崖の通路に突っ込んでいったりと、好感度を回復させていく。
が、加齢が進んだ外見をチャールズに責められ、かつカーラを失ったことで精神が崩壊。崖の洞窟に隠れていたが、そこに迷い込んだトレントとマドックスを前に、「明かりを消しなさい!」と詰め寄り、移動するたびに骨折 → 変な方向に曲がったまま結合 → また骨折 → 結合を繰り返し、彼女の最期だけ針が振り切れたホラーシーンとなった。
ここだけ別監督が撮ったと思うくらいホラー。

●カーラ
チャールズとクリスタルの娘。トレントとほぼ同い年くらいの幼い少女だったのが、かわゆいティーンへと成長。
トレントとの子供を身ごもる → 十数分後に陣痛という、人類史上類を見ないスピード出産へと挑むことになった。
多分、陣痛を感じた時間は三分足らずだったかと思うが、それにしたって朝までは幼女だった女性には酷すぎる体験 → しかも赤ちゃんは死亡。
そりゃあ崖も登るよ!

横がだめなら縦に行け、というチャレンジ精神は買う……というか、岸壁から磁場が出てるんだったら、せめて岸壁を登り切るまでは変化なしなんじゃないのかと思うのだが、そうではなかったらしい。

●アグネス
チャールズの実母で、クリスタルには義母にあたる。
お金持ちの老婦人という、いかにも鷹揚な感じで、クリスタルとの仲も悪くはなかった様子。
なにかの持病を持っていたのか、それとも寿命を迎えたのか、一番最初の犠牲者となった。

●わんこ
アグネスの愛犬。テリア系の小型犬……だと思ったけども、違っていたらメンゴ。
ご主人に連れられ、砂浜をお散歩。
アグネスが倒れてからは画面に映らないな……と思ったら、後に息絶えているところを発見され、遺体すら映されずに終わってしまった。
せめて主人と同じ場所で砂へと還ったのが救いといえば救いだろうか。

なんでわんこ出したしぃ。

●ジャリン
看護師。崖の仕組みを解説したり、プリスカの腫瘍摘出ではチャールズをサポートしたりと、お役立ちな男性。
さらには元水泳選手という無限のポテンシャルを発揮し、海を泳いで助けを呼びに行くぜ! と出立 → 水死体となってビーチに流れ着いた。

なんで誰も止めんのじゃい……と思ったが、水死した女性とともにいたセダン君はこの時点で亡くなっていたので、仕方ない……のかもしらん。

●パトリシア
ジャリンの妻。精神分析医だかを務める女性。
ホテル二日目の朝にレストランでてんかんの発作を起こしており、ビーチに集められた家族=病気の人がいる家族であることが確定となる。
発作を連続で起こした最期は悲劇的なのだが、治験側にとっては朗報だったらしく、「いやあ、16年も持ったんだよ!」と喜びの笑顔を見せる姿が最早サイコパスだぞお前ら。

●ミッド=サイズ・セダン
カッパ家よりも先んじてビーチ入していた大物ラッパー。
「ねえ、行っていい?」とはしゃぐマドックスに対し、「いや、多分プライベートだ」と制するガイ父ちゃんのナイスムーブにより邪魔されなかったのだが、実はその時点で波間に消えた女性を「帰ってこねえなー」とぼんやり待っていたことが判明。
その佇まいから、なにか重要な秘密を持っているのでは……と思っていたら、錯乱したチャールズによって、実に唐突に『サイコ』な目に遭い亡くなってしまった。
偏にラッパーと言っても、言動が常にリズムを刻んでいたり、ヒャッハー的な性格だったりしない人もいるものですねと思った自分の偏見を恥じたいと思います。

●水死した女性
映画冒頭、意味ありげな視線を投げるセダン君の前で、すべての衣服を脱ぎ捨て、海へと入っていく若い女性。
互いに病を持つ身。美しいビーチで解放されようとした……的な感じかと思われるが、途中で気を失い、その遺体はトレントが発見することとなった。
一応、作中唯一のサービスシーン担当。

●マネージャー
ホテルのマネージャーと見せかけて、製薬会社の偉い人。
処方箋の履歴から、これと目星をつけた患者のいる家庭に格安リゾート旅行のDMを発信。パスポートを預かり、被験者たちが死亡後は一切の痕跡を消去 → 実に73グループを違法な治験に強制参加させるという所業を犯す。

「あの子達とは遊んでもいい」というイドリブへの台詞を見るに、ホテルには被験者以外の客も大勢泊まってはいる模様。
こいつを簀巻きにして、身動き取れなくしたうえでビーチに放り込んだらさぞ楽しかろうと思う。
思う。

●マドリード
被験者にウェルカムドリンクを振る舞う役目の美女。
最後に会社の悪事が露見したシーンで、彼女の顔のアップという思わせぶりなシーンが映るのですが、あれはなんだったのかしらん。謎なのざんす。

●治験
製薬会社がいそいそと実施していたビーチでの治験。
長期治験が一日で済むよ! とご満悦な彼らだが、細胞が急速に加齢するなら、薬剤の血中濃度はどうなっとるんですかね。
大人組は急速に腹が減る描写もないし、代謝とかは普通の一日と変わらない感じなんですかね。
それなら、朝投与した薬の効果が持続するのは納得なんですが、そんな設定でよろしいんですかね。
ね!

●警察の人
ホテルにたまたま滞在していた、警察組織に身を置く男性。
ビーチを脱出したトレントが手渡した被験者リストを確認。すべて行方不明となっていることを知り、製薬会社の陰謀に気づいた。

●マドックスの水着
11歳→16歳の急速な肉体の変化にも対応。多少キツくなったかな程度で、乙女の大切な部分は危なげなくきちんと覆い隠した。
作中随一のグッジョブな働きをしたと言っても過言ではない。

●岸壁
なんか老化を早める磁力を持った岩が長い年月をかけて海からにょきにょきと生え、それが寄り集まって、超スピードで年を取る奇跡のビーチを形成したとかいう岩。
横がだめなら縦行ってみよう! という発想に至る人間もすごいが、ぴったり岸壁にへばりついているにも関わらず、上に行くと効果が薄れるから結局気を失うよという岸壁もすごい。
多分崖の側面をxとし、地面&海面をyとして、一定距離までは指数関数的な感じで磁力が強まっていくものと思われる。
なんで縦だとだめなのさ。

●監督
ご存知M・ナイト・シャマラン氏。
氏の映画を純粋に楽しみにし、純粋に楽しみ、純粋に「やっぱりシャマラン監督ってパネぇや!」となる方々には申し訳ないが、やっぱり毎回「……うん……?」を求め、やはり今回も「……うん……?」となった自分は果たして勝ったのか負けたのか、別に勝負しているわけではないのですが、なんていうか……うん……?
ありがとうございます。ぜひ次回作にも挑ませていただきたいので楽しみにしております。

↓お部屋に飾る用のポスターが出とります。

↓やはり「……うん……?」となること請け合いの、『ミスター・ガラス』の感想はこちら。

↓監督ではなく原案を担当された『デビル(2010)』の感想はこちら。