映画『ファイティング・ファミリー』ネタバレ感想。プロレス界を舞台にした正統派スポ根ドラマ、ここに開幕!

ファイティングファミリー 映画 ドラマ

原題:Fighting with My Family
2019年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆

【一言説明】
プロレス、サイコー!

ファイティングファミリー サラヤ ザック

詳細は知らねど、ポスターにでかでかと載ったドウェイン・ジョンソン氏の雄姿とタイトル。はああなるほど、ジョンソン氏を父親とするプロレス一家が家業を巡ってあれやこれやのドタバタを繰り広げた挙句、プロレスのおかげで絆を取り戻す的なそういうお話なんだなと思って劇場に行ってみれば、そんなことはなかった
何故人は学習しないのか。ポスターの表だけじゃなくて裏も見ろよという教訓ですが、面白かったから無問題ダヨ。

主役のペイジことサラヤ役には2020年公開予定ホラー『ミッドサマー』にて主役を務めるフローレンス・ピューさん。彼女の兄役に『ダンケルク』のジャック・ロウデン氏。そしてサラヤを鍛える鬼トレーナー役に我らがヴィンス・ヴォーン氏が出演されています。

※エンドクレジット後に映像はないよ!

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あらすじ

「俺達にはレスラーの血が流れている」
そう豪語する家族の元に生まれ、13歳からずっとレスラーとして生きてきた少女サラヤ
18歳になったある日、彼女とその兄ザックにアメリカの大手プロレス団体WWEの選考試験への切符が舞い込んだ。
喜ぶ二人。
WWEは子どもの頃からの夢だった。絶対に合格してみせる。
決意も新たに選考の場へと向かうサラヤとザックだったが……。

※以下ネタバレです。未見の方注意。

 

 

感想

プロレスは一度も見に行ったことがなく、TVでたまに映像の一部を見るだけでした。
男女の別なく鍛えられた肉体を誇る人々が、時には素手で、時にはパイプ椅子で。そして時にはロープの上からずったばった飛んだり跳ねたりしつつ華麗なパフォーマンスを魅せるものと解釈しておりました。
  ↓
間違ってなかったヨ。
作中でもやらせだの筋書通りに進めるだのありましたが、要は血沸き肉躍る一大ショービジネスということでオーケーなようです。

本作は実在するレスラー、サラヤ・ジェイド・ベヴィスさんの伝記映画という体裁を取っておりますが、ドウェイン・ジョンソン氏との出会いなど脚色されている部分も多いとのこと。
要は地方から突然メジャーの舞台に抜擢された若い女性の奮闘と葛藤の物語。
これがまあアツいのなんの。
普段プロレスに興味のない身でも、新天地で異分子扱いされ、孤独と周囲との実力差に悩むサラヤには共感しきり。
興味深いのが、サラヤの同期としてブロンドの非常にイケてる女性たちが出て来ること。これがまあ見事に全員細くて美人で本当にプロレスすんのけ? ってなったんですが、本国での女子レスラーは衣裳も露出が多いし求められる方向性が違うんですね。へーってなりました。
出身もチアリーダーなど派手系の世界が多く、マイクアピールもこなれている。
だからこそ、余計に全身真っ黒のパンクルックなサラヤが浮いて見えるわけで、彼女を前にした観客の心無い野次にはぐぬぬぬってなりました。

夢を求めて向かったアメリカでは一人ぼっち。けれどあれほど中のよかった兄ザックは選考に落選したショックから妹に背を向けてしまい、相談にも乗ってくれず。両親は娘がメジャー進出でヒャッハー状態だし、挫折しそうだなんて言い出せない状態。
次第に追い込まれていくサラヤ。
なんとか場に馴染もうと髪を染め、肌を焼いたりはしたものの、明らかに無理をしているのがわかる。しかも日々のトレーニングでは、レスラー出身ではないと内心馬鹿にしていた同期のほうが実績を出し、自分は脱落しかける始末。

なんだこのスポ根展開。応援せざるを得ないじゃないか!

頑張れサラヤ、負けるなサラヤ!
人間誰しも一度は壁にぶち当たったことがあるはず。その時の自分を彼女に重ね、一度は夢を諦めようとする姿に一生懸命声援を送りたくなりました。
どうしようもなく孤独で、けれど家族からの理解も得られず、誰かの「やめてもいいんだよ。諦めてもいいんだよ」と言ってくれる声を求めている。
そしていざ母ジュリアがその言葉をかけてくれた時、サラヤは自分自身ともう一度対話する。
ここで膝を折ることは簡単だ。地元に止まり、いつもの場所で馴染みの面子と楽しくショーを繰り広げるのもまた人生。
けれどサラヤは立ち上がる。
家族の為に、兄の為に。
そして何より自分の為に。

気がつけば、リングを見つめる観客よろしく両手をギュギュッと強く握っておりました。
デビュー戦にして女王とのタイトルマッチに抜擢されたサラヤ。
「あたしはフリーク。ここがあたしのホームだ」
という魂の叫びをもって終わるラストは、プロレスと家族にに対する誇りと愛がびしばしと感じられ、「ウォー!」と野太い声で叫びたくなった次第です。
面白かった!
プロレスが見たくなりますね!

人物紹介

●サラヤ
本作の主人公。地元ノリッジにてレスラーとして活躍していたパンクな女子。リングネームはブリタニーであらかわゆい。だがWWEに同名の選手がいることから変更するよう要請され、ペイジと名乗ることになった。
その由来がTVドラマ『チャームド』の登場人物という点からもわかる通り、尖った外見と性格の中にも乙女っぽさが垣間見える、要するにめちゃんこかわゆい女の子なのだ。
そのあたりは単身アメリカに渡った後、めっちゃキラキラした同期たちに囲まれ居心地の悪さを感じる点でも漂っており、周囲に馴染めなくてこっそりソファで泣いちゃうところなんか、どんなに強くても十代の女の子……という乙女カワイイ姿を披露し、KAWAIIが天井を突き抜け応援したくなること必至。
でもって悩んだ末に黒歴史として残りそうなイメチェンをかましてみたり、休暇で地元に帰った際には「あたしもうやめる」と言ってザックと魂のぶつかり合いをしてみたり、けれどやはりこのまま逃げるわけにはいかないと再度奮起してトレーニングに戻ってみたりと大活躍。
特に互いに勝手なレッテルを張り合っていた同期たちにもそれぞれの事情があり、別々の苦しみの中でみんなががんばっているんだと理解し合ったところが最高にじーんときました。
仲間の一人がリタイヤのラッパを押し掛けたとき、「それを押すならレシート(ビンタ)をかますよ!」と発破をかける姿は最高にいい女。WWEデビュー戦にて女子チャンピオンとのタイトル戦に抜擢されるのも納得でござんす。
でもって激闘の末、見事勝利によって締めくくるラストは最高にハッピーエンド!

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●ザック
サラヤの実兄。非行に走りかけたり、行き場がなかったりという少年少女を集め、毎週定期的にプロレス教室を開く面倒見のいい兄貴。
WWEの選考試験をともに受けるが、妹だけが合格し自身は落選するという、どう考えても落ち込む以外にない状況に置かれる。
夢に向かって努力していたのは同じと言えど、そりゃへこむわー。こじらせるわーー。
落選後もあきらめきれず、何度も採用担当のモーガンに連絡を取っていたようだが、最終的に「魅力がないから落選した」という事実を突きつけられ、もうやめたってと胃がねじれそうなくらい落ち込む。
その後モーガンがサラヤに語ったところによると、ザックは職人タイプ=主役を輝かせるためのやられ役として才能を発揮するタイプであり、彼を採用した場合はぼろぼろに使い果たされる未来しか待っていないため落選としたという。
魅力がない=主役にはなれない、という意味だと思われ、生まれたての赤ん坊を抱えるおとんがそんな目に遭っちゃねーというモーガン氏のやさしさとショービジネス界の厳しさが詰まっている言葉だった。
その後も絶賛腐り街道を突っ走っていたザックだったが、長兄ロイが帰還し、「サラヤが合格できたのは俺にはないものがあったからだ。お前さ」という珠玉の名言を吐かれ、しかもトレーナーとしての才能があることを自覚し、彼の日常は再びやる気と輝きを取り戻していった。
ラストはタイトル戦に尻込みする妹を励まし、テレビにてその活躍を見守るという最高にいい男っぷりを発揮する。

演じるジャック・ロウデン氏が名優サイモン・ペッグ氏に激似なため、個人的にどうしても兄ちゃんに肩入れしたくなってしまった。
劇中では魅力がないとか言われてたけど、どう見ても魅力ありです。コスチュームがイケてないだけで。サンタパンツとか金色パンツとか、マジかって話だで。

●パトリックとジュリア
サラヤとザックの両親。二人ともレスラーであり、『サラヤ』はジュリアのリングネームだった。
前科者だったり、自殺未遂しそうだったりといった過去を、息子の婚約者の両親にあっけらかんと話し、がははと笑う会食に不安を感じたが、その後関係は良好な模様。

プロレスには並々ならぬ熱意があり、サラヤがWWEで活躍すれば地元プロレス団体もにぎわうと踏んで、遠いイングランドの地からプレッシャーを送りまくったりしているが、家族ってこういうもんだよなとうなずいてしまった。支えにも障害にもなり、でも結局のところ彼らがいるからサラヤも夢をかなえられたという。まさに『家族とともに』という原題が素晴らしい。
だが娘に許可取らずに勝手に商品化したらアカンでよ。しかも低賃金てチミたち……。そこは反省したらいいと思うヨ!

●ロック様
ドウェイン・ジョンソン氏が映画製作に実現に一枚かんだという本作。まさかの本人役として要所で出演。さすがの存在感。
レスラー時代の髪の毛があったお姿も披露され、ひゃーんやっぱりロック様はかっけーのう……となりました。
レスラーとなったらねえ、あのくらいねえ、肉体がねえ。マッチョマッチョしてないとやっていけないすよね、首とかね。
「ロック様? マジ? 妊娠させて」とつぶやくサラヤに同感ですわ。

●ハッチ・モーガン
選考試験の試験官にしてサラヤたちをびしばし鍛える鬼トレーナー。
ショービズ界特有の冷徹な心の持ち主かと思いきや、厳しいながらも実は温かい心の持ち主であることが判明し、一人はぐれ者ポジションにいるサラヤをそれとなく気遣ったりしてくれるヴィンス・ヴォーンさんマジ最高。

ザックを落選させた理由として挙げたとあるレスラーの顛末は、実は自分自身の過去であることが判明し、ロック様と旧知の中っぽい拳チョンにテンション爆上げ。そーなんすよ、ヴォーン氏は背が超お高いんすよ。ロック様と並んでも遜色なしなんすよーかっけーー!!

●同期三人娘
全員がチアリーダーなど、およそレスラーとは縁遠い世界からの出身。
明らかに毛色の違うサラヤにも仲良くしようとしてくれていたが、経験の差からトレーニング中にちょっとした不和が重なり溝を深めていった。
だが一人に幼い娘がいることが判明し、それぞれにプロレスを続ける事情があることをサラヤも理解。彼女たちも心を開いたサラヤを受け入れ、その後は互いを叱咤し合ってのスポ根展開を見せてくれる。

一見セクスィに見える彼女たちだが、その実は並々ならぬ努力と血と汗とであのボディが成っているのであり、本作を見た者は誰もが敬意を抱くであろうが、実際に試合を見たらやっぱり揉みくちゃにされてぇぇってなるだろうけどそれはそれで正しい反応だからイインダヨ!

●市場にいた三人娘
サラヤがチラシを配っていた際に遭遇したいけ好かないブロンド三人娘。非常に小ばかにした様子で去っていくためにヘイトを煽るが、食わず嫌いせんで見に来たらきっとザックの筋肉にヒャッハーしたくなると思うのでそういう機会があったらいいと思いマッスル。
なんにでもエイヤッと飛び込んでみろってことだね。

●教室の生徒たち
ザックとサラヤが指導していた少年少女。
絶賛腐り街道をばく進していたザックに一度は見捨てられたと思うも、再起した際は再び呼び集められ、素直に集まってくれる超かわいい子たち。
作中に登場した視覚障害のある少年は実際にレスラーになったそうで、まさにあっぱれ!

●監督
スティーブン・マーチャント氏。イギリス出身の方だそうです。
とてもアツくて面白い映画でした。ありがとうございます!

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