映画『野性の呼び声(2020)』ネタバレ感想。犬好きはとにかくハラハラする、かわゆいわんこたちが大冒険。

原題:The Call of the Wild
2020年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆

【一言説明】
犬は死なないから安心。

野性の呼び声 映画 2020

かのハリソン・フォード氏かわゆいわんこが、カヌーに乗って大冒険。地上最後の秘境を目指す――。

見るしかない。
見る一択。
何すか、フォード氏とわんこって。大冒険って。
映画館に行くさ!

というわけで、主演は『人類の恋人インディ・ジョーンズ』ことハリソン・フォード氏。
他に『最強のふたり』のオマール・シー氏と『ダウントン・アビー』のダン・スティーヴンス氏、そして『ジュマンジ』のカレン・ギランさんが出演されています。

※エンドクレジット後に映像はなかったよ。

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あらすじ

わんこをいじめる者=GO TO ●ELL。
二万年近く前から、人類の最良の友であったわんこ。
近年、猫にその座を脅かされているという噂が流れようとも、やはり不動の第一位を誇る友、わんこ。
そんなわんこ代表のバックだったが、ある日突如誘拐され、過酷な雪の大地にて、そりを引く犬として売りに出されてしまうのだった。

昔はよかった。
暖かい家。優しい人々。下手すると人より豪華なご飯。
だが今は、雪をベッドに、過酷な寒さの中で生き抜く日々。

そんなある日、バックは風の中に自分を呼ぶ声を聞く。
それは、かつて狼だったころの先祖の記憶。生きるための本能――つまりは野生の呼び声だった……。

※以下ネタバレ。未見の方注意。

 

 

 

感想

犬は死なない。
そう、犬は。
けれど、フォード氏演じるソーントンじいちゃんが死んだ。

なんでじゃい!

なんで死ぬんじゃい!! しかも、あーーんな奴の手にかかってかい!
納得いかねえ……!!
なんでじいちゃんと犬が出ると、たいていどちらか、もしくは両方が死ぬんじゃい! そんな法則いらねーんだわ!

……いえいえ、確かに原作でもソーントン氏は死ぬようですし、熱病で一人息子を亡くした彼は、今までも死に場所を求めてさすらっていたようなもの。あそこでバックに看取られながら、そっと息を引き取る最期は大変胸にジーンときたわけですが。
でも下手人がアイツってのがなあぁぁ……!
アイツじゃなければなあぁ!
「金で命は買えない」というソーントンじいちゃんの言葉が、1ミリも響いてないすからね。響かないまま燃えましたからね。
バック、グッジョブだ!

まあそれはさておき。
年を重ねてめっぽう涙腺が弱くなったのか、最近では「犬」と聞いただけで泣ける有様。そこに「老人」が加われば、犬の「い」が放たれた瞬間に涙が出る自信があるくらい、黄金の組み合わせなこの二つ。
てっきり早々にバックとソーントンは出逢い、二人でどんちゃら冒険に繰り出そうぜ、へへへぇい、となるのかと思いきや、思いのほか、冒険に出るのは遅かった。
かなり後半になってからだった。
なんか前もあったな、この感じ。『僕のワンダフル・ライフ』でも、宣伝と違って、ベイリーはそれほどイーサンを探してなかったなあ……と思い出しましたよ↓

けれど、本作は1903年に書かれた同名の小説が原作。
主役はあくまで犬のバック。フォード氏演じるソーントンとの抱き合わせではなく、バックの半生を描くのが目的。彼がどのような犬生を送り、ついには狼の一員として、野生に還っていくまでを語る物語。
ソーントンたち人間の物語は、あくまでサブ。いわば付け合わせのような位置取りなんですね。
バックとのふれあいを通して、彼らの置かれた境遇やそれまでの人生が、ほんの少し、ちらりと垣間見える。それが物語に深みを与えている。

ソーントンじいちゃんが、最後にたどり着いた秘境。そこの川では山ほど砂金が取れる。
滞在している間、じいちゃんは川でいそいそと砂金を取る。
けれど、いざ人里に戻ろうとする際には、必要最低限の金以外、すべて川に捨ててしまう。
「食料を買う分だけあればいい。どんなに金があっても、死んだ人間を生き返らせることはできない」

じいーーーーちゃぁーーーーん!

そして砂金に狂ったアフォの凶弾に倒れた後、側にやってきたバックに身を寄せ、満足そうに彼は囁く。
「いいんだ、バック。ここが家だ」

じいぃーーーーちゃあぁぁーーーーーん!

バックにしろ、ソーントンにしろ、最期は自分の見つけた安息の中に還る。
淡々としながらも、素晴らしいお話ではないでしょうか。
とにかく、涙腺がアカンかったお話です。
犬とじいちゃんは、アカン。でも最高。
おすすめざんす。

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人物紹介

●バック
本作の主人公。カリフォルニア州にある豪華なお屋敷のわんこだったが、ある日心無い輩に誘拐されてしまい、アラスカに売られる。
その後は犬ぞり犬として活躍 → 砂金に目がくらんだアフォに売られる → ソーントンじいちゃんに救われる → 冒険に誘われる → 秘境で野生が完全に開花 → ソーントンじいちゃん亡き後は、狼の一員として山で暮らす、という変遷をたどる。
セント・バーナードと何かが混ざったような容姿と、並外れて大柄な体格をしており、大層な力持ち。しかも優しく、統率力に溢れているという、人間だったらモテモテ確実なハイスペックわんこ
その実力は、当初犬そり隊を率いていた暴君犬をタイマンで退け、秘境で出会った美人狼に一目ぼれされるというから、お墨付き。ヒューッ!
過酷な雪の中での生活で、徐々に野生的なものが目覚めていくが、狼の一員となった後も、飼い犬時代の優しい主人たちの記憶を懐かしく思い出すことがあるという。
おそらくは、それこそがバックの強さの秘訣。異なる種族同士でも愛と友情を育んだという経験が、彼を唯一無二の存在に押し上げているのだと思われる。
ラストは嫁さんとの間にかわゆい子どもも生まれたようで、末永く幸せに生きてほしい。

●ソーントン
人間側の主人公にして、本作の語り部。
冒頭から彼の語りによってバックの生い立ちが説明されるため、てっきり生き残るんだと思っていたら、あんなことになった。きいぃ、騙された。
一人息子を熱病で失い、妻と別れてアラスカにやって来た。
バックが初めてアラスカに着いた時点で早々に出会うが、その時は落としたハーモニカを渡しただけで別れてしまう。
「あっ、なるほど。彼とはまた後に出会うんですね」と思ってからが長かったヨ。
その後、しばらくは山の掘っ立て小屋で隠遁生活をしていたが、ハルからバックを助け、彼と絆を築いたことで一念発起。息子が夢見ていた秘境を目指し、冒険の旅に出る。
超渋い。
前述の砂金の下りといい、死に場所を見つけたことといい、とにかくフォード氏の魅力がさく裂。迎えた人生の冬を、あんな風に満足して終えることができたらと思わずにはいられない。ハーモニカ、ぱぷーって吹きながらさ。

バックには墓標を立てるなんて意識はないだろうから、身体はそのまま朽ちたか、野生動物の糧となったか定かではない。が、いずれにしても気にしないだろう。彼は家に帰ったのだから。

●ペローとフランソワーズ
バックが誘拐後に出会った最初の主人。雪原で暮らす人々に郵便を届ける配達人。移動手段はもちろん犬ぞり。力の強そうなバックを気に入って購入した。
電報が普及していなかったこの時代、彼らの届ける手紙と物資は心の拠り所だったらしく、ようやくたどり着いた町で湧き上がる歓声は、原動力となるにふさわしいものだった。
二人はわんこたちを信頼し、大事にしてくれるよき主人だったが、電報の技術が発達したために本国に戻ることとなり、仕方なくバックたちとお別れした。
その後は元気にしているだろうか。

●犬ぞり軍団
ペローたちが率いていた犬ぞりのわんこたち。新顔のバックを快く迎え入れてくれた上に、魚を譲るなどの男前度を見せる彼に心服し、やがてはリーダーとして従うようになる。
正直ハラハラした。
犬ぞりの途中で熊に襲われるんじゃないかとか、誰か一匹が川に落ちて助からないんじゃないかとか、雪の中で寝て凍死したりせんの? とか、とにかくとにかく、かわゆいわんこズなのだ。
ペローとの旅の途中では、夜を明かす際にベッドやテントなんでものはなく、雪の中に穴を掘ってそのまま寝るという荒業を見せる。
おい、大丈夫なのか。寒くないのか。
なんか一匹ウェルシュ・コーギー的なのがいたような気がするが、あいつはシングルコートではないのか? 毛がそんなにふさふさしてるとは思えないのだが、凍傷になったりせんの? わんこ大丈夫なの? と、とにかく心臓に悪く、挙句にハルという名のアフォ飼い主に売られたときは、もうアカーーーンとしか思えなかったのが、後にハル自身が「犬には逃げられるし、もうおしまいだ!」と叫んだので、心底ほっとした。
わんこが無事ならいーんだよ。
多分、逃げ出したあとは人里に戻り、今度は優しい飼い主にもらわれて、また犬ぞりで頑張るか、小屋に入れてもらってぬくぬくしてるか、そんな未来だと信じたい。
わんこはーー大事にぃーーー。

●リーダー犬
名前を失念したのですが、ペロー犬そり隊の元リーダー。
他人の魚は奪うし、乱暴だしで、パワハラ気味の暴君だったが、主人の指示はよく聞き、統率も取れていたので仕事はできる子。
が、新顔のバックがなんかめっちゃいい奴で、他わんこの心がそっちに動いているのを見てオラつきはじめ、ついに我慢の限界が来たのでお灸をすえてやろうと思ったら、逆にすえられてしまった。
その後はキュンコラ鳴きながら、しっぽをだらんと下げて雪原に消えていったけど、大丈夫? ちゃんと人里に帰還した?
個人的には、どこぞのぽつんと立つお家の主人に引き取られ、「あらこんな寒い中どうしたの、家に入りなさいな」と引き込まれ、暖炉の側でぬくぬくしていたら、なんか犬界のしがらみとか心底どうでもよくなって、「わし、昔はオラついていたけど、あなたに忠誠を誓いますぅ」と懐柔され、引退後の生活を優しい主人の元で送った……と想像。
わんこはぁーーー幸せであるべきぃーーー。

●ハル
アフォ。
砂金で一攫千金を夢見てやってきた男子。バックたちを買い取り、やめろって言われてんのに溶けかけた氷の川の上を行こうとして、ソーントンに止められたのを逆恨み。
彼の制止を無視してそりを出すが、おそらくはどこぞで氷が割れて、その隙に犬たちに逃げられ、全財産を失って這う這うの体で戻って来たらしい。
その後はソーントン憎しで彼の山小屋に侵入。そこで秘境への地図を見つけ、「やっぱり金塊のある場所を知ってたんじゃねえか!」と勘違い。ストーカーのごとく追いかけてきた上に、じいちゃんに銃をぶっ放し、怒ったバックによって燃えた小屋の中に投げ込まれ、瓦礫に押しつぶされるというあちゃちゃーな最期を迎える。
お前なぁ……。
人生を達観したソーントンの対比として、砂金という欲に溺れた愚かさの象徴を担当。彼にも色々事情があったんだろうなあ……なんて思わんぞ、アフォめが。
わんこを大事にしないからだぜ。

●判事
ソーントンがハルに襲われていたところを、かっちょよく助けてくれる判事さん。
この話、一部のアフォを除いて、いい男しか出てこない。やはり過酷な環境は漢気を育てるのか。

●初代主人
カリフォルニアのお屋敷のご主人。問題児のバックにため息をつきつつ、それでも心からの愛情を示す懐の深い男性。
祝い事の写真の下りは笑ったが、テーブル全部を荒らすとは、バック君、お行儀が悪すぎる。その罰として、一晩だけ外に出していたのが仇となった。
きっと残されたバックの首輪を見て、方々手を尽くして探したんだろうなあ……と思うと切ない。あんなに愛されていたのに。

●狼軍団
秘境で出会った狼たち。一匹が川に落ちて流されそうだったところを、バックが助けてくれた瞬間、まさに見る目が変わっていた。
毛色の違うバックを迎え入れてくれる気のいいやつら。
狼はわんこの先祖なんだし、毛並がふさふさしていて(見た目だけなら)かわゆいし、最早わんこと言っても過言ではないと思うので、さあおいでと手を出したら多分食われる。絶対食われる。
でも一度でいいから、あのふさふさしてるけど実は堅そうな毛並をもふもふしたいんだす。

●秘境の山小屋の持ち主
ソーントンたちがようやくたどり着いた秘境に、すでに山小屋を立てていた人。
それって秘境って言わないのでは……とか言っちゃいかん。
小屋はあったけど、中はぼろぼろだったので、多分熊にぬんぎゃー。
砂金は山ほどあったのに、無念。

●監督
クリス・サンダース氏。『ヒックとドラゴン』の監督さん。大好き。
本作も大変面白かったです。ありがとうございます。

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原作

ジャック・ロンドン氏作の『The Callof the Wild』が原作。
未読のため、読んだら感想を追記したいと思います。
wikiを見るかぎり、ソーントン氏はインディアンに襲われて死んでしまうそうなんですが、『レヴェナント 蘇りし者』とか見ると、なんか別の意味でハラハラするんですが。大丈夫でしょうか。