原題:A Simple Favor
2018年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆
【一言説明】
母は強し。
アナ・ケンドリックさん&ブレイク・ライブリーさんの二大美女が贈るサスペンス! しかも監督が『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』のポール・フェイグ氏とあっては見なくてはなるまい。というわけで、TSUTAYAにてレンタルしてまいりました。
TSUTAYAといえば余談ですが、我がジモYA(地元TSUTAYA)にはまだジョン・ウィックの1と2が返却されておらず、公開から三週間経ってるのにお前らほんとジョン・ウィック大好きだな! と悔し涙で地団太を踏んでおります。もういいよ、3の記事書き終わったし、1と2の感想なんか書かねーよ!
あと『マローボーン家の掟』というスペイン産の映画をネットで見つけ、めっちゃ面白そうだったので借りようぜと思って行ったらまだDVD発売前だったということがあって悲しみで涙が血に染まりそうです。
あらすじ
ブログを運営するシングルマザーのステファニーは、雨の日の学校で運命的な出会いをする。
高級車から降りてきた、長身かつブロンドの完璧美人エミリー。
趣味も住む世界も違う二人だったが、ワンチャンあるのがママ友の世界。あれよあれよというままに互いの秘密を打ち明け合い、親友と呼べる仲になっていく。
そんなある日、エミリーから依頼があった。「息子を学校まで迎えに行ってくれない?」
二つ返事で承知するステファニー。だが夜が明けてもエミリーは帰ってこなかった。
ただのちょっとした頼み事。それがまさかこんな事件に発展するなんて……
ブログのネタになるではないか。
ステファニーの探偵魂が目を覚ますのだった……。
※以下ネタバレです。未見の方は注意。
感想
面白かったです!
『ゴーストバスターズ(2016)』然り、『SPY/スパイ』然り、ポール・フェイグ氏作品に外れ無し。
突如失踪したママ友が、数日後に別の州の湖にて遺体で発見される……。
というサスペンス要素が強いお話。けれど物語を引っ張るステファニーの言動が軽快で、どろっとしたものを感じさせないコミカルさが前面に出ています。それが逆に事の真相に興味を持たせ、「結局この話はどこに行きつくのか?」と飽きることなく二時間近くの尺を魅せてくれました。
最初はステファニーが怪しく思えるんですね。冒頭、ブログでママ友が失踪してもう数日経ってるの……と読者にアピールする画面から始まり、エミリーと出会った日→彼女との交流→失踪という流れで進んでいく。
一見ステファニーはいい奴なのかと思いきや、時折挟まれる過去の回想で何やら訳ありな雰囲気も見せてくるので実はこいつがエミリー失踪に関わっているんじゃね? となり、わりと終盤までその疑惑は継続する。
動機は嫉妬もしくは成り代わり目的、もしくはステファニーが抱える重大な秘密にエミリーが感づいたか、もしくは単にブログのネタとして殺っちまったか。
そんなサイコパス風の行動をステファニーならもしかしたら取るかもしれないと思わせる人物描写は本当に上手としか言いようがありません。
結論を言うと、湖で上がったエミリーの死体は彼女の双子の妹だった。だからエミリーは生きており、死を偽装して保険金400万ドル(約4億円くらい)をせしめようとする陰謀だったことが判明する。
つまりステファニーはまったくの無実。
最初はダサい猫ちゃん靴下なんぞをはいていた彼女の服装が、エミリーの夫ショーンとねんごろになったあたりから次第により洗練されたファッションになっていき、振舞いもどんどん強気で大胆に変化していく。
おそらくエミリーの死によってブログのフォロワーが増え、広告収入が増加したおかげでもあるはず。それがこちらの疑惑をより煽ることになっていった……のだが、中盤あたりで突然気づく。
あ、これ素だ、と。
元々ステファニーはおせっかいで、おせっかいが過ぎるために他人の秘密をさぐりにどんどん踏み込んでいくような厚かましい人物。しかも異母兄とはいえ実の兄と関係を持ったり、親友の死後、その夫と同棲を始めてもとくに悪びれることもなく自分を肯定するという自由さも持ち合わせている。
なんだこの人。めちゃくちゃかわいいじゃん。
ってなりました。
親友の失踪をブログで報告し、情報を集めるついでにフォロワー増加も狙っちゃう。親友のドレスをこっそり拝借したら、脱げなくなったのでそのまま刑事の事情聴取に出てしまう。
”聖人”とはほど遠い行動だが、良くも悪くも彼女は自分に素直で、シングルマザーとして息子と生きるため、チャンスがあればそれを逃さないしたたかさを発揮しているんだなと思うと憎めません。
このあたりは演じるアナ・ケンドリックスさんの魅力が大きく貢献していますね。
というわけでステファニーは疑惑から外れ、エミリーの夫ショーンは小物臭が過ぎて疑惑の対象外なため、本作の悪役はやはりエミリーとなるわけです。
このエミリーについては、最後の最後でものすごい衝撃映像を披露するので、気になる方はぜひ視聴してみることをおすすめいたします。
それにしてもブレイク・ライブリーさんは美しいのう。展開故に登場シーンが少ないのが残念であります。
人物紹介
●ステファニー
本作の主人公。夫を交通事故で亡くし、彼の生命保険で生活するシングルマザー。だがその保険金も二年足らずでなくなる模様。
家事育児についての映像配信ブログを運営しており、第一声はママ友のみんなへの挨拶がお約束。あまりバズってないのかいな……と思いきや、ダーレンというパパ友から「君のブログを参考にして助かったよ」と評価を受けるなど、お役立ち情報が満載な様子。
当初はエミリーとの格差がひどく、交わされる会話がピリついてハラハラしたが、「秘密の打ち明け合いっこしよ☆」との誘いにまさかの爆弾を投下し、一目置かれた模様。エミリーより『ブラザー・●ッカー』の異名を頂戴するが、別に嬉しくはない。むしろやめれ。
当初死んだと思われたエミリーの葬式を取り仕切り、彼女の夫ショーンと急速に親密となる。本作によると『親友が死ぬと、その夫と残った親友は九割の確率で関係を持つ』らしいのだが、よっしゃ! と思った男女諸君、実践したらアカンぜよ。
ショーンに同棲を申し込まれた後は、ノリノリで自分の服をエミリーのクローゼットに並べようとするも、全部片づけたはずの彼女の服が元通りになっており、「ヒャンッ」と驚く羽目になった。
多分超絶お高そうなドレスをハサミで無残に切り裂いたことへの恨みだと思われる。エミリーのお気に入りだったんじゃないか、あれ。
その後はエミリーの謎を探るべく、彼女のオフィスに侵入したり、実家に侵入したりして探偵顔負けの行動力で情報を掴んでいくが、ラストで本当に探偵になっているからあっぱれ。
見事百万フォロワーを達成し、出版社にお買い上げされて順風漫歩なので息子ともども元気に暮らしておくれやす。
●エミリー
ステファニーの『親友』となる超絶美女。ファッションセンスが素敵……! となっても多分滅多にまねできる人いないのではと思うハイセンス&ナイスボディ。
「息子のお迎えをお願い」の言葉を残して失踪。数日後に遺体で発見された……と思いきや、特徴的な顔のほくろがどう見ても逆の位置についているのでバレバレだった。
だが夫ショーンが「これは妻の遺体ですぅ」みたいな顔して神妙にしているので、別人に見えるけど本人? と混乱していたら、保険金詐欺の共犯であったことが判明。なるほどね……って犯罪だ。
実は双子の妹がおり、父親から虐待を受けていた二人はある日彼を火事に見せかけて殺害してしまうのだった。その罪から逃れるために別々の場所で暮らしてきたわけだが、突如妹から接触があり、仕事と偽ってミシガン州まで会いに行った=失踪の理由。
久しぶりに連絡とかなんじゃいと嫌な予感がしたら、案の定落ちぶれた妹に金をせびられ、断ると「過去の罪を償うわ。一緒に自首しましょ」とのたまってくるのでこれはアカンと湖に沈めて殺害。
問題は保険金詐欺を思いついたタイミングだが、加入自体はもっと前=ステファニーから生命保険の話を聞いた後で行っていた模様。「ニッキーのために」とショーンを口説いて互いに加入し、おそらく折を見て彼を殺害し保険金を受け取るつもりだったはず。
だが突如舞い込んだ妹の死体を見て、自身の死を偽装することを思い立ったのではないだろうか。
双子の事実をステファニーに突き止められると、観念して彼女の前に出現。死の偽装による保険金取得はあきらめ、ステファニーとショーンが痴情のもつれにより死亡したように見せかけ、夫の生命保険金を受け取る作戦に出る。
だがステファニーの機転によりネット中継されたために断念。逃げようとしたところを、ダーレンの車に横からぼごんっとはねられた。
まさかブレイク・ライブリーさんが車のボンネットから屋根に移動した挙句、回転しながらべしゃっと地面に落ちるまでの一連の流れを見てしまう日が来ようとは……。
この衝撃は『ジョー・ブラックをよろしく』でブラッド・ピット氏が車にはねられ、最終的に画面外にすっ飛んでいった時みたいな感覚です。
しかも着ていたのが水色のコートドレスにピンクのチュチュというとんでもかわいいスタイルだっただけになんかもう容赦ねーな!
その後は警察にとっ捕まり、刑務所でお勤めを果たしている模様。さすがバイタリティあふれる女性だけあり、荒くれ者に囲まれてもうまく立ち回っている様子。
印象的なのは『ブラザー・●ッカー』判明時のシーン。「実は夫とその秘書と3●したの」というエミリーの発言は嘘だったことが後にわかるのだが、多分ちょっとした秘密を打ち明け合って親密度をあげるべ的にお遊びででっちあげた秘密に、ステファニーが超ガチなやつをかましてきたもんだから、相当びっくりした&一目置いたに違いない。
最後は『ブラザー・●ッカー』『シスター・キラー』と呼び合う仲になれたのだからよかったね。
●ショーン
エミリーの夫。昔一度だけ発表した小説が大当たりしエミリーのハートを射止めたが、その後一冊も書いていないという残念な作家。現在は大学の講師だか教授だかの職についている。
だが豪華な屋敷と派手な妻をもてあまし気味で破産寸前であることが後に判明する。
二大美女が共演、という本作のスタンスからもわかるとおり、二人の女性に手玉に取られまくるという気の毒な役回りを担当する。
母の大事な指輪は新妻に盗まれるし、挙げ句に死体の指にはめられて湖に沈められるし、保険金詐欺&妻虐待の容疑者としてしょっ引かれるし、癒やしを求めて向かった恋人には「あんた捜査中じゃん」と塩対応をされるし、美女二人の密談で「あいついらねーわ」扱いされるし、銃で撃たれるし、なんかもう踏んだり蹴ったりな有様。
だがよく考えると、エミリーに丸め込まれたとはいえ保険金詐欺をしようとしてたし、妻の親友と関係を持つし、挙げ句に「彼女とは身体だけだ」と発言をかますし、大学の助手か何かと多分怪しい関係になってそうだし……と結局身から出た錆じゃねーか。
同情の余地はあまりない人物。
だがまあどんなに本人がへたれていようと、息子ニッキーに罪はないので、父子家庭として今後も仲良く暮らしていっていただきたい。
そして最後の最後で本作にインスピレーションを得たのか、新作を発表できた模様。何のかんのでただでは転ばぬ人物ばかりがひしめく本作なのだった。
●マイルズ
ステファニーの息子。くるくる天パがかわゆい少年。
エミリーの息子ニッキーと仲良しで、母親同士が知り合うきっかけを作った。
母のブログが最終的には出版社に買い上げられたそうで、暮らし向きも良くなるし、母ちゃんテレビ出演も果たすしでよかったねと言いたい。
●ニッキー
エミリーの息子。母親が失踪してからはステファニーが何かと面倒を見ていたが、当然母の変わりに同姓をし始めたのを見て反発する。
だが「クソババァ」呼ばわりした後、寝る前に「キスしないの?」とねだったり、根は素直でかわゆい少年。
エミリーもニッキーの存在があったからこそ、ステファニーの前に姿を現し対決する所存だったので、愛情は確かにあった模様。
父ちゃんと仲良くな。
●ダイアナ
NYの画家。足がつくのを恐れて写真を撮らせなかったエミリーが、唯一絵のモデルになった女性。
彼女に惚れ込み献身的に世話をした挙げ句、捨てられたという過去を持つ。
予告編で意味ありげに出てきたけど結局何もなかった人。
●デニス
エミリーの上司。ファッション業界に身を置く威圧的な男性。
だがステファニーのスカーフの巻き方がなっていないのを見てまき直してあげようという姿勢を見せるので嫌いじゃない。
『彼女に無関心な上司』という触れ込みで予告編に怪しく登場するも、単にその通りの人だったというなんじゃいなな人物。
●フェイス
エミリーの双子の妹(実は死産しただけで本当は三つ子)。姉とともに父親を放火して殺害し、その後「二人でいたらいずれ捕まる」と行方をくらました。
と思ったら落ちぶれた姿で帰ってきた。
十年ぶりくらいに再会後、どう見てもそんなキャラじゃないのに「罪を償おう。自首しよう」と言い出すのでなんだと思ったら案の定お金を要求するという、久しぶりに同級生に会ったらネズミ講の勧誘されたみたいな寂しさを覚えました。
その後「湖で泳ごうぜ、ヒャッハー!」と突然マッ裸になったと思ったら林の中を走り始めるが、湖遠い。着いてから脱げや。
エミリーも脱ぐのかとどきどきしていたが、下着姿まででした。ですよね。
顔がなんか違うのでてっきり別の役者さんが演じてるんだと思ったが、wikiを見るとどちらもライブリーさんが演じているようでびっくり。役者さんってゴイス!
ということはフェイスのマッ裸もライブリーさんのはずだが、あまり嬉しくないのはやはり役柄のせいですかね。そーですかね。
欲をかいたせいで、最期は実の姉に湖に文字通り沈められて終わる。気の毒っちゃ気の毒。
●ダーレン
ステファニーたちの父兄仲間。
エミリーたちのやりとりを一歩下がったところから見ており、客観的な台詞を述べることを得意としている。
彼からするとステファニーはエミリーにいいようにこき使われているだけに見えるが、ですよね。
だからこそ、ラストのステファニー勝利に溜飲が下がるわけですが。
なんのかんの言いながらもしっかりステファニーのブログをフォローしていたらしく、最後の決闘で銃を持ったエミリーが逃亡を図ったと知るや、自家用車で現場へ駆けつけ、躊躇なくエミリーに突っ込んでいった。
ママ友を怒らせたこと……というより、道路の真ん中に立ったら危ないという教訓。
●マーガレット
エミリー=本名ホープの母。実の娘二人を毛嫌いしている。
お掃除サービスなる口実でステファニーが乗り込んでいったのだが、あっさり信用するにそういうサービスが本当に存在するのだろう。
わざわざ入り口まで追っかけてきて服をご用命した使用人はその後どうしたであろうか。怖いからやめーや。
●監督
ポール・フェイグ氏。女性を主役にした映画が得意なお方。
今回も大変楽しませていただきました。ありがとうございます!
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