映画『ブレックファスト・クラブ』ネタバレ感想。青春映画の超名作。誰かを定義する必要なんてない。

原題:The Breakfast Club
1985年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆☆

【一言説明】
補習受講生たちの青春劇。

ブレックファスト・クラブ 映画

映画『ピッチ・パーフェクト』の第一作目で、主人公ベッカの恋人ジェシーが傑作だと評していた『ブレックファスト・クラブ』。それがこの度Netflixにて配信となっていたので、いざ、いざぁ! と視聴。
  ↓
結果。
「パねェ……」(上を向いて涙をこらえる)
ベッカと同じ感想となった次第です。

Advertisement

あらすじ

土曜日に学校だと?
やらかした罰として、五人の生徒たちが図書室に集められた。

スポーツマン、秀才、お姫様、不良、不思議ちゃん。

個性も階級も違う男女が狭い一室に揃えば、何も起きないはずがない。
「お前さ、どこ中よ?」
早速、全方位に絡み始めた不良ことジョンの言動を皮切りに、作文そっちのけでわちゃわちゃし始める五人。

「近頃の若い者は、尊敬っちゅー言葉を知らん」
と別室でくだを巻く教師ヴァーノンだったが、若者が八時間も作文に没頭していたら、それはそれで問題なので、かえっていい傾向だと思います。

※以下ネタバレ。しみじみいい話なため、未見の方は視聴してから読みませう。

 

 

 

感想

何これ、超いい話……。
1985年だしなあ。古いしなあ。この時代の女性って、髪型がボンバヘだしなあ……。
なんてことを言いながら見てみたら、思いのほか名作で、ベッカちゃんと同じ感想になった筆者です。

それぞれスクールカーストのまったく異なる階級に身を置く五人が、朝の七時から八時間以上も図書室の中。
指導する教師は上から目線のちょっと嫌なやつで、「お前らが何者なのか、作文を書け」と言って、あとは放置。トイレにいくのも許可が必要という徹底っぷり(今なら問題になりそう)。

当然、不良のジョン君が反旗を翻し、そこかしこに絡み初め、いい感じに厄介者になってきた……と思ったら、その尖った発言の中に、家庭環境が荒れ果てていることを醸し始め、そういやお前だけ家族に送迎されて来なかったなと思い当たったところで、コーヒーをこぼした先生が一時控室を離脱。俺のロッカーにマリファナ取りに行こうぜ! → 先生が戻ってくる → 鉢合わせしないようにみんなで走る → 駄目だ、どうしたって抜けだしたことがばれる → 俺が引き付ける。その間に早く戻れ! という、青春の一幕。
なんだよ、ジョン。わりといいところあるじゃん!
  ↓
悪いやつがちょっと良い部分を見せると、好感度がだだ上がりな罠……に気持ちよくハマり、マリファナを機に距離を急速に縮めた面子が暴露大会。
そこにただよう連帯感が、『学際の準備などで、普段は接点のない子たちと一緒に作業したときみたいな非日常時特有の昂揚感』みたいなものを感じさせ、ああ~~~、青春~~~ってなってからの。
「僕たちは友達か? 月曜日になっても、お互い挨拶を交わすかい?」
というブライアンの問いに対する、クレアの
「いいえ。無視するわ」
という、忌憚のない意見に、だよねーーってなり。
けれども、この奇跡のような土曜日を過ごした五人の心には、きっと何かが芽生えているんだろうな……と思わせてからの、ブライアンの作文に合わせて、腕を突き上げるジョンの姿にテーマソングがかぶってクレジットという流れ。
完璧かよ。

五人のダンスが超かわいいのです。
映画の時間にして、たったの八時間弱。朝と比べて、彼らを取り巻く環境が変わったわけでは何一つないし、週末を過ごした後、月曜日を迎えた彼らに起こることは想像するしかない。
けれど、若い時代の内面の変化というものは、それこそビッグ・バン並の改革をもたらすわけで。
色々悩んで、またしても同じ面子で土曜日に揃うことになるかもしれない。
けれどきっと、ジョンもアリソンも他の三人も、良い方向に向かうのだろうと思わせるラストはお見事の一言です。

もしまだ見たことがない方、食わず嫌いしている方がいたら、ぜひ。
間違いなく、名作です。

人物紹介

●アンドリュー
スポーツマン。例によってスタジャンを着ている、ヒエラルキーの上位にいる生徒。アメフトかなーと思ったら、レスリングの選手だった。
最初は同じ階級のお姫様クレアだけを気にかけていたが、不思議ちゃんのアリソンに家庭の悩みがあることに気付き、急速に仲を縮めていく。
そして途中、マリファナを吸ったあたりから、突如上着を脱ぎ、自慢の筋肉&タンクトップという、マッチョあるあるなスタイルで行くことを決める。
不良のジョンとはけっこうな身長差があるにも関わらず、いざ取っ組み合ってみれば瞬殺という、さすがはレスリング部。

一見、順風漫歩な彼の悩みは父親。勝利こそすべて、な体育会系脳の所有者らしく、勝っても勝っても先の見えない要求ばかりで、憎しみすら湧いていた模様。
父親に習って、悪ぶることも必要と思ったアンドリューは、ある日何の非もない生徒を叩きのめし、それが原因で補習を命じられることとなった。
実はそのことを深く後悔しており、「何故彼は父親に謝らなくてはならないんだ? 悪いのは僕と父さんなのに」という台詞がアツすぎて素晴らしい。

Advertisement

●クレア
お姫様。裕福な家庭のお嬢様で、なんとお昼のBENTOにSUSHIを持ってくるというイカレっぷり。これだから金持ちは……! とひがみ的発想の感想が漏れる。
だが綺麗に箸を使いこなしているので、さすがいいとこのお嬢様は違うのだ。

そんな彼女は、キャラ的な位置づけからか、初っ端不良のロックオンされる。
属性的には、スポーツマンのアンドリューとくっつくのが普通だが、図書室に缶詰めになっている間に、階級も心の壁も取っ払ってみれば、お嬢様は不良に惹かれるという王道のお約束的展開を迎える結果となった。
やっぱりかよ。

一見お高く留まっているかと思いきや、アリソンにメイクを指南して、超絶かわいく仕立ててみたり、マリファナパーティに率先して参加したり、でも「月曜日に僕らにあいさつするか?」の難題には「無視するわ」と正直なところを答えたりと、素直でかわいい面を見せてくれる。
特技は胸の間に挟んだ口紅で、綺麗に化粧ができること、という。ある意味計算された親しみやすさに、恐ろしい子……! って思いました。

なんで彼女が補習に来たかはたしか語られなかったような。パパに言われるままに来ました、みたいなことは言ってたと思われます。

●ジョン
不良。見るからに不良。
長身にだぼっとしたコートを着ており、『ピッチパーフェクト』でラストの映像を見た時は、てっきりこの子が教師なんだな。尖ってバラバラの方向の生徒たちと、全力でぶつかった後にガッツポーズを取っているのだな、と思っていたんですが、そんなことはなかったよ。当時の10代って老けてるから。

父親は暴君らしく、誕生日プレゼントに箱ぎっしりのたばこを贈ってきたりするそうな。
こういう不良君にありがちな、でっかいナイフ持ち歩いてそう……。 → 持ってたうえに、なんと役の人の私物だということを知り、銃社会って物騒だで、という感想に。

前述のように、ちょっといいところを見せてみたり、一人だけ別室に閉じ込められたと思ったら、天井からあっという間に抜け出したり、でもって最終的にはその部屋にクレアが訪ねて来てくれて、ちょめちょめしてみたりと大活躍。
ラストはクレアと熱いチューを交わした後、歩いて帰宅する彼の姿で終わるのだが、多分車の中のクレアパパは気が気ではなかった。
「誰だあれは。後で紹介しろ」とか言ってたとしたら、後日ドレスアップジョンが拝めたであろうが、そこは想像で補うべし。

五人の中では、一、二を争う良い方向に向かってほしいキャラ。
案外、大人になったらNYとかでアンドリューと再会したりして。

●アリソン
不思議ちゃん。開始数十分は一切しゃべらず、だが落書きした絵が超絶上手い。絵上手子。
後にアンドリューが聞き出したところ、家族から無視されており、今すぐ家出をしたいくらい悩んでいるそうな。たしかに、送りの車でも家族は一切彼女のほうを見なかったし、それって精神的虐待というのではなかろうか。

おそらくは、家族と食卓を囲むこともないゆえか、弁当が食パンにぶっかた砂糖になんかのスナックを挟んでリス食い、というびっくりさ。成人したら健康診断で一発再検査になりそうなやつ。

彼女曰く、何もしないから補習を受ける羽目になったとのこと。
打ち解けた後、クレアにメイクアップしてもらったら、かなりの美少女が出来上がり、速攻でアンドリューが落ちた。
多分月曜日に学校に行ったら、さらにライバルが増える。がんばれ、アンドリュー。

●ブライアン
秀才。見るからに勉強ができそう。でも身長はジョンと並ぶくらいに高いので、ポテンシャルは秘めている。
男女比3:2という環境の中、多分あぶれるならこの子だろうと思っていたら、案の定あぶれたどころか、最終的には作文係を任せられるポジショニング。
彼の書いたものは名文だったが、六人の3:3ではなぜいけなかったのか。

そんな優等生の坊ちゃんが、何故補習を受ける羽目になったかといえば、楽にAを取れると踏んで取った工作の単位で赤点を取り、このままだと大学進学に不利だ……終わりだ……と自暴自棄になって、銃を学校に持ち込んだから。
これを告白したときの、男子の目の色の変わりようときたら。
その後、銃=照明弾であることが判明し、ほっとした空気が流れるのがほほえましい。
今はカースト下位に甘んじようと、社会に出れば世界は秀才の元にひれ伏すので、あと数年の我慢ですよ。がんばれ。

●ヴァーノン先生
補習を担当する教師。てっきり彼が熱血教師で、集まった五人と先生との魂のぶつかり合いが繰り広げられるのだろうと思っていたが、そんなことはなかった。
上から目線で「自分についての作文を書け」と丸投げした後は控室にこもりっきり。隣の部屋で、生徒がマリファナパーティやったりダンスパーティやったりしても、まったく気づいていない……というか、本人は本人で、用務員さんと親交を深めたりしているので、お互いさまってやつですね。

昔は熱心な教師だったらしく、汚れちまった悲しみに……なのかもしれない。

●用務員さん
学生時代は生徒の頂点に選ばれたこともあった人。
今は口止め料に50ドルを要求したり、学校は俺の城だと吹聴したりしているが、学校が常に快適であるのはこの人のおかげであるのは間違いない。
ヴァーノン先生の愚痴に付き合い、名言をはいたりするし、いい仕事しております。

●「大人になると、心が死ぬんだ」
青春時代に感じる、大人になることへの恐怖を的確に表した名言。

死んでねーよ? 死んでないからね?
守るべきものが増えたというか、『忖度』みたいなものを身に着けたというか、とにかく死んではいねーよ? 生きてるよ?

●「変わったのは学生じゃない。あんたのほうさ」
近頃の生徒は教師を尊敬しない……と管を巻く教師ヴァーノンに、用務員さんが言う台詞。まさに同じことを思っていたので、よくぞ言ってくれたと膝を打った。
続けて、「あんたが16の頃、教師なんてどう見えてた?」がある。
これぞまさに大人の秘儀『タナニ=アゲ』。
青少年諸君。これが使えるようになったら、君はもう子どもではないのだ。

●テーマソング
映画を象徴する名曲。
映画冒頭で、デヴィッド・ボウイ氏の言葉がでーんと引用されているので、てっきり歌っているのは氏なんだと思っていたら、まったく違うグループじゃないですかー。
早とちりしたじゃないですかー。

●SUSHI
国内勢のみならず、海外勢にも人気の和食。
主に酢でしめた米の上に、切り身状態の魚介類を乗せていただく。

作中ではクレアが弁当として持参していたが、きちんと保冷材はつけてきたのかね? 間違っても、真夏にSUSHIはやめておきたまえ。食中毒が心配だ。

●朝食部
題名を直訳すると多分こんな感じ。朝も早よから呼び出された面子にふさわしいお名前。他に秘められた意味とかあるのかしらん。存ゼーヌ。

●監督
ジョン・ヒューズ氏。なんと『ホーム・アローン』シリーズの脚本も手掛けているお方。
素晴らしい作品をありがとうございます。とてもとても面白かったです。

↓Amazon Videoにて配信中。大人は分かっちゃくれないんだ! だが、彼らが大人になった後、若者に理解を示すかどうかはまた別の話。