原題:NICKY LARSON ET LE PARFUM DE CUPIDON
2018年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆
【一言説明】
ユニオン・テオーペも出るよ!
アニメ映画の公開とともに、不朽の名作『シティハンター』の年となった2018年。実写化……と聞いてよぎったのは、1993年に公開されたジャッキー・チェン氏版だった方も多いはず。
実写……実写なあ……。
そんな不安を払拭するかのように、聞こえてくる高評価の嵐。
あらやだ、そんなに出来がいいの? それなら見るのはやぶさかではないよ?
というわけで、TSUTAYAにてレッツ・レンタル。
シティハンター、大好きなんです。
主演は監督も務めるフィリップ・ラショー氏。原作に激似なヒロインに、フランス人女優のエロディ・フォンタンさんが出演されています。
[adchord]あらすじ
嗅いだだけで、あなたの虜。
惚れたはれたで疲弊しがちな人類に、希望の光が与えられた。
肌に一振り、意中の相手に嗅がせるだけで、一生もののアムール効果を発揮するという『キューピッドの香水』を、守ってほしいと依頼されたニッキー(獠)とローラ(香)。「任せてもっ●り」と請け合った二人だったが、ひょんなことから、一般人の手に香水が渡ってしまう。
悪用されれば世界の破滅……とまではいかないが、とにかくアカンと追う二人。
だがその行く手には、グラサンがトレードマークの、あの男が立ちふさがるのだった……よ!
※以下ネタバレです。未見の方注意。
感想
これは完成度が高いっ!!!
原作大好き。生粋の少年ジャンプ野郎である筆者としては、生半可な実写持ってきても納得しねーよ? とオラついていましたが、これを出されてはひれ伏すしかない……!
何これ、超面白っ!
再現度高っ!
しかもそれでいて原作に縛られず、独自の料理法にて、とんでも面白い作品に昇華しているので、お見事としか言いようがないざんす。
最高ざんす。
原作もたしかに大人向けではあったんですが、さすがはフランス。きわどい下ネタを織り交ぜつつも、それをカラッとしたギャグとして笑い飛ばす姿勢は軽妙の一言。
実写というより最早本人じゃねーのという海坊主はもとより、香や冴子といった居並ぶ美女たちを、スタイルグンバツな女優さんたちが演じてくれるのも好感度高し。
そして何より、主役の獠。
青の上着に赤のインナーという、下手すると滑稽になりそうな衣裳を、あれほどスタイリッシュに着こなしてくれるとは……あんたが獠だでぇーー! となりました。
でもって『シティハンター』の肝は、『獠と香の関係性』、これに尽きると言っても過言ではないのですが、本作はそこへのリスペクトが完璧すぎるうえに、「あっ……その手があったかぁ!」と、原作者の北条司先生と同じ感想になっちゃったくらい、作中での仕掛けが見事なんですね。
まずもって、邦題が『史上最香のミッション』ってのが心憎い。
わずか93分の中に、獠と海坊主の奇妙なライバル協力関係とか、香の兄槇村を挟んだユニオン・テオーペとの因縁とか、冴子率いる警察組織に手柄を譲るところとか、掲示板のXYZとか、とにかくファンなら感涙ものの要素が詰め込まれ、しかもそれがストーリーの進行を邪魔せず、実にさりげなく再現されているというこの構成の見事さ。
ラショー監督の、シティハンター愛が極まって詰まってるんですね! あっぱれ!!
というわけで、原作ファンもアニメファンも、はたまたそうでない人も、万人におすすめしたい超娯楽大作です。
ただし、茶の間では流すな。凍るぞ。
人物紹介
●ニッキー・ラーソン
フランス版冴羽獠にして主人公。原作よりも二枚目半要素が若干強いように感じたが、よくよく考えるとそうでもなかった。いつもこんなだった。
ローラ(香)との関係は、原作の後半というより、中盤あたりの進展具合か。
今日も今日とて、駅の掲示板に書かれた『XYZ』(アルファベット最後の三文字=後がない=HELP ME!)に呼び出され、わっしょい美女かと出向いてみれば、太ったおっさんに件の香水の警備を任せられる。
でもって、香水のスーツケースが、たまたますれ違った民間人のそれとクリソツだったことで入れ替わってしまい、モナコで開催される下着のショーへと出向く羽目に。
この香水が超おいしい設定で、『嗅いだ相手を強制的に惚れさせる効果』に加え、そこに途中で打たれた自白剤の『効果が切れるまで嘘がつけない』が加わる。
ニッキーがローラに向かって、「お前は最高の女だ。男なら誰だって惚れる」と発言。
↓
「あれ、自白剤の効果切れてるじゃん。嘘がつけた」
↓
壮大な照れ隠し&後の香水効果への布石!
ヒューッ!
ローラがわざと香水をニッキーに嗅がせるも、まったく変化が見られない。
↓
「効果がない人間もいたわ」
↓
開発者の娘「それは元からその人を愛しているからよ」
ヒューーーーーーッ!!
という、これぞシティハンターな展開に持ってってくれるんですね。
天才か。
おまけにラショー氏は、コミカルな演技はもちろん、脱げばマッチョ、脱がずもマッチョ。ふとしたシリアス顔は果て無くイケメン、しかもアクションもいけるっつーんだから最高でねーの。
正直シリーズ化していただきたいですね! いやはや、素晴らしかったです。
●ローラ
フランス版槇村香にしてニッキーの相棒。
香のとんでも美人&ボーイッシュ=しょっちゅう男性と間違われるという設定に、説得力を持たせるナイスな配役。スタジャンにジーンズのボーイッシュスタイルが超お似合いです。
しかも途中で下着姿を披露してくれるというサービスっぷり。神。
前半はニッキーとのドタバタ感が強く、ヒロインというよりは相棒よりだったのが、下着ショーの会場にドレスで乗り込んでからは面目躍如。
嘘発見器でのお遊びにて、「この会場に愛する人はいる?」 → 「いないわ」 → ブッブー! → 「おるやん」の流れ。
それまで思いもよらなかった自分の本心を突き付けられ、放心状態でニッキーと情熱のダンスを踊る姿に、惚れない奴いんのかってなもんです。
かわええのう。
そんなローラに人を傷つけてもらいたくなかったニッキー。彼女には銃を持たせないようにしていたんですが、終盤の決戦では、二人でバカスカと実弾をぶっ放していたのには正直笑った。
このノリも嫌いじゃないんだな!
無事に香水を回収した後は、因縁のユニオン・テオーペのボス相手に、香水爆弾を打ち込み、アハーン☆なムショライフに貢献して仇を取った。
これで槇村も報われる……多分……!
●海坊主
てっきり洋名はファルコンなんだと思っていたら、wikiにマンモスって載っていて笑ったニッキーの同業者にしてライバル。いいね、マンモス!
原作だとほぼほぼ視力ゼロ状態のはずが、グラサンの奥からばっちり目が合っていたので、本作はその限りではないようです。
にしたって似すぎ。
本作の高評価の半分は彼が担っているといっても過言ではないと思います。
ちょいちょいニッキーたちの前に現れては、香水を手に入れようと妨害してくる海坊主氏。
実力は獠と同等で、二人がガチでぶつかればどちらかが死ぬと言われているレベル……なのだが、本作はコメディなので、激闘は激闘でも、カラス舞飛ぶ方向での激闘となった。
美容外科での決戦の後、お尻がツルツルになったようだが、その後どうだい?
ぜひぜひ続編で大活躍してほしいです。
●エレーヌ
フランス版野上冴子。とんでもない色気を持つ美女中の美女だが、なんと警察官だという魅惑の女性。
原作よりもややスレンダー寄りだが、ミニスカートから伸びたおみ足に力強い説得力を感じる今日この頃です。ミニスカポリスってやつですね。違うか。
いつも獠と香に下働きをさせ、手柄だけを持っていくのだが、今回もおいしいところは持って行った。
超大規模麻薬組織、ユニオン・テオーペのボスを挙げるとか、出世間違いなしですやん。
個人的には、もちっと出番を増やしていただきたかったです。
●トニー
フランス版槇村秀幸。正直、あまりにビジュアルが完成度高すぎてビビるくらい兄貴。原作と同じで、冒頭であっけなくユニオン・テオーペの手にかかって死んでしまう。
個人的には、よれよれのトレンチコートに眼鏡、なのに激強という最強お兄ちゃんの活躍がもっと見たかったです。
彼が獠に言い残した「妹を頼む」はある意味呪いでもあるわけで、しかも冴子というあれほどの美女をいまだ独身にしている理由でもあるわけで、なんとも罪深き男性であります。
●パンチョ
オリジナルキャラ。
うっかり香のつけた香水を嗅いでしまったため、彼女にアムールするためモナコまで追いかけてくるガッツのある青年。
実は自分の恋心が作られたものであることを告げられ、ショックを受けるも、なし崩し的に最終決戦にまで参戦してしまう漢気あふれる面を見せる。
その後は無事に解毒してもらったようだが、こういうちょっと間抜けな三枚目なキャラは大好きです。
帽子の下にドでかいネタを仕込んでくるし。
●ジルベール
オリジナルキャラその2。
入れ替わったスーツケースの持ち主で、香水の効果に気付いた途端、意中のお色気女優ジェシカ・フォックスとちょめちょめするため、モナコへ意気揚々と出立。
ひでー目に遭った。
それでなくとも香水を乱用していたので、身から出た錆ではありまくるのだが、義母に迫られるわ、嫁にモナコ行きがばれるわ、息子が養子であることをばらしちゃわ、コスプレ姿がネット配信されるわ、とにかく踏んだり蹴ったり。
だが結局、その気になったジェシカを前に躊躇するなど、紳士的な一面を見せ、結果最終決戦では鳥爆弾を発射する活躍を見せる。
その後、家族を前に言い訳の嵐だったと思われるが、きっと鳥の親子はフランスにお持ち帰りされ、仲良くアパートで暮らしているのだろうと勝手に想像しています。
●ドミニク・ルテリエ
香水の警護を依頼してきた中年男性。
香水の効果を示すため、無理やりニッキーに匂いを嗅がせたため、その後48時間は、彼の生涯のステディ候補となった。
無類の女性スキーなニッキーだが、妄想の中のルテリエ氏とはたいそう仲睦まじく、また楽しそうであったため、これはこれでアリじゃね? と思った……のだが。
なんとこのルテリエ氏、実は偽物。その正体は、ユニオン・テオーペのボスにして、ローラの兄トニーを射殺した黒い手の男だったことが判明。
おのれ、男の純情弄びやがって!
……となったかどうかはわからないが、ここで会ったが百年目とばかりに、ニッキーとローラ&エレーヌの連携プレーで刑務所送りと相成った。
その後は前述の通り、香水の効果によってハッピームショライフを送ることが決まったので、めでたしめでたし。ヨカッタね!
●本物のドミニク・ルテリエ
海坊主に香水の奪回を依頼した、偽物じゃない方のドミニクさん。言われてみれば、ドミニクは女性にも使える名前。黒い手の男が彼女のフリをしたのは、ニッキーと海坊主をぶつけて、自滅させようと目論んだからだそうな。
出番は終盤のワンシーンのみなのだが、華麗な青色のパ●チラを披露してくれるサービス精神旺盛な美女である。
●鳥さんたち
香水の効果で、ジルベールにホの字となった鴨(多分)と雛たち。
ぐわぐわっと一途に後をくっついてくるうえに、最終決戦では鳥大砲となって敵を撹乱するという活躍を見せる。
末永くお幸せにってやつだ。
●ジェシカ・フォックス
ジルベールご執心のお色気女優。熟女の魅力がムンムンで、ファンへのサービスにも快く答えてくれる気さくな面を持つ。
が、そのせいで香水の罠にはまり、SNSにて、とんでもない動画中継を晒す羽目になったのだが、その後どうなったかは不明。
でもきっと彼女なら大丈夫だと信じてる。
●香水の被害にあった人々
空港の受付嬢、レンタカーの配車係、デルモ三人娘等々。
きちんと解毒してもらったのだろうか。
●飛行機内の少年
航空機内のトイレにて、小学生男子が用を足していたところ、ドアの外から突如男性の声で、●猥な言葉をかけられる事案が発生。
濡れ衣でもなんでもなく、完全な事案案件なので、遠慮なく父ちゃんに言いつけてくれ。
パンチョは反省しろ。
●飛んでった人
車のフロントガラスを突き破り、文字通り鳥になった人。
こういうギャグにほんと弱い。好き。
●Get Wild
TM NETWORKによる日本が誇るテーマソング。
これがエンディングに合わせて流れたときは、目頭が熱くなりました。
さすが監督、わかってらっしゃるぅ!
●監督
主演も務めたフィリップ・ラショー氏。
いやはや、本当に素晴らしいものをありがとうございます。ぜひぜひ、続編をお願いいたします。楽しみにしております。
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