映画『ブライトバーン/恐怖の拡散者』ネタバレ感想。スーパーマンが邪悪をこじらせるとこうなる。

ホラー

原題:Brightburn
2019年の映画
おすすめ度:☆☆☆
個人的顎しゃくれ度:☆☆☆☆☆

【一言説明】
邪悪なスーパーマン。

ブライトバーン 恐怖の拡散者 映画

『ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシー』のジェームズ・ガン監督が製作に加わったという本作。映画館に見に行きてえ……と思いつつも、時機を逸してしまったのが、TSUTAYAで準新作になっているじゃありませんか。
やっほい!

主演は『ピッチ・パーフェクト』のエリザベス・バンクスさん。その夫役に『ローガン・ラッキー』のデヴィッド・デンマン氏。
邪悪な少年ブランドンには、新星ジャクソン・A・ダン君が出演されています。

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あらすじ

ある日、子供を切望する夫婦の下に、天からの贈り物が降ってきた。
文字通り、降ってきた。

謎の宇宙船らしき中から現れた赤ん坊を、我が子として育てようと決心するトリカイル
「この子はきっと、特別な子になる」
幼子を腕に抱き、嬉しそうに微笑むトリ。

そう、彼は確かに特別な子だった。
HかVかでいったら、Vに転ぶ方の『特別』だったけれども。

※以下ネタバレです。内容故に、若干のグロテスクな描写も含みますので、苦手な方はご注意ください。

 

 

 

感想

顎ぉーーーーっ!
あっ……顎……。
顎があぁぁぁ!

例よって事前情報を収集せずに見たので、こんなに……こんなにガチなゴア寄りのホラーだとは思いませんでした……。
知ってたら……! 知ってたら、目にクッション装備して見たわーーい!

本作のテーマは明確で、『地球に落下してきた宇宙人の子=スーパーマンがもし邪悪なやつだったら』が描かれています。
空から降って来た赤ん坊が、優しい地球人の養父母に拾われ、彼らの愛情をうけてすくすくと育つも、ある日自分が特別な力を持っていることを発見し、その力を使いこなすようになる……。
ワオ、それってなんてスーパーマン。
  ↓
ところがどっこい、ヴィランだよ!

そう。皆大好きスーパーマンの物語は、落っこちて来た赤ちゃんが、たまたま宇宙の正義を突き詰めたような奇跡の素質を持っていたから助かっただけで、実際に特別な力を持つ子供が、自分は地球人じゃなくて異種族なんだ……と認識したら、多分九割の確率で地球人を見下すようになるんじゃないですかね。
↓こういう人みたいにね!

「この下等生物め!」とか絶対叫ぶ。
だって優れてるんだもん。

そんな感じで、地球の破壊を自身の使命と認識しちゃった邪悪スーパーマンことブランドン君。
しかも絶賛思春期に突入中というから性質が悪い。
そらー、血のつながらない養父に、上から目線で「暴力、ダメ、ゼッタイ」とか言われても鼻ほじ状態。怒って腕を掴まれれば、逆に相手を吹っ飛ばすし、気になる子の親に「うちの子に近づくんじゃねえ!」と言われれば、まずは恋の障害を物理的に排除するのも当然……って、ねーよ!
バーカ、お前、バーカ!

ブランドン君の邪悪を極めまくった暴れっぷりを見ていると、スーパーマンって性格が良かったんだなって……しみじみありがたみを感じてしまいます。
ごめんよ、『マン・オブ・スティール』で、悪役と一緒にバカスカ町を破壊しまくった時、「お前星に帰れ!」とか野次って。
改悛するので、早くこの手作りマスクマンをぶっ飛ばしてくれよ、と思いましたね。

何しろブランドン君の暴れっぷりがひどい。
それにともなう制作陣のゴア趣味がひどい。

これは……なんか……と、次第にしゃくれ警報が出始めた筆者の顎だったんですが、なんとしゃくれるしゃくれない以前に、登場人物の顎が外れてスコーンと落下するというミラクルな演出が起き、ほんげーーーとなった次第です。

まさか、まさか顎が落ちるとは思わなかったです。

本作はヒーローならぬヴィランのオリジン物語であるため、好き放題する彼をとっちめてくれる正義の味方はもちろん不在。
ただただアカン方向に進む少年の武勇伝を、アカーンと言って眺めるだけですので、苦手な方にはまったくおすすめできません。
というか、借りなくてもよかった……。
若干見たことを後悔したけれど、白夜のカルト教に比べたらまだマシなので、最終的に筆者の顎は無事だったことをお伝えしておきます。
筆者のはね。

人物紹介

●ブランドン・ブライア
イニシャルBB。住んでいる町ブライトバーンもBB。
彼が犯行現場に残すサインは、Bと反転したBを背中合わせにくっつけたマーク。
まずもってその発想がヒーローではない。
「これは俺の犯行だかんね」とか……連続殺人鬼のそれである。

映画冒頭はごく普通の少年だったのが、納屋に隠してあった宇宙船の信号を受け、「地球を破壊することこそ使命」だと認識。
そのタイミングで、母トリから実は養子だったことも知らされ、自分は異星人=地球破壊しても問題なし、という判断に至り、やりたい放題となる。

多分アレ。なんで地球に来たかといえば、宇宙の帝王のため、新たな植民地となる星を開拓=先住民をせん滅、みたいな。
ワオ、それってなんて某お野菜系戦闘民族。

ちなみに後半に登場するヴィランスーツは、デザインも製作もブランドン本人。『スパイダーマン』のピーター・パーカーと比べるとまだ幼いため、いい感じに手作り感あふれるというか、近所の子どものヒーローごっこのクオリティとなんら変わらないのが逆に怖い。

続編があるらしいけれども、もしシリーズ化されるとして、最後はようやく現れたヒーローにバカスカにされてくれたら嬉しいナ!

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●トリ・ブライア
ブランドンの養母。ある意味諸悪の根源。
長らく子どもができずに悩んでいたところ、近所の林に宇宙船が漂着。中に赤ん坊が乘っているのを見て、「天からの贈り物よ!」とトチ狂うおかん。
気持ちはわからんでもないが、未確認飛行物体は政府に届けないとあかんじゃろ。

その後は、突如反抗期に入り始めた息子に戸惑い、妹兼スクールカウンセラーのメリリーに相談したりするものの、長らくブランドンの邪悪さを認めようとしなかった。
が、ノア殺害の現場に残された例のサインを見て、ブランドンがその場にいたことを確信。夫カイルまで殺されるにあたり、ようやく「あいつは始末せんといかん」という認識に至る。
その際の切替方がまさに手のひらを返したような速さで、「あなたは一生私のベイビーよ」の台詞がうすら寒くなるレベルだが、相手が邪悪すぎたのだと好意的に解釈しよう。

始末といっても、生まれてから一度も怪我をしたことのないブランドンだったが、唯一乘って来た宇宙船にぶつかったときだけ肌が裂けたのを見て、「あの素材ならあの子を殺せる」と破片を採取して実行しようとする。
だが、役者はブランドンが一枚上手だった。
思惑を完全に読まれており、最期ははるか上空に連れていかれてから落下 → 死亡と相成った。

●カイル・ブライア
トリの夫でブランドンの養父。妻よりは客観的な目で息子を見ており、彼の邪悪さを察知して戦慄する。それでも十数年育ててきた息子だし……と躊躇していたのが、義妹の夫ノアの死をきっかけに、覚悟を決めて狩りに誘う。
そこで、隙を見て、背後から猟銃で頭を狙って撃った……のだが、正しい入射角と反射角の例みたいな動きで、銃弾がパーーンっつって跳ね飛んで行ったのを見て、目が点に。
うっそーん。
銃の腕前は確かなようで、ブランドンの頭蓋骨がこれほど頑丈でなかったら、まず間違いなく即死していたであろうくらいに、ピンポイントに急所を狙ってきているので怖っ。
その後は狙撃に激怒したブランドンに、目から出る怪光線で顔を焼かれて死亡した。
……ん? なんかどこかで見たようなシーンだなって……『ザ・ボーイズ』のホームランダー大先生ですよ! やっぱあいつヒーローじゃなくてヴィランじゃねーか。

↓『ザ・ボーイズ』はAmazon Prime Videoで見られます。

●メリリー・マクニコル
トリの妹。ブランドンの通う学校で、カウンセラーとして勤めている。
彼が学校でやらかした際に、彼の精神鑑定を行うこととなり、その結果を保安官に報告する義務があった。
だが、自分にとって不利な報告をされることを恐れたブランドンが、夜中にメリリー宅を訪問。死亡フラグが濃厚かと思われたが、どっこい彼女は無事だった。
彼女は。
夫を殺されはするものの、なんと最後まで生き残る。
このまま逃げ切ってくれたらいいなあ……と思ったのですが、表向きは両親を亡くして孤児となったブランドンを引き取るのは、血縁的に彼女になるはずなので、この先に悲劇が待っているであろうことは容易に想像できるのが悲しい。
アレですかね。スーパーマンの後は、邪悪版スパイダーマンの方向で行くのでしょうか。
メイおばさんは最高だったんだがなあ……。

●ノア・マクニコル
トリの妹、メリリーの夫。
空気を読まずに、誕プレとして猟銃をブランドンにプレゼントしちゃったりするけれど、基本は陽気でいい人。
だが、顎。
ブランドン来訪に怯えるメリリーを守ろうとしたのが運の尽き。本作きってのドン引きシーンの主役を務める羽目になる。
勢い余ったブランドンにぶっ飛ばされる → なんだよあの怪力。逃げな! → 飛んで追ってくるブランドン → 車を宙に持ち上げられ、垂直落下 → ぶつかった衝撃で、ハンドルに顎が直撃 → スコーンと外れて落下する顎。

目が点。
こんな……こんなグロシーン、見とうはなかった……!

顎が☆☆☆☆してもしばらくは生きていたので、顎だけなら案外軽傷なのかと思ったらそんなことはなく、きっちり死んでしまった。
別にこんな目に遭うようなことはなんもしてなくね? なので、完全な被害者。
滅せよ、ブランドン!

●ケイトリン・コナー
ブランドンの同級生。聡明でめんこい女子。
揶揄されるブランドンに、好意的な態度を見せたのが運の尽き。
ボーイ・ミーツ・ガール的な展開になるかと思いきや、そこは宇宙人。完全に間違えたアプローチ方法により、見事キモい奴の称号を得ることになった。
そのため、一転して塩対応になったケイトリンの態度にブランドンは激怒。無敵の握力で握ったその手を☆☆☆☆
女の子には優しくしなさいってパパに習わなかったのかお前!

●エリカ・コナー
ケイトリンの母。娘がひでー目に遭わされたため、ブランドンに対して激怒。
しかも、その後ぬけぬけと寝室に現れたブランドンに、ケイトリンが「ママが許さないから無理よ」と答えたため、恋の障害を排除しようとした彼によって、見事犠牲者第一号の栄誉を受けることとなった。
職場のレストランで襲撃を受ける → 超スピードで近づいてきたブランドンに肩を掴まれ、ガッ → 場面転換、の流れで、その後はどうなったのかとんとわからなかった……のだが。
終盤、宇宙船の破片を手に入れようと、納屋にやってきたトリによって、無残にもお腹を☆☆☆☆された状態で、壁に☆☆☆☆されているところを発見されてぬんぎゃー!
演出がホラーすぎて、もうやめたって。

●保安官
現場に残された謎のサインが、BとBをひっくり返したもの=『ブランドン・ブライア』のイニシャルであることに真っ先に気付く優秀な人。
なのに、マジ飛びブランドンの突撃を受け、あっという間に☆☆☆☆になって飛び散った人。
……このシーンも『ザ・ボーイズ』にあったなあ……。超人の被害を真面目に描写すると、こういうことになるんだなあ……と虚空を見つめる羽目に。

●副保安官
保安官と一緒に、ブランドン逮捕のためにやって来た女性。
人間弾丸と化した相手によって、上司が☆☆☆☆になったのを目の当たりにし、必死に応援を呼ぼうとするも、電子機器を操れるブランドンによって通信を妨害されるというホラーな目に遭う。
その後は弾丸ブランドンによってあちこちに吹き飛ばされ、ごくフツーの人が壁や木の板を突き破ることになったら、こんな傷ができるんですよ、という有様を見せつけて絶命する。
その後、天井を突き破って空に連れていかれたトリでも、同じ演出を入れてダメ押ししてくる念の入れよう。
ヒーローものをリアルに描いたらアカンて。

●旅客機
トリを地上に落っことしたブランドンに、たまたま運悪く出くわしてしまった旅客機。両親殺害の事実を隠すため、事故に遭った風を装って、ブライア家めがけて叩き落される。
さすが宇宙人ともなると、裏工作のレベルが違うわーと、最早笑うしかないのだよ!

●監督
デヴィッド・ヤロヴェスキー氏。脚本を書いたのは、ジェームズ・ガン氏のご兄弟だそうです。
なかなか面白かったんですが、続編があるならもちっとソフトにしておねがいしゃす。ありがとうございます。

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