映画『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』ネタバレ感想。想像してたのとは違ったけど、案外面白いカルト作品。

マンディ 地獄のロード・ウォリアー サスペンス

原題:Mandy
2018年の映画
おすすめ度:☆☆☆
なんか笑っちゃった度:☆☆☆☆☆

【一言説明】
前半つまらんが後半は一見の価値あり。

マンディ 地獄のロード・ウォリアー

本作をTSUTAYAでレンタルした後、Yahoo!先生の評価はどうじゃったかいなと検索したところ、何故か出てこない。
あれ、おかしいな。『マンデー』で出てこないぞ? ほんじゃ『怒りのデス・ロード』ではどうだ? ……いやいや、違うよ。なんで『マッド・マックス』が出てくるんだよ。

出ないわけです。『地獄のロード・ウォリアー』だもの。
『マンデー』じゃなくて『マンディ』だもの。
紛らわしいな!!
(すいません。『マッド・マックス』が出てきて当然でした。Yahoo!大先生もマンデーを把握してないとかモグリだなとかつぶやいてすいません)

そして出て来た結果が評価2.6!
あれっ……あれ、おかしいな。どっかの映画祭では大絶賛とか予告編でやってたような……。それともサンダンス映画祭ってイロモノしか出品されないの?? そんなわけないよね?
だがそれよりもおかしいのは、Yahoo!先生評を見る前に借りてしまったこと。

こいつは……何かあるぜ。多分、呼ばれた……的な。

というわけで、主演はパチンコ弾き語りでおなじみニコラス・ケイジ氏。タイトル・ロールに『オブリビオン』の美女アンドレア・ライズボローさん。そしてカルト教祖役に『フライト・ゲーム』の機長役だったライナス・ローチさんが出演されています。

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あらすじ

クリスタル・レイク周辺の森の中で、ひっそりと暮らすレッドマンディの夫婦。二人はそれぞれ訳ありの過去を持っていたが、今は平穏を手にしていた。
だがある日、マンディが一台の車とすれ違った時から悲劇が始まる。

その男の名はジェレマイア
自画自賛の歌を自分で作っちゃうカルト教祖。
彼がマンディを見初めたことから、壮絶な復讐劇が幕を開けるのだった……。

※以下ネタバレかつグロテスクな表現があります。未見の方、苦手な方ははご注意。

 

感想

こいつはすげぇぜ!

ツッコミ所満載。
冒頭からなんだか現実味の薄いスピリチュアルな映像が展開されるので、ここで脱落する人は多いと思われます。
単なる復讐劇かと思いきや、一時間近くレッドとマンディの日常が描かれ、なかなか事が起こらない。しかも交わされる会話が二人の魂の道行き……みたいな地味な感じで淡々としており、正直退屈で眠りそうになりました。
けれど、ようやくカルト教祖ジェレマイアが登場してから面白くなりそうに思えて来る。

その後はもうツッコミしかない。

文章で説明するのが難しいので、今回は名場面ならぬツッコミシーン紹介をもって感想とさせていただきます。

●ぽっちゃりケイジさん
愛妻マンディと、ひっそり森だか山の中だかの家で暮らすニコケイことレッド氏。初回登場時はあまりに冴えないオヤジすぎて、彼がニコラス・ケイジ氏だと気づきませんでした。役作りなんでしょうが、随分ぽちゃっとしております。

●マンディの昔話
狂気の片鱗を感じさせるマンディ父の逸話。語るもおぞましい雛鳥たちの末路。
そりゃレッド君も「ひでーな」しか言えないわー、辛ぇわー。
二人の会話を聞いていると、お互いに愉快とは言えない過去持ちであることがわかります。マンディは家族がカルト教の一員だったとかそんなでしょうか。もしくは父親が教祖だったとか。そこから逃げてきたのか、レッドが救い出してくれたのか。そんな設定がありそうな。

●すれ違いざまにフォーリンラブ
悲劇はここから始まった……。
マンディからすれば単に歩いていただけ。なのにどこぞのアフォ教祖に見初められたせいで、その後ひでー目に遭わせられるんだからたまったもんじゃないっす。

●教祖ジェレマイア
なんかふわふわっとしていた物語が、こいつが登場したあたりからさらにおかしくなって来る。
マンディに一目惚れした彼は、手下のスワンに「あの笛を吹く時がきたよ」的なことを言って拉致を命じるんですが、『アブラクサスの笛』というたいそうな名前の付いている笛が、どう見てもただのオカリナ
しかも観光地の土産物屋で売っているレベルだぜ! ついでに音も微妙だぜ!

●現れるヘル・レイザーバイク軍団
命じられたままに山中で笛を吹いたスワン氏。ぷひゅぷわーーっ……という音が森の中に響き渡った後、車に乗り込んで何かが起きるのを待つ。
教団員「なんも起きねーけど」
スワン「黙って待てや」
バイク集団「呼 ん だ か」

なんか来たで。

ヘル・レイザーみたいな人と、たった今沼にハマったみたいなテラテラした人たちが来ました。
正直、あの笛の音がそんなに遠くまで響き渡ったとは思えないんですが……案外近くで野営してたのか?
あまりに見た目が悪魔っぽいので、当初は本物が来たのかと思いました。笛はしょぼかったけど、ジェレマイアってモノホンの悪魔と契約してたの? みたいな。
『アブラクサス』を調べてみたら、グノーシス主義の文献の中で選ばれし者を天国に連れていく存在とありました。こんな禍々しい奴が来ていいわけがあるか。

●俺の歌を聞けっ!
ここで言う『俺の歌』=『俺が歌う歌』、ではない
文字通り、自分のことを歌い上げた歌のことなので、完全に道化死ている
拉致ったマンディの前で、曲を流すジェレマイア氏。しかも感極まってローブの前を開けてぶらぶらさせるもんだから、そりゃあマンディも笑うよ
ただ、さすがに笑いすぎではないでしょうか。麻薬を注射されてたとはいえ、変なツボに入っちゃったんですかね。気持ちはわかるけどね。命かかってっからね。

●燃やされるマンディ
気がつくと、自分家の前の柵に鉄条網にて拘束されていたレッド。
おばさん笑いに激昂したジェレマイアによって、なんとマンディは麻袋に入れられ、彼の目の前で燃やされてしまう。
絶叫するレッド。

そこに出て来る『青ざめた夜の汚れた剣』

ん?
んっ?
なんかやたらイカした名前の剣が出て来たんだが?
そして、そんな名前のくせに、たいして切れ味がよさそうにも見えないんだが?
錆とか浮いてそうなんだが!?

そんな『青ざめた夜の汚れた剣』によって、遠慮なくレッドの腹をぶっ刺してくるジェレマイア。
やめろ! 痛いうえに、何かの感染症にかかりそうな気がするんじゃ!

でもって、たいそうな名前のわりに、そこで登場を終える『青ざめた夜の汚れた剣』。
わりとこのセンス、嫌いではない。

●「闇が深い女ほど明るく輝く」
はい、迷・言!!
バァアーーカ!! おまえ、ブァアーーーカ!

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●レッドの咆哮
教団が去った後、自力で拘束を解き、灰となった妻の亡骸を抱えるレッド。
だが一陣の風によって、あっさりと崩れ去るマンディの身体。

……悲しい慟哭のシーンなのだが、全身が映ってみてびっくりさ。なんとレッド君、ズボンを履いていないのだ
えっ、君……さっきのシーンとか、まさかのパンツ一丁だったのかい? 
演技の上手さにジーンときてしまっていたのに、まさかの下半身パンツなのかい?

その後、バスルームにて一息つくも、やはりパンツ一丁を貫くレッド。

何故ズボンをはかない!
お前、まさかこのままパンツで行くつもりなのか!?
  ↓
つもりだった。
あろうことか、虎柄のTシャツと白ブリーフという姿で、酒を呷り、腹の傷にかけて大絶叫するレッド。

ごめん……笑っちゃった。
出来うる限り耐えていたんですが、筆者にはここが限界でした。
燃えてしまったマンディには申し訳ないと思いつつ、ぶはっと吹き出してしまったんですよ。メンゴだ!

今までがつまんねーと思ってた人! 
大丈夫だ。ここから輪をかけて面白くなってくるから、安心して突き進め!

●チェダーゴブリンCM
狂ってやがるぜ!!!!

●訳ありな昔馴染み
トレイラーハウスに住む昔馴染みから、自分のものだと言うクロスボウを受け取ったレッド。一般人はーーー、クロスボウなんてーーーー、持ってないと思うなぁーーー!
さてはお前、またしても海兵隊出身だな?

昔馴染みのとっつぁんによると、スワン氏が笛で呼び出していたヘル・レイザー君たちは、通称『ブラック・スカルズ』というそうな。
元麻薬の売人が組織にとって不要となり、新薬の実験台にされた挙句、あんな感じになってしまったらしい。
なんだ、悪魔じゃなくて人だったんですね。
ファッションセンスが人間離れしていただけだったんですね。

昔馴染み「気をつけろ。苦しみが奴らの好物だ」
……レッド君の地元では、こういう物言いが流行っているのかい?

なんて思っていたら、自作の斧を作り始めちゃうレッド君。しかもやたら切れ味良さそうなやつ。
だからどこが一般人なのか。

●唸れ、俺のクロスボウ!
森の中をわりと普通に走っているブラック・スカルズの面々。
多分彼らは普通にスマホを持っており、普通にアプリも使っている。
でも連絡手段は笛の音 → 渋い。

闇に潜み、彼らに向かってクロスボウを放つレッド君。
見事一人を仕留めたが、カーチェイスの末に、事故って気を失ってしまうレッド君。
目を覚ましたら、どこか知らない場所に拘束されている。またかよ!

●ブラック・スカルズ殲滅
手錠をかけられていたパイプが緩んでいたので、起死回生の一手に出たレッド君。
案の定、斧の切れ味は鋭かった。
  ↓
無事に全員を打ち取ったレッド君だったが、隣室で見知らぬじいちゃんばあちゃんが死んでいた……。
さてはスカルズの連中め、こちらのご夫婦の家に押し入り、好き勝手にしていたな? 外道が!
でもって、台所にて、中華か何かのデリバリー容器が散乱している。
まさかとは思いますが、スカルズ君たちは、あの姿で買い物に行ったの? それともデリバリーしてもらったの?
どっちにしろ、遭遇した人の肝の冷え具合が心配なんじゃが。

●地獄のロード・ウォリアー爆誕
ブラック・スカルズの一人を倒した際、血液をしこたま顔に食らったレッド君。
傷口から惜しみなく吹き出る何かによって真っ赤に染まり、ポスターとかで見るあのお姿になった……と思ったら、スカルズたちが持っていたヤバい薬を一舐めしてしまい、ついに精神まで完全にイってしまったのだった。
いざ行かん。地獄の道行きへ……!

●どこかの施設で誰かに会う
ちゃっかり敵のバイクを拝借したレッド君。
敵の本拠地に行く……のかと思いきや、場所を知らなかったのか、どこかの研究施設みたいなとこに行き、そこにいたおじさんに、

「木星の戦士が台風の目から派遣されてきた」

と言われた後、「あいつら北にいるよ」と教えてもらうのだった。

……メンゴだ。
筆者には、このシーンの意味と必要性が、さっぱりわかりませんでした。
あのおじさんが誰で、虎が何だったのか。でもって木星の戦士がイミフというか、最早ツッコんだら負けという気概を持って挑む心境になってきたんだな。

●泥にハマる
北を目指して進むレッド君でしたが、途中でバイクのタイヤが泥にハマり、にっちもさっちも行かなくなってしまう。
カメラは、このシーンを意味深な引きの画面で見せて来るんですが、どう客観的に見ても、泥のせいで立ち往生したってだけじゃないかと思うんですが、何故かレッド君は真顔でこちらをじっと見つめてくるから困るんだな!
そんな問いかけるような目で見られても、君に残された選択肢は歩くことじゃないかなと伝えたくなります。
徒歩だ、レッド。徒歩で行くんだ!!

●本拠地大バトル
真面目に歩き、ようやっと教団の本拠地に乗り込んだレッド君。
この期に及んで「マンディは明るく燃えたな」と余計なことを言ったスワン君の口に斧を●●●して●した後、洗車中の教団員とチェーンソー対決に突入する。

何故か長い敵のチェーンソー。
はて、チェーンソーって長さが物を言うんだっけ……って、ツッコんだらアカン。
あと、若い女の子は見逃すのに、教会の中にいた女性の方は倒しちゃうんだ……とか、ツッコんだらアカン。
このあたりの描写は、グロいようで案外グロくないから安心なのです。

●VSジェレマイア
倒した……と思ったパンツ一丁男が、突如パンクが度を超す姿となって目の前に現れたジェレマイア。慌てて、説教という名の盛大な命乞いを始めるも、絶賛トリップ中のレッド君には通用せず。
最期は両手で顔を☆☆☆☆され、ドビャッと☆☆☆☆から☆☆☆☆して☆☆☆☆な目に遭って死亡した。
めでたし、めでたし……?

●盗んだ車で走り出せ
全てを燃やした後、徒歩で帰るのは骨が折れると思ったのか、ちゃっかり教団の車に乗り込むレッド君。その隣には、幻覚という名のマンディの姿が。
過去回想での綺麗な姿のレッド君から、血まみれサイコスマイルの現在レッド君に映り変わる落差にギョッとしました。

周囲の景色が、マンディの好きだったレノラ・トール著作『ヘビの瞳を探し求めて』の作中風景と同じになっていることから、レッド君はまだ麻薬の影響から抜け出ていない模様。
いつか現実に帰って来ることがあるのだろうか……と彼の行く末に思いをはせつつ、迎えるエンドクレジットがほろ苦い。
そして、何故これを借りてしまったかな……と思いつつ、眺めるエンドクレジットがまことにほろ苦かったです。
ニコラス・ケイジさんは素晴らしい俳優さんですし、昔からファンですが、最初からカルト的な映画だとわかっているものを、何故あの日あの時TSUTAYAでチョイスしたのか、本当に不思議です。

なんのかんのと面白かったですが。終わった後と寝る前と、二回耐えきれなくて笑っちゃったけど、話題になるのもわかります。
決しておすすめはしないけれども。
本作を気に入ったという人も、友達にこれを勧めるのだけはやめたほうがいいで!

そして多分、レッド君は案外早く現実に帰って来るんじゃないですかね。でもってたくましく生きて行くんじゃないんですかね。続編とかでね。

監督はパノス・コスマトスさんというベルギーの方だそうです。
なんのかんのと楽しませていただきました。ありがとうございます。


最後に一言。

腹の傷はどーなった? 
縫ってねーぞ、あいつ。

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