映画『ナイブズ・アウト:名探偵と刃の館の秘密』ネタバレ感想。変化球だが正統派。ミステリファンも楽しめるおすすめ娯楽大作。

ナイブズ・アウト 映画 サスペンス

原題:Knives Out
2019年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆

【一言説明】
犯人探しをしたくなる正統派ミステリ。

ナイブズ・アウト 映画 ブラン

ポスターを見たときから気になっていた映画『ナイブズ・アウト:名探偵と刃の館の秘密』。
『007:ノー・タイム・トゥ・ダイ』が間近に控えたダニエル・クレイグ氏を主役に迎え、死亡する大富豪役には名優クリストファー・プラマー氏。
しかもその他の出演者も豪華顔ぶれらしい……とあっては、劇場に行く以外の選択肢はないのだ。

※エンドクレジット後に映像はないけど、最後にワンちゃんの吠え声が聞こえます。わんこワンワン!

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あらすじ

大人気推理小説作家=大富豪が死んだ!
自殺で処理されるはずだった事件。
だがそこに、怪しげなる南部鈍りの名探偵ブノワ・ブランが待ったをかけた。
「これは殺人……かもしれない!」
警察から与えられた猶予は、二日。
その間に他殺か自殺かを見極め、他殺ならば真犯人を突き止めるのだ。
「がんばろうじゃないか、ワトソン君
「えっ、私!?」
突如ワトソンに指名された看護師マルタは、戸惑いながらもブランの動向を見守るのだったが……。

※以下、結末や犯人に関する重大なネタバレを含みます。本作はミステリ映画のため、未見の方は何も知らずに見た方が一億倍楽しめます。

 

 

 

 

感想

予告編も何も見ず、ただ『大富豪が死んで探偵が出て来る』という情報だけで挑んだ本作。てっきりポアロ系の本格ミステリなんだと思いきや、初っ端から提示される変化球。

ミステリ作家ハーラン・スロンビーの屋敷で、親族の集まったパーティが開催された。
翌朝、ハーランは喉を切り裂かれた死体となって発見される
第一発見者は、屋敷の家政婦フラン
彼女を含め、事件当夜、屋敷に滞在していたハーランの親族全員が容疑者。
   ↓
だが、実はハーランの死の原因となったのは看護師のマルタだと、開始数十分で観客にのみ真相が明かされる。
持病の治療のため、毎晩治療薬と痛み止めのモルヒネを投与されていたハーラン。その日はちょっとしたアクシデントにより、二つの薬瓶が床に落下。
薬を拾い上げ、それぞれを適量ずつ注射するマルタ。
だが注射後、彼女はラベルを見て凍り付く。なんと二つの薬を取り違え、致死量のモルヒネをハーランに注射してしまったのだ。
慌てて解毒薬を探すも、入っているはずの瓶がない。解毒できなければ、注射後十分程度で死に至る。
それを聞いたハーランは、驚くべき行動に出た。
ミステリ作家として培ったアリバイ作りの知識をマルタに授け、自身は自ら喉を切り裂いて死ぬことにより、彼女の過ちを隠したのだ。
つまり、ハーランは自殺。
その原因を作ったのはマルタ。

解くべき謎が序盤で解決してしまい、肩透かしを食ったような気分になった。
が。
面白い。
そう。この映画、面白いのだ。
早々に追求すべき犯人が判明してしまっても、その後も見ている者の興味が尽きることはない。
ヒロイン、マルタのあふれ出る誠実さと魅力のおかげでもあるし、曲者ぞろいの親族連中のおかげでもある。そして何より、どことなく胡散臭い探偵ブランの存在感のおかげでもある。
ハーランの死の真相が大まかに暴かれたとはいえ、彼とマルタが最後まで逃げおおせるのかとか、結末にはまだまだ一ひねりも二ひねりもあるんだろう? とか、とにかく正統派ミステリ展開が楽しくて仕方がないのだ。

マルタ側に立てば、自殺で済んだところをあちこち嗅ぎまわるブランは邪魔者でしかなく、けれどダニエル・クレイグ氏大好きな身からすれば、このままマルタが逃げおおせる展開となれば、自称『名探偵』のブランが道化と化すのは必至……とハラハラする。
変化球で来てはいるが、これはアレなんだろう?  最後は一部屋に関係者全員を集め、「事件の真相は……」と探偵が話し始めるいつものアレなんだろう??
  ↓
  ↓
ブラン「さあ、謎解きを始めましょう」

いつものアレだった。
やっぱりそう来なくちゃね! ヒューッ!

というわけで、めちゃくちゃ面白かったです。
トニ・コレットさんとジェイミー・リー・カーティスさんも嬉しい驚きでしたが、ドラ息子役で『キャプテン・アメリカ』のクリス・エヴァンス氏が出ていたことにとんでもびっくりしました。
何この豪華キャスト。
まさに至福の時をありがとうございます。

 

……と本編を楽しんだのは事実なんですが、犯人当てでは爆死。
筆者は最後までマルタを疑っていたヨ!
『嘘がつけない体質』はミス・リードで、実はお前嘘つけるんちゃう? チャウチャウちゃうんちゃう? とオラついておりました。
回想シーンでは「はわわわわ」ってなってたけど、実は薬を取り違えたのは意図的で、裏ではきっと「計算通り!」って顔してたんちゃう?
でもって、真犯人が実は薬を取り換えてましたーー! って告白を聞き、顔色を変えて「ええーーーっ」ってなるんちゃう? 
  ↓
  ↓
そんなことはなかった。
マルタは根っからのいい人だった。疑ってメンゴだ。

そこで思い出したのが、大昔の『エラリー・クイーンズ・ミステリマガジン』。看護師が老婦人を殺そうと、わざと二つの薬を取り違えたふりをして飲ませたけど、実は看護師を疑っていた老婦人が、事前に薬の中身を入れ替えていた……という話があったなと。
めちゃくちゃ面白い短編だったんですが、どの号に載っていたのか……掘り起こすのが大変そう。だが挑む。

ミステリって本当に素晴らしいものですね。
いい映画見ましたわー。

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人物紹介

●ブノワ・ブラン
『紳士探偵』の称号を持つ名探偵。南部鈍りが特徴。
初登場時は、事情聴取を行う刑事二人の後ろで、わざと彼らの陰になる位置に座り、ピアノの鍵盤をピン! と叩くことで発する質問を制御するという、極めて胡散臭い演出がなされる。
そして概ね関係者全員に、誰やお前って顔をされる。
誰やお前 → 主役だよ!

立ち振る舞いや各シーンの登場の仕方が、いかにも名探偵然としているが、倒叙形式で進むため、そのすべてがマルタの安全を脅かす敵として映る。
序盤は事情聴取で各人が語った嘘を的確に見抜くも、マルタに主軸が置かれてからは、真相を見抜いているのかいないのか、若干道化になりかけているのでは……とハラハラした。
が、名探偵はやっぱり名探偵だった。
最後の真相解明シーンでは、マルタすら気づかなかった事実をひょいひょい言い当て、見事真犯人と事件の真相を暴くに至る。まさに名探偵の面目躍如。
彼を主役に据えた続編はウェルカム。ぜひシリーズ化していただきたいですね。
今回は格闘シーンはなかったものの、もし披露することがあれば、めちゃんこ強いと思われる。
※追記 続編製作が決定したそうです。やったぜ!

●ハーラン・スロンビー
大物ミステリ作家にして大富豪。85歳の誕生日に親族を呼び集め、翌日に大切なお話があります……と露骨な死亡フラグを立てた翌朝、案の定遺体となって発見される。
本命マルタの二番手として、実は本作の騒動はすべて彼が意図して起こした計画=わざと波風を立てて、壊れかけた親族仲を修復……と見せかけての愉快犯超根性悪だったのではないかと疑っていたが、そんなことはなかった。

作家として大成功したその裏で、莫大な財産によって、親族たちの道が狂っていくのを嘆いていた。
そのため、大切な発表=「全部マルタにやる」という爆弾級の遺言を遺す。
気持ちはわからんこともないが、あまりに振り切り過ぎた内容が、大騒動を引き起こすことに気付かないはずがない。だがまさか発表の前日に命を落とすとは、ハーラン自身思わなかっただろうから、仕方ないっちゃ仕方ない。
本当は、親族の非難からマルタを守ってやるつもりだったんだろうなあ……と思うと切ない。

実はマルタは彼の隠し子だった……という設定があるのかと思ったが、そんなことはなかった。
家族には愛憎入り混じった感情を抱いていたようだが、何故前日にドラ息子にだけ内容を教えた。おかげであの有様ダヨ!

●マルタ
ハーラン専属の看護師。屋敷で唯一の良心といっても過言ではない、誠実さと勇気に満ち溢れた素敵な女性。
だが嘘をつく、もしくはつこうと思うと、ゲ●吐く。
てっきりそれは彼女が意図したミスリードであり、「実は私、消化活動を自在に操れるミス・消化マスターなのよ!」と終盤に種明かしがされるのだろうと思っていたが、そんなことはなかったマジでただゲ●を吐く人だった。
そしてうら若き乙女故に、ゲ●はキラキラで代替されるのかと思ったのだが、やっぱりそんなことはなかった。普通にリアルなやつだった。

すべての原因は、彼女が薬を取り違えてハーランに注射したことにある。
ハーランは彼女のミスを隠すため、薬の影響で死ぬ前に自殺。マルタは彼の助言通り、一度屋敷を出てから再び外壁を伝って舞い戻り、ハーランの振りをすることで、彼の死亡推定時刻を事実よりも遅らせ、アリバイ工作を行った。
  ↓
だが実は真犯人の工作により、マルタが注射する数時間前に、二つの薬瓶の中身が交換されていたことが判明。
優秀な看護師だったマルタは、毎日扱っていた薬を、見た目や注射器に入れる際の感触から正しく判断することができたため、ラベルに記載された薬剤名に囚われず、それぞれを正しい分量でハーランに注射したのだった。
  ↓
だが注射後に瓶を見ると、間違ったラベルが貼ってある=モルヒネを致死量打ったと誤解。
つまりハーランは健康体だったにも関わらず、自殺してしまったことになる。
これを悲劇と言わずになんと言おうか。

ハーランの全財産を譲られることに、最初はとまどっていたマルタ。
けれど、遺産を奪われることに度を失った親族の、あれやこれやの攻撃にさらされ、すっかり強い心で敵に対処するソルジャーと化した

最後はハーランの使っていたマグカップを手に、屋敷の女主人として、彼女の助けを必要とする面々を見下ろす……という逆転劇を見せて終わる。
マルタなら、きっと親族たちに的確な援助をしてくれるだろうと想像。

……蛇足的意見を書くと、マルタが事に流されず、いずれかの時点――ハーランがのどを切り裂いた後でも救急車を呼び、その場にとどまって救命活動を続けたなら、ハーランは助かっていたはず。善人だが、聖女にはあらず……だからこその魅力ってやつだ。

●リンダ
ハーランの長女。不動産業の会社を経営している女傑。
遺言発表直後の攻撃は、彼女が一番苛烈。
ハーランがマルタによる他殺だったことにすれば、遺言は無効にできるとして、ブランを利用しようとするなど色々とやり方が汚い。
だが父親との絆は確かにあったようで、最後は彼の遺した白紙の手紙があぶり出しだと気付き、夫の浮気を告発する父からのメッセージを受け取る。
あの性格と強さがあれば、父ちゃんの遺産なんてなくても大丈夫でしょう。

●リチャード
リンダの夫。会社の名義はリンダのため、離婚されたら立場が危うい。
なのに、どこぞの女性と浮気するというアフォ男。
パーティ前にハーランに呼び出しを受け、「お前の浮気ばらすかんね」と警告を受ける。その後は証拠をもみ消そうとするも、あぶり出しとは気づかず、告発の手紙を放置。見事悪事がばれ、妻に放り出されるであろうことが示唆されて終わる。
身から出た錆だから、しゃーない。

●ウォルター
ハーランの次男。父の著作物を出版する会社を運営しているが、パーティの前にクビを言い渡される。
ハーラン曰く、「息子には自分の作品を書かせるべきだった」そうなので、父親譲りの文才があった模様。四十過ぎて、突然作家になれと言われても、大成できるかどうかは微妙なのでは……。
と思ったのだが、案外今回の事件について執筆し、鮮烈なデビューを飾るかもしれないと思わせるくらいには根性がありそう。
だがマルタの母親を国外退去させるぞ、と脅す際の手際はいただけない。マルタにも同じことができるじゃん、お金あるんだし……と思っていたら案の定だった。そういうところだぞ。

●ドナとジェイコブ
ウォルターの妻と息子。
パーティの前、トイレにこもっていたジェイコブが、ハーランとドラ息子との意味深なやり取りを耳にする。
ジェイコブが勘のいい少年なら、じいちゃんが立てた壮大な死亡フラグに戦慄しただろうが、そんなことはなかった。

ドナは普通の女性だが、ジェイコブは病んだ十代という設定から、犯人としてこれワンチャンあるで! と思ったが、結局そんなことはなかった。

●ジョニ
ハーランの亡き長男ニールの妻。夫亡き後も、娘の学費や自身のお小遣いなどを、ハーランに援助してもらっている。
が。実は学費と称して、自身の小遣いまで二重取り。しかもその金額が総額四千万くらいになっていることが判明。怒ったハーランから、パーティ前に援助打ち切りを宣言される。
一体どれだけ死亡フラグを乱立すれば気が済むんだ、あのじいさんは。
怪しそうで、多分怪しくないなと思っていたが、その通りだった。
それにしてもトニ・コレットさんの演技がグンバツで、ブランを前にしての「あなた有名人ね!」のシーンは、熟女のお色気が炸裂してとんでも大好きでございます。
そして『ピアノでピン!』に対し、真っ先に「あんた誰」と言及する演出が与えられるあたりが、とってもらしい。

●メグ
ニールとジョニの娘。
祖父に学費を援助してもらっているが、打ち切られると退学の憂き目に遭うというから、多分とんでもお高い学費の私立大学だと思われる。
年齢の近いマルタとは仲がよかったようだが、彼女が遺産を総取りすると知り、親族との間で板挟みに。一応はマルタを気遣うも、一転して自身の窮状を吐露してしまうなど、年齢相応のふるまいを見せる。
振り切った善人でも悪人でもなく、未来への不安を抱く姿が好感を抱く。
……と見せかけて実は真犯人! なんて思ったりもしたが、そんなことはなかった。

●ナナ
ハーランの母。
刑事をして、「ハーラン氏のお母様ということは……今おいくつ……?」と疑問を口にさせる高齢ぶりだが、ハーランの部屋に忍び込んだマルタを見て、真相に直結する台詞を口にするなど非常に重要な人物。
彼女が事件を解くカギを握っていると踏んだブランが接触。その際の態度が、まさに紳士探偵の名に違わずで、好感度がうなぎ上りとなった。
たしかに言われてみれば、誰も彼女にお悔やみの言葉を言ってないじゃないですか。実の息子を亡くされたというのになあ……。
だがハーランの最期の行動は、一人の女性を思いやったとても立派なものだったので、それが慰めになると思いたい。

●フラン
ハーラン家に勤める家政婦。遺体の第一発見者。
一昔前のミステリでは、犯人はたいてい遺体の第一発見者だったり、執事だったりするのだが、ある意味二重に当てはまっているため、超怪しい。
だが、マルタに送られた告発文の送り主が、実は彼女であることが判明(本当はマルタ宛てではなく、真犯人宛てだったのを、犯人がマルタに転送した)。マルタが指定された場所に出向くも、モルヒネの過剰投与による麻痺状態で発見される。
真犯人をゆすろうとしたのかと思いきや、ハーランに忠実だった彼女は、怒りに燃えて罪を告発しようとしたらしい。
でも呼び出す場所が、完全な死亡フラグ。
なんで廃業したコインランドリーを指定するのか、ほんと謎。
ミステリの登場人物は、総じて死亡フラグが大好きなのだが、それにしたってこれは露骨すぎやしないかね。返り討ちやん。

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●ランサム
リンダとリチャードの息子。ハーランの孫。ドラ息子として有名で、フランには毛嫌いされていた。
なんで彼を最後に取っておいたのかといえば、もちろんコイツが真犯人ダカラダヨ!

演じるは、我らがキャップことクリス・エヴァンス氏。
『アベンジャーズ』での正義漢っぷりが嘘みたいにやさぐれた青年なのかと思いきや、中盤でマルタの前に現れた彼は、驚くほどの好青年。
祖父に遺産相続を外されたことに怒りは覚えず、逆に金に群がる親族をあさましく思っている節さえある。
そしてマルタから祖父の死の真相を聞くと、「絶対に遺産はあきらめるな。俺が助けてやる」と助力を申し出、マルタとの間に共感という名のロマンティックムードを醸し始めるなど、ははあさすがはエヴァンス氏……と思うわけだが、全部演技だからな!

こいつですよ、おまわりさん!

正直、ミステリに馴染んだ目からすれば、ダンにトツで怪しい人物なわけですが、マルタ黒幕説、もしくはハーラン黒幕説に目がくらんでいた自分は、まーーーったく気が付いておりませんでした。
別にまんまと騙されて悔しいとか、そういうわけでは決してない。
決してないわけだが、

味方みたいな面して、どういうことだ、このク●が!
前歯に青のり挟まれ、この悪人めが!

パーティ前、ジェイコブ君が耳にした会話は、ハーランとランサムによる「全部マルタにやっから」「ふざけんな!」「もう決めた」「後悔するぞ!」というやり取り。
冷静に考えて、好青年は「後悔するぞ!」とは叫ばないのではあるまいか……なのだが、まあとにかく遺産が全部マルタにいくと知ったランサムは激怒。なんとか阻止せねばなるまい……と思えど、すでに遺言書は作成されてしまっている。
ならどうするか?
  ↓
マルタにハーランを殺害させ、相続を無効にしてしまえばいい。

発想がド・外・道!

悪事を働く悪人の頭はよく回る。
とっさに、マルタが毎晩モルヒネを注射することに目を付けたランサム。辞去すると見せかけ、監視カメラの範囲外にて、こっそり車をUターン。急いでハーランの屋根裏部屋に侵入。マルタの鞄を開け、モルヒネともう一つの薬の中身を入れ替える。
ついでに、モルヒネの解毒剤の瓶を鞄から取り出す。
これで事態にマルタが気づいても、解毒することはできない。後は事故が起きるのを待つだけ……。
この時、侵入した経路がマルタと同じ外壁を使ったルート。そして降りて来たとき、窓の外を見ていた曾祖母ナナと目が合う。
その後、マルタが同じルートを通ってナナに見とがめられたとき、「また来たのかい、ランサム」と言っていたのは、これが原因。ただ、ナナは多少認知能力が落ちていることもあり、誰が入って来ても「ランサムや」と呼びかけていたため、警察や観客がミスリードする原因となっていた。

すべて上手く行った……と思ったランサム。
だがハーランとマルタのやり取りにより、なんでかモルヒネで死ぬはずの祖父は、首からの失血死による自殺と断定。このままじゃアカンと、こっそり匿名でブランに捜査を依頼した……というのが真相。
ほーん、なるほど。謎の依頼人というのはお前かよ

その後も、ハーランの死はマルタによる殺人だと立証するため、あれやこれやの裏工作を続けていたが、名探偵にはそんなことはお見通し。罪を暴かれ、御縄につく羽目になった。
しかも、フランが生きている風をマルタが演じたことで、自ら殺人の罪を告白 → 嘘をついた時のマルタ砲を顔にもろ浴びするというおまけ付き。吐●物がリアルなのがまた。

その際、最後の大暴れとばかりに、祖父の部屋にあったナイフを取り上げ、マルタを刺し殺そうとするのだが、なんとそれはイミテーション。
どこまでも祖父に足元をすくわれる形となり、あわれドラ息子はムショ行きとなったのであった。

予告編で、白いセーターを着たエヴァンス氏が、「ハッ」と鼻で笑うシーンがあるんですが、悪だくみの最中なんだぜ、あれ!
さすが全人類のヒーローは、悪役を演じさせても上手だなあ! ワオ!

●エリオット警部補
ジモピー刑事。ハーランの死は自殺じゃねーのというスタンスだったが、形式上、親族から事情聴取を行う。
で、ピアノでピン! と指示を受ける。
どこかで見たお顔……と思ってwikipediaを見たら、映画『ゲット・アウト』で要人を演じておられました。本人画像がめちゃパンクなんじゃが(2020.2月現在)。
↓『ゲット・アウト』の感想はこちら。

●ワグナー巡査
エリオット警部補とともに、捜査に加わるのほほん巡査。ハーラン氏の著作の大ファンで、時々豆知識を挟んでくる和み役。いいよね、彼。

●ハードロック
マルタの妹がDVDで再生していたドラマか映画に出て来る探偵。声を演じるはジョセフ・ゴードン=レヴィット氏。
探偵ものらしく、作中人物の死因に言及しているのだが、たしか、死ぬ→顔をつぶされる→挙句に火をつけられた的トリプルコンボな内容を解説しており、本編と同じくらいそっちの内容も気になった。
マルタ妹曰く、「結末が丸わかり」だそうだが、一体どんな事件だったんだ。

●ナイフの玉座
『ゲーム・オブ・スローンズ』みたいな椅子。座るとこの上に、中心に向かって放射状に大小さまざまなナイフが並べられている。
でも全部イミテーション。
……と見せかけて、多分一本くらいは本物が混じってるんじゃねーのと想像。

●原題
『Knives Out』=ナイフが出ている、つまりは抜き身。
予告編で、ブランが「土壇場になると、家族は互いにナイフを突きつけ合う」的な発言をしているので、そういう意味合いなんですかね。もしくは単純に殺意とかか。

●貞子
監視カメラの映像を確かめるシーンにて、ビデオデッキを前に刑事たちが「見たら死ぬやつか?」「七日だったよな」的な会話をする場面が。
さすがは世界の貞子は知名度が違うぜ!
伽椰子も頑張っているけれど、やはり貞子にはかなわないのではないでしょうか。

●最初にマルタ砲をくらった壺だか花瓶だか
後でちゃんと処分したんですかね? してなかったら、清掃係があばばばば。

●監督
ライアン・ジョンソン氏。『LOOPER/ルーパー』や『スター・ウォーズ:最後のジェダイ』などを撮っていらっしゃるお方。
本作も大変面白かったです。ありがとうございます。ぜひ続編をお願いいたします。

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