映画『アナと雪の女王2』ネタバレ感想。北欧感とアクションを増し増しした娯楽大作にて姉妹が大活躍!

アナと雪の女王2 映画 アニメ

原題:Frozen 2
2019年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆

【一言説明】
バックコーラスが卑怯。

アナと雪の女王2 髪型 エルサ

『レリゴー』で一世を風靡した前作『アナと雪の女王』から早六年。ディズニーミュージカルの復活を宣言するような大ヒットに勢いづいたのか、ちょこちょこと短編が公開されていたため、それほど間が空いていたとは思いませんでした。
個人的に『1』は普通というか、『Let It Go』は名曲だけれどお話し的にはイマイチだったんですが、『2』はゴリッゴリのアクションだというじゃないですか。『モアナと伝説の海』にて、プリンセスとアクションは相性がグンバツだと証明してくれたので、期待大で劇場に行ってまいりました。もちろん字幕版を鑑賞。

エルサ役のイディナ・メンゼルさんとアナ役のクリスティン・ベルさんを筆頭に過去のキャストが続投。やはりエルサのパワフルな歌声は英語版ならではでしょう。

※エンドクレジット後にも映像があるので、よい子の皆は最後まで席を立たないでね!

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あらすじ

アレンデールにてあれやこれやの大騒動があってから早三年……。
えっ、じゃあエルサは今いくつなんだ絆を取り戻した姉妹は仲良く平和な日々を送っていた。

そんなある日。エルサの耳に、不思議な歌声が聞こえるようになった。
はるか遠くから、自分に呼びかけるように響く声。
声の主を探しに――自分の本当の居場所を見つけに出て行きたいという衝動に駆られるエルサ。
そう。
彼女の自分探しの旅は、まだ終わってはいなかったのだ……。

※以下ネタバレです。未見の方注意。

 

 

感想

前作で自らの力と折り合いをつけ、王国の女王として、アナの姉として絆を取り戻したかに見えたエルサ。
だが、落ち着くのはまだ早かった。
『Let It Go』に象徴される通り、本当の自分というものを求め、強くあろうとする姿が全世界の老若男女を虜にしただけあり、今作でも彼女はさらに自分自身という存在について掘り下げようと行動する。

昔から周囲の人間とは違っていると感じていたエルサ。
自分の居場所はここ=アレンデールではないような気がしていた。
せっかく国民に魔法の力を受け入れてもらったにも関わらず、尻を落ち着けようとせずにふわっふわしているエルサ。

マリッジブルーに陥った若者かと思いもしたが、それも止む無し。あんな魔法の力を持っていたら、そりゃあルーツを探りたくもなりますよ。
そんなわけで、今回のエルサの旅はより素直に応援したくなった次第。
アナとクリストフにスヴェン、そしてオラフをお供に、謎の声を探るため王国の外へと出て行く一行。
謎の魔法の力に襲われた国民を残したまま女王と王女がそろって出かけていいのかと思えど、多分ほら前作でエルサが正式に即位する前は大臣とか頼れる面子が国を守ってくれてたんだろうし、今回はゴーレムの長老も来てくれたし、ツッコんだら野暮ってなもんですよ。

アレンデールの外に出て行くため、当然何人かの新しい顔ぶれも登場する。かつてアナとエルサの祖父が同盟を結んだノーサルドラの土地の民や、精霊の怒りによって魔法の森に閉じ込められた王国の騎士たちなどだ。
けれどメイン的活躍をするキャラはいないため、いつもの面子だけでどうやって話を広げるのかなと危ぶんでいたところ、中々どうして。雄大かつ壮大な非常に面白い内容になっていました。
前作より北欧の民族っぽさを増したのも功を奏しましたね。
すべての過去を記憶する氷河。火と水、土と風の四大元素の中心に存在する第五元素。前作では冒頭のみの登場だった両親に秘められた出会いの謎。
それらが姉妹の母イドゥナの透明感溢れる歌声に乗って紡がれ、エルサとアナが作り出す今につながっていく構成は胸が熱くなりました。

前作でも大変身を遂げたエルサでしたが、あちらは貞潔な淑女 → マインドパンクス女子だった。ところが今回はさらにその上の荒ぶる大自然の巫女みたいなビジュアルになってしまい、あっ……と察した次第です。
まあいつまでも姉妹一緒というわけにもいかないし、いずれは別々に分かれて暮らすんだろうなと思ってましたが、若干の切なさと寂しさ、そして力強い意志を感じさせるラストは単なるエバーアフターのおとぎ話と一線を画しており、今後のディズニー作品にさらに期待できそうな終わり方でした。素晴らしい。

前回は空気どころか約一名が足を引っ張っていた印象の男性陣ですが、今回も蚊帳の外的な扱いはあったものの、要所にて颯爽とサポートしていたりと、頼れる姿を見せてくれていたのでよかったね!

そして楽曲に関して言えば、目玉となる『Into The Unknown』は『Let It Go』ほどのキャッチーさはないものの、何回か聞くとふとした時に思い浮かび、「おっ、なんかいいじゃん」となる名曲でした。個人的にはエンドクレジットで流れるカバーVer.がお気に入り。
そしてイドゥナの子守歌を筆頭に、大自然の荒涼さを感じさせる民族調の歌が物語の雰囲気にぴったりで、本作ならではの特色を見せてくれました。
個人的には『恋の迷い子』のインパクトがパなすぎて、クリストフどうしたよと流れている間中腹をよじる羽目になってなんかもう最高。

『3』はないと思うけど、短編映画でその後を描いてもらえたら嬉しいですね!

人物紹介

●エルサ
ご存じ荒ぶる氷の女王様。前作のラストや短編映画で落ち着いた姿を見せた……と思ったら、序盤から再び荒ぶり始め、自身の力の謎を解く旅へと出発する。
両親が海難事故に遭って亡くなったというのにこりないな君も。

本作の肝はエルサの力の謎を解くこと。
先々代のアレンデール国王=エルサとアナの祖父が北の大地の民ノーサルドラの民をだまし討ちにし、その地の精霊たちを怒らせたため、北の地は魔法の霧に覆われるようになった。けれどその場にいた若き先代国王アグナルは父の過失を知らずに場を離脱することになったため、エルサたちは真実を知らずに今日まで過ごしてきた。
エルサの使命は北の大地に向かい、過去の出来事を明らかにし、精霊たちの怒りから北の大地を解放するというもの。
おそらくエルサは長年自身の力を封じて来たため、恐れなくなった今になってようやく氷河=精霊たちの呼び声が聞こえるようになったと思われる。

旅の最終目的は北の果てにある大氷河――すべての過去の記憶を有するというアートハランにたどり着くこと。氷河との間には荒れ狂う海が広がっており、これが予告編にて海に突っ込んでいくエルサという図につながるのだが、船という手段はどうした。なんで単身で行こうと思うのかね、君は。
案の定ぽんこらぽんこら波に押し返され、これ無理ゲーじゃないんかと思っていたところ、水の精霊らしき馬が登場。水の中でメンチ切ってきたと思った途端、ヒャーーッてぶつかってくるから危ないと思いきや、移動手段ゲッツ! てなるエルサ大先生がたくましい。

荒ぶるお馬さんを乗りこなしてようやくアートハランに乗り込むと、自身の祖父がやらかした過去のあれやこれやがつまびらかになり、衝撃のあまり凍ってしまうエルサ。
悪だくみするじいちゃんとか見とうはなかった!
だが最後の力を振り絞ってアナに真実を伝えため、彼女が過去の汚点の証となるダムを破壊することに成功する。
精霊の怒りが消えたものの、あふれ出る大量の水がアレンデールへと向かい容赦なく国ごと押しつぶそうとしたその時、精霊のごとく神々しい姿となったエルサが現れ、自らの魔法によって水を押しのけるという、ひ孫の代まで語り草になりそうな構図が展開される。
結果としてエルサはノーサルドラに残り、アナがアレンデールの女王となって二つの国の架け橋となるわけだが、あそこまでエルサの力が強力だと他の国には脅威でしかないんじゃないかと思うので大正解。
ラストはアナの招待に応じて海の上を馬に乗って駆けるエルサの力強い笑みで終わる。

シリーズを通して髪型が多彩な変遷をたどった人物であり、エルサは髪の毛下ろしたほうがゴージャスなんじゃあるまいかと思っていたので、最後の精霊化した姿はそりゃあもう素晴らしかったです。
ただ首元が寒そう。
第五元素の精霊だから、寒さとかそういうの関係ないの? 女の子は身体冷やさんほうがいいと思うよ!
ちなみにジェスチャーが壊滅的に下手くそ。

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●アナ
もう一人の主人公。エルサの愛らしき妹。
スーパーパワーを持った姉に対し、まったくの一般人であるにも関わらず、卑屈になるとかうらやましがるとかそういった姿勢をまったく見せない気持ちのいい子。
前作では自身が無茶ばかりしていたが、今作では無茶ばかりする姉を逆にたしなめるおかん属性っぷりを見せる。実際大海に単身で突っ込もうとするとかマジで無茶なのでアナが怒るのも無理はない。

精霊の力を持った姉と持たざる妹。けれどそれは自然と人との懸け橋となるべくして取られた采配であり、ノーサルドラとアレンデール、二つの地でそれぞれが国を治めることとなった。
スーパーパワーはないけれど、機転と人望によって見事にダムを破壊することに成功。精霊の怒りを解き、エルサを復活させ、オラフと再会するに至る。
最後はクリストフと見事ゴールインし、女王として威厳のある姿を見せるが、寝相が超悪いのは多分死ぬまで変わらない。
ハッピーエンド!

●オラフ
「僕はまだ子どもだから」と初っ端発言するのでびっくりしたが、よく考えると前作で誕生したわけでこの子三歳!? 立派な幼児じゃないっすか。
前作でのオラフの言動に正直イラッとしたこともあったんですが、三歳じゃしゃーない。こちらが狭量でしたわー。

ノーサルドラの民との初コンタクトにおいて、前作のストーリーを超はしょったうえに若干皮肉って再現するというオラフ劇場を繰り広げてくれる。
正直嫌いじゃない。
というわけで今作もほっこり担当かと思いきや、エルサが凍ってしまった=魔法の力が消えた=オラフ消滅というまさかのシリアス担当となり、嘘だろ……。
  ↓
エルサ復活! 
「雪だるまを作りたい?」

ですよね。
びっくりさせんなや!

●クリストフ
ちょっとずれてるけどとても気のいい奴だった彼。だが今作では最凶にどうかしちゃった奴と化していた。
エルサとアナがシリアス顔をしている横で、隙あらば絶対プロポーズするぞマンになってみたり、大量のトナカイを背景に岩の上に立って花びら舞い散る中で求婚するのがかっこいいと思ってみたり、結果熟女に求婚してみたり、極めつけはトナカイのバックコーラスで切々と苦しい胸の内をラブソング調で歌ってみたり
頼むからもうやめてくれ。

けどまあ全編そんな調子だったわけではなく、大地の精霊を誘導してダムを壊そうとしたアナがピンチに陥った際には颯爽と現れて彼女をかっさらい、「何をすればいい?」とサポートを買って出るという大活躍を見せてくれた。
最後はドレスアップ姿を披露し見事にアナとゴールイン。

だが気になるのは王族の恋人だからといって、未婚の男女が深夜遅くまで同じ部屋にいていいのかということ。
王宮で暮らしてるとか初耳なんですが? 大臣とか誰か苦言を呈さなかったの? ふーん?

●スヴェン
クリストフのラブトナカイ。
主人の恋のアシストをしてみたり、ダメダメなプロポーズの行方を見守ってみたり、いざとなったらめっちゃ速く走って大地の精霊の投げて来る岩の間をかいくぐってみたりと、多分作中で一番活躍した男子と言っても過言ではない。過言ではない。
決してマスコット系の容姿ではないのだが、彼も間違いなくケナゲンティウス族。かわいいぞ、スヴェン!

●アグナル国王とイドゥナ王妃
アナとエルサの両親。
実はイドゥナ王妃はノーサルドラの民であり、件の事件が起こった際にアグナルを助け、北の大地が霧で閉ざされる前に共に脱出していたことが明かされる。
エルサを呼ぶ不思議な歌声はアートハランに残されたイドゥナの歌声でもあり、アグナルと二人、エルサの力の原因を探りにアートハランを目指す最中に難破してしまったことが示される。
正直一作目では娘に力を隠せ隠せばかり言うちょっとアレな親にしか見えなかったが、汚名返上できただろうか。
やはり母の愛とはかくも偉大なものなり。

●先々代アレンデール国王
アナとエルサの祖父。すべての元凶。
一応擁護しとくと、精霊とか不思議な力の後ろ盾を持つ民が国の近くにいたら確かに脅威と見なすのは一国の王として多少はしゃーないんじゃないかなと思うけど、武器持たない相手を背後から襲うとかアカン。反省しろ、反省!

●ノーサルドラの民
32年だか4年だかの年月を霧に閉じ込められた森の中で暮らしてきた不憫な民たち。ぶっちゃけまったく非がないのでただの被害者。
若者が青空さえ知らないとかかわいそうじゃないですか。そんな環境で育つから、トナカイ求婚の儀とか思いつくようになるんじゃないですか。
最後は呪いも無事に解け、神々しい女王までやって来てのハッピーエンド!

●アレンデールの兵士たち
ノーサルドラの民とともに三十余年も森に閉じ込められていた人々。
森での生活になれた民と違い、制服に剣と盾を装備した彼らはどうやって暮らしていたのだろうか……。
まさか……虫か……? ヒェッ……。

●過去の悪役
前作で大暴れした鼻持ちならない誰かさんたちはアートハランの記憶の中でのみ登場となった。
彼らがどんな扱いだったかはエルサのしかめっ面がすべてを物語っている。

●マシュマロウ
舞台的に登場は難しいかと思われたが、エンドクレジット後のオラフ劇場にてオチ要員に登場。めんこい。

●監督
前作に引き続き、クリス・バック氏とジェニファー・リーさんが担当。
とてもとても面白かったです。ぜひ新作をお願いいたします。ありがとうございます。

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