原題:Deliver Us from Evil
2014年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆
18禁だけどグロさ控えめ度:☆☆☆☆☆
【一言説明】
心霊というより悪魔憑き。
Amazon VideoとNetflix漬けのゴールデンウィーク。ラストを飾るは、かねてより気になっていた『NY心霊捜査官』。
タイトルからして魅力的。なのに指定が18禁。
あれか。心霊……ということは、霊によってありえない方向に何かが曲がった●体とかが出て来る……とかですかね。怖ぇ~~。
白夜のカルト教からこっち、アカンものはアカンということが身に染みてわかったため、グロはなー……モノホンのグロはなー……と画面の前でもじもじしつつ、ええいままよと視聴に至った次第です。
主演は『トロイ』のエリック・バナ氏。神父役に『ガール・オン・ザ・トレイン』のエドガー・ラミレス氏が出演されています。
[adchord]あらすじ
NY市警の警察官、ラルフ・サーキは鬱屈としていた。
遺棄された赤ん坊にDV男、今度はライオンの檻に我が子を投げ捨てる母親ときた。
一体世の中、どうしてしまったのか……。「それはね」
「ん?」
「悪魔の仕業ですよ」
「誰だ、お前」突如現れた謎の神父、メンドーサ。
彼の唱える超自然的な主張に、最初は半信半疑のサーキだったが、やがて彼の周囲で不可解な出来事が頻発するようになるのだった……。
※以下ネタバレ。若干のグロテスクな表現も含みます。未見の方、苦手な方はご注意。
感想
グロくない!
まったくもって、グロくない!
正直、拍子抜けするほどグロくないので、心配して損したと思ったほどです。なんでこれが18禁なんじゃろか。察するに、子どもに対する非道な行いがばっちり映っているからでしょうか。
一応、壁から出て来た死体のお腹がわしゃわしゃーーって溶けて、中から●●が☆☆☆☆とか、上から降って来た女性が、車 → 道路の順番でぶつかってぼへぁとかあるにはあるんですが、それでも身構えていたほどにはひどくなく、まあなんとか視聴に耐えうる程度かな……という感じ。
だが、猫好きな人は気をつけろ!
途中でこのク●●●が! と叫びたくなるシーンが出て来るので、猫好きな自分は目から血を流す勢いでク●が! ってなりました。
動物は大事にせんといかんのだ、馬鹿め!
というわけで、グロさも程よい本作は、事実を基にしていると謳うだけあり、それほど派手でもなく、むしろ地味めに、けれど手堅く面白怖いという、よくできたお話でした。
タイトルに『心霊』とありますが、向こうの幽霊話は、たいてい霊のバックに悪魔がついていることが多く、本作はのっけから霊じゃなくて、悪魔の気配が濃厚に。
2010年のイラクで、とある洞窟に入った三人の米兵が、暗闇で何事かに巻き込まれる。
その三年後。動物園でライオンの檻に子どもを投げ捨てるという奇行に出た女性が、直前に凝視していたのが、檻の中の男性――が壁に書いていた文字。それを目にした女性は突然の凶行に及び、直後に園内の電気が消えるというホラーな演出が。
察しのいい方ならすぐにピンときたかと思いますが、その壁に文字を書いていた男というのが、三人の米兵のうちの一人。
残りの二人も次々と事件の線上に浮上し始め、結局のところ一連の事件は、三人のうちの一人、ミック・サンティノがイラクで悪魔に憑かれたから発生したことが判明する。
当然、事件を解決するには、サンティノを拘束するだけでは足らず、彼の中に巣食う悪魔を祓ってやらねばならない。
↓
クライマックスは悪魔祓い。
果たして、サーキとメンドーサ神父は、悪魔に打ち勝つことができるのか?
……といういつものアレなんですが、本作は迫力満点で大変面白かったです。
悪魔祓いの儀式というのは、一見すると『なんか苦しんでる人の前で、神父さんがブツブツ言いながら水かけてる』みたいな認識になりがち……というか、個人的にはそんな感じなのが、上手に撮ると、憑かれた人のダメージ蓄積が半端ないというか、無事に祓えたところで元通りに回復するのか超怪しい、と思うくらいの迫力ある絵面になるのが面白いですね。
本作は、悪魔祓いを六つの工程に分け、今悪魔との対決がこのあたりまできてますよ~~と非常にわかりやすく示してくれて親切なうえに、憑かれちゃった側のサンティノさんの演技も秀逸で、ラストにふさわしい大盛り上がりでした。
18禁ではありますが、元祖『エクソシスト』は怖すぎて見られないぜって人には(筆者同)、悪魔祓い系の入門編として大変おすすめでございます。
ステイホームのおともにしてみてはいかがでしょうか。
人物紹介
●ラルフ・サーキ
本作の主人公。これといった事件には天性の勘が働き、『担当したほうがいいぜ』という心の声が聞こえてくる男。
その結果、今回のジェーン・クレンナに関する事件を引き当て、元軍人三人のあれやこれやに家族ぐるみで巻き込まれることになった。
おそらく彼が悪魔に目をつけられたのは、持ち前の勘によるもの……だと思われるが、神父のメンドーサにも見えなかった録画映像内の幻覚・幻聴をとらえるとか、どんだけ悪魔に気に入られていたんでしょうか。
持ち前の正義感が暴走し、過去に幼女連続殺人犯のマーヴィンを撲殺しているのも関係しているのかも。
メンドーサの協力もあり、順調にサンティノを追い詰めていくも、土壇場で妻子を誘拐され、悪魔祓いを成功させなくては、二人の生死が危うくなるという立場に追い込まれる。
マーヴィンに関する罪を告白し、メンドーサを通して許された後は、信仰心を取り戻したのか、ビギナーながらもサンティノの悪魔を祓うことに貢献する。
無事に妻子も取り戻し、めでたしめでたし……かと思いきや、エンディングのテロップにて、警察を辞職し、神父とともに務めに励んでいることが示されて終わる。
あっ、そうなんだ、ふーん……と思う陰で、収入とか大丈夫なんかなーと思ってしまうゲスな自分が悲しいでゲス。
そして余談ですが、エリック・バナ氏の誠実そうな顔の下の著しくマッチョそうな身体とか激しく好みなんですが、どうでもいいですね。サーセン。
●バトラー
サーキの相棒。マッチョでひょうきん、いざというときの戦闘力も高く、サンティノと対峙したときのナイフダブル持ちはめちゃくちゃカッコよかったが、残念ながら敗北。殉職するという悲劇をたどる。
サーキの能力にも理解を示し、頼りがいのある良き相棒……だったのだが、メンドーサ登場=死亡フラグであることが明確。
でも、何も死ぬことはなかったんじゃないすかね。瀕死だけど助かってたらよかったんじゃないすかね。
●メンドーサ
ジェーンと親しかった神父さん。
夜、突然憑かれたように走りだし、通りすがったバーで一杯ひっかけた……途端に、隣の美女にナンパされるというイケメン属性。なんだお前。
動物園で事件を起こしたジェーンと懇意にしていたらしく、彼女を心配して警察署にやって来たところでサーキと出会う。
その後もちょくちょく進捗状況を聞きに現れ、信仰を手放したというサーキを再びこちらの道に引き入れ、エクソシストとして育成しようと試みた……かどうか定かではないが、前述の通り、二人で務めに励んでいるようなので、やはり才能はあったということなんでしょう。
サーキの罪の告白を受け、自身の経歴についてさらっと教えてくれるけれど、わりと爆弾級の過去を持ってないかお前。
しかも、サンティノの悪魔祓いに際しては、「お前には息子がいるんだよ」と、よりによって悪魔から暴露されるので、なんというか若気の至りって恐ろしいものですねとしか。
個人的主観ですが、悪魔祓い界隈には、メンドーサという名前の神父さんがたくさんいるような気がするんですが気のせいでしょうか。
パッとで思いつかないし、検索しても本作が表示されるしで、それほどメンドーサ神父は多くないと思うんですが、こっち系の作品に出て来るお国柄で多い名前とか、そんな感じでしょうか。余談でメンゴだ。
●ミック・サンティノ
イラク帰還兵の一人。
てっきり三年前は、三人仲良く憑りつかれたんだと思っていたが、実は憑りつかれたのはサンティノ一人だったことが判明する。
後の二人は、サンティノによって開かれた扉(悪魔が現世に入るためのドア)の影響を受けただけらしいので、とばっちり。
序盤から、怪しいフードの男として何度も登場。フードの下の顔が怖っ!
そして悪魔祓い時の挙動が激怖っ!
額に傷が真横に走ったときは、中身が元気にこんにちは! を覚悟したんですが、幸いなことにそうはならなかった。
でもその代り、身体のあちこちに傷が湧くわ、ふくらはぎの肉を自分で☆☆☆☆するわ、色々と取り返しのつかないことになっているような気がするんですが、あの後無事に回復したんでしょうか。
大抵の作品では、悪魔が抜けた後の憑かれていた人は、何事もなかったかのように傷とご面相とが回復しているのがお約束なんですが、サンティノ君の場合そうでもなかった……どころか、額は血がブシャー、身体にも名変な文字の傷が刻まれちゃってるしでかわいそうです。
というか、一体どうやって説明したのか。全部悪魔に憑かれたせいです、で無罪放免とはならないのではないかと思うのですが。
●グリッグス
サンティノの仲間の一人。彼と塗装業を始めたが、開業後わりとすぐに訪れた家の地下室で、遺体となって発見される。
死因はシンナーのがぶ飲みとされているが、どういう経緯でそうなったのかよくわからん。
せっかく、仲間と心機一転、新しい職で楽しくやっていこうぜ! となったんだろうに、気の毒。
●トラトナー
サンティノの仲間の一人。こっちは悪魔の影響でDV男と化し、サーキを殺害の一歩手前まで追い詰めたところで、メンドーサに止められた。
多分サンティノの悪魔が消えたら正気に戻ったんだろうと思うけれども、サーキを散々驚かせた血まみれの男はこやつですよね? けしらかん。
●ジェーン
動物園で、たまたまサンティノの描いた『扉』の文字を目にし、悪魔に乗っ取られてしまったかわいそうな女性。
我が子に大けがを負わせたばかりか、最後はビルの窓からサーキの車に目がけて落下 → 地面に激突、という悲壮な最期を迎える。
●サーキの家族
陰惨な事件ばかりが起きて、ストレスのたまったサーキとすれ違いになる美人妻と娘。
悪魔のごたごたに巻き込まれるが、全部おとんのせいだと責めない姿が素敵。
その後は第二子も無事に誕生したようで何より。
●悪魔
最終的に、悪魔の名前を聞き出せれば勝ち。……だと思う。
名前を知ることで相手を支配できる=祈りの力が効くよ、的なシステム。……だと思う。
本作の悪魔はジャングラーさん。
名前を名乗っちゃって敗北濃厚……かと思いきや、ファンクな音楽とガラスがパリーンで起死回生の一手を打った……と思ったら、ただの悪あがきだったのか無事に立ち去っていった。もう戻ってくんなよー。
●録画映像
再生すると、サーキにしか聞こえない音声が聞こえたり、突然血まみれの人物が映ったりする。
「聞こえるか?」って隣の人に聞いても、「何が?」しか返ってこない。やめれ。
●動物園のライオン
サンティノに何やら言い含められて、よいせっせと出て来る。
多分、夜食が来たよ、とかそんな感じ。
●イラクの村
その後触れられてないけど、近くにあんな洞窟があったということは、悪魔信仰していたとかそういうアレかい?
●監督
スコット・デリクソン氏。『フッテージ』や『ドクター・ストレンジ』なども撮っていらっしゃる方。
とても面白かったです。ありがとうございます。
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