映画『クロール -凶暴領域-』ネタバレ感想。じわりじわりと影が迫る。VSワニは緊張感抜群の面白さ。

クロール 凶暴領域 映画 ホラー

原題:Crawl
2019年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆

【一言説明】
ワニさん逃げた。

クロール 凶暴領域 映画

ハリケーンに見舞われた町に、ワニの脅威が迫る……! 的な内容だったと記憶している『クロール -凶暴領域-』。
公開当時は予定が合わず、泣く泣く見送ったのが、この度Amazon prime Videoにて再会。
何度言ったかわからないけれど、Amazon Prime Videoはラインナップが神ぃ!
Prime Video教を布教したい今日このごろです。TSUTAYAの準新作で借りなくてヨカタと思ったのは内緒だよ!

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主演は『メイズ・ランナー』シリーズのカヤ・スコデラオさんと、『ローン・レンジャー』のバリー・ペッパー氏。
あとワニ。
一匹だけかと思ったら、結構無数のワニさんたちが出演中です。

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あらすじ

巨大ハリケーンの脅威が迫る中、父デイブの安否を確かめるため、実家へと向かう女子大生ヘイリー
何度かけても、電話に出んわ状態の父。
母と離婚も決まり、落ち込んでいたはずだ。

「まさか……」
嫌な予感が胸に迫り、警察の制止も振り切って、車を走らせるヘイリー。

そう、まさか。
まさかハリケーンではなく、ワニに襲われて死にかけているとは、誰が予想できたであろうか――。

※以下ネタバレとグロテスクな表現を含みます。未見の方、苦手な方はご注意。

 

 

 

 

感想

嵐の中、竜巻に乗ってやってきたワニに人が襲われてぎゃーー!!
と、『シャー●ネード』みたいな想像をしていたのですが、本作はそんなとんでも設定のパニック映画ではなかった。
ハリケーンでひでーことになった町に、なんとたまたま『ワニの農園』があり、そこから嵐に乗じてワニさんたちが逃げ出しちゃったから、さあ大変! という、どちらかというとリアリティを持ち、静かな雰囲気の中、人VSワニの殺伐とした死闘が繰り広げられる系の映画でした。

ワニ農園ってなんぞや?
ワニの動物園か、はたまたワニ肉を出荷するための農場なのか。
とにかく、近場にそんな施設があったため、思ってもみない不運に見舞われるヘイリーとデイブ親子。
売り家になっている元実家の地下で、デイブがよりによってハリケーンの最中に修理に降りちゃったりしたもんだから、ワニワニパニックに陥り逃げられない! という結果に。
その後、後からやってきたヘイリーも、デイブが気を失っていたため、ワニの接近を許し、あえなく地下に閉じ込められる羽目に。

てっきり、もっとこう大勢の人が出てきて、次々とワニさんのお腹に放り込まれる展開かと思いきや、メインの登場人物はデイブとヘイリーの二人のみ。
後は、ぽっと出の食われる要員が五人いるだけ、というストイックさ。
なるほど、これはヘイリー親子が危機を脱出できるか否かに焦点を当てた物語なんだな。ということは、多分ヘイリーは助かるから、実際には親父が食われるかどうかだけを心配していればいいのだな……。
  ↓
だったら、話は楽だった。
制作陣は、なんと犬を登場させやがったのデス。

デイブの愛犬、黒い美少女わんこのシュガーちゃんが、実家に置き去りにされた形で登場。
「父さんはどこ? ここにいない? じゃあ、もしかしたら元実家かしら」
てっきり安全な場所に置いていくのかと思いきや、なんとわんこを元実家に連れて行くヘイリー。
やめろ、バカ! ワニがいるだろーが!
  ↓
とりあえず、地下室までは連れて行かず、階上に残していくヘイリー。
一応はグッジョブ……なのか? ワニが地下だけにいるとは限らんのではないのか?

実を申しますと、地下でわーきゃーしているヘイリーたちより、一階にいるシュガーちゃんのほうが心配でありました。
なぜって、このわんこが大変なケナゲンティウス犬で、主人の言いつけを守って地下には降りず、けれどヘイリーが扉を持ち上げようとすれば近くに行って応援し、知り合いの警察官がくればこっちだよと案内し、とにかくシュガーちゃんが無事なら、デイブは食われてもいいや……と思うくらいに超かわいいのデス。

もちろん、シュガーちゃんを抜きにしても、本作は緊張感が半端なく、パニックホラーとしても秀逸な出来。
何よりワニの捕食シーンが恐ろしく、グロさはそれほどではないにしても、獲物を噛んでから、体を回転させてもぎ切るというエグい動きもきちんと再現され、かつて『インディ・ジョーンズ/魔球の伝説』で、悪の親玉が同じ最期を迎えたときにヒェッとなったトラウマを余すことなく思い出した次第です。
面白かったー!

人物紹介

●ヘイリー・ケラー
主人公。女子大生。水泳選手として奨学金を得ているが、冒頭の大会ではライバルに0.2秒の僅差で敗北。鬱屈としたまま着替えている最中に、姉から父の安否が不明との連絡を受ける。
「探しに行くわ」 → 「やめなさい、ハリケーンなのよ」 → 「でも行くわ」というやり取りの後、どう考えても危ねーだろっていう大雨の中を、警察の制止を振り切ってまでズンバラ進む。
で、地下室でまさかのワニに遭遇してぎゃーーってなった。
でもって噛まれた。
普通なら、ワニに噛まれたらそこで試合終了になってもおかしくない。だが、このヘイリーちゃん。肉体的に、かなりのタフガイ。足を噛まれて地べたを引きずられ、肩を噛まれて水中をローリングされても、常人なら十回くらい死んでいるところが、わりとケロッとしている。
極めつけが、浴室で水中戦=ワニの土俵にてタイマンとなったときの、「かかってこいや、ワニ野郎!」の啖呵シーン。
ワニを狭いシャワー室に誘い込んで……からの、飛び上がってドアを閉める → ワニ閉じ込め成功、ざまぁ!
SAMURAIか。
しかも外に出たときは、なんとワニ十数匹と競泳して勝利するという、とんでもない武勇伝を見せるので、最早「へっ、完敗だ」と褒めるしかあるまいよ。

そんなヘイリーちゃんも、命をかけてボートに乗り込む → このタイミングで堤防が決壊 → 押し寄せてきた水に流される → さっき脱出したばかりの元実家に強制的に戻される、な目に遭ったときはさすがに絶望していた。そこで窓から突入してきたワニを照明弾を使って倒す → 父、シュガーちゃんとともに屋根に登り、照明弾を撃って救助のヘリに合図……というところで物語は終わる。
一応はハッピーエンドなのだが、ワニに噛まれたところは重傷と思われるので、その後の選手生命が大丈夫だったかは想像に任せるしかない。
個人的には、傷跡は残ったけれども、今回の件で、他の追随を許さない精神的タフネスを身に着けたため、オリンピックに出場していいとこまで行くのではないかなーと思うのです。絶対、転んでもただでは起きないタイプ。

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●デイブ・ケラー
連絡がつかないと思っていたら、売り家になったはずの元実家の地下室で死にかけているという、謎のシチュエーションを生み出すおとん。
修理はいいよ、修理は。
でもなんでこのタイミングで地下に降りたよ。
そのせいで、かわいい愛娘(とわんこ)まで巻き込む羽目になったじゃないですかー。

まあね、まさか地下室にでっかいワニがいるとは思いませんよ。しかも、まさか外に通じる排水管の中に、産卵までしているとはね。
おそらく、地下室のワニが執拗に二人を襲ってきたのは、卵を守る親=夫婦だったからだと思われるのですが、ヘイリーが潜った際にはすでに卵が孵化してワニベイビーが生まれちゃったりしているわけで。ワニって、そんなに孵化早いのか……? とそこがすごい謎であります。

さて。ヘイリーに助けられ、ワニの入って来ない安全地帯にまで逃げ込めたデイブ。けれども、ハリケーンの大雨は容赦なく地下室に降り注ぎ、浸水=後一時間で冠水、という絶望的な状況を作り上げるのです。
逃げればワニ、逃げなければ溺死。どうあっても詰んでいるなら、せめて対処できる方=ワニに挑むぜ! というこの親子。
昔は水泳のコーチを務めていたおとんが、そのせいで妻=母と離婚することとなり、わだかまりが生まれたために一線を引いた、という過去持ち。本作は、ワニさんパニックの裏で親子の絆というテーマを展開してくれるのですが、だからこそ、デイブは死ぬと思っていました。
終盤あたりで、自分が犠牲になるからお前は逃げろ。さあ来い、ワニ……ぎゃーー! 的な。
なのに、途中で右腕をワニさんに噛まれて☆☆☆☆という目には遭うものの、最後まで生き残ったときはびっくりしたヨ!
右腕はなくなっちゃったけど、わんこ無事だったし、娘と和解できたしでハッピーエンド。生還おめでとう! 死ぬと思ってごめんヨ!

でも一つ謎なのが、何故彼はあれほどワニの生態に詳しかったのか? という点。
水の外にいると音を聞き取りづらいとか、水しぶきをあげなければ注意を引かないとか。
ワニ博士か。
それとも、ワニがそのへんをうろちょろしているアメリカでは、必然的にワニの知識が身に着くのでしょうか。謎ですーヌ。

●シュガー
黒いシュナウザー系のわんこ。デイブに「グッド・ガール」と言われていたので、女の子で間違いないはず。
ヘイリーがまず父の家に向かった際は、一人でお留守番をしているところを発見される。
ハリケーンが来るっちゅうのに、犬を残していくとか、デイブこの野郎。
多分すぐに帰ってくるつもりだったんでしょうが、わんこやにゃんこに関する限りは、最大限の安全策を講じてしかるべしなのですよ、奥様。

そんなポンチキおとんのフォローをするべく、ヘイリーによって元実家に連れて来られたシュガーちゃん。地下に潜った主人を見送り、一階で待機することに。
けれども、外の浸水度合も激しくなり、いつワニが現れて襲われてもおかしくないなとハラハラしていたのですが、さすがアジャ監督はわかっていらっしゃる。
幼馴染の警察官が、突如水中から現れたワニに引きずり込まれて☆☆☆☆になったときも、わんこは無事。ワニうごめく外界を歩いていたときも、ヘイリーが囮になってわんこは無事。堤防が決壊して実家に流され、離れ離れになったときも、わんこは無事。でもって、デイブの腕が☆☆☆☆されても、わんこは無事。
いつもならともかく、パニック映画に出演したときのわんこの生存率の高さは異常、という法則をきちっと守ってくれました。
ありがたや。
もしこの子に何かあったら、本作の評価は☆一つにしてやるぞク●がと身構えていたのが無駄になって嬉しかったです。
いいですか。わんこは大事に、なのです。人がどれだけ死んでも、わんこ・マスト・アライブなのですよ、みなさん。

●ワニさんたち
本作の裏の主役。
いつの時点なのかはわからないが、気がつくと町中にうようよしていたワニ農園のワニさんたち。
ケラー家の地下に産卵した二匹の他に、浸水した町の中を泳ぎ回り、警察官一人と火事場泥棒三人をお腹にたらふく入れた複数匹がいる。
ワニさんは獲物を捕食すると、肉を噛んだままその場で回転し、遠心力で噛みちぎってほわわわわする=デスロールと呼ばれるそうなんですが、本作ではその魅力をきちんと余すことなく描いているので、ワニ評論家には多分好評。一般人としては、余せと思わんこともない。

SAMURAIケラー一家によって何匹かは倒されたものの、大多数は野放し。
ハリケーンの水が引いたあとも、ここら一体はしばらく凶暴領域のままで後始末に苦労しそうなのですが、それとも普通に野生に帰っていくのでしょうか。
やはり彼らに農園は狭すぎたのだよ。とか言っておく。

●ベス・ケラー
結婚して家を出ているヘイリーの姉。赤ちゃんがいるため、父の様子を代わりに見に行くよう妹に頼む。
水泳関連で、父にはほったらかしにされていた様子だが、姉妹中はそれほど悪くはない様子。とりあえず出番は冒頭だけなのでよかった。
おかんは新恋人とパリにいるため、難を逃れた。

●ウェイン
ベスの元カレ。ワニのご飯その1。
ヘイリーの進行方向で交通整理をしており、制止を振り切って実家へと向かった彼女を心配し、ボートで様子を見に来たのが運の尽き。地下室を覗き込んでいる最中、ワニに引きずり込まれ、そのままデスロールの餌食となった。
同じ状況でヘイリーは二度も生き残っているので、主人公補正というか、ケラー家強っ!
顔見知り属性故か、幸いなことに、捕食時もその後の死体もグロさは控えめなのが慰め。……でもないか。

●ウェインの同僚
ワニのご飯その2。
ケラー家に入っていったウェインを待っている最中、ボートのモーターに絡まった藻を外すために下船。庭のブランコが何かに引っ張られている → 水中に誰かがいる? と近寄ったら、複数匹のワニに襲われる → 複数箇所の同時デスロールで身体が☆☆☆☆という、作中一番の悲惨な目に遭う。
ワニ怖っ!

●火事場泥棒三人
ワニのご飯その3と4と5。
通りを挟み、ケラー家の向かいにあるガソリンスタンドにて、無人のお店から盗みを働いていた若者三人組。
行いの悪さを天が見ていたのか、次々とワニの魔の手にかかる。
一人がヘイリーの送るSOS信号に目を向けている後ろで、仲間がワニに襲われている様はコントのごとしでクスッと……ならんわ。怖ぇわ。
店内に残った彼らの弟は、Amazonだとでっかくサムネイルに採用されているので、てっきり棚にでも登って少しは健闘するのかと思いきや、あっさりぱっくり食べられてしまった。
ワニというのはですね。こんなふうに恐ろしいものなのですよ。

●ハリケーン
ワニの影に隠れた形になりましたが、大雨さえなければ、ケラー一家は地下室のパイプゾーンに隠れてやり過ごせたはずなので、やはり脅威的にはあんたが大将
自然が本気を出したら、文明なんぞイチコロという教訓か。

●監督
ワニ捕食時の絵面がいい感じにグロいわー、エグいわーと思っていたら、なんと『ハイテンション』などのアレクサンドル・アジャ氏でした。
とっても面白かったです。ありがとうございます。

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