映画『ザ・セル』ネタバレ感想。王様は拷問がお好き。

原題:The Cell
2000年の映画
おすすめ度:☆☆☆
グロシーン度:☆☆☆☆

【一言説明】
サイコ風ミュージックビデオ。

ザ・セル 映画

奇抜で美しい衣装が話題となった本作。気になってはいたのですが、R-15指定だったためにどうにも踏ん切りがつかず。けれど先日Amazon Prime Videoで無料配信されていたため、これを機に視聴しました。
「サイコな連続殺人鬼の精神世界に美女がダイブ」という不穏なあらすじ。グロが苦手な人にとっては「ぎゃっ」となる箇所が多数あるのでお勧めはできませんが、両手とかクッションとかを駆使すれば、ビビりでも案外いけたで!

主演はディーヴァと名高きジェニファー・ロペスさん。殺人鬼役に『マグニフィセント・セブン』のヴィンセント・ドノフリオさん。彼を追うFBI捜査官役に『人生、サイコー!』のヴィンス・ヴォーンさんです。

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ここで余談を。
先日昼寝をしていたとき、我が家の犬にどこぞのおじさんが「ウェイ」「ウェイ」と話しかけ始め、犬が「ワン」と鳴いたので目を覚ましたところ洗濯機だったということがありました。すすぎの際のモーター音が、おじさんそっくりの声音で「ウェイ」「ウェイ」と鳴るのです。買い換えたばかりだったので、まさかやつだとは思わず、ひどくびっくりしました。
何が言いたいかというと、最近の洗濯機ってすごい、って話です。犬が鳴いたのは単なる偶然でした。

あらすじ

特殊なスーツと装置を使い、脳波をほわちゃちゃーっすることによって他者の精神世界に入ることを可能とした研究施設。そこに今しがた植物人間になったばかりの連続殺人鬼、ミスター・サイコことカール・スターガーが運び込まれた。
「とんでもねーもん連れてくんなよ……」という職員たちの視線をものともせず、捜査官ピーターは小児科医キャサリンに、スターガーの精神世界に入るよう依頼をする。スターガーは意識を失う前に新たな犠牲者を誘拐しており、彼女はどこかの場所で今しも死にかけているというのだ。時限装置が発動すれば、巨大な水槽は水で満たされ、被害者は溺死するしかないのだ。
そうなる前に、何とか被害者の居場所をスターガー自身から聞き出してほしい。
使命感と慈愛に満ちたキャサリンは、意を決してダイブ用のスーツに身を包むのであった……。

※以下、ネタバレを含みます。

 

とにかく衣装と映像が美しい本編。世界を股にかけて活躍されていた石岡瑛子さんが衣裳デザインを担当されています。
精神世界だから何でもあり……だけど、唐突な場面展開などはなく、きちんとシ-クエンスごとにつながりのある演出がなされ、絢爛豪華な世界観にうっとり……できないサイコ具合がこれまたサイコー! でございます。
衣裳に関しては「素敵……」となるものもあれば、頭おかしい感満載のものもあり、お馬さんパッカーンハラワタを文字通りぐーるぐるするシーンとか、なんか「うん……」ってなるしかないものも散見されまくりでした。
あの中から一つを選んで着るなら、筆者は血まみれのバスタブ横に現れた悪魔カールの扮装がよろしいです。あれでN響の公演に紛れ込み、最後にバーンってドラ叩いて撤収したい。職質待ったなしな現実は差し置くとして、ぜひやってみたいなー。

タイトルの「ザ・セル」は被害者が監禁される水槽のことだそう。てっきりセル=細胞=精神世界ダイブに利用される脳細胞的な意味だと思っていたら違うのでしたよ。ヒェー。

感想

監督がミュージッククリップやCMで活動されていた方で、精神世界はなるほどと思うような美しい映像に溢れております。
キャサリンに危機が迫るたびに、音楽がドン、ドンと太鼓のように鳴るのですが、これがまー大迫力。精神世界は現実とは物理法則が違うのか、後ろから完っ全に怪しい人物が近づいてくるにも関わらず、キャサリンがまったく気づく気配がなくて「志村ぁー、後ろぉーーーー」を地で行く展開にやきもきしました。
さすがに! 半径五メートルに来たら気づけよ!!! 

そのときおおいにこちらを怖がらせてくれた人物は、女性ボディビルダーのキム・チェバスキーさんだそうです。てっきり男性の体にCGで乳房をつけたのかと思っていたから、女性と知ってびっくり。肉体はこうも鍛えられるものなんですね!

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以下、人物紹介と所感です。

●キャサリン
小児科医とあって、子供には無類の優しさを誇る聖女のような主人公。演じるジェニファー・ロペスさんの美貌もあり、精神世界は彼女のファッション・ショーと化していました。美女は何を着ても似合うのう。
カール側の世界では儚さすら漂う頼りなげな存在であったにも関わらず、いざ自分の陣地に引き入れると大魔神ばりの二面性を発揮。黒い甲冑に身を包み、王様カールを剣でぶっ刺すその姿はまじかっけーっす。

ただ本作。映像が美しいのは確かですが、登場人物の作り込みが甘いのが難点。キャサリンがなぜそこまでして子供を救うことに命をかけるのか? 説得力となる背景が描写されておらず、かろうじてピーターが、彼女の弟が交通事故にあったことがトラウマ……的な言葉を投げかけるのみ。だが作中で二人がその会話をするシーンはないので「???」となりました。もしかしてカットされたシーンとかがあったのか? いや、そこをカットしてはダメだろう。

そしてキャサリンの精神世界が悪い意味で美しすぎる。聖母の姿を意図的に模したとしても、あまりに綺麗すぎて人間味が感じられない。無力な子供のためなら聖母にも悪に立ち向かう女王にもなります……的な? 
おそらくキャサリンは理想の母性を擬人化した人物なのだろう。でももう少し人間味を感じさせてほしかった。
性格は清楚そうなのに、何故か私服がブラ丸見えのスケスケトップスなのもちょっと合点がいかないなー。けしからんなー。

理想の母性である故に、異性であるピーターとのフラグは結局立たなかった。聖母たる彼女は誰かのものになることは許されない。ただひたすら子供のために、精神世界での戦いに戻っていくのだった……。

●ピーター
スターガー事件の捜査を担当するFBI捜査官。
でかい。
『人生、サイコー!』にて188cmあるクリス・プラット氏がちょっと小さく見えちゃう上背のでかさを披露。ぐぐってみたら196cmもあるんですって! スカイツリーだな!
スターガー事件の解決に心血を注ぐあまり、危険な任務にキャサリンをぐいぐい追いやろうとする強引さを発揮する。そのままでは無責任男だが、いざキャサリンがカール世界で迷子になってしまったと知るや、自ら助けに行くという男前っぷりを発揮する。
そしてひどい目に遭う。
なんとお腹をハサミで「ちょっきん☆」され、七匹の子ヤギのオオカミ状態になった後、ミスター・サイコなカール君にハラワタを引きずり出され、豚の丸焼きに使う機械みたいなやつによってぐるぐる、ぐるぐる巻きとられるのである。ひゃーっ!
精神世界=現実と思い込んだら最後、そこで死亡すると現実でも死亡するというルールが適用されるため、「これは夢、これは夢、これは夢ぇぇぇ」と歯を食いしばって耐えたであろう苦労がしのばれる。がんばれ、ピーター!
その甲斐あってか、見事に被害者の居場所の手がかりを見つけ出し、現場に急行。水槽で溺死寸前の女性を助け出してハッピーエンドとなる。

その際、水槽を割ろうとして放った弾丸が跳弾。幸い関係ない方向に飛んで行ったからよかったものの、ビクッとなるピーターの反応が面白い。「跳弾やべえ」と思ったんでしょうな。その後は発砲せず、鈍器で殴って水槽を破壊するから慎重さに笑ってしまう。ナイスなシーンだ。

追記:
書こうと思って忘れていたこと。多分あまりのことに脳が記憶の墓場に埋めていたと思われる。

事件に熱中するあまり捜査本部に泊まりこんでいたピーター君。
紙コップ二つを使って歯を磨いたかと思えば、その●▲■した水を●▲■×にそのまま●☆■▲(伏字。言葉にできません)というとんでもねーことをしでかしてくれる。

おっ、お前……誰がそれを片付けると思ってんだ!!!
ブアァァーーーカ!!!!
筆者が掃除のおばちゃんだったら許さんぞ!! 
「あら、誰かコーヒーを飲み残してるわ、片付けてあげなきゃぎゃああああ!!
おばちゃんの優しさをなんだと思ってんだこいつ、キィッ!!
実は作中一番のサイコパスはこやつではないかと思うほどの所業です。

●カール・スターガー
本作のサイコ要素を一心に担うシリアルキラー。キャサリンに次いで衣装数が多く、特にハラワタぐるぐる巻き時の王様衣装は必見。

若い女性ばかりを誘拐し、水槽で溺死させた後に漂白。僕好みのお人形さん☆を作り上げ、何をしでかすかと思えば……。背面の肌に十数か所取り付けた鉄のわっかに鎖をつなげ、死体の真上にぶら下がって自慰するというアクロバティック行為を披露する。
正直、このシーンにはどんな顔をしていいのかわからなかった。真に迫っているようでもあるし、変な笑いが出そうでもあるし……。あの輪っか、皮膚だけではべりっと裂けて終わりだろうから、骨に直接打ち込んであるんだろうな。だから仰向けになったらとても寝づらいだろう。けれどストレッチャーで運ばれる時も、精神世界にINする時も、カール君は仰向けにされているのだ。痛いだろうなあ、背中……。

幼少期より父親に虐待を受け、多重人格障害になったため、精神世界にはいろんなカール君が存在する。彼が水にこだわるのは、幼少時に洗礼を受けた際、溺れそうになったため……とあるが、そこも弱い。多分に宗教的儀式のせいだったなら、父親は狂信的な人物なのかと思えばそうでもないし、ただのダメ親父の域を出ない。なぜ被害者を漂白するのかとか、アルビノの犬を飼うのはなぜなのかとか、色々な所に説得力が欠けているのが難点だ。サイコ殺人鬼ってこういうもの? というイメージを、ツギハギしてできたキャラクターのようだ。

ラストはキャサリンの精神世界で水の中に沈められ、彼女の慈愛を感じて眠りにつく=現実世界のカールも死亡となる。正直、救われるべき人物であったかどうか微妙だが、少年カール君が可愛らしかったのでよしとすべし。

●アルビノ犬
カール君の飼い犬。犬には珍しいアルビノ種であったため、購入履歴から足がついた。
猟奇的なご主人にも忠実さを示す健気わんこ。主人が被害者を拉致する手助けをするため、骨折したふりをして気を引く演技派でもある。とんだ片棒を担がされたものだが、最後は優しいキャサリンに引き取られ、幸せな犬生を送ることを約束される。よかったね!

●馬
十二等分されたけど、生きているようで安心! わぁい!

●精神世界に入る装置
なんかこう……脳波的なものをアレして……なんかすると……入れるらしい。
細けえことはいいんだよ!!

●監督
ターセム・シンさん。本作が映画としては初監督作品だそうです。他に『白雪姫と鏡の女王』など。映像のセンスが本当に素晴らしい方だと思います。新作も楽しみにしております。ありがとうございます!

↓Amazon Videoにて配信中! 2もあるけど、全くの別物らしいぞ!