映画『ライフ(2017)』ネタバレ感想。地球外生命体との接触は、一歩間違えばこうなる。

原題:Life
2017年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆

【一言説明】
エイリアン。

新型コロナの影響で、春公開予定の映画が軒並み延期となり阿鼻叫喚。
だが人類には、動画配信サービスという奥の手があった……!

というわけで、今宵もいそいそとAmazon Prime VideoやNetflixを物色し、そこで見つけた2017年公開の映画『ライフ』。
そうそう、これねー。ジェイク・ギレンホール氏とレベッカ・ファーガソンさん。そしてライアン・レイノルズ氏に、我らが真田広之氏という超豪華スターがそろい踏み。
気になってはいたんですよ。
が。どこぞで見た概要がちょっとアレだったので、二の足を踏んでいたんです。
でもこの機会に見ておくか! というわけで、レッツ感想。

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あらすじ

宇宙――それは、最後のフロンティア……。
もとい、移住先。
ネクスト地球の第一候補、火星。そこから探査機が持ち帰った生命体、カルビンは、国際宇宙ステーションの中で、すくすくと育っていった。

「大きくおなりー」
もぐもぐもぐ。
「もっと大きくおなりー」
むしゃむしゃむしゃ。
「さらに大きく……
 大きくなりすぎじゃね?」

はたと気づくクルーたち。
だが、時すでに遅し。
宇宙という孤独な密室の中、ヒトデVS人類の決死の戦いが幕を開けるのだった……!

※以下ネタバレです。未見の方注意!

 

 

 

ライフ 映画 カルビン

感想

噂にて、『ライアン・レイノルズ氏がかませ』と聞いていた本作。しかも、一見真面目なSF映画かと思いきや、その実は『エイリアン』と同じ展開……だという。
やだわー。レイノルズ氏が食われるところなんて、見たくはないんだわー。
と思いつつも、俄然前のめりになって視聴してみました。

話しの筋は単純で、火星から持ち帰った生命体『カルビン』を宇宙ステーションで育てていたら、ひょんな事故からカルビンが暴走 → 人類は敵だと認識したカルビンがクルーたちを襲いまくる → 全滅の危機、という流れ。
てっきり、初の地球外知的生命体に湧く船内 → なんか接触したクルーの様子が変だぞ? → 腹が膨れ上がる → エイリアンおぎゃーー! 的な展開が来るのかと思っていたところ、なんというか、思ったよりもずっと真面目。
静かに、わりと淡々と事が運び、想定していたB級生き残りアクション臭は鳴りを潜め……加えて、いつものライアン・レイノルズ氏っぽさまで鳴りを潜める始末。
こういうエイリアンジャンルにつきものの、「来るぞ……来るぞ来るぞ……来たーー!」的な、そこが見どころといっても過言ではない、わざと大げさに映した捕食シーン……は使わず。高尚さすら感じられるような、静かーな、一見リアリティがありそーな、けれどそのせいで、より絶望感と悲壮感がひしひしと感じられーるような、実に重苦しい展開が続きます。
ある意味性質が悪いんだな!
この辺りは、娯楽性が強くなった『エイリアン2』ではなく、サスペンス性が色濃かった『エイリアン』に近い感じ。
けれど、本作にはリプリーのようなヒーローは登場しません。
一人、また一人と人数が減っていき、最早確実となった死が迫るのを待つだけ……といった按配。
こんな……こんな胃の痛いエイリアンものはいやだーー!(褒めてます)

最終的に、生き残ったのは二人。ギレンホール氏演じるデヴィッドと、ファーガソンさん演じるミランダの男女。
けれど宇宙ステーションは、カルビンやアクシデントによって最早ボロボロ。機能系統も壊れてしまい、ろくに動かすこともできなくなってしまった。
それでもなんとか策を講じ、間違っても地球に降りることのないよう、カルビンを宇宙の彼方に追放せねばならない。

そこでデヴィッドが考えたのが、残った脱出ポッド二つを使う方法。曰く、自分がカルビンと乗って宇宙の果てを目指すから、ミランダはもう一方に乘って地球に帰りんしゃい、とのこと。
戦争で見た人間の醜い部分に嫌気が指し、地球に帰る気などなかったデヴィッド。彼は自らを犠牲に捧げ、カルビンをポッドに誘い込んで発射ボタンを押した。
一つは地球へ、一つは宇宙の果てへ。別々の方向を目指して飛び始める二つのポッド。
だがその時、崩壊しかけていた宇宙ステーションが崩れ、一方のポッドに当たるが、その後持ち直したらしき様子が映される――。

勘のいい方はもうお分かりだろう。
宇宙ステーションがぶつかったポッドというのが、実はミランダの乗ったポッドだった。
一見、目論見通りに彼女のポッドが地球に着水したのかと思いきや――なんと中に乘っているのはデヴィッドとカルビンだったという、救いのない結末が待っていた。
一方、ぶつかった衝撃で起動が変わり、かつ制御系統が壊れてしまったポッドは、絶叫するミランダを乗せたまま、地球からはるか遠くを目指してどんどん小さくなっていく。
なんじゃこの結末は!
エグい……。
エグい……のだが。
正直、嫌いじゃない。

ポッドの中で、巨大カルビンによってひでー感じに拘束されているデヴィッドが、「おいやめろ! 開けるな!」と必死に叫んでいる外で、船に乗った地元の漁師たちが(言葉が通じてない)、「なんじゃこれ、なんじゃこれ。お宝じゃろか。開けてみろよ」とわしゃわしゃしている絵面は、一周回って笑けてくる。
この後はもちろん、カルビン解放 → 海水吸って巨大化 → 地球大侵略! のお約束展開が来るはず。
もしかするとカルビンは、増えすぎた人口を適度に減らし、食糧難から人々を救うという使命を帯びた、まさに地球の救世主! だったりしないか。

なかなか面白かったです!

人物紹介

●デヴィッド
少し寂し気な瞳をしたイケメン医師。まさかの、医師。
過去に戦争に参加してたらしいので、軍医だったんだろうけども、先生、医者にその筋肉は必要ですか? マッチョである必要はありますか!?

軍医時代のあれやこれやで、すっかり人間不信になり、「80億のろくでなしが暮らす地球なんかに帰りたくない」と、放射能の影響が危険値になりながらも、宇宙ステーションに居続けている。
まさに医者の不養生。いいから帰れや。

そんな根暗キャラポジションに立たされながら、なんのかんのと最後まで生き残る。やはり筋肉は最強。
その後は前述の顛末となり、かろうじて生きてはいるものの、それって身体はどうなってんの? という、生死が危ぶまれた状態のまま、映画は終了となる。
普通に考えれば、巨大化したカルビンに首から下が覆われている=捕食されている、なのだが。
おそらく、カルビンは抵抗するデヴィッドに襲い掛かり、彼の腕を操ってポッドを地球へ着陸させたと見るべきだろう。ということは、カルビンの意識は捕食よりもポッドの操縦に向いている=デヴィッドの身体は無傷に近い……のかもしれないのだ。
でもって、ポッドのドアが開く → 水を求めてカルビンが勢いよく飛び出して行く → デヴィッド解放、と相成り、もしも続編があったなら、やはり主役は一命をとりとめたデヴィッドとなるのではないか……と想像しております。

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●ミランダ
本作のヒロイン。検疫官として地球から派遣されてきたとんでも美人
実は検疫官と言われても、最初はピンとこなかったのだが、カルビンが暴走するにあたり、その役割と意図がはっきりしてくる。
彼女の役目は、カルビンの安全性が確認されないまま、地球に持ち込まれることがないよう見張ること=検疫。
はーん、なるほどって思いましたね。
実は他クルーには内緒で、秘密の使命を与えられていたミランダ。
『万が一、カルビンが制御不能となったときは、宇宙ステーションごと地球を離脱すること』

当然クルーも犠牲になるという恐ろしい内容だが、地球外生命体と接触するということは、そのくらいの危険が伴うということを、この映画は観客に知らしめてくれている。

その後は、生き残りが三人となった時点で、宇宙ステーションを切り離す別燃料が送られてくる → カルビン君が大暴走 → 別燃料共々宇宙ステーションが壊れる、という素敵なピタゴラスイッチ。
で、前述の結末となる。
ミランダにはどうあがいても絶望しか待っていない……ように見えるが、そこは演じるのが超魅力的なファーガソンさん。
ここはあれだ。
宇宙の旅=地球とは時間の流れが違う → ミランダが浮遊している間に、地球では文明がさらに進み、宇宙技術が発達 → 地球発宇宙船の一つに拾われる → 『ロスト・イン・スペース』! ってな具合でいかがでしょうか。
あんな美人を、みすみす漂流物にする手はないんだぜ!

●ショウ・ムラカミ
西洋風に名字を後にして読むとかっこよくなりがちですが、要するに村上さん。
我らが日本代表。
大抵の場合、こういう宇宙ものでは、アジア系は速攻で死んだりするんですが、そこはさすが日本の誇る真田広之氏。なんと最後の三人になるまで生き残る!
ヒーローとヒロインが生き残るのは当然として、ラストスリーにまで食い込んだということは、最早彼は生き残ったに等しいと言っても過言ではない。
過言だが。
けれど、その死に様は侠気あふれるものでしたよ! 
カルビン発見のタイミングで娘が生まれ、「俺……絶対地球に帰るんだ!」という盛大な死亡フラグを回収しつつも、けれど残ったデヴィッドとミランダのため、カルビンを最期まで引きつけようとして息絶えた。
さすが真田氏、かっけーっす!
……ただ、氏の出演作『サンシャイン2057』と合わせて、真田広之氏=宇宙行くと死ぬ、みたいな方程式が成り立っている気がするのは気のせいでしょうか。
多分気のせいではないな。

●ヒュー
クルー全滅……どころか、人類滅亡の元凶となる人物。
生物学者として、カルビン研究の音頭を取る。
怪我なのか生来のものなのかは忘れたが、現行両脚が不自由で、治療法の発見という意味でも、カルビンの研究にただならぬ熱意を持つ。
が、熱意が行き過ぎてしまった節があり、いざカルビンが暴走した際には、なんとこっそり自分の服の中に隠し、無酸素による罠から彼を守ろうとしていた。
お前ぇ!!
なんかこう、愛情とか希望とか湧いちゃったんだろうな……というのは理解できるのだが、それにしたってこいつのために何人も仲間が死んどるんじゃが?
ローリーなんて、お前を救うために食われたんじゃが??

だが、ヒュー自身もカルビンに右手をズンボロにされている。なのに、それでもカルビンを助けようとするなんて、まさに彼への愛は本物……とかならんわ。反省しなっせ。

●ローリー・アダムス
犠牲者第一号。
航空エンジニアとして、機械を修理したり、メンテナンスするのがお仕事。
クルーの中で、一番カルビンに塩対応。多分そのせいで最初に食われた。
とりあえず、彼が真っ先に命を落とすのは知っていたので、隔離室の中でヒューと入れ違いになったときはあちゃーーと思ったんですが、まさか食われるは食われるでも、外からじゃなくて内から食われるとは思わなんだ……。
彼の死亡シーンは、かなりの悲壮感に満ちており、映画全体の方向性を決めたとも言えるのではないだろうか。さすがはレイノルズ氏だで!
別次元だったら、きっとカルビンなんどは返り討ちにしてくれると信じてるぅ!

●エカテリーナ
宇宙ステーションの艦長。ロシア系の美女。
判断力と決断力に溢れた女傑だが、ローリー亡き後、船外の故障を見に行こうとして、犠牲者第二号となった。
カルビンの襲撃を受け、宇宙服の冷却水が故障。ヘルメット内部にまで溢れ出してしまい、結局はその毒水で溺死……という悲劇的結果に。
が。死の危険にさらされながらも、クルーと船を守るため、ドアの鍵を逆方向に回す姿に、あんたが艦長! と敬礼したくなった。かっけーっす、姉御!

●カルビン
本作の敵にして、ある意味主役。
火星産の知的生命体。
坊やなのか嬢ちゃんなのかはわからないが、多分雌雄同体で単性生殖できると思われる=地球人絶望フラグ。
火星ですやすや眠っていたところを探査機に拾われ、はるばる宇宙ステーションへ → ヒューに見守られてすくすく育つも、機械の故障で急遽冬眠 → やきもきしたヒューが電気ショックで起こす → 戦争開始のゴングが鳴り響いた。

というように、このカルビン君。よく考えると、なんにも悪くない。
なんや冬眠していたら、急に変な場所につれてこられ、突然環境が悪くなったので自己防衛のため眠ろうとしたところに、眠気も覚める痛い攻撃を受けたのだ。
そりゃー、クルーを敵認定するよ。
そもそもが異種族。
地球人だって、突如異星にやってきた……と思ったら、人間襲ったからという理由で、エイリアンをぼこぼこ焼き払ったりしてますもんね。
怒りのせいなのか、最初はかわゆいヒトデちゃんだったのが、最後はこれぞエイリアンというビジュアルに変化。年齢的に反抗期が来たあたりか。
地球ではさらなる方向に進化を遂げることが示唆されて終わる。

正直、ヒトデのまま来襲しなくてよかったと、ほっ。
このままでは、人類はヒトデに滅ぼされた種族として、後の世の教科書に載ってしまうことになりますもん。それだけはー、やめてつかーさい!

●名付け親の少女
『カルビン』て名前をつけてくれた地球の少女。まさかその子が巨大化し、人類を滅ぼしに来ようとは思うまい……。
もし続編があったとしたら、きっとメイン人物として出てくると思います。

●漁師さんたち
カルビン&デヴィッドコンビのポッドの着水地点にいた漁師軍団。多分アジア圏内。
そのため言葉が通じず、「開けるなよー、絶対開けるなー」とデヴィッドが叫んでいるにも関わらず、開ける。
もしかすっと、『言葉はわからないけど、何言ってるかは大体わかる=外国語コミュニケーションあるある』だったかもしれないが、どちらにしろ彼らにとっては開ける一択という、すがすがしい連中なのだ。
そして海水と合わせて、カルビンのご飯なのだ。

●監督
ダニエル・エスピノーサ氏。他に『チャイルド44 森に消えた子供たち』などを撮っていらっしゃいます。『チャイルド〜』は子供がほにゃらら……な題材なので、見るに見られないのが残念。
とても面白かったです。ありがとうございます。

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