映画『新感染半島 ファイナル・ステージ』ネタバレ感想。いつの世も、真なる敵は人である。

新感染半島 ファイナル・ステージ ホラー

原題:Peninsula
2020年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆

【一言説明】
Zシティから脱出せよ。

新感染半島 ファイナル・ステージ

前作『新感染 ファイナル・エクスプレス』にて、Zの脅威を描いてから早四年――。

走る!
食う!
増える!

そんな奴らが帰って来た。
よりによって元日に!

見るか見ないかで言ったら、絶賛見るほうの身としては、2021年の映画運だめしはこれっきゃない。
いざ勝負! と劇場入りした次第です。

主演は本国で活躍中のカン・ドンウォン氏。監督は前作から続投のヨン・サンホ氏であります。

※エンドクレジット後に映像はなかったヨ!

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あらすじ

四年経ったら世紀末――。
Zがパンデミックして早数年。立ち入り禁止となったかつての祖国は、亡者がうろつく廃墟と成り果てていた。
国境は固く封鎖され、周辺国は難民受け入れを拒否。
国内外を移動する手段はなく、最早国家としての体を成さない。

その惨状を遠く離れた香港の地から眺めていた元軍人のジョンソクは、ある日地元の元締めから信じがたい依頼を受ける。

国に残した、二千万ドルを回収して来い――。

金のため、義兄のために、渋々祖国の地を踏むジョンソクだったが……。

※以下ネタバレです。未見の方はご注意。
ついでに『ゼロ・グラビティ』の壮大なネタバレも含みます。未見の方は超ご注意。

 

 

 

 

感想

毎年恒例となった新年第一発目の映画運試し。
去年の今頃は何を見てたんだっけ……と過去記事を振り返ってみれば、飛び込んでくる『貞子VS伽倻子』の文字。
新年早々、自分は何を見とるんでしょうか。

その前は何を見たのか失念しましたが、昔、元日に『ゼロ・グラビティ』を選んでしまったことがあり、その時は新年初日にジョージ・クルーニー氏が宇宙の彼方に消えるという衝撃展開に目がぽかん。
なんてこったと殺伐とした気持ちになりました。
人類の至宝を宇宙に放つとか何考えてんだ監督は。

それに比べれば今年は実に幸先がよく、大層面白い作品でした。
最早新幹線のしの字も関係なくなったけれども、後ろに『半島』&『ファイナル』をつけることで、何とか関連性を持たせてセーフ。
前作は列車という閉鎖空間が舞台でしたが、本作は原題『Peninsula』=半島、であるように、広い世界をこれでもかと使った手に汗握るカーチェイスがそこかしこで展開。
代わりに、前作とは別物というか、棘つき肩パッドの人が横行してそうな世紀末世界観になってましたが、これはこれでめちゃ面白。
敵はZだけではなく人、がさらに追及され、今作はむしろZではなく人が敵、の構図に。それが功を奏して大変楽しめました。

大まかな流れは以下。

1.国が崩壊した運命の日。軍に所属するジョンソクは、姉と甥、そして義兄のチョルミンを連れ、港へと向かっていた。
途中、幼い娘を連れた夫婦に車に乗せてくれるよう頼まれるが、感染を恐れたジョンソクは無視して通り過ぎてしまう。
  ↓
無事に乗船した一家。だが、なんと避難者の一人が感染しており、甥が感染。息子を一人残していけなかった姉が感染者に囲まれるのを目の当たりにしながら、助けることができなかったジョンソク。泣き叫ぶチョルミンを無理やり引き戻し、男二人だけが生き残るという結果に。

2.それから四年後。国境は封鎖され、幸い国外に感染は及ばなかったが、祖国を追われたジョンソクは鬱屈とした日々を送っていた。
清潔感のある軍人カットから一転、若干チャラめの長髪となり、以前の俺じゃないかんね感を漂わせるジョンソク。たしか前作のソグも、オールバックをやめて前髪ファサーってなったらイケメン度が増したので、観客的にはウェルカム。
  ↓
移民の彼らに対し、「お前ら感染しとるんちゃうん?」という、他人事とは思えない絡み方をするジモピーたち。そんな肩身の狭さを利用する形で、地元の元締めから物騒な依頼をされるジョンソクとチョルミン。
曰く、たった一日で国家が崩壊した本土には、大量の富が手つかずで残っている。実際に、それを集めて大金持ちになったヤツもいる。
自分も同じことをしようと、先発隊を本土へ送って金を集めさせたが、突如連絡がつかなくなった。
だからお前らが行って、金を回収して来い。そうすりゃ半分やる。
  ↓
断る意向のジョンソクだったが、チョルミンは乗り気。分け前があれば、移民としての肩身の狭さから解放されるという。渋々同行するジョンソク。
分け前が半分とか、気前がよすぎやせんか?

3.いざ決行の日。
Zたちは目が見えない。そのため、夜間に移動すれば比較的安全に行動できる。だが反面、耳はいいので、音には注意しろ。
警告を聞きつつ、ゆっくりと本国領海内へと侵入する船。
目に飛び込んでくる、荒廃しまくった海。
難破した船がそこかしこに浮かんでいるのはいいとして、勾配のある橋の上に座礁した巨大船とか、何があったらそうなるんだ。
  ↓
連絡用の衛星電話を渡され、都市を車で通り抜けるジョンソク一行。
闇に覆われた街中は一見無人だが、よく見るとそこかしこにZたちがうごめいている。
  ↓
首尾よくトラックを見つけた一行だったが、突如闇を切り裂く照明弾に邪魔をされ、集まったZによって絶体絶命。
チョルミンは謎の荒くれもの軍団にトラックごと拉致され、一方ジョンソクは荒ぶる運転技術を持った少女二名に助けられる。

4.少女たちの名はジュニユジン。この荒廃しまくった都市で、元師団長の老人キムと、母ミンジョンと四人で暮らすたくましガールズ。
だがミンジョンを見たジョンソクは顔色を変える。
四年前、港を目指す自分に助けを求めた女性だったからだ。
「ワタシ、アナタミステマシタ」
馬鹿正直に告白するジョンソク。
「あんた以外に30台の車に見捨てられた」
「Oh……」
結局、港に行けなかったミンジョンは夫を失い、四年間家族と生き延びて来たという。
  ↓
四年前の後悔を抱えたジョンソクは、ミンジョン一家とともに、トラックを回収して国を脱出することを決意。
彼に向かって照明弾を放ち、トラックを奪った連中は、『631部隊』。かつては国を守る軍人だったのが、世紀末も極まった環境でパラリラパラリラ化したドクズ集団だという。
脱出するには、やつらのアジトに乗り込み、トラックと衛星電話を回収しなくてはならない。

5.一方、そのドクズ集団に拉致られたチョルミンは、なんと感染者を鬼に使った制限時間ありの追いかけっこ=余興という名のデス・ゲームに強制参加させられていた。
逃げ惑う健常者が襲われるのを見て、歓声を上げる元軍人たち。
有体に言ってク●なのだが、そんな彼らとて一枚岩ではなく、まずもって見た目がパラリっているファン軍曹一派の他、見た目は一見普通っぽいのに、よく見ると目がアカン感じなソ大尉派の二つに分かれている模様。
どう見ても部下の掌握率が高いのはファン軍曹なのだが、決定権があるのは階級が上なソ大尉というのが、体育会系の縦社会的悲哀を感じさせる。
が、ここまで徹底してこそ、有事にも機能する指揮系統ということなんですね。
  ↓
ラスボスとしては、今のところファン軍曹に一票な印象だが、何分パラリラ属性が強すぎるのか、トラック内の大金に気付いたのはソ大尉。
衛星電話で外部と交信し、一人国外脱出を画策する。
  ↓
そこに侵入してきたジョンソクとミンジョン。
通りすがりの会話から、チョルミンが生存かつ拘束されていることを知ったジョンソクは、彼を救うためデス・ゲームに乱入 → 感染者たちを解き放ち、陽動の最中にチョルミン救出を試みる。
  ↓
だがしかし、ファン軍曹がチョルミンを狙撃。
またしても家族を救えなかったジョンソクは、一瞬生存を諦めかけるが、トラックで突入してきたミンジョンに救われる。
やっぱりファン軍曹がラスボス候補か。

6.ドンパチの音によって、周辺のZが襲来。崩壊した『631部隊』のアジト。
激怒したファン軍曹一派は、逃亡したジョンソク&ミンジョントラックと、ジュニ&ユジン&キムの乗用車二台とを追撃。
巨大なライトと照明弾を使い、Zを呼び集めての一大カーチェイスを繰り広げるのだが、追いかけて来るその姿は、どう見てもマッ●・マックスです。
というか、なんかもうなりふり構わぬ感がパない。
そこまでZを集めまくって、今後の展望を考えているのかねと聞きたいが、刹那を生きてる彼らは誰も気にしなかった。
  ↓
こうなると、脅威はZというより明らかに人で、互いにZを使ってあの手この手で足を止めさせようという、Zにしてみればお前らいい加減にせぇよと言いたくなる所業に、やっぱり結局は人の方が怖いという結論に行きつくナイス演出。
巻き込まれたZさんたちが気の毒だで。
  ↓
そうして、ついには残すところファン軍曹のみとなった追っ手だったが、果たしてジョンソクたちは、無事に彼を振り切り、港へとたどり着くことができるのか……?

 

前作よりも、アクションが増し増しになった印象のある本作。
特に秀逸なのは大幅な尺を取って描かれるカーチェイスシーン。これは劇場で見なきゃ損なので、もしどうしようか迷っている人がいましたら、ぜひ。

遅くなりましたが、新年のご挨拶を。
幸いにも、2021年の運試しが吉と出ました『ジョニーなやつら』を、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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人物紹介

●ジョンソク
主人公。軍人時代に、姉とミンジョン、二人の女性を見捨てることになり、逃げ延びた香港の地で、長らく腐っていた。
彼が上陸に参加したのは、義兄の存在が大きいのはもちろんだが、大金を得て再起しようという意図があったのも確かだろう。
細身イケメンな外見に似合わず、素手でグラスを握りつぶしたり、銃の腕前はピカイチだったりと、さすが元軍人という経歴が活きている。
前作と違い、上着は脱がない。むしろしっかり厚着しているから一安心。

冒頭から死亡フラグが顕著で、二組の家族を守れなかった後悔と前作主人公の顛末から、てっきり最後はミンジョンたちの犠牲になるのだろうと思っていた。
が、いざ米国のヘリを目指す際は、脚を怪我したミンジョンが敵を引き付ける役目を負ったため、そうか、今回は生き残るのか……と思いきや、土壇場になって「お前は努力したのか? 本当にその選択しかなかったのか?」というチョルミンの台詞を思い出す。
母を待つというジュニに、「お母さんを連れて来る」と言って駆け出す → ああ、やはり君が犠牲になるんだな → 二台の車のドアを効果的に使って進路をブロック → あれ、なんかフツーにヘリまでたどり着いたのだが? → そのままヘリに乘って脱出 → 生き残るんかーい! という、見事なフラグクラッシャーぶりを発揮する。

香港では扱いがアレだったが、どうやら今度の行先は米国。英語も解すし、未来は明るいと見てよいと思われる。
生還おめでとう!

●チョルミン
ジョンソクの姉の夫。四年前の事件では、配給を受けに列に並んでいたため、感染を免れた。
ぶっちゃけ冒頭で死ぬと思ってた。
一見優男風だが、脱ぐとファン軍曹をして「いい身体」と褒められる肉体を持っている。実際、なんのかんのとデス・ゲームを生き延びたり、群がるZたちを相手に善戦してみたりと、わりと骨のある部分を見せる。
そしてまさかのヒロイン属性。
敵に拉致され、助けに来てもらったうえに、主人公の目の前で息絶えるという劇的さ。
ジョンソクに比べ、トラブルメーカー的な印象だったが、それだけ家族を失った傷が深かったということだろう。事件さえ起こらなければ、良き父、良き夫として人生を全うしたと思われる。

●ジョンソクの姉
冒頭でZの犠牲となる悲劇の女性。
感染し、発病しかかっている息子を見捨てることはできず、結局は運命をともにすることとなった。
「姉ちゃん、逃げよう」とジョンソクは言うが、ここで逃げ出す母親がいるだろうか。出番は少なかったものの、芯の通った女性という印象であっぱれ。

●ドンファン
ジョンソクの甥。
てっきりこの子だけが助かり、成長して主役を張るんだろうと思っていたら、なんと真っ先に犠牲者になってしまった。
子どもはぁーーー! 子どもはいかんだろぉーーー!

●ミンジョン
四年前、ジョンソクに助けを求めるも、断られた女性。
その後、夫とは死別するが、二人の娘を連れ、感染者の蔓延した都市でしぶとく生き残っていた。
それだけでも十分すごいのだが、この母娘、覚悟がガン決まり過ぎている。
終盤の見事なカーチェイスといい、四年も地獄で過ごした親子は、くぐって来た修羅場の数が違うということか。おそらくは、運転技術をジュニに教えたのは彼女であろう。

ソ大尉との邂逅を見るに、かつては631部隊に保護された立場だった。が、次第に人民救助の精神を捨て、世紀末世界に影響された彼らの元を去り、娘とキムの四人だけで生き抜くことを決意。
衛星電話の存在を知った後は、娘二人を国外に逃がすために尽力するようになる。
ジョンソクに早くから「頼みを聞くように」と言っていたのを見るに、脱出を決意した瞬間から、有事の際は自分が犠牲となる覚悟はしていた模様。

ファン軍曹とのカーチェイスを制した後、まさかのソ大尉にトラックを奪われ、船での脱出の道を閉ざされる → キムの要請した米国からの救助ヘリが到着  → だが、足を負傷して早く走れない彼女は、ジョンソクに娘二人を預け、自分は手近な車に乗り込み、クラクションでZたちを引きつけるという結果に。
それでも母を待とうとするジュニを諦めさせるため、一時は自決までしようとするのだから、マジで覚悟が決まり過ぎている。
幸い、「今度こそ、命を助ける」と決意したジョンソクの手によって救い出されたのだが、これでどちらか一方が死んでいたら、かなり後味の悪い結果になっただろうなと思うので、助かって本当によかった。
この親子なら、米国に行っても大活躍間違いなしである。ハッピーエンド!

●ジュニ
ミンジョンの長女。ハイパードライブテクニックを持った少女。
ハイパーすぎて、ジョンソクおじさんが頭を打って気絶する羽目になった。
最近反抗期な妹に呆れながらも、大事にしているのが丸わかりなグッドガール。
母ミンジョンが部隊のアジトに乗り込んだ際は、機転を利かせてピンチを救うなど、要所で大活躍する。
「生きたければ(車に)乗りなさい」はサラ・コナーを彷彿とさせる男前具合。
また、彼女が最後まで母ミンジョンの生還を諦めなかったからこそ、ジョンソクも奮起し、結果として全員が生還することとなったので、実にあっぱれ。

一つだけ懺悔すると、ほぼ終盤まで、筆者は彼女が前作で生き残った主人公の娘だと思っていました。
だから、四年前にジョンソクがミンジョンを見捨てた時、「おかしいな……旦那の顔が違うが、まさか電車で生き残った後に即再婚したのか……?」と首を傾げとったのですが、そりゃ違うわ。別人だもの。
続編を見る前に、前作の復習は必須だと、激しく認識した次第です。

●ユジン
ジュニの妹。姉とは別の意味で、ハイパードライブテクニックを有する。
生意気真っ盛りだが、荒廃しまくった都市の中で、こうも気持ちのよい子が育ったことがまず奇跡……というより、ミンジョンの教育と愛情がパねぇとしみじみ。
得意のラジコン操作をあますことなく発揮し、大ピンチを二度も救うというグッジョブさを見せる。
末永く幸せにな!

●キム
元軍隊で師団長をしていたという老人。ミンジョンら親子と行動を共にし、彼らの祖父的位置づけとなる好々爺。
無線機を使って米軍の知り合いに救援を要請。それが功を奏し、終盤になって本当に助けが来てくれることとなった。
悲しいかな、師団長本人はソ大尉の凶弾に倒れ、脱出することは叶わなかったが、ジュニたちが助かれば本望であったことは、最期の表情を見ればよくわかる。じいちゃんの愛、ここに極まれりである。
あっぱれ。

●ファン軍曹
本作の憎まれ役。631部隊の実質の指導者。
目を閉じ、世紀末的世界で生き残れそうな、棘付き肩パッドが似合うアジア人男性。でも善玉ではない、を想像すると、大体この人が出て来ると言っていいくらいにパラリった人物。
感染者には容赦なく、非感染者にも容赦なく、とにかく自分の部下以外には全部容赦がない。
だが、全身パラリっているようで、どこか抜け目なく、少しでも挙動不審な部分があれば即疑ってくるなど、嫌なタイプの悪役である。
……かと思えば、ソ大尉と部下の関係をアーン☆系だと誤解して去るなど、やっぱりちょっと抜けているというか、ホラーで言うところの緩を担当したりと、悪役としてのポテンシャルはなかなか高い。
てっきり最後はソ大尉を押しのけ、ジョンソクたちの最大の脅威となるかと思ったが、カーチェイスの最中、エスカレーター内のZたちという序盤の伏線を見事回収したジョンソクの機転のおかげで、大量のZに囲まれて最期を迎えるという、悪役冥利に尽きる死を迎えた。

●ソ大尉
631部隊の指導者。並み居るパラリ軍団の中で、一番階級が高いらしい。
一見シュッとした優男だが、実は部隊の中で一番危ないのはコイツでは……と思わせる光を目に宿しており、実際、ファン軍曹とのラスボス対決では、最終的にこちらに軍配が上がった。
彼とは別方向で、嫌なタイプの悪役である。
戦績としては、
 ・ファン軍曹を出し抜き、衛星電話を手に入れる
 ・部隊全員を見捨て、自分ひとりだけ助かろうとする
 ・尽くしてくれた部下を片手間に撃ち殺す
 ・ジョンソンからトラックを奪い、最終的に一人で救助船に乗り込む
 ・そうまでして助かりたかったのに、金を渡す気などなかった相手に、『俺たちに明日はない』ばりの目に遭わされて死亡
 ・最期の最期で、トラックのギアをバックに入れ、船にZを引き入れ、自分を撃った相手に報復する
……という、なんというか、人間の嫌な部分を煮詰めたような、後味の悪い行動を連発。監督さんったら、悪役描くの上手じゃない? という感想を抱く。

●足の悪い部下
ソ大尉に忠誠を誓っているらしき部隊の兵士。
トラックの大金を見つけても、大尉だけに報告したり、ファン軍曹にすごまれても大尉への敬意を捨てなかったり、かなり尽くしてくれたのに、最期は脱出の道を阻まれお怒り中の大尉に、あっけなく撃たれてしまうという不憫さを見せる。
たしかにあのままアジトにいても、すぐさまZの餌食になっただろうが、そういう問題ではないんだよ。

●631部隊
ファン軍曹とソ大尉の愉快な仲間たち。
極限状況に開花するタイプなのか、Z慣れが激しく、生存者を集めては、Z相手のデス・ゲームに挑ませて喜ぶという、とんだゲス軍団。
無法者という言葉がこれほど似合うやつらもいないが、入隊に必要な資格はヒャッハー顔が似合うか否か。
彼らの真骨頂は、終盤のカーチェイスで発揮され、ジュニを追い詰めるヒャッハー運転手なんかがまさにそれ。
最後はZ相手に全滅してしまったが、とりあえず楽しそうで何よりです。

●元タクシー運転手の女性
ジョンソクと同じ上陸組の一人。おそらくは過去の経歴から、運転技術を買われての抜擢となった。
Zたちに気付かれぬまま、目的のトラックの元まで仲間を運んだ……までは御の字だったが、襲撃を受けた際の事故で、車から放り出され、衝撃で絶命。
もう少し活躍があってもよかったのではと思うが、もし息があったらZの餌食になっていたのは明白。即死したのはせめてもの慰めか。
初登場時に、てっきりチョルミンの再婚相手だと思ったのは内緒だよ。
とんだ誤解でメンゴだ。

●若いあんちゃん
上陸組の一人。トラックが事故っても生き残っていたが、あいにくZに噛まれて感染済だったため、現れたファン軍曹に容赦なく殺害された。
せっかく四年前を生き延び、国外に逃げられたのに、残念なことです。

●ジェイン大佐
キムと無線で交信し、彼らを助けにやって来た米軍大佐。
まさかの女性。
Zが来るからもうアカンとたしなめつつも、ミンジョンとジョンソクがやって来るまできちんと待ってくれる超いい人。
果たして、米国に保護された四人はどうなるのかわからないが、この女性が責任を持って今後を見てくれれば安心だと思わせる雰囲気がある。

●Zさんたち
前作で大量発生し、今作では飽和状態に陥った歩く屍。
たしか動物にも感染するはずだったが、とりあえずは国境外に出ることなく、感染は国内で収まっている模様。
彼らの興味は、いかに同胞を増やすかのみに当てられており、噛みついた対象を捕食するような行為は今回も見られない。
……ということは、経口摂取できる栄養がないということなのだが、四年間も何をエネルギーとして動き続けているのか謎ではある。
とくに、ジョンソクが発見したエスカレーターに鮨詰め状態のZたちとか、考えただけでこの世の地獄。もしや、四年間ずっとあのままだったのカナー。ヤダナー。

前作では、『アレ』とか『感染者』とか、徹底的に名前を呼ばずに済ませていたのが、本作では国外の――とくに米国人が映されたせいか、実にあっけなく例の単語をぽろりと発言しているのでびっくりした。
いやまあ、どう考えても例のあのアレなんだけれども、なんかこのシリーズに関しては言いたくないというか、言ったら負けというか、言わずに済ませたいので書かないぞ。

……それにしても、Zが発生したら、あっという間に全世界に飛び火する欧米作品と違い、自国のみにとどめてくれる本作はなんて親切な作品でしょう。
その精神をぜひ見習っていただきたいですね。

●スアン
前作で生き残った主人公の娘。今回は出番どころか名前すら出なかったが、あれほど苦労してたどり着いた釜山も壊滅したというし、その後いかがお過ごしでしょうか。
多分無事に国外退去できたんだと思うけれども、肩身の狭い思いをしとらんとよいです。

●監督
前作に引き続き、ヨン・サンホ氏。今作も大変面白かったです。ありがとうございます。
もし続編があるなら、とてもとても楽しみにしておりますので、よろしくお願いしまっす。

↓前作『新感染 ファイナル・エクスプレス』はAmazon Videoで配信中。しっかり予習してから挑もう。

↓前作の感想はこちら。何故か脱ぎたがる人たちが出てきます。

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