映画『猫のミヌース』ネタバレ感想。原作ファンも大満足な、とんでもかわいい猫物語。

ネコのミヌース 映画 ファンタジー

原題:Minoes
2001年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆☆

【一言説明】
猫、人間になる。

ネコのミヌース 映画 ティベ

オランダの作家、アニー・M・G・シュミットさんの作品『ネコのミヌース』が映画化。
当時から見たいみたいと思っていたけれども、地元TSUTAYAには置いておらず、その後すっかり時は流れ……だったのが、なんとAmazon Prime Videoで配信になっているじゃありませんか!
Amazon、サイコー!
探しても吹替え版しか配信になっていないようなんですが、ミヌースの声が室井滋さん、ティベの声が利重剛さんという神采配。
お子様も安心して見られる面白映画でございます。

主演のカリス・ファン・ハウテンさんがかわいいのなんの! 『ブリムストーン』での役柄が嘘みたいですよ!

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あらすじ

シンデレラにはかぼちゃの馬車。
ネコのミヌースにはドラム缶。

ある日、庭先に突如落とされたドラム缶の中の、ケミカル薬品を一舐してしまったネコのミヌース
突如怪しい煙が立ち上ると……あら不思議。そこには人間の女性となったミヌースが。

伯母さん「あんた、どうすんの。そんな身体で」
ミヌース「困ったわ。木の上で寝ようとすると、ずり落ちちゃう

そんな彼女が出会ったのが、クビ寸前の新聞記者ティベ
にゃんにゃん情報網を活かし、町中の出来事を聞き集めることができるミヌースは、ティベと不思議な協力関係を結ぶのだったが……?

感想

超ほっこりする!
普段、●●したら死ぬヤツとか、大富豪が死ぬヤツとかばかり見ている身としては、存在そのものが癒し=その名はネコな本作(もちろん犬もだワンわん!)。
子供向け小説が原作というのもあって、最初から最後まで安心して見られるし、めちゃくちゃ面白かったです。

まだネコと暮らし始めて半年程度の初心者ですが、ネコって歩くときに、尻尾が根元からひょーーんって上に伸びててかわいいんですよね。

そのかわゆい尻尾が!
もとい、かわゆい尻尾の生えたお尻と尻尾が!
画面に! たくさん! ぽひょひょひょひょーーーんって!

ネコかわいい!!

あー、ネコかわいい!
ネコと和解する日が来るとは思わなんだ……!

けど、何故犬だと死ぬのに、ネコだと死なないんでしょうか……。
犬は出たら五割死ぬのに、ネコは死ぬ気がしないのはなんなんでしょうか……。
犬も死ななくていいんじゃナイカナー! 犬が死なないと、代理でじいちゃんが死ぬ現象も、なんとかしてほしいナー!

閑話休題。

さて、本作はネコのマジカルニャットワークを活かした情報網により、ミヌースがネコ情報をティベに伝える → ティベが記事を書く → やるじゃん、ティベ! というルーティーンが組まれ、最初はクビ寸前だったティベの地位が、次第に向上していく……というサクセスストーリー。
このティベ君がとてもいいやつで、自分の成功はミヌースの協力あってこそということをきちんと理解している。汚れた大人向けなら確実に訪れるであろう、天狗になったティベが暴君化する → 呆れたミヌース離脱 → ブレインを失ったティベが落ちぶれる……という胃の痛い展開はまったくない。
その代り、町一番の名士の裏の顔を知ったミヌースがティベに訴える → 「証拠がない。ネコから聞きました、なんて記事は書けないよ」 → 「弱虫!」と女性陣に怒られる → 奮い立ったティベが記事を書く → 「嘘ばかりの記事書きやがって!」と町の住民から総スカン、という……自分の中の弱さと闘い、克服し、正しいことをしたからこそ窮地に立たされるという、真摯な展開に。
子供向け、と侮るなかれ。むしろ子どもに向けた内容だからこそ、大人も見る価値がある。そんな印象を抱く作品でした。
各地で色んな賞を受賞したというのも納得です。超おすすめ。

人物紹介

●ミヌース
ネコ。ドラム缶の中のケミカル薬剤を舐めたところ、突然二十代前半のめんこい美女に変身してしまう。しかも服もセットで。この辺りは子ども向けであることが悔やまれる……って何を汚れたことを言っているんでしょうか、自分は
そして、どう見てもドラム缶の中身は、ネコ食う中身じゃないと思うのですが。なんで舐めた。

人間化した後もネコと言葉は通じるため、にゃんにゃん情報網にて、町中で起きたどんな出来事も瞬時に知ることができる=新聞記者には感涙ものの能力を有する。そこをティベに見込まれ、彼の秘書として、ルームシェアを代償に情報を提供する。
子供向け……ということで、ただのファンタジーだと流しがちですが、実際に動物や植物から話を聞けたら、人間の行動なんて丸裸。殺人事件の実験で、植物に嘘発見器をつけたら、犯人を前にしたときだけ針が異様に揺れた……なんて話もあったくらいですしね。

そんなミヌースさん。人になってもネコの習性は抜けてないようで、魚を見れば舌なめずり、犬に追いかけられれば木に登り、ティベの部屋へは屋根から入る……という、明らかにご近所マダムが眉をひそめそうな行動を連発。
しかも未婚の男女が一つ屋根の下という、ヒューッな状況なのだが、あいにくティベが気のいいポンコツ&子供向けなため、二人の関係は終盤まで進まないのであった。そこもほっこりポイントの一つ。

最初は人よりネコ要素の強かったミヌースも、町一番の名士、エレメートの悪事を暴くために奔走し、ようやくネコに戻る方法が分かったころには、すっかり人になじみ、人寄りになっていた。
それがいいか悪いか是非を問うのは野暮ってなもの。最後はティベと結ばれ、ハッピーエンド。結婚式の映像にて幕を閉じます。
式場が屋根の上ってのがいいよね。参加してくれた町の人もいい人ばかりざんす。

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●ティベ
アパートの最上階に暮らす新聞記者。記者なのにシャイ。強面なのに縞々マフラーという、ギャップ萌を地で行くナイスガイ。
シャイ故に、取材の場では「あの……その……」という若干のカオナシ化を果たし、さっぱり新聞記者として認識してもらえなかったのだが、ミヌースと出会って、ネコスクープ連発により自信を得た後は、ちゃんと自分の足で飛び込み取材し、鼻を利かせて怪しい場所を調査するなど、記者としての実力を発揮できるようになる。
一度はエレメートの外面の良さに騙されそうになるも、ミヌース&ビビから「弱虫!」の手痛い非難を受け、自分の目と耳で真実を見極めるために出向く。
結果、悪と判断したエレメートの暴露記事を書くも、証拠がなかったために、新聞社をクビに。
証拠固めは基本だろう! とツッコみたいが、二人のめんこい女子からあんな風に言われたらそりゃ見切り発進したくもなるさ……と思ってしまった。
その後はミヌースとビビの告発映像に後押しされ、見事エレメートが隠した証拠の場所を突き止め、記者に復帰。ミヌースともゴールインしの大団円となる。
あっぱれ!

●ビビ
ティベが暮らすアパートの大家の娘。こちらもなまらめんこい女の子。
以前からティベとの親交は厚く、ミヌースとも仲良くなる。
エレメートの一件では、ティベのふがいなさに呆れ、ミヌース&ネコたちに協力。エレメートがネコを虐待する映像を撮った後、なんと自身も身体を張ってエレメートにわざと殴られる状況を作るという、女傑っぷりを発揮する。
ティベはミヌースと結婚したら、確実に尻に敷かれると思うが、ビビも小姑として参加するんだろうな……と思うと、なんて幸せな男なんだ。

●エレメート
本作の悪役。
軒並み善良そうな町の住人とは違い、初登場時から、非常にわかりやすく悪い顔をしている。なんとも親切な悪役だ。
町の一大産業である消臭スプレーの工場を有し、事業を拡大させるため、市長にプールを贈って懐柔させようと画策する。
でもって、生き物愛護団体の会長にも就任する。
生き物大好き=消臭スプレーを作って、ペットを広く家庭に普及させようという意図……かと思いきや、やはりいうかなんというか、大変な動物嫌い。中でもネコへの憎悪はハンパないらしく、見かけたら殴る、蹴る、暴言を吐くの三セットが基本。就任すんな。

でもって、扱いのひどさから、秘書なのかな……と思っていた人が実は奥さんで、猫にひどいことしてごめんよディナーを作ったりするわりに、窮地に立たされると、「邪魔だ!」「うるさい!」「さっさとしろ!」と暴虐の限りを尽くすという、「お前……」な態度を取る。

このアフォ君は、何故か夜に、ニシンの屋台に自社トラックで突っ込み、そのまま逃亡。証拠隠滅のため、なんとトラック自体を敷地の地面に穴掘って埋めるという、ある意味とんでもない行動力を見せる。
しかも、怪我をさせた屋台の主人に、その後何食わぬ顔でニシン買いに来て、「いつもごひいきに」とか言われてるのだ。この悪党。

ティベが暴露記事を書いた後は、外面の良さからエレメート擁護派がほぼすべてとなり、勝ち誇りつつ、工場拡大のための投票現場に赴くもミヌースとビビの活躍で、彼がネコを虐待する映像を流され逃亡 → 直ちに国外に逃げるつもりでいたあたり、多分他にも暴かれたらいかん悪事がわんさか → なんとミヌースが舐めたドラム缶の出所はこいつの工場という、一体何を開発しとるんだ! な余罪てんこ盛り。
ティベの機転により、見事ひき逃げの証拠を挙げられ、町中が見守る中でしょっ引かれていった。

ただ何よりも恐ろしいのは、それまでエレメートを崇め奉っていたのに、いきなり手のひらを返し、喜々として彼を穴に投げ込む住民たちではないか……と思うのだが、まあそこはそれ。

●エレメート妻
お詫びディナーを作ってもらったり、豪華な屋敷で暮らせたりと大事にされているようで、市長が突然訪ねて来ると、「お前はネコの世話してろ!」と置いて行かれたりするなど、かなり扱いがひどい。
夫逮捕後は離婚したんだろうなあ、多分。

●ニシン屋台の主人
エレメートにひいきにしていただくも、彼の運転するトラックにぶつけられ、屋台ごと横倒しになる。
それほど重傷ではなかったとはいえ、気を失った彼の横で、よっしゃとばかりにニシンに食らいつくネコ多数。
ネコ……。

●大家さん
ティベの階下に暮らすアパートの大家夫妻。
一人娘のビビが懐いているため、なんのかんのとティベを気にかけてくれていた。が、エレメート関連……というよりは、アパートをネコだらけにされたことに怒り、一度は立ち退きを宣告 → 真相が暴かれた後は、ネコナデ声で住み続けていいよと言ってくれる。
その後に行われた結婚式の会場は、当然大家さんプレゼンツ=ネコと和解したと見るべきですな。

●市長
ティベたちの町の市長。
廃トレーラーの中の子猫を見つけ、「かわいそうに、もう大丈夫だよー」と言いながら、保護した猫たちを即座にエレメートに丸投げしたり、「自宅にプールをいかがですか?」と賄賂を匂わせられた時は、「えっ、プールかい?」とまんざらでもない顔をしたくせに、いざエレメートの悪事が発覚した際は、「こいつは私にプールを贈ろうとしたんだ!」と声高に発表するなど、生ぬるい笑顔で「市長……」と言いたい人物。
賄賂を蹴るタイミングが若干遅くねーけ?

●住民
市長や大家さんもそうだが、投票の場所で「あの記者よ! 勝手な記事を書いたくせに、秘書と来てるわ!」とか言ってたマダム二人が、何故か二人の結婚式に笑顔で出席していたりと、子供たちよ、これが大人だ。と言いたい日和見な人が多数いる模様。
まっ、細かいこと言ってると、世間じゃ生きてはいけねーんだわ。

●ネコたち
映画を彩る多彩なネコたち。富豪ネコや牧師ネコ、野良ネコにプレイボーイネコなど多数のネコが登場。
こんなふうに書くと、どこぞのミュージカル映画を思い出すのだが、ネコのかわいさは雲泥の差。
とにもかくにも、みんなネコ大好きなんだニャン。

●監督
ヴィンセント・バル氏。他にも子供向けの映画を撮っていらっしゃるようです。
ネコへの深い愛を感じる、大変おもしろい映画をありがとうございました。

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↓原作。児童向けですが、大変おもしろいのだニャン。

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