原題:Godzilla vs. Kong
2021年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆
【一言説明】
ゴジラ君の背びれ。
新型コロナの影響により、2021年は7月にようやく日本公開の運びとなった『モンスターバース』の第四作目『ゴジラvsコング』。
日米が誇る怪獣系アイドルの夢の対決。
果たして、どちらが勝つのかーー。
もしくは、どちらも勝たないのかーー。
もちろん勝ったら勝ったで、負けた方のファンが黙っちゃいない。
そんな巨大爆弾を抱えた本作の結末を確かめに、いざいざぁ! と劇場入り。
ま、個人的に最も気になるのは、一本背負いがあるのかって点ですがね!
あらすじ
日和見主義のラドン君が傘下に入って……じゃない、全怪獣の王が決定してから早五年。
ご存知キング・オブ・モンスターズこと我らがゴジラ君は、今日も元気に太平洋のいずこかを泳いでいた。死線を極めた戦を制しての王冠。
日本の至宝こと渡辺謙氏芹沢猪四郎博士の命を賭しての王冠。だがしかし……五年目にして、突如その地位に待ったをかける者が現れた。
コング、参加してないじゃん? とーー。果たして、真の西代表・コングの登場は、ゴジラの王冠を脅かすのか?
そして、前作のエンドクレジットでホニャララした、壮大な伏線はきちんと回収されるのか?怪獣たちの夏が、再び始まろうとしているーー。
※以下ネタバレです。未見の方はご注意!
感想
前作に引き続き、今回も楽しいツッコミどころ満載だった本作。
例によって例のごとく、名場面という名の流れを追いつつ、やいのやいの言っていこう!
怪獣、サイコーーーッ!
1.アジアのどこかに位置する髑髏島。そこでのんびりライフを送っていたコング君だったが、怪獣大好き結社『モナーク』の手により、突如同結社基地内での生活を余儀なくされることになった。
ジア「なんで?」
アイリーン「ゴジラが襲ってくるからよ」
そう。前作のエンドクレジットで示唆された通り、ゴジラとコングは宿命のライバル同士。
コングの気配を察知したが最後、どんな遠方からでもゴジラは駆けつけ、喧嘩をふっかけずにはいられないという。
なんだそのチンピラ設定。
キングにあるまじきガラの悪さなんだが?
2.そんなゴジラ君。何を思ったのか、突如大企業エイペックス社の施設を襲撃。周囲一体を火の海と変え、人類の味方から敵へと評価が一変する事態に。
↓
エイペックス社の社長ウォルターは、怪しげな青年レン・セリザワを連れ、元モナークの地質学者ネイサン・リンドの研究室を訪問する。
あれ……『セリザワ』ってことは、前作のケン・ワタナベ演じる芹沢博士となにがしかの縁があるのか? → 今は言及されず。今はな。
↓
ウォルター曰く、地球の内部に存在する巨大な空洞=怪獣たちの故郷であり、その中心にある膨大なエネルギー=怪獣たちの力の源ではないのか? → それがあれば人間も怪獣に対抗できる → 取りに行こうぜ! → 道案内が必要だ → コングに案内させようぜ!
↓
トントン拍子で言いくるめられるリンド君&コングの保護者たる博士アイリーンと地元の少女ジア。
巨大戦艦にコングを乗せ、空洞の入り口があるという南極へと向かう。
3.ゴジラに見つからないよう、活動海域から外れて進んでいく巨大戦艦。
順調な航海。
ゴジラのゴの字もない平和な海。
リンド「ゴジラだって、わざわざ地球の反対側まで喧嘩売りに来たりしな……」
↓
現れるゴジラ。もしや暇律儀という言葉が似合う漢。
↓
瞬時に一触即発状態となる両雄。
まずは互いにメンチ合戦、でもって戦艦を足場に、ぽこぽこジャンプしながら大決戦……ってよそでやれ。
ボコボコ殴り合う両者の下で、さらにズタボロになる戦艦含む中の人達。
よそで! やれ!
↓
海上 → 海中戦へと持ち込まれ、チノ=リを得たゴジラにズンボロにされるコング。
戦艦が一斉に電源を落とし、人類一体となっての死んだふり作戦が功を奏し、無事宿敵を沈めたゴジラは去って行く。
どうやら本当にコングをどつくためだけに来たようである。
人の感覚だと地球の半分くらいの距離だが、多分怪獣にとっては隣町にちょっと遠征した……程度の認識だと思われる。
4.二大怪獣の仲の悪さを甘く見ていた一行。
ゴジラの活動領域バイヤー → 海やめて空ルートで行こうぜ! → 無事に南極へと到着。
「この先にあなたの家族がいるかも」というジアの言葉に促され、空洞の入り口に飛び込んでいくコング君。追う一行。
↓
ウォルターの用意した『さいきょうののりもの』により、重力反転を乗り切ったリンドたち。
コング君の行き着いた先で彼らが目にしたのはーー空洞の中心地、怪獣たちのエネルギー源の上に建てられた、コング族の聖地ともいうべき場所だった。
↓
置かれた巨大な斧を手に取り、玉座に腰掛けるコング改めキング・コング。
だがどう見ても、斧として取り付けられた刃の部分がゴジラ君の背びれ。
アイリーン曰く、ゴジラ族とコング族は先祖代々の宿敵同士。きっとその背びれもはるか昔の先祖コングが、先祖ゴジラの背からむしり取ったものなのだろう。
↓
そのせいじゃねえかな! 仲悪いの!
敵が死んだ父ちゃんの背びれ掲げて、得意げに襲ってきたらそりゃ怒るわ。
しかも父ちゃんの死因が、背びれむしられた傷による感染症とかだったらそりゃ恨むわ。
↓
おまけに、コング君単体では空洞のエネルギー=青いビリビリを使うことは叶わず、斧に取り付けられたゴジラ君の背びれを媒介に、間接的に使用していることが判明。
地下にいたコング君が背びれの力を使う → 地上にいるゴジラ君にその波動が伝わる → ゴジラ君ブチ切れ → なんとそのまま地面に向かってエネルギー波を放ち、それが地殻をぶち破って地下のコング君の元まで届くというキレっぷり。
やっぱり、背びれのせいじゃねーかなぁーー! 仲悪いの!
5.そんな怪獣たちのいざこざの一方で、前作の黒幕エマ・ラッセル博士の娘マディソンは、友人のジョシュとともに、ゴジラが突如人類の敵となった原因を探ろうと動いていた。
彼女の敬愛する動画配信者バーニーに合流した二人は、どうやらエイペックス社が秘密裏に何かを開発していることを知る。
↓
その『何か』がゴジラを怒らせたのではないか?
↓
社に潜入した三人は、何やかやの末、香港はエイペックス支社の研究施設へと移動。
そこで彼らが見たのは、なんと前作エンドクレジットで回収された、モンスター・ゼロことキング・ギドラの残された首と、そしてゴジラの姿を模した金属製の大怪獣ーーメカゴジラの姿だった。
そう! なんと! 本作は『ゴジラvsコング』ではなく、『ゴジラ&コングvsメカゴジラ』だったのだ!
ヒューッ!
正直、ゴジラとコングをぶつけ合っただけだと、勝敗どうすんだとか、結局ゴジラ君が悪役にならざるを得ないのでは……? と懸念があったのですが、そこはさすがハリウッド! きちんと共通の敵となる、落とし所を用意してくれていたのです!
さすがが過ぎるっ!
あいらぶはりうっどだ!
↓
だが問題は、レン・セリザワことおそらくは前作の芹沢博士の血縁(というかムスコ)であろう小栗旬氏が、よりによってメカゴジラの操縦役というポジションであることなのだが……これはもう、どうあがいても悪役の予感なんだが?
なんかこう、後々『結果的にはゴジラに殺されたようなもんな父ちゃんの敵討ち』もしくは『ゴジラ愛が過ぎて家庭を顧みなかった父ちゃんに反発して怪獣大嫌いになった子の復讐』的な理由が語られるんだろうな?
な?
6.さて、怒りのゴジラ君によって空けられた穴を通り、無事に地上へと帰還したリンド一行&コング君たち。
出てきた場所は、ゴジラ君がちょうど襲撃していたこともあり、マディソンたち&メカゴジラ本体のいるエイペックス社は香港研究所のほど近く。
直前に、ウォルターの娘マイアが空洞エネルギーのデータを父に送っていたこともあり、ついに実機起動するメカゴジラ。
そんなこととはつゆ知らずーーではなく、とりあえず目の前に現れた宿敵をどついたろと、再び相対するゴジラ&コング。
↓
あろうことか、ゴジラ君の吐き出したエネルギー派を、ゴジラ君の背びれを使って弾き返し、二回戦目の勝利を収めるコング君。
↓
てめぇ、それ俺の(先祖の)背びれじゃろが! とキレたゴジラ君が猛反撃。
コング君を瀕死に追い込むも、気が済んだのか、もしくは他にやることがあったのを思い出したのか、とどめを刺さずに去ろうとするゴジラ君。
↓
からのメカゴジラ急襲!
キング・ギドラの脳波を介し、レン・セリザワが操縦していたはずのメカゴジラ。
だが空洞エネルギーを注入したことで、ギドラが覚醒 → メカゴジラの主導権を乗っ取り、ウォルターとレン・セリザワを亡き者にしてしまう。
↓
ちょっと待った。
レン・セリザワのバックグラウンドがまったく語られないどころか、息子だったことに言及すらなかった気がするうえに、小栗旬氏の最期がまさかの白目をむいた姿だったとか、小栗旬氏の無駄遣いが過ぎるんだが???
納得がいかんのだが!!??
多分カットされたシーンとかあっただろ、これ!
7.覚醒したメカゴジラこと中の人キング・ギドラ君は、前作のリベンジとばかりに、ゴジラ君をフルボッコ。
口からビーム対決では、なんとゴジラ君の青ビームを下し、自前の背びれよりもメカ製の背びれのほうが、空洞エネルギー=Wi-Fiの感度が良いことを証明……って納得がいかないぞ!
なんでゴジラ君が負けるんじゃい!
↓
次第に劣勢となるゴジラ君の横で、心臓が止まりそうになるコング君。
ジアたち人類が『さいきょうののりもの』ぱわーを除細動器として起動 → コング君復活! → 敵の敵は友……ではなく、敵の敵もやっぱり敵な精神で、メカゴジラ戦に参戦 → 宿敵同士が共闘という最の高に熱い展開に。
うちの犬が心臓手術を受けた際は、立ち上がるのに一日はかかったんですが、さすが怪獣氏はレベルが違うネ!
↓
けれどそれでも劣勢となるゴジラ&コング勢。
マディソンたちの活躍で、メカゴジラのWi-Fi電波を遮断することに成功。
倒れ伏したゴジラ君が、コング君の斧=先祖の背びれに向かってビームをシャーッ! → 無敵の青々パワーが宿った斧を、コング君がはちゃーっ! → メカゴジラ撃破!
↓
共通の敵を倒した宿敵同士は、和解とは行かずも、互いを認めあって解散。
コング君は地球の空洞=故郷へと帰り、そこでキング・コングとしてのびのびと暮らすことに。
めでたし、めでたし……。
納得がいかない。
ものすごくではないけれど、なんというか納得がいかない。
もちろん、ゴジラ君とコング君に明確に勝敗を決めてしまうのは不可能というかやってほしくないのは当然なんですが、なんでとどめを刺すのがコング君オンリーなんじゃい。
そこはゴジラとコングが二人でビームと斧を突き刺しての初めての共同作業じゃろがい。
もしくは、最後の一刀はコング君に譲るとしても、なんでゴジラ君は地面に倒れ伏したままなんじゃい。乙女ポジションか、おのれは。
もちろん、冒頭からしてコング君から始まったわけで? 本作は、どっちかっつったらコング君の物語であることはわかっとるのですが、でもなんちゅーか共闘したなら二人でトドメを刺したらいいんじゃないすかね。
もちろん、その直前のゴジラvsコングで、ゴジラに勝敗が上がったため、今回はメカゴジラにコングを勝たせて、お互いに花を持たせて終わろうとするその姿勢やよしとして、これ絶対コングファンに言わせると、『たしかに一度はゴジラに負けたけど、ゴジラを倒したメカゴジラに勝ったんだから、結局コングのほうがゴジラより強い』的論争が巻き起こることになるかもっつーか、ゴジラ負けてないしぃー。
あの体制から、逆にビーム吐き返して、いくらでもメカゴジラ討ち取れたしぃーーー。
というか、とどめを刺したのは、コング君というよりゴジラ君の背びれではないだろうか。
本作の一番の功労者は、ゴジラ君でもゴジラ君本体の背びれでもなく、先祖コング君にむしり取られた先祖ゴジラ君の背びれではなかろうか。
そのゴジラ族の遺産ともいうべき道具を使い、ゴジラ君の目の前でコング君がとどめを刺して終わるとか、そもそも背びれなかったら負けてたんじゃね、とか…….なんかなあぁぁ!
……とゴジラ君ファンとしてはうだうだ書きましたが、コング君が決して嫌いなわけではないのでそこは4649!
そして本作はとても面白かったです。
監督が、次回のモンスターバース作品は、『人間パート三割、怪獣対決パート七割で見る覚悟が観客にもできている』とおっしゃったそうですが、海外勢はいざしらず、日本ファンはとっくに準備できてっから!
むしろ人間パートいらないからぁーーー!
というわけで、次回作も大変楽しみにしておりまっす! ぜひ早めにお願いしまっす!
怪獣&人物紹介
●ゴジラ
ご存知怪獣界のスーパースター。
以前はゴジラ君といえば東京タワーだったのが、本作では米国&香港に出現。思う様辺りを破壊し尽くす姿に、ご当地アイドルが全国どころか、全世界にまで羽ばたいてしまったときのような、晴れ晴れとした寂しさを感じたりもします。
今度ぜひスカイツリーを破壊しに来てネ!
前作でキングの座を手にし、その後五年間音沙汰なしだった(多分海の中で寝てた)のが、突如米国はエイペックス社を襲撃。人類の守護者から敵へと評価が一変するが、本人はまったく気にしなかった。
その後は下馬評通りにコングがドーム外に出るや、いそいそと太平洋を横断して追いかけ、喧嘩をふっかけ、人類の叡智が詰まった戦艦をゴミ扱い、戦闘機をハエ扱い、さんざん暴れまくった挙げ句に、ふんと鼻を鳴らしてその場を立ち去り、休むまもなく香港支社を襲撃しに行くという、一度でも彼を守護者扱いしたことを人類は反省するべきという行動を連発。コング → メカゴジラの連戦に至っては、香港を気持ちいいくらいにバカスカ破壊しまくってくれる。
まあ、シリーズを見ればわかる通り、ゴジラ君は別に人類の味方というわけではまったくなく、生粋のバランスメーカーというか、地球の生態系バランスを著しく害する奴を倒しに出てくるだけという、一貫した行動を取っているわけで、つまりは地球の守護者という立ち位置なんですね。
決して人類の守護者ではねーから、そこんとこ間違うなよってことですね!
今回はゴジラの物語というよりは、コング作品の第二作目という位置づけなのか、活躍は控えめで、彼に花を持たせるような行動を取ることが多い。
怪獣界にもあった『忖度』という言葉。
が、なんと終盤のコング戦にて、見事な一本背負いを披露してくれるので、もうそれで満足することにしたというか、大満足。やってくれると思ってたで!
ちなみに、大まかな強さランク↓
SS ゴジラ(キング状態)
S キング・ギドラ メカゴジラ
A ゴジラ コング
B ラドン モスラ ムートー(雌)
C その他怪獣
ぜひ次回の登場作品では、忖度のないゴジラ君が大暴れする展開をお願いします。
そして中盤までは敵役なためか、本作のゴジラ君は前二作よりも心持ち顔が怖め。
日本のゴジラ君のかわいい造形をもう少しリスペクトしてくれるとありがたく存じます。4649!
●コング
本作の怪獣側の主役。心優しき島の守護者。たくましい大胸筋につけられた三本の傷跡がその後の因縁を物語る。
他怪獣に比べ、基本形がゴリラなためか、そこまで大きい印象のなかったコング君だが、今回はゴジラとタイマンを張るため、彼と同じくらいまで育った設定にされている=百メートル=で、でけえ……!
見た目もそうだが、どっちかっつったら皮膚の硬そうな怪獣たちと違い、空洞エネルギーの受容体を体内に持たず、先祖ゴジラ君からもぎ取った背びれを斧にくくりつけて戦うスタイルを取る。
おそらく、ゴジラがエネルギーの申し子=選ばれし存在であるとすれば、コングは人類代表。知恵と道具によって、至高の存在近くにまで上り詰めた、まさに進化と下剋上を体現する存在であると言えよう。
怪獣の中でもとりわけ思考回路が人間に似ており、そのためジアと手話で会話ができる。
世界に残された壁画により、ゴジラとは悠久の時を宿命のライバル同士として過ごしてきたようだが、ぶっちゃけコング君側の闘争心は薄く、どう見てもゴジラが一方的に因縁をつけに来ているように見える。
というか、本作のゴジラ君タイムラインとしては、
米国のエイペックス社を襲撃 → 間一髪のところで、エイペックス社がギドラの首を香港に輸送 → ギドラどこ行ったと探し中 → コングの気配を察知したので、とりあえずドつきに来る → 勝ったので、再びギドラの首探索に戻る → メカゴジラをドつきに向かう → 地中からコングの波動を感じてビームを放つ → メカゴジラをドつこうかなと思う → コングが出てきたのでコングを先にドつく
……という、清々しいまでのコング君最優先。なんかもう、大嫌いなんだな、コング君が。
ただコング君側としては、目の前に現れたら戦うよ、ぐらいのヘイト感ではないでしょうか。活動海域を飛び出してまで追ってくるゴジラ君とは大違いですよ。
そのため、メカゴジラを倒した後は、海へと戻りゆくゴジラ君を引き止めず、自身は空洞内を活動領域とすることで、不要な衝突を避けることにした模様。
実に大人な対応……と思ったのだが、映画冒頭にて、実は並み居る怪獣たちをばったばったとなぎ倒し、怪獣トーナメントの西側を戦い抜いていたことが判明するので、そこまで温厚というわけではないらしい。
続編で念願の家族と再会できたらいいと思います。
●メカゴジラ(キング・ギドラ)
ゴジラ君の宿敵その2。前作でも彼が目覚めた途端、波動を感じ取ったゴジーが来襲、交戦を開始している → バランスメーカーだとしても、属性がチンピラ。エンドクレジットにて無事だった首の一つが回収されたが、エイペックス社の指示であったことが本作にて判明。
メカゴジラ起動の鍵として、レン・セリザワの脳波と連結され、利用されていたのが、空洞エネルギーを受信した途端に覚醒。邪魔な人類をサクッと始末し、憎き宿敵を目指して立ち上がった。
機械の体は使い心地がよかったらしく、あっという間にゴジラを追い詰め、続く二体がかりの戦闘を物ともせず、ついにはコングをも追い詰めることに成功。
が、またしても人間の小癪なアシストによってメカゴジラとの接続を絶たれ、あかんことになっているうちにコングの振り回す背びれソードによって倒された。
見ようによっては、またしてもゴジラに破れたととれなくもない。
エイペックス社に残った首は多分無事だったと思うので、もしかすると続編で三度目の登場がある……かもしれない。
名悪役は引っ張りだこである。
●モスラ&ラドン
今回は出番がなかった二体。
モスラちゃんはまだ蛹の中として、ラドン君は元気にしているのであろうか。
またどこぞの強者にボコボコにされ、「兄貴ぃー」なんぞとひれ伏してないとよいが。
●空洞内生物
コウモリっぽいのや、虫っぽいものなど、多数が生息。いずれも地上のものより数倍以上大きい。
作中でも、襲ってきた翼竜っぽいのをコング君がわしゃーーして、じゃぶーーーしていたので、地上同様、食物連鎖は厳しいようだ。
●空洞
地球の内部にぽっかり空いた空洞。
そこに地上よりも遥かに大きな生物たちが暮らしている、というロマンあふれる設定に大人も子どもも無我夢中なわけだが、なんで空洞内があんなに明るいのか、特に言及されてないのですがなんでなん?
下手すると、朝と夜すらありそうな勢いだったんだけれども? ほにゃん?
●ネイサン・リンド
本作における人間側主人公その1。
地球空洞説を唱える地質学者であり、空洞に入ろうとした実兄が逆転した重力で☆☆☆なことになった過去がある。
なんで内部に入ったら重力が逆転するのか果てしなく謎ながら、その謎仕様重力がおそらくは怪獣たちの強靭な肉体を育んだと思われるので深くは考えるまい。
怪獣たちの陰に隠れがちながら、死んだふり作戦を提唱したり、コングの心臓再起動に一役買ったりと、人間代表として色々かっちょえー動きを見せるグッジョブな御仁。
●アイリーン
コングを研究するモナークの人類言語学者。孤児となったジアを養子にし、彼女とコングの絆を誰よりも理解していたが、まさか手話で会話可能なことにまでは気づいていなかった。
研究員ではあるが、コングを大切に思っており、彼を外に連れ出す計画には難色を示す。
ある意味、彼女は未来のジアの姿でもあるわけで、要所要所で板挟みになる姿は、大人って大変という感想を抱かせる。
●ジア
コングが唯一心を許す幼い少女。コングを模した人形を抱え、いざとなれば、それと八の字眉毛で彼を説得にかかる最強兵器。
色々と事情のある大人と違い、純粋にコングの身を案じているため、かの大怪獣も彼女の言葉には素直に耳を傾ける。
その特性故、大人二人も彼女を危険な前線へと送り込まざるをえず、当然香港大決戦の場にもいたわけだが、どういうわけか周囲の建物や人々がズンバラ被害に遭うのに、メイン人物たちはかすり傷一つなしという、怪獣映画あるあるな展開が繰り広げられる。
最後は空洞世界に設けたドーム内へと移動しており、故郷に帰って笑顔マッスルとなったコング君を嬉しそうに見守る姿が映される。
●マディソン・ラッセル
前作の重要人物&今作の人間側主人公その2。
ゴジラが理由なく破壊行為をするはずがないとして、エイペックス陰謀論を掲げるバーニーに接触。結果メカゴジラにたどり着くという、母親顔負けの行動力を発揮。
彼女の頑張りがなければ、メカゴジラを止めることは叶わなかったであろう。世界を救った立役者の一人となる。
天国のエマは心から安心しているに違いない。
将来……というか、現時点ですでに女傑確定のナイスガールである。ぜひ次回作も登場してくれると嬉しい。
●ジョシュ
マディソンの友人。ちょいぽちゃ系男子。
てっきり口ではやいやい言いながら、実はできるメガネ=ハッカー的位置づけかと思いきや、終盤でHTMLをかじっただけであることが判明。
HTMLて。
なるほど、最新テクノロジーを止めるには、原始的技術が一番ってね……なんつってたら、原始も原始、電化製品=水に弱いを実行し、見事メカゴジラを止めることに成功する。これにはエイペックス社CEOも形無しであろう。
怖ぇー、やべぇーと終始ぼやきつつも、意中の子を追って最終決戦の場までついてくる&手柄を上げるとは、将来有望が過ぎる男子。マディソンにはこういう子がお似合いだと思うよ!
●バーニー
ポッドキャストで怪獣に関する動画を配信する男性。エイペックス社の不審な動きにいち早く気づき、なんと五年間も社員として潜入捜査を続けてきたという無類のガッツを持つ。
彼を訪ねてきたマディソンたちを率い、壊されたエイペックス社の施設に乗り込むも、何故か香港支社まで強制移動 → メカゴジラ誕生の瞬間に立ち会うことになった。
後にゴジラが人類の敵でなかったことを人々に知らせてくれるであろう重要ポジである。
●ウォルター
本作の黒幕、エイペックス社のCEO。
怪獣から地球の覇権を取り戻せ! な精神を持ち、いそいそとメカゴジラ制作に励んでいたところを、ゴジラに気づかれ襲撃を受けた。
多分五年以上前からメカゴジラ開発は開始されていたが、いよいよ地球のバランスを壊す存在になりかけたため、止む無くゴジーは襲うことにした……のだと思われる。多分。
決して、自分の覇権を脅かす奴を襲っているわけではない。多分。
娘のマイアが命を賭して送ってきた空洞エネルギーを解析。満を持して起動したメカゴジラの前で覇権演説をしていたところ、その場にいた全員が「後ろ、後ろ〜〜」と叫ぶも、ネタだと思って無視していたら、パクっと食われた。
上に立つものは人の言うことに耳を傾けよ、という教訓だったかというと、そんなことはなかった。
●レン・セリザワ
wikiを見ると、芹沢蓮とあり、やはり前作で死んだ芹沢猪四郎博士の息子であったようなのだが、そんな気配を微塵も感じさせないどころか、匂わせもしない演出はもはや神だと言っても過言ではないほど小栗旬氏の無駄遣いである。そこはハリウッド反省したほうがいいと思う。
なんかもっとこう、親子の因縁というか、結果的に怪獣のせいで親が死んだわけだから、葛藤とか和解とか、色々とおいしい要素がありすぎな気がするのだが、多分今回はメインがコングだったため、ゴジラに焦点が当てられずに終わり、結果レン君の扱いがぞんざいになったのだと思われる。
ならせめてセリザワの名を与えなければいいのに、やっぱりケン・ワタナベを死なせなかったらよかったんじゃないかな!
●マイア
ウォルターの娘。空洞探検チームに同行。空洞エネルギーのデータを父親に転送する役目を負い、見事果たすも、地下の巨大怪獣に襲われて命を落とした。
こういう生意気系美女は心の雪解けがあるか、もしくは憎まれ口をたたきつつも、なんのかんのと生き残るんだろうと思っていたら、案外シビアな結末でちょっと残念。
●マーク・ラッセル
前作の人間側主人公。今作でも、モナークの職員としてちょろっと登場。
てっきり米国にいると思っていた娘が香港に現れ、度肝を抜かれて心配する姿を見せた。
奥さんはかなりのアレだったが、まだモナークに籍を置けているようだったのでよかったネ。
●香港
本作における怪獣被害を被る都市。
どれだけお金と時間をかけようが、天災(怪獣)にかかれば壊れるのは一瞬という、この世の無常を象徴している。
……なんて解釈は市民にとってはどうでもよいことであり、彼らの思うことは唯一つ。
よそでやれ。
●足元の人類
今作も怪獣君たちの足元あたりで、わーきゃーと騒ぎ立てる役目を負う。
たまに空を飛んでった挙げ句、ハエみたいに撃ち落とされ、命からがら脱出装置で飛び出す者もいるが、飛び出した先が大怪獣の真ん前だったりする可能性が無きにしもあらずで、挙げ句にゴジラ君とコング君が殴り合いなんぞ始めたら、生きた心地がマッハで吹っ飛ぶ危険さである。
だからと言って、じゃあなにもない大平原で戦えばいいのかというと、それではスパイスが足りないので、やはり決戦は大都市に限るのである。
●コングの聖地
空洞エネルギーを吸い上げているんだか、集約されているんだか、とにかくなんか人工的柱が何本も立っていたりと、古代文明の跡を感じさせる場所。
壁画といい、コングの家族といい、続編ではそのあたりが詳しく描かれたりするのであろうか。期待を大にして待っております。
●監督
アダム・ウィンガード氏。ハリウッド版『デスノート』を撮ったお方。
怪獣同士の熱き戦いをありがとうございます。大変面白かったです。
↓二大怪獣がGE☆KI☆YO☆TSUな本作は、Amazon Prime Videoで大好評配信中。
↓前作『キング・オブ・モンスターズ』の感想はこちら。