原題:Freaky
2019年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆
グロ度:☆☆☆☆
【一言説明】
おれがあいつであいつがおれで。
ヴィンス・ヴォーン氏が女子高生を演じるらしい……という噂を聞きつけ、兎にも角にも劇場入り。
『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』のジャック・ブラック氏然り。
何故おじさんが演じる女子高生はこんなにもKAWAIIのか。下手すると、女子が演じる女子高生よりKAWAIIのではないのか。
ダブル主演に『名探偵ピカチュウ』のキャスリン・ニュートンさんという豪華っぷり。
見なきゃ損ってなもんざんす。
余談ですが、筆者が観た回は筆者と中年男性の二人きりだったため、これもしかして入れ替わりワンチャンあるんちゃう? と期待したんですが、中年と中年が入れ替わっても、中年が出来るだけなので、もちろん何も起きませんでした。
生まれ変わるなら、NYは五番街の女子高生とかになりたいデス。
あらすじ
もしも、俺とアイツが入れ替わったら――。
古今東西、大衆を魅了して止まない『入れ替わりもの』。
すれ違い親子もよし。
意中のあの子となら、なおのことよし。けれどまさか、入れ替わり先が殺人鬼だったとしたら……?
死刑待ったなしの大ピンチです。
※以下ネタバレ。内容故に、若干の残虐な描写も含みます。未見の方、苦手な方はご注意。
感想
ヴィンス・ヴォーン氏、最高ーーーーっ!
若い頃は、イマイチぴんときていなかった氏の魅力。
どちらかというと、強面。
どちらかというと、悪役顔。
その氏が、まさかなんの特殊メイクもしないまま、激カワ女子高生になる日がこようとは……!
役者さんってマジのマジでゴイスだなあ!
なんかもう、全俳優さんが女子高生を演じたらいーんでねーのと思う本編の流れは以下ざんす↓
1.母校にて、伝説と語り継がれる殺人鬼『ブリスフィールド・ブッチャー』の話題で盛り上がる地元高校生四人組。
親のいない豪邸で、意中のあの子とアーン☆な雰囲気に持ち込もうという意図はわかるものの、どう見ても死亡フラグをぶち上げているようにしか見えないジモ校生ズ。
↓
まさかのご本人降臨。
↓
まさかの冒頭からフルスロットルなスプラッタ描写。
コメディ=浅めのスプラッタだと思ってましたが、そんなことはなかったぜ!
容赦あるかないかでいったら、容赦ないほうのグ●だったぜ!
↓
あっという間に四人を血祭りにあげたブッチャー君。屋敷に置いてあった謎の短剣に魅入られ、剣を手に闇夜へと消えて行く。
2.一夜明け、凶報でわーキャーとなる地元高校。
だが開催されたアメフトの試合で(中止しろや)、マスコットとして踊るJKミリー。
試合後におかんが迎えに来てくれるはずが、泥酔 → 迎え来ない → ブッチャー降臨 → ダヨネェ。
↓
格闘の末、手にした例の短剣で肩をぶっ刺されるミリー。
姉のシャーリーンが駆けつけ、間一髪で保護されるも、その晩、何やら怪しい呪文が響き渡り、うなされるミリー&ブッチャー。
↓
爽やかな朝。
いつもの部屋で、いつもの目覚め……ではない。
ミリー「どこや」
ブッチャー「どこや」
↓
鏡を見る二人。
ミリー「誰や」
ブッチャー「誰や」
3.謎の入れ替わり現象に見舞われた二人。
JKボディにいち早く順応。殺人☆スクールライフを謳歌するブッチャー。
中身が虎とも知らずに、普段どおり絡んできたムカつくやつらを凍結してみたり、二分割してみたりとやりたい放題。
↓
一方、おっさんボディに慣れないミリーは悪戦苦闘。
なんとか高校に忍び込み、親友のジョシュとナイラに事情を説明、協力を取り付けるも、件の短剣について調べてみると、なんと24時間以内に元の身体に戻らないと、永久にそのままであることが判明。
なんとか短剣を入手し、再度儀式=剣で相手の身体を突き刺す、を実行しようとする三人だったが……。
果たして、ミリーは無事に自分の身体を取り戻せるのか? というハラドキ展開を迎える本作。
友情あり、恋愛あり、おっさんありで、大変おもしろかったDeath。
原題の『Freaky 』は、1976年の映画『Freaky Friday』(入れ替わり映画元祖)から来ているそうですが、タイトルロールのオドロオドロしさが示すとおり、単なるハイスクールホラーものと思うには、若干☆☆☆描写がキツい気がするので、苦手な人は目にクッションを装備して見ようね!
筆者はギリギリ平気でしたよ。ギリギリね。
人物紹介
●バーニー・ギャリス(ブリスフィールド・ブッチャー)
主人公その1。冒頭で触れられた通り、90年代の高校で大勢の学生を殺したという都市伝説級の殺人鬼。
冒頭で押し入った高校生の家にて、古代アステカの短剣『ラ・ドーラ』を発見。『選ばれし者よ、我を手に取れ……』とRPGの導入みたいな勧誘をかまされ、短剣を手に、翌日早速ミリーを襲撃 → 身体が入れ替わるという結果に。
刺したのが肩だったからよかったものの、もしも心臓をぶっ刺していたら、二人ともどうなっとったんですかね。ドーラ君はもう少し雄弁になったほうがいいと思うヨ。
そんなブッチャー君の寝室は、一見死体にしか見えないけど、多分死体ではないマネキンかなんかという、超前衛アートで彩られている。
こんな部屋で安眠できる奴の気が知れん。
↓
自他共に認めるサイコゆえか、ミリーよりも入れ替わりに対する順応がすこぶる早い。
……のみならず、イケてるコーデとメイクでDKの心を鷲掴み。女子力53万の貫禄を見せつける → ミリーの立場がないったら。
自前のたくましボディと違い、か弱き女子ボディに若干の苦戦はするものの、顔割れしていない&女子=安全牌という印象を利用し、たったの24時間でやりたい放題。
同級生を凍結するわ、教師を真っ二つにするわ、DKの首をばっさり落とすわ、発見した人の心労を考えろと言いたくなる。
幸い、ミリーと仲間の活躍で元の身体に強制帰還 → リベンジに自宅に乗り込むものの、女性三人の猛反撃に遭い、その生涯を閉じることとなった。
ただ一つ疑問なのは、ブッチャー君が都市伝説となってから今までの20年間、一体何をやっていたのか、という点。冒頭のジモ校生談では、その後目立った活動もしていなかったようなんですが、案外真面目に働いていたりしたのでしょうか。
それにしては、昔とった杵柄というか、冒頭での暴れっぷりにブランクがなさすぎるような気がしないでもない。
●ミリー
主人公その2。母が勤める店の古着に身を包むイケてない女子高生。
……という触れ込みだが、小花柄ワンピのニュートンさんは、これはこれで超KAWAIIと思うのは筆者だけでしょうか。
母の意向に反し、大学進学を希望。内申のため、部活動=アメフト部のマスコットを務めるというガッツを見せるが、それが仇となってブッチャーに狙われ、殺人鬼と魂が入れ替わった → 激烈KAWAII生物が爆誕した。
見た目はどう見てもおじさんなのだが、一挙一動……それこそ指どころか爪の動きまですべてが女子であり、ブッカー君じゃなくてもこれはチュー余裕じゃねーのと思わせるくらいに超KAWAII。なんだこの生き物。
正直、入れ替わったままでもよかったんじゃね……と思いはしたが、もちろんそんなわけにもいかず、24時間のタイムリミットを目指して親友二人と悪戦苦闘。
制限時間内に見事儀式を実行し、本来のピチピチボディを取り戻すことに成功する。
……が、ブッカー君のハートこそゲットしたものの、彼女の指紋がベタ付きであろう凍結マシーンや、木工室の電ノコなど、調べればミリー=下手人の証拠がズンバラ挙がりそうなんですが、そこは大丈夫なのだろうか。
事情を理解したシャーリーン姉ちゃんが暗躍なんぞしたりするんでしょうか。
ホラーの伝統通り、最後は見事ヒロインとして覚醒。死んだと見せかけて、自宅に乗り込んできたブッチャーを見事返り討ちにした。
その際の決定打と決め台詞は『タマ』関連。魂(タマ)だけにね!
そしてなぜ服は臭わないと思った。
絶対一週間とか洗濯してねーんだズラ。
●ナイラ
ミリーの親友その1。さっぱりとした性格のナイスなギャル。
ブッチャーの姿で登場したミリーを見て混乱。やめろというのにしつこく袋叩きにしようとしたため、キレたミリーによって、背中を机にしこたま打ち付け悶絶するという目に遭わされる。
普通にひどい。
というか、当たりどころが悪ければ大怪我レベル。ミリーは自分が190cm超えの超大柄マッチョボディだということを理解すべき。
シビアなホラー映画なら、親友の皮をかぶった殺人鬼にサクッと刺されるポジションだが、本作は優良親切設計のため、最後まで頼れる親友ポジとして、ミリー復活のために尽力した。
が、変装のセンスはない。
ブッチャーの招待を隠すため、持ってきたアイテムがマスク一個って君……。
怪しさが倍増しただけである。
●ジョシュ
ミリーの親友その2。恋バナにも全力投球なナイスボーイ。
物語中盤、捕縛したブッチャーの監視係に命じられたことで、一気に死亡フラグが爆上げ。
正直、この展開で助かった奴見たことない……とハラハラしたのもつかの間、登場した母親共々コメディ街道を突っ走り、見事生還を果たすという快挙を達成。
やはり、世界最強は主人公でも野菜人でもなく、ギャグ属性であると認識した次第。
パーティ会場で粉かけてきたアメフト部員といい感じになるかと思いきや、相手がクズだったために発展せず。
お前なんぞにこの子はやらん。
●ブッカー
ミリ―の意中のイケメン。アメフト部所属のスクールカースト上位男子。
ミリーとは木工の授業でお隣同士。陰険教師にいじめられる彼女に、気遣わしげな視線を投げるなど、脈アリな雰囲気だったが、実は「前から好きだった」仲であることを告白。ブッチャーの中身=ミリーであることを認識した後、車内で彼女といい雰囲気になる。
この際のヴォーン氏の激烈KAWAIさは映画史上に残るレベルでマジKAWAIIのだが、なんとこのブッカー君、そのヴォーン氏と超絶キュートなラブシーンを披露する。
正直言って、男前が過ぎる。
そして、この奇跡のラブシーンを、なんの違和感もなく演じてしまうヴォーン氏とユリア・シェルトン氏の素晴らしさと来たら、まさにオスカーを献上してしかるべしである。
そんな有能男子は撒いた伏線もきちんと回収。時計は五分進めておくべし、が最高のスパイスとなったわけだが、一歩間違えば逃さんでいい機会を逃す羽目になったかも知れず、せめて一言注意しとけやと思わんこともない。
最後は元の身体に戻ったミリーと相思相愛に。翌日以降のスクールライフに期待がかかる。
●ポーラ
洋品店に勤めるミリーの母。夫を一年前に亡くし、傷心からアルコール依存症気味に。
ミリーが刺された晩も、彼女がお酒を飲んで居眠りをしていたために、娘を危険に晒すことになった。
警察に追われて店に逃げ込んできたミリーと、そうとは知らずに試着室のドア越しに会話。親子の絆を取り戻すきっかけとなる。
その際、相手=同年代の男性と思ったポーラと若干いい雰囲気になってしまったわけだが、万が一ミリーが息子だった場合、トラウマ級の破壊力がある出来事のような気がしないでもない。
その後、同じ男性が深夜に自宅に侵入して来たが、中身が別人だったため、娘たちと三人でボコボコにした。
●シャーリーン
ミリーの姉。警察官。
酒浸り気味の母と、彼女に依存され気味な妹に塩対応を取る。
が、帰りの遅いミリーを心配して迎えに来たり、彼女が負傷した際は必死になったりと、内実は家族思いであることが伺い知れるナイスな女性。
警察官という立場故に、死亡フラグが濃厚であると思われたが、殺戮の舞台が高校に限られていたのが功を奏し、見事最後まで生き残った。
事件後はミリー、ポーラと無事に和解。心の雪解けが示唆されて終わる。
●ラ・ドーラ
すべての元凶。古代アステカの短剣。
ふわっと見ていたわけではないのですが、これの効能がよくわからず、そもそも刺した相手と入れ替わるタイプのものなのか、それともなんか儀式の副産物としてああなったのか、何が何やらようわからん。
ブッチャー君相手に「君を待ってたよ〜」的なことを言ってたと思うのですが、本来は自分を使って彼に大量殺人をしてほしかったとか、そんなん? ほにゃん?
何にせよ、魂入れ替わりという珍現象を、『古代アステカ』の一言でまとめるアステカはマジでパない。
●アイザック
犠牲者その1。冒頭に出て来るジモ校生の一人。
それなりにイケてるグループの一人のようだが、中身は微妙に三枚目。
物音に驚いて、高価なワインを割ってしまい、ぶつくさいいながら拾っていたが、まさかそれを使って☆☆☆されるとは思ってもみなかったんだズラ。
ホラー映画における、『本作のグ●さはこのレベルですよー』の指標となるキャラなため、もしもダメだなと思ったら、以降はクッションを両手に装備することをオススメします。
●ジニー
犠牲者その2。どちらかといえば優等生系女子。
アイザックと二人で室内に入った後、突如トイレのドアをガシガシ叩かれ、現れたブッチャーに、便座の蓋を使って☆☆☆。
犠牲者その1に引き続き、「あ……この映画、女性にもそういうことするんだ……」という一つの指標を抱かせてくれる。
ふつーは男子担当だと思うのだが、ブッチャー氏の容赦のなさよ。
●エヴァン
犠牲者その3。イケてる系男子。
ホラー映画における鉄則、作中であ~ん☆な行為に及んだ者の末路を体現。
わざわざ二つに折られたテニスラケットを、頭蓋骨内で再会させられるという目に遭う。
再会さすなら、そもそも折んなや。
●ジニー
犠牲者その4。ジモ校生ズがブイブイ言ってた豪邸に住んでいる女子。
他三人が☆☆☆された後、ブッチャーに追われてクローゼットに逃げ込むという悪手を見せた……と思いきや、なんと奥は巧妙な隠し部屋になっており、見事殺人鬼の目を欺いて生き残った。
……と思った矢先、彼女の両親が帰宅。ホッとしたのか、警告せなと思ったのか、ほいほいと外に出たため、待ち構えていたブッチャー君に、お腹を☆☆☆されて死亡した。
彼女が出てこなかったら、代わりに両親が殺されていたかもしれんし、難しい問題である。
●テイラー
犠牲者その5。ミリーをチョイチョイいじめていたイケてる女子。
殺人鬼に襲われたミリーをして、「あんた、何かされたんじゃないのぉ〜〜」というゲス魂を披露。
冷凍庫に入れられ、☆☆☆されて砕け散るという憂き目に遭う。
ミリーが見つけたときはフローズン状態だったが、解凍された時のことを思うと……今日の朝ごはんは目玉焼きでした。
●フレッチャー
犠牲者その6。木工の授業の先生。気弱なミリーをネチネチといびり倒すスクール系悪役の鑑。
まあ犠牲者になるんだろうなと思っていたら、案の定そうなった。
ドライバーを頸部に刺された挙句、倒れ込んだのが木工用電ノコの軌道上という、何をどうしても最悪の未来しか見えないムーブをかます。
そして案の定☆☆☆した。
彼の死に様は、どんなに嫌な教師でも、人の子であり、誰かの親であるかもしれん……という事実を噛み締めたくなる前に目をそらしてコロッケ買いに行ったらいいと思います。
●アメフト男子
犠牲者その7以下続々。
ミリーを連れて、パーティ会場の裏でアーン☆なことをしようとし、返り討ちに遭った。
以前の犠牲者よりはソフトに☆☆☆かと思われたが、その後再び映ったときは、ご丁寧に首が☆☆☆されていたりして、なんであいつは前衛アートを作らんずにはいられんのだと思うことしきり。
●ジョシュ母
客室乗務員として留守にしているはずが、絶賛ブッチャー拘束状態の自宅に帰り、死亡フラグを爆上げしたご婦人。
が、そのコミカルさ故に息子ともども生き残り、あらまあ怖い目に遭ったわぁー程度で済んだ人。
無事で何よりざんす。
●監督
クリストファー・B・ランドン氏。『ハッピー・デス・デイ』を撮ったお方。
本作もめちゃめちゃ面白かったです。ありがとうございます。
↓ブルーレイディスクの予約受付中。この二人、どちらももれなくKAWAIIのだ!
↓『ハッピー・デス・デイ』の感想はこちら。