映画『TENET テネット』ネタバレ感想。面白い。すごく面白いけど、「???」(二週目追記あり)

テネット 映画 テネる SF

原題:Tenet
2020年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆☆
頭「?」度:☆☆☆☆☆☆

【一言説明】
SFはなあ……。

テネット 映画

『ダークナイト』『インセプション』『インターステラー』。数々の話題作を世に送り出す名監督クリストファー・ノーラン氏の最新作『TENET』がこの度公開。
例によって、事前情報は予告編のみ。
というか、予告編を見ても、ワケワカメ。
何やら死地から生還した男が、第三次世界大戦を防ぐらしいが、だから結局どういった方向性の映画なのかと聞かれれば、さっぱりわからん素敵仕様。
これは最早……劇場に行くしかない……!

そして、『インターステラー』と『ダンケルク』がノーラン監督作品だということを、たった今知った筆者です。
wikiって偉大。

wikiといえば、最近『寄付してチョ』というお願いを目にしたので、もちろん寄付するさ、とペイパルアカウントを作ったものの、なんでか登録したクレカが登録されてない扱いになり、じゃあどうやって寄付したらいいのさ! という負のマインドスパイラルに陥っております。
待ってろ……今、寄付するからな……!

主演は『ブラック・クランズマン』のジョン・デヴィッド・ワシントン氏。共演に、『トワイライト』シリーズのロバート・パティンソン氏と、『コードネーム U.N.C.L.E.』のエリザベス・デビッキさん。そして我らが名優ケネス・ブラナー氏が出演されています。

※エンドクレジット後に映像はなかったので、安心してトイレを目指せるのであります。

※一周目の記事で、『スタルスク12』を『スタルクス21』と記述。そして、キエフのオペラ会場をロシアと記述したことを深くお詫び申し上げます。
キエフはウクライナの首都じゃっちゅーねん。
(2020.10.21.修正済)

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あらすじ

死の淵の長い夜を抜けると、TENETであった。
=テロ組織に捕まり、情報秘匿のために毒薬を飲んだ男が、どっこい生きてて目を覚ますと、『TENET』という謎組織に勧誘された。

そして、男は第三次世界大戦を防ぐため、未来から送られた逆行する銃弾を使い、逆行する敵集団を相手に、逆行したり順行したりしながら、果てしなき戦いを繰り広げるのだったが……。

正直、何を言っているのかさっぱりです、母さん。

※以下ネタバレです。何も知らずに見た方が、一順行光年楽しめるので、未見の方はご注意。

 

 

 

感想

????????

うん……?
うん……????

難解だとは聞いていたものの、どういうところが難解なのかよくわからず劇場入り。
  ↓
時間の順行と逆行が入り乱れての大混戦。
  ↓
そりゃーわけわからんわ。

中盤のカーチェイスに至っては、順行(味方)と順行(敵)同士がわちゃわちゃしているところに、絶賛逆行中の主人公が、こちらに尻を向けたまま、ハイ、失礼しますよーーーっつって間を通って行ったりするもんだから、「えっ、今の何?」って、順行主人公同様にぽかーーん。

これを作った人は、良い意味で頭が道化死ているぜ!

筆者がよくわからなかったのは、時間を逆行しているはずの主人公が、何故突然過去の時点で順行に戻っとるのか、という点でした。
そこがマジワケワカメで「???」だったんですが、帰ってから、あの回転扉に再び入れば、その時点で順行に戻れるんだ、と気づいて納得。
  ↓
ということは、やろうと思えば、二重三重どころか、好きなだけ同時間軸に同一人物を配置できるんでねーのと気づいたんですが、特にそれをやる意味もなかった。抹消の危機を増やすだけだった。

そしてもう一点。
ベトナムの船上で殺されたセイターは誰だったん? というのが「???」。
順行のセイターだったとしたら、その後に登場するセイターは何なの? あれ誰なの?
  ↓
死んだのは、逆行して一番幸せな時間に戻った未来のセイターだった。
なるほど!
そういや、キャットがそんなことを言っていた気がする。
ということは、あの船上での夫婦対決は、逆行妻VS逆行夫だったんですね。へえぇーー、よくできてる!

とりあえず、
 ・逆行するには、各地に複数ある回転扉に入る必要がある。逆行から巡行に戻る際も然り。
 ・逆行中は酸素が肺に吸収されないため、外で活動するには酸素マスクが必要となる。
 ・逆行中の時間感覚は巡行と同じ。一日前に戻るためには、逆行状態で一日を過ごさねばならない。
という点が理解できていればオーケー……なのか?
個人的には、冒頭のオペラハウステロと、スタルスク12の挟撃作戦、そしてベトナムでの船上イベントがほぼ同時刻に起きていると知り、大層びっくりしました。
後で言われんと気づかんぞなもし。

そもそも、逆行弾の話が出て来た時点で、途中に出て来る怪しげな逆行組は、実はすべて主人公でした! という種明かしが来ることは分かっていたんですが、キエフのオペラ会場の人物だけは、ニールだったという事実が心底アツい。
おそらくニールは、アルゴリズムを主人公に預けた後、死地であるスタルスク12に戻る前に、キエフのオペラハウスに行って主人公を助けている。
(違ってました。二週目追記あり)
この映画のアツいところは、順行組の主人公も、逆行組のニールも、友情に関しては共通の『結果→過程』という図式で進む点だ。二人の終始は真逆で、ニールの終わりは主人公の始まり。主人公の始まりは、ニールの終わり。
どちらも、相手との友情を実感した瞬間に、終わりが訪れる運命にある。
「麗しき友情の終わりだ」という台詞は、おそらく未来で主人公がニールに言った台詞でもあるのだろう。自分にとっては終わりでも、相手にはこれから迎える未来がある。その幸運を祈る、非常にぐっとくる台詞だ。

なんというか、このラストを迎えたとき、やられた、と思った。
タイムパラドックスの設定で、『ターミネーター』のカイル・リースを上回るものはないだろうと思っていたが、これはカイルに並ぶほどの、実にアツい物語である。
巷では、ニールの正体は、キャットの息子マックス=Maximilien=Neil、という噂が囁かれているそうだが、別にどこの誰でもいいじゃないかと個人的には思う。
友情に、相手が何者かなんて関係ないのだ。

そして、結果と過程の観点からいうと、ラストのベトナムにて、キャットがフライング気味にセイターを撃っても世界が終わらなかったのは、結局のところ、未来は存在するという結果があったからじゃねーのと思いました。
未来人が『祖父殺しのパラドックス』を無視したように、今回のアルゴリズム大戦争が起きたのだって、未来が過去に関与したという結果があったからこその過程だったのでは……と、深く考えるとアババババ。

見終わった直後は、細部が分からず「?????」だった筆者ですが、とりあえず、大まかな筋は理解できるように作られているし、「?」なままでも超面白いという、実に素晴らしいスルメ映画でした。

ただ、鑑賞後三日してから、本作のジャンルはSFだったということに思い当たり、結局のところ、膝から崩れ落ちるようにして、「SFはなぁ……!」となった次第です。
SFってさあ。
SFってさあぁ!!!

人物紹介紹物人

●主人公
CIAの凄腕スパイから転身。TENETの凄腕工作員へと変化を遂げる、ザ・ハードボイルドな男性。
画面が遠景でも懸垂によって自身の位置を知らせてくるというナイス自己主張を見せてくれる。そんな場所で懸垂すんの、お前しかおらん、みたいな。

「無知は武器」という主義の元、過去の自分をほぼまっさらな状態で、人類の命運をかけた最終決戦にぶち込むという所業を見せる。
与える情報が組んだ両手と『TENET』だけとか、お前はどんだけミニマリストなんだ → とりあえず懸垂するから問題ない → ゴイス。

この方式の何が問題って、主人公のみならず、観客も無知の状態で戦わざるを得ない状況にぶち込む監督が鬼。
ノーラン氏がうん十年かけて練り上げた構想を、たった二時間弱で理解しろとか、馬鹿なこと言ってんじゃないYO!

まあとにかく、すごいバイタリティと戦闘能力とを持った主人公氏は、臨機応変に目の前の難事を払いのけ、順行から逆行し、逆行から順行し、逆行したと思ったらまた順行し、過去の自分相手に床をわちゃわちゃっと転がる奇怪な動きを見せつけたり、なんかコロコロ転がってきた車に乗っていたのが実はご本人だったり、そしてなんと『TENET』を作ったのはご自身だったり、そうか、このわけわからん展開はテメーが仕組みやがったのか、と最終的にはすべての責任を押し付けたいポジションなのですが、とりあえず超かっけーので大好きです。

最終的には世界を守り抜き、9つあるアルゴリズムのうちの2つをもらって、どこぞへ消えていった……わけではなく、これから『TENET』組織しないといかんから大変だよ。

そして、帰宅後wikiを見て初めて、彼が『名もなき男』としてクレジットされていることを知りました。
そういえば、一度も名前呼ばれなかった → まったく何の不都合もなかったのでゴイス。
戦う男に名などいらんのだよ。

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●ニール
主人公の相棒ポジに収まるテネットの工作員。さりげなく出てきたわりに、かなり有能で、主人公と順調に友情を育んでいく……も、オスロ空港で逆行兵士と戦った際に、若干の怪しい動きを見せたため、てっきり裏切ると思っていた。
  ↓
どっこい、とんでもアツい展開が待っていた。
現地合流の工作員 → 主人公の相棒ポジ → 死を覚悟して戦地に戻り、鍵を開けて人類の未来を救ったうえ、主人公を銃弾からかばって命を落とす、という。この映画のいいところをすべて持っていくナイスキャラに発展。
男前が過ぎる。
ないとは思うけど、もし続編があったら、未来主人公と過去ニールとの大活躍が見られたりするんでしょうか。ぜひ見たいんですが。

最後のシーンで疑問に思ったのが、ニールは予め自身の運命を知っていたのか否か、という点。
多分、『無知は武器』なので知らされてはいなかったでしょうが、主人公とアイヴスを爆発から救った時点で悟った……とかですかね。
演じるパティンソン氏の出演作品をまともに見たのは本作が初めてなのですが、すっかりファンになりました。せひ他の映画も見てみたいと思います。 → Netflixの『悪魔はいつもそこに』を見て、多分ク●が! ってなるフラグ。

●セイター
本作の敵役。
その昔、放射能に汚染されたスタルスク12というロシアの僻地で、うんせこと汚染物質を集めていたら、そこに未来からのお手紙が紛れており、9つのアルゴリズムを集め、過去人類を抹殺する刺客としてスカウトされたそうな。
いやいや、人類死ぬ=自分も死ぬのに、加担するわけないじゃないすか → もうすぐ膵癌で死ぬ=死なばもろとも精神の持ち主 → 超・迷・惑。
しかも、人生で一番幸せを感じた時にわざわざ戻り、人類抹殺のスイッチを押すべ、という演出家。
そりゃーキャットでなくとも、船から叩き落としたくなるわ。

演じるケネス・ブラナー氏は、素晴らしい人格者なため、こんな悪役演じるの辛ぇわーとなったそうですが、そんな葛藤を微塵も感じさせないク●・オブ・ク●っぷりはまさに名優。
何を演じても上手ですなあ。

「お前が他人に所有されるのは許さん」という映画史に残るク●っぷりを見せつけた後、自身の心臓が止まる=アルゴリズム起動=人類滅亡の仕掛けを作動させるため、いそいそと毒薬を口にふくもうとしたところ、妻キャットに銃弾を打ち込まれ、自慢の船から叩き落され死亡した。
もちろん、人類は道連れにならなかった。
めでたし、めでたし。

●キャット
本作のヒロイン。セイターの妻で、彼との間に息子をもうける。
絵画の鑑定士を営む有能で美しい女性。
夫にわざと贋作を買わせたものの、それをネタに脅され、息子を取り上げないかわりに、結婚を続けることを強いられるという、カゴの中の鳥。
セイターに接触するための手段として、当初は主人公に利用されるが、その後はめきめきと強さと気概を取り戻し、最終的には夫を船から力づくで叩き落とした。

その直後、過去の自分との接触を避けるため、船から海へとダイブ → それを見た過去のキャットが、「なんて自由な女性かしら」と羨望を抱くというオチがつく。
キャットの精神が開放されたことを示す名シーンなのだが、人類の命運がかかっているのに、「ドヤ顔が耐えられん」という理由で若干のフライングをかましたり、客人を迎えたセイリングの海上で、「死ぃーーねぇーーー」と夫を海に突き落としたりと、その魂はだいぶ荒ぶっているようである。
美人なうえに、超強いという、ありていに言って最高な女性。
そりゃ主人公も守ろうとしますよ。

●マックス
キャットの愛息子。おかんに似たかわいらしい少年。
おとんに似ないでよかったね!

●プリヤ
インドはムンバイに住む女性。
なんや彼女の立ち位置がふんわりとしかわからなかったのですが、後の展開を見るに、『TENET』で未来の主人公から指令を受けていた人……的な?
主人公の意思に反し、人類救出後にキャットを抹殺しようとしたため、主人公に返り討ちにされた → このあたりの機微はふわっとしか見てなかったので、後の機会にしっかり見直してみるよ!

●アイヴス
『TENET』の工作員の中でも、地位の高そうな指揮官らしき人。
スタルスク12にて、主人公とともに、生きては戻れぬ作戦に就き、無事に生きて帰ってきた。
が、9つのアルゴリズムのうち、1つを引き受け、それを過去=現時点でどこぞへわからんように隠す必要があるんだかないんだかで、とにかく身を隠すことになるので、結局生きては戻れぬんだかなんなんだかようわからん。
後の機会に以下略。

●バーバラ
主人公が『TENET』勧誘された直後に出てきた研究者の女性。
未来から送られてきた逆行弾について研究しているそうだが、その後とんと出てこなかったので、何か残念。
短い出番ながら、キャラが立っていたのが素晴らしい。

●ホテルの紳士
名優マイケル・ケイン氏演じる、大物感漂う紳士。
主人公にムンバイになんかあるよ的な情報をくれた後、やっぱりとんと出番がない。
なんでなのだ。マイケル・ケイン氏だぁと喜んだ漢心を返せなのだ。

●フェイ
予告編にも出ていた、「ようこそ、死後の世界へ」の人。
そしてその台詞を言うためだけに出てきた人。
その後とんと出番が以下略。

●未来人
過去人のやらかしにより、環境の破壊され尽くした世界で、どえらい目にあっているらしき人々。
ク●が! このままじゃ滅亡だ! → これはすべて過去人類のせい → じゃあ、過去人類を抹殺すればいいじゃん! という思考にて、過去セイターを勧誘し、環境が破壊される前に人類抹殺を企む。

何かもう、破れかぶれという言葉がぴったり。

何故SFの登場人物たちは、現在を是正するために過去を改変しようとするのか、その思考回路がさっぱりわからん。
SFってさあ。
SFってさあぁ!!

●持ち帰りを依頼されたレストランの人
マジで御冗談をの一言。

●車とか建造物
人もそうだが、本作において最も大変な目にあったのは彼らである。
爆破されたと思ったら戻ったり、修復されたと思ったら破壊されたり、上が直ったら下が壊れたりで、結局俺は壊れるのか直るのかどっちだよ、とさぞや叫びたかったことだろう。
お疲れー。

●逆行世界
中盤に至り、主人公が逆行世界に突入し始めたシーンにて、ああ、監督が撮りたかったのはこれなんだなーと実感。
うむ、うむ。
なんだかよくわからんけれども、とにかくなんかすごい映像と演出が流れていき、なんだかよくわからんけれども、なんかめっちゃすごいもん見たという感想で劇場を後にし、眠りにつくときまで、なんだかよくわからんかったよ?
鑑賞後、数日は頭が「???」だったよ!

●監督
クリストファー・ノーラン氏。
いつも素晴らしい作品をありがとうございます。次回作もとてもとても楽しみにしております。

↓『メイキング・オブ・テネット』というのが出ているそうです。これを読み込めば、この「?」に答えが見つかるのだろうか……。 → どれどれ、値段は……。 → 高ぁ〜〜〜〜けぇ〜〜〜〜〜〜。

 

********巡行と逆行の合流地点********

 

●監督
本作を世に送り出した罪なお方。
二週目どころか、永遠に挟撃するがよいという幻聴が聞こえてくるようです。

●逆行世界
エントロピーがうんたらはまだいいんですが(本当はよくありませんが)、摩擦が逆になって、熱が冷気になって……はもう考えるな、感じろの世界。
初めての逆行世界の演出で、カモメちゃんがひゃーーっと逆向きに飛んで行ったが、逆行中の相手を見て驚いているのは向こうも一緒だということを忘れてはいけない。
……いや、どうだろう。案外驚いてないかもしれない。
「アイツらまた変なことしてるぜ」的認識どころか、多分カモメは気にもしていない。

●ジャンボジェット
CG嫌いな監督が、自費で買い上げ、実際に突っ込ませたというジェット機。
おそらくは新品ではなく中古かと思われるが、「俺、今度有名な映画監督のところに行くんだ!」と周囲に栄転を知らせた挙げ句の、あの扱いである。
この映画、マジで無生物に優しくない。

●スタルスク12
建築資材的に見て、映画史上十本の指に入るくらい悲惨な目に遭っている都市。
ラスト十分間の挟撃作戦=TENの回文=TENET的な演出が当てられ、主人公を含む赤と青の順行逆行班に挟撃されるわけだが、正直この作戦中に破壊されたビルは何がどうなっているのかとんとわからん。
上がパーーンっつって壊された後、瞬時に元に戻った……と思ったら、少しの間が空いた後にバーーーンって、今度は下部が破壊されたりで、一瞬、この都市の建築資材は、前世でどんな悪行を積んだらこんな目に遭うのか……と真面目に考えてしまった。
お前ら、生物を救うつもりでも、無生物に辛く当たるの、マジやめーや。
……かく言う筆者も、『スタルクス21』と間違えて記載していたので、あまり人のことは言えないのだった。メンゴ。

●お持ち帰りされなかった料理
紳士が二人分食べたとは思えないので、行く末が果てしなく気になるのだ。もったいないことするでないよ。

●未来人
その後環境が改善されたのかは謎の人々。
どうも海が干上がって大変なことになっとるようだが、時間を遡る技術があるなら、今から環境をなんとかする技術を開発したらよいのではないかと多分大勢の人が思っている。

●ホテルの紳士
ブルックスブラザーズだっていいじゃナイデスカー。

●プリヤ
一周目でふわっとしかわからなかった彼女周りですが、一応未来の主人公から指示が来るんだかなんなんだか、とにかくTENET組織におけるハブ的な役割……なんだと思うけれども、何故最後にキャットを殺害しようとしたのかよくわからんので三週目以下略。

●マックス
一説では、マックス君のリュックに例のストラップがついている……という噂があるため、目を皿のようにして見てみましたが、ついてなかったデス。

筆者はニール=Notマックス派ですが、それ以前に例のストラップは、多分未来で主人公があげたやつだもん。そうだもん。

●キャット
二週目も絶賛荒ぶる魂を持った美人妻。
てっきり、アレポ君の絵が贋作だと知りつつセイターに売りつけたのかと思いきや、実は知らずに売りつけていたことが二週目で発覚。
ちょっとだけ彼女を見る目が温かくなった……かに思えたが、前述のヨット引きずり事件があるため、結局怖ェ……という感想の変わらない女傑。
正直、順行だの逆行だの、日ごろから訓練している連中が横でブイブイ言う中、モノホンの巻き込まれ一般人である彼女は実によくやったと思う。
愛の無くなった今はク●だが、出会った頃のセイターは、さぞや素敵でミステリアスな相手だったんだろう……な?

おそらく、その後主人公が接触することはないのだろうと思われますが、彼女の行く手に幸多からんことを願うのであります。

●セイター
二週目も絶賛憎まれ役が過ぎる男。
正直、タリンでの回転扉を前にしての役割は、マジもってわけわかめの極致だったうえに、逆行側のセイター氏は音声が逆再生になっているので、このおっさんは何を宇宙語を話しているのだろうと思っていました。
というか、「アルゴリズムのありかはどこだ?」「もう言った」からの、「セイターをだましてやった」の流れが、二週目でもようわからんかったのは筆者の頭がパーだからでしょうか。結局どこにあったんだっけ? ほにゃん?

その後、アルゴリズムを手に入れてからは、さして大暴れすることもなく、どこぞの施設で着々と終わりを目指して絶賛逆行潜伏中をかましていた模様。
主人公側は、未来を味方につけたセイターに動きを読まれないように、「絶対に記録に残させるな!」と、アルゴリズム移送の襲撃作戦を立てたりするのですが、お前らそれで記録が残らないと思ってんのかと真顔で突っ込みたい気分になりました。
移送車が突如巨大トラック四台に挟まれてアババババって、十分事件じゃっちゅーに。

そして二週目も憎たらしいセイター氏は、憎たらしいままに、海に落っこちて死んでゆかれましたが、改めて見ると、落ち方がエグい。
しかも、その後の遺体をヨットで引きずっていく絵面を何故か一周目はスルーしちゃったんだけれども、多分言及したくないくらいにキャットが怖かったからだと思い当たり、改めて怖っ。

●ニール
世界の命運をかけた挟撃作戦の相棒役。二週目に見ると、最も印象の変わる人物。
一周目は、てっきりアルゴリズムを主人公に預けた後でキエフに戻ったのかと思ったが、「オペラ会場にセイターがいた」ことを知っていたことから、映画の時間軸では、開始地点は主人公と同じだったことがわかる。
多分、主人公がテストに受かるかどうか、心配して作戦に参加したのだと思うが、どこまでもいいやつが過ぎる。
つまり、ニールのタイムライン的には、未来で主人公に雇われる → いくつもの任務をこなしつつ、キエフのオペラ会場時点まで逆行 → 逆行弾を撃って主人公を助ける → 順行状態のまま、インドで主人公に初コンタクト → 一緒にわやわやと冒険を繰り広げる → アルゴリズムを主人公に託し、再び逆行 → 10分間の挟撃作戦に逆行組として再度参加 → 爆心地で鍵を開けた後、主人公をかばって撃たれて死亡、となる。
ということは、挟撃作戦の時点で、同じ時間軸上にニールは三人存在したことになり(二人はスタルスク12、もう一人はキエフ)、もしかして挟撃作戦中に、よく見ると鍵を開ける側のニールが映り込んでいる可能性もあるわけで、レッツ三週目! → 監督この野郎、という流れ。

爆心地で倒れているストラップの兵士は、改めて見るとヘルメットの中が真っ赤に染まっている。
彼の結末は悲しいが、この壮大なる挟撃作戦はたった今始まったばかりでもあるわけで、まったくもって、ロマンが過ぎるのであります。
あっぱれ。

●主人公
スーツの上からでもわかる、盛り上がった上腕二頭筋がとんでも素敵なマッチョスパイ。
その正体は、『TENET』の仕掛け人、かつ観客視点の代弁者。
……に見せかけて、「逆行状態での運転は、狂気の沙汰」と言われた逆行運転をわずか数秒でものにするなど、無限の可能性を持つ男。どんだけハイスペックなんだね、君は。

演じるジョン・デヴィッド・ワシントン氏は、さすがは元アメフト選手。格闘の際の一撃、一撃が見るからに重そうで、その強さに説得力を持たせている。
オスロでは、過去の自分相手には苦戦するものの、次第に逆行Ver.が劣勢から優勢になっていくのも、時間の経過というものをきちんと考慮しており、さすがの演出と言わざるを得ない。
だが、過去の自分相手に、わりとガチで逆行弾をぶち込もうとしていたのだが、もしも当たっていたらどうするつもりだったんだろうか。

タイムライン的には、観客と同じ時間軸で進むため、最も理解しやすい人物……に見せかけて、度を越して優秀であるため、観客の一歩どころか百歩先を行く順応性を示し、結局は何をやっているのかお前が一番わからんという困った男。
でもって、どこか優し気なニールと違い、ハードボイルドの極致を行く男。
あれだけキャットを気にかけつつも、要所要所では作戦遂行に必要な手段として扱うなど、やっぱりCのつくIとA出身の人間とは、友達になりたくねーわと思うのであります。

そんな彼が、思わず素をさらけ出し、「この結末しかなかったのか!」と言葉を投げかける相手がニールというのが、これまたロマンが過ぎるのであります。
あっぱれ!

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想感

????????

……うん……?
満を持しての二週目に突入したにも関わらず、結局のところ、何が何やら頭がパー!

周囲の度肝を抜いたという、中盤のカーチェイスシーン。
目をカッと見開いて注視して見た……のですが。
逆行セイターの車の動きがマジわかめ。
一見、主人公の車の尻に、逆行セイターの車がぴたりとバック走法で追跡してくるように見える……のですが。
逆行セイター側の立場に立ってみると、こちらに尻を向けて迫ってくる主人公車に、逆に追われる形で走行している……のか? それとも、主人公車の動きに合わせて、わざとお尻合い状態になるよう、巧みに運転しているのか?
  ↓
とりあえず、アルゴリズムの乗った主人公車を逃がすまいとしているってことでOK。
……OK……?

なんというか、二週目の甲斐があったのか果てしなく謎ながら、一周目は頭ポカンだった回転扉の仕組みを理解していたため、オスロの空港にて、主人公が逆行から順行に戻った瞬間も置いてきぼりにならずに済み、なんで逆行主人公は命がけのカーチェイス中に、スマホで録音なんぞしてんの、とか、タリンの施設にたどり着く前に、酸素マスクの人物おるやん、とか、要所要所で二週目的楽しみが可能となったので満足です。

さて、一周目でも書きましたが、『セイターが死んだのに、何故アルゴリズムは起動しなかったのか』という謎について。
二週目を見た後も、やはり同じ結論=『未来は存在する』=『ベトナムより先の時間軸が存在するから』という理由に落ち着きました。
あくまで個人的な意見ですが、本作で起きたすべての出来事、人物たちは、オスロの空港で見た『ガラスに残った弾痕』である、と解釈できるのではないでしょうか。
弾痕がある=銃撃が起きたという事実が存在するように、未来から武器が送られてきたのなら、未来に人類は存在する、という理屈が成り立つはず。
『無知は武器』という主人公のポリシーは、言ってみれば無知でなければいけないわけであり、「セイターにアルゴリズムを盗まれることを、未来の自分に警告しろ」という主人公の訴えを、プリヤが「それを実行したとしても、その時間軸に私たちは存在しない」と断るように、すべては、すでに空いた弾痕に従い、銃を撃つという選択肢しかない、という。
一見、運命論のように聞こえるけれども、これはあくまで順行側から見た印象であり、実際には、主人公たちの自由意志によって選択された出来事である。
そのあたりが、なんとも歯がゆいというか、自分は何言ってんだというか、とにかく深く考えると結局はアババババとなるわけですが、まあなんというかそんな感じでした。

そして、二回目にてさらに実感したのが、本作の根幹にある、二人の男による挟撃作戦のロマン
一周目でも書いたように、主人公とニールは、それぞれ真逆の始点と終点にいる。
二週目を見てさらに確信を強めたのは、ニールの始点で、主人公は彼と同じような死に方をしているのであろう、という点。おそらくはニールをかばい、かつ人類の命運のために死んでいったのでしょう。
だからこそ、終点のニールに迷いはない。
彼が終わっても、主人公が始まる。逆に、主人公が終われば、ニールが始まる。
二人は時間の両極を始点に、世界の危機を挟んで終わりのないループを繰り返している。
これは、主人公とニールによる、世界を救うための、永遠の挟撃作戦なのだ。
『TENET』の『T』とは、二人の男が立つ時間の位置を表しており、Nという世界の危機を間に挟むことで、地球を滅亡から救い続けているのである。
  ↓
ロマンが過ぎる。

もしかすると、ニールが鞄につけていた特徴あるストラップは、未来で主人公が彼にお守りとして渡したものだったのかもしれない。
  ↓
ロマンが過ぎる。

もちろん、二人の主役以外に、キャットやセイター、アイヴスなど、時間とパラドックスを巡るロマンは果てしなく加速していき、三度、四度の『TENET』へと、人類を誘い続ける。
我々は最早ノーラン監督の、魔法という名の挟撃作戦から逃れられぬ運命なのである。

……とか言ってみるのだが、SFはSFながら、SFならではのロマンはかくも人心を惹きつけて止まぬものであり、であるからして、人は「SFはなぁ……」と言いながらも、結局今日もSFを見てしまうものなのである。

SFはなあぁ……!

じすらあ

死の淵の長い夜を何度抜けても、相変わらず頭が「?」であった。
ぶっちゃけ、挟撃のカーチェイスシーンとか、セイター側の車がどういう動きをしているのか、マジでわからん。考えた人は頭が道化以下略。

とりあえず、は第三次世界大戦……ではなく、未来人による地球環境修復大作戦を防ぐべく、逆行したり、順行したり、TENET組織したりニール勧誘したり、とにかく忙しくあちこちの時間軸を攪乱しつつ、果て無き戦いを繰り広げるのだったが……。

結局のところ、二回見てもよくわかんなかったです、母さん。

※以上ネタバレです。何も知らずに見たほうが、一逆行光年楽しめるので、未見の方はご注意。

 

 

 

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『TENET テネット』を何度も見に行く=テネる。
という言葉を生み出すくらい、頭「???」が約束された映画『TENET テネット』。
ブログを書く身としては、このまま「???」のままで終わるのはイカンのではないだろうか……というわけで、テネってきました。ジモ館にて。
最初、『テネる』を『テヌる』と間違え、検索しても『てぬーる』という結果しか出てこなくて頭が「?」。人をしてどこまでも頭を「?」スパイラルに陥れる手腕はさすがの一言デス。
では、二週目行ってみよう!

テネット 映画 挟撃

SFってさあ……。
【一言説明】

二度見ても頭「?」度:☆☆☆☆☆☆
二週目のおすすめ度:☆☆☆☆☆
2020年の映画
原題:Tenet

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