映画『スクリーム』シリーズネタバレ感想。忍び寄るゴーストフェイスの殺意を暴け。

スクリーム 映画 サスペンス

スクリーム 映画

2020年ハロウィン当夜。Amazon Prime Videoにて、やっていました100円レンタル企画。
ジェイソン、フレディ、マイケル・マイヤーズ……居並ぶホラー界の大御所たちに混じり、ふと目に留まったゴーストフェイス。
あー、これこれ。『スクリーム』。この仮面かぶったやつが大勢をして回るんだっけ? なんか怖そうだから、見てなかったんだよねえ。でも、今ならなんだかいけそうな気がする……。

そう……ここで会ったが百年目
今こそ恐怖を乗り越え、彼奴奴の息の根を止めてくれよう。

そんな決意を胸に、一挙4作を一気見=『スタブラソン』を開催した次第であります。

余談ですが、ハロウィンをwikiで調べたら、参考写真として出て来るカブのジャック・オー・ランタンが予想外に怖くてびびりました。『サイレント・ヒル』とかに出て来るヤツですやん。

※以下映画版『スクリーム』シリーズを1~4まで完全ネタバレしております。あと、何故か『13日の金曜日』の特大ネタバレも含みます。本作は犯人当てというミステリ要素を含むため、未見の方はご注意デス! そして記事が長いのデス!

 

 

 

ちなみに、『サイレント・ヒル』をAmazonで商品検索したら、なんか↑の『悪魔のサンタ・クロース』という伝説らしき作品が出て来たんだけど、全世界キッズのアイドルに何をしてくれるんですかね映画界は。

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スクリーム

原題:Scream
1996年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆

【一言説明】
思った以上にスプラッター。

あらすじ

なんとかと被害者は二階に上る。
「どうして人鬼に追われるヒロインって、外でなく二階に逃げるのかしら?」
突如かかってきた不審な電話に、ホラー界の疑問を愚痴る少女シドニー
「さっさと逃げ出して助けを呼ぶか、警察を呼べばいいのに」

だが、彼女は知らなかった。
人鬼に襲われる、まさにその時。

人イナイ。
扉アカナイ。
電話ツナガラナイ。

すべてが自分に不利に働く、摩訶不思議なホラーの法則が発動し、結局は二階に上らざるを得ないのだと。

そして、ポスターに主役顔で載っている大物俳優は、あっけなく冒頭で死んだりすることを……。

感想

記念すべき人気シリーズの第一作。
実は過去にちらっとだけ見た記憶があり、『恋人が犯人』だとはうろ覚えながら認識していたんですが、いざ通しで見てみると、最初から恋人が超怪しい。
いやもう、ミスリードってか、こいつだろ。
やたらに眼光が鋭いし、どう見ても振舞いがサイコさん。加えて、中盤で一度は容疑者から外れるという、お約束がわかりやすい。
けれど、その動機にはきちんとしたミステリ要素があり、何よりあちこちでの神出鬼没のブスブス刺しっぷりが気持ちよく、何これ超面白っとなりました。

大まかな流れとしては、

1.ある夜、めちゃんこかわゆい女子高生ケイシードリュー・バリモアさんの元に、いたずら電話がかかってくる。最初は他愛ない会話だったものの、「今君を見ている」という相手の台詞に凍り付くケイシー。
こいつはアカンヤツだと思うも、何故か警察に電話しないケイシー。
それどころか、不審者の出すホラー映画クイズに、律儀に答えてしまうケイシー。
「13日の金曜日の人鬼は?」
「ジェイソンよ!」
「ブッブー! ジェイソンは『2』からですぅー。『1』はジェイソンの母ちゃんが犯人ですぅー」
  ↓
さりげなく『13日の金曜日』のネタバレをぶち込んでくる犯人にマジながら、「嘘よ! だって20回も見たんだもの!」というケイシーの反論もかなりのアレである。
20回も見たのカヨ。『2』を。
  ↓
答えを間違ったケイシーの目の前で、恋人のスティーブが惨される → お腹から☆☆☆がはみ出していたような気がするが、多分気のせい。
  ↓
両親が外出先から帰ってくるも、彼らの足音が聞こえる距離で、犯人の手に掛かって惨されるケイシー。変わり果てた娘の姿を見て、絶叫する両親。
  ↓
まさかの最初の被害者=バリモアさんにこちらも絶叫。ポスターの位置取りがおかしゅうございます。

2.一夜明け、降って湧いた人事件に湧くウッズボロー高校。そこに通うシドニー・プレスコットは、一年前に母親を惨されたという過去がある。
一応犯人は捕まったものの、あれは冤罪だと主張するTVリポーターのゲイルが、「もしも冤罪なら、真犯人は野放しよ」と発言。
一理ある……と思ったシドニーは、父親が出張で不在なこともあり、親友のテイタム宅に泊まる約束を取り付ける。
  ↓
迎えを待つ間にかかってくるいたずら電話=声がケイシーにかかってきたやつと同じ。
  ↓
「ホラーのヒロインは、二階に逃げるアホ」
盛大なフラグを立てるシドニー。
  ↓
登場したゴーストフェイスに襲われ、案の定、二階に逃げるシドニー。
ヒロインだって、好きで二階に逃げてるわけじゃねーんだヨ!
  ↓
機転を利かせ、なんとか襲撃をやり過ごすシドニー。
その直後に恋人のビリーが訪ねてくるも、その手から携帯電話が落ちたのを見て、疑惑の眼差しを向けるシドニー。
とりあえず、容疑者として保安官事務所にビリーを引き渡し、自分はテイタム宅に世話になることとする。
警察「何故携帯電話を持っている?」=時代を感じさせる一言。
今なら全員容疑者扱いだズラ。

3.テイタムの兄デューイは保安官代理。なので一安心……と言うには、若干どころか結構頼りない気もするが、まあ安心。
  ↓
そこにかかってくる一本の電話=例のあの声。
ビリーはまだ保安官事務所で勾留中=電話をかけられるはずがない=犯人ではない。
「ビリーも気の毒にな」
ダメ押しのように、ビリ―の疑惑を晴らしてくる電話越しの声=怪しい。
単独犯と決まったわけではあるまいて。
  ↓
その後、シドニーの父親の行方がわからないことが判明。
翌日は彼の妻=シドニー母の命日であることもあり、一気に容疑者候補として浮上してしまう。

4.シドニーに魔の手が迫ったこともあり、休校となるウッズボロー高校。喜びに湧く学生たちに混じり、ビリーの親友スチュの家で、気のおけない友人たちを誘い、パーティをすることに。
加えて、町には夜間の外出禁止令が発動され、町に人がいない=舞台のお膳立てがなされる。
  ↓
ちょうど高校を訪れていたゲイルとデューイが初コンタクト。
10代から24歳までに圧倒的な支持率を誇るというゲイルに、一年前まで24歳だったデューイは、勤務中だというのにデレ顔を披露。
そうか、君はシドニー要員ではなく、ゲイル要員なのだな。
  ↓
テイタムの証言で、シドニーの母は、あちこちの男性とアーン☆な経験を繰り返す奔放な女性であったことが明かされる。
「本当の母を認めなきゃ」と言い、パーティの買い出しに出かける二人。そんな彼女たちを日中堂々とストーキングするゴーストフェイスさん。
誰か通報したれよ……と思うも、件のマスクはどこにでも売っているため、街中に同様のやつらが溢れている有様。不謹慎という言葉を思い出せ、お前ら。
  ↓
その裏で、高校の校長先生がさっくり害されたりしているが、誰も気にしなかった。
別に何も悪いことしてないと思うのだが、気の毒ぅ。

5.満を持して開催されるスチュ宅のパーリーナイト。
映画オタクのランディが、ホラーにおけるルールを解説してくれる。

 ・人鬼を倒せるのは清らかな乙女のみ(メンズも然り)
 ・お酒・ドラッグはNG。
 ・「すぐ戻る」の台詞は死亡フラグ。

だが、「すぐ戻る」と口にしたスチュは被害に合わず、代わりにお酒の補充にガレージへと向かったテイタムが害される。
  ↓
シドニー警護中のデューイの元に、とくダネを求めてゲイルとカメラマンのケニーが訪れる。
森の中に不審な車両を見に行くと言うデューイに同行するゲイル。そこでいい感じになりかけるも、発見した車両=シドニー父の車。
慌ててスチュ宅に急行するデューイ。

6.一方、スチュ宅にいたほとんどの面子は、校長の訃報を聞き、遺体をひと目見ようと高校に押しかけていた=ほぼ無人となる邸宅。
そう、邸宅と表現するほど、スチュ宅は豪華なのだ……という点はさておき。
残ったのは、二階の部屋で初めてのアーン☆に挑むシドニーとビリー、そして居間で一人『ハロウィン』を見るランディ、&庭の車で待機中のケニーの四人。
そういえば、スチュは「すぐ戻る」と出ていったきり画面に出てきていない……と思ったけど、もしかしたら戻ってきてたかもしんない。
  ↓
アーン☆後、突如部屋に入ってきたゴーストフェイスに襲われ、ビリーが死亡。
外へ逃げ出したシドニー。
  ↓
一人居間に居座るランディの後ろから、ゴーストフェイスが迫る。
その様子を、隠しカメラの映像で見守り、「後ろ、後ろ〜〜」と叫ぶケニー。
スチュ宅に到着。警戒しつつ、中へと入っていくデューイ。
助けを呼ぼうと、ケニーがいるはずの車に近づくゲイル。
全員が全員、死亡フラグが過ぎる。
  ↓
結局、逃げ出すシドニーの声を聞きつけたゴーストフェイスは、ランディを放置し、彼女を追跡。
ケニーはシドニーが車に逃げ込んできたため、代わりに首を切られて死亡。
ゲイルはケニーの死体に驚き、慌てて車を走らせようとするも、人鬼に追われて飛び出してきたシドニーを避けようとして事故。
仕方なくスチュ宅へと戻ったシドニーの目の前で、背中を刺されたデューイが現れ、その場に倒れるという有様。
何が何やら、怒涛の展開が続き、結局、デューイの死に驚いたシドニーは、現れたスチュとランディを前に、疑心暗鬼に駆られ、家の中へと閉じこもってしまう。
そこに現れる真犯人。その正体は、果たして……?

……まっ、『恋人が犯人』って言っちゃってるんですケドね!
評判に違わず、めちゃくちゃ面白かったです。

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人物紹介

●シドニー
シリーズを通しての主人公。まだ高校生ということもあり、髪もロングで初々しさが残るキュート女子。だがこの可憐な少女が、この先マジもんの疫病神になろうとは、誰が想像し得たであろうか……。
というか、よく考えると疫病神は彼女ではなく、母親のモーリーンのような気がするのだが、後述の『4』では面目躍如の疫病神っぷりなので、さすがこの母にしてこの子ありを地で行くと言っていい。

一年前の悲劇があるからか、ケイシーたちの事件が起こった翌日から、すでに「ほら、あの子よ。例の……」という注目の視線をそこかしこで浴びる。
その後、満を持してゴーストフェイスの襲撃を受け、自分で立てたフラグにより二階に逃げる羽目にはなったものの、寝室のドアノブにクローゼットのドアノブをかますという機転を発揮。しかも、電話がつながらないならPCで警察に助けを呼べばいいじゃない、とSOSを発信。人鬼から身を守ることに成功する。
だがよく考えると、この頃のインターネットって、電話回線を使用しとるんじゃねーの? と疑問なのだが、そこはそれ。電話機につながる線だけ切ったってことでオーケー?
でもって、「今ポーチにいる」という電話の相手に対し、「今私が何してるか言ってみなさいよ!」と鼻をほじる動作をしてくれるのだが、そこは若い女性。鼻をほじるといっても、単に指を鼻の穴に差し込んでみましたレベルであり、決してガチでほじったりはしないのが、乙女としての矜持であろうか。
もしかして真面目にほじったら、ビリーの百年の恋も冷めて標的から外してくれたかもだけど、まあしゃーない。

一度目の襲撃をのけた後、最終決戦場となるスチュ宅にて、ビリーの耳に「ポルノに出たいわ」と囁くという、さすがモーリーンの娘という貫禄を見せつけ、ランディの挙げたホラーのルールに牴触したかに見えたが、その後はめきめきとタフネスぶりを発揮。
まったく頼りにならない男性陣を押しのけ、最終的には真犯人の額に銃弾を打ち込んで勝利するという活躍を見せる。
この瞬間、KAWAIIシドニー・プレスコットは姿を消し、コマンドー・シドニー・プレスコットが誕生したのだった。あっぱれ。
なお、真犯人二人があまりにもアフォすぎたため、その怒りで超野菜人化したという説もあるが、筆者としてはそちらを推したい。

●ゲイル
上昇志向の強いTVリポーター。
モーリーン害犯、コットン・ウェアリーは冤罪だったという本を出し、シドニーの恨みを買っている。
にも関わらず、今回の事件でもぐいぐい突っ込んだ質問をし、ついには怒りを買ったシドニーのぐーパンをもろに顔に食らう羽目になるのだが、てっきり途中で華々しく死亡する役目かと思いきや、なんと最終決戦にて起死回生の一手を打つ、かつ最後まで生き残るという準ヒーロー役になるので、まったくもってあっぱれ。
デューイ世代をとうに越した筆者ではありますが、正直ゲイルさんは最高に好みであることをご報告申し上げます。

●デューイ
ウッズボローの町の保安官代理。シドニーの親友テイタムの実兄であり、彼女とも昔から親交が深い模様。
てっきりビリー亡き後のシドニー要員かと思っていたのだが、よく考えると高校生に対して25歳は十分おっさんなので、ゲイル枠に収まるのも納得だった。
一応は法の執行人であるのだが、本作の人鬼は無敵度が過ぎて最早クリーチャーと化すレベルであることを差し引いても、かなり頼りない。
というか、中盤辺りで死ぬと思ってた。

最終決戦場のスチュ宅で、人鬼がいるかもしれない中を、そろそろ〜〜〜とかなり警戒しながら入っていく映像があったものの、その後とんと映されず、そういえばデューイさんは無事かいなと思っていたら、案の定背中をぶっ刺されて登場するから、なんというか。
しかも、いい仲のゲイルはそこから起き上がり、ワンチャン活躍の場があったにも関わらず、彼の場合はその後救急車で運ばれ、実は生存していたのが知らされるという顛末。
言いたくはないが、かなりのヘタレ枠である。
だがこの伐とした世界にあって、そこが癒やしとなるのも事実。今後もデューイさんには、活躍しそうで活躍しないギリギリの線を突き進んでいっていただきたいと思います。

●ビリー・ルーミス
シドニーの恋人。
かつ、今回の事件の犯人&一年前の事件の真犯人。
登場時から怪しい、怪しいと思っていたが、容疑者から外れる理由も怪しく、その後も怪しく、寝室で犯人に何度もぶっ刺された時ですら怪しく、その後「実は生きてました」と再登場した時ほど最高潮に怪しいことはねーなと思っていたら、案の定犯人だった。
映画で使うシロップを利用し、共犯者に刺されたふりをしただけだった。

一見、イケてるリア充かと思いきや、実はランディとタメを張るくらいの映画オタクだったことが終盤で判明。まあ、電話越しのホラークイズを見る限り、映画に通じてなければあの質問はできねーわなとはわかってはいた。
だが、サイコのノーマンや、レクター博士に理由はあったか? という台詞に反し、きちんと理由があるところがちょっとイケてない。
実は、シドニーの母モーリーンと彼の父はアーン☆な関係になっており、それを知ったビリー母が家を出ていってしまったことを恨んでの犯行だったそうな。
一年前にモーリーンを害した後、彼女の命日にシドニーも害しよう……と目論んでいたにしては、初回に襲った時は日にちがずれていたのだが、もしシドニーがあっさり死んでいたらどうするつもりだったのであろうか。

出張に出かけようとしたシドニー父をその場で誘拐。スチュ宅に閉じ込めておいて、すべての罪を彼に着せるつもりだった模様。
自分たちも襲撃されたことをアピールするため、スチュと二人で腹をぶすぶす刺し合っている隙にシドニーの反撃を許し、終には額に銃弾を撃ち込まれての最期を迎えた。
なんかこう、色々とアレな人物ではあるが、面白いやつであることは確か。

●スチュ
ビリーの親友。ちょいアフォな言動が目立つテイタムの彼氏。
てっきり中盤辺りでさっくりされるアフォポジかと思いきや、どっこい犯人の一人。
おそらくブレインはビリーなのだろうが、見るからに脳筋っぽいので、あの神出鬼没の無敵っぷりはほとんどこいつによるものではないかと思われる。
ケイシーとスティーブを狙ったのは、ケイシーに粉をかけるものの、あっさり振られた腹いせである模様。

最終決戦場では、満を持して正体をばらした後、ビリーと二人で腹をぶすぶす刺し合い、しかもそれが予想外に深く刺さっちゃったもんだから、「腹痛い……」「俺、死ぬかも……」「また親に怒られるぅ」と、愛されるアフォっぷりを発揮。
そのままフェードアウトすればよかったのだが、結局は奮起して襲ってきたりするものだから、シドニーの手でTVを顔面に落とされ、感電死する羽目になった。

●テイタム
シドニーの親友。身持ちの堅いシドニーと違い、若干の奔放さを見せるかわゆい女子。
だがわりとひでー目に遭って死んでしまう。おそらく下手人はスチュなのがまた。
お固めのシドニーと、どんな縁があって仲良しなのかはわからぬが、おそらく子供時代から一緒とか、とにかく絆の強さを感じさせるのがほっこり。
その後レギュラーとなるデューイの妹なのだが、後続の作品では、『2』でちょっと言及があったくらいである。

●ランディ
映画オタク。初回の登場では、シドニー、ビリー、テイタム、スチュに混じってくつろいでいるが、男女比3:2で一人余っているのが明らか
シドニーに片思い中だが、おそらくこの先も思いが実を結ぶことはないであろうことが察せられる。
こういったお調子者は、生き残るか死ぬかの二択……ってよく考えるとみんなそうなんだけれども、まあとにかくどっちに転ぶか不明だったものの、おそらくは清らかな身であったため、本性を表したビリーに肩を撃たれるも、名誉の負傷で最後まで生き残った。
『ハロウィン』鑑賞中の「後ろ、後ろ〜」のシーンでは、忍び寄る人鬼に毛ほども気づかず、ひたすら野次を飛ばすという大物っぷりを見せつける。

●ケイシー
冒頭で登場のバリモアさん。シドニーと同じ高校に通うめちゃんこかわゆい女子。
いたずら電話をもらった時の危機感のなさと、いざ有事に発展した際のポンコツぶりが、絶妙に視聴者を苛立たせるナイス配役。
何故警察を呼ばない。
「電話を切るんじゃねえ!」と言われたところで、通報して部屋に閉じこもっていればいいのに、律儀に外を見に行くわ、クイズに答えるわ、ポップコーンで火事を引き起こすわ、まさにホラーの冒頭被害者に最適な行動を披露してくれ、最早あっぱれと言うほかはない。
ドリュー・バリモアさんは最の高であります。

●スティーブ
ケイシーの恋人。ザ・とばっちり。
初登場が、ケイシー宅のプールサイドにて椅子に拘束され猿ぐつわ → その後、痛そうな効果音とともに腹をかっさばかれ、☆☆☆を全世界の視聴者にお披露目して逝くという、なんとも不憫なポジション。
いつ頃犯人にとっ捕まり、いつ頃プールにセッティングされたんでありましょうか。謎である。

●シドニー父
映画序盤で出張に出かけた……と思ったら、早い段階でビリーたちにとっ捕まり、その後どちらかの家に拘束されていた不憫なおとん。
終盤まで犯人扱いされたうえに、特に何の活躍もなかったが、最後の最後で事件決着後の脅かし要員という役割を与えられ、日の目を見た。
ひでー目に遭ったね。
よく考えると、モーリーン関連でもかなり不憫なポジションである。

●モーリーン
一年前にされた、シドニーの亡き母親。
写真で見ると、ごくふつーのご婦人という印象なのだが、どっこい何人もの男性を陥落させ、今回の事件の発端を作った魔性の女性である。
シリーズが後続に行くに従い、すべての元凶は君ではないのかという突っ込みを一身に浴びる羽目になる伝説のおかん。

●校長
ウッズボロー高校の校長。
ゴーストフェイスをつけてはしゃぎまわっていた生徒を呼びつけ、退学を言い渡すなど厳しい姿勢を見せる。
……かと思いきや、没収したマスクをかぶってみるなどのお茶目ぶりを披露。
いや、誰だってやりたくなりますよ。
おそらくは、マスクに対する厳しい摘発姿勢がビリーたちの鼻につき、標的に選ばれた(それか前から気に食わなかった)……と思うのだが、別にす必要はなかったんじゃないかな!
気の毒!

●女子トイレの女子二人組
わずか数分の出演で、女子世界特有のしがらみを視聴者に植え付ける超感じの悪い女子。
女子トイレあるあるが過ぎる。

●ゴーストフェイス
本作というか、シリーズの顔。
ザ・無敵が過ぎる人鬼。
デューイ曰く、件のマスクは巷に出回り過ぎて、購入者は特定不可能らしいのだが、それでも根気強く捜査をしたら、ある程度は絞れたのではなかろうか。仕事しろ、保安官。

今回の活躍としては、いつの間にか椅子に座ったほぼ成人男性並の体格のスティーブをプールサイドにセッティング、校長室のドアコンコン → 開けるといない → だが姿を消すのがさすがに早すぎない? 、家族に気づかれず、どうやってシドニー父を数日間も拘束していたのか? 等、まだ人類としての範疇にいる……ような気がする。
が。
シドニーが逃げ込んだ女子トイレには、どうやって侵入したのか、とんと謎。
考えられる解答としては、わざとトイレ前の階段でビリーが待ち伏せ。シドニーがトイレに逃げ込むように仕向け、スタンバイしていたスチュが驚かす、的な? ほーん?

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スクリーム2

原題:Scream 2
1997年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆

【一言説明】
続編は死者倍増がお約束。

あらすじ

あの惨劇から二年後。
大学生となったシドニーは、キャンパスで女子大生ライフを満喫していた。
ドのつくク●だった元カレはさておき。好青年が服を着たような新恋人のデレクもゲットし、いたずら電話も華麗にスルーできるくらいには回復した。

だが、続編。
これはあくまでも、前作の続きである。
そこに引き続き主人公が続投したら、もちろん過去にちなんだ事件が起きる。
シドニーは、再び例のマスクを被ったアレに襲われることになるのだった……。

感想

一昔前……『続編』といえば、ほとんどが前作に及ばず。もしくは、はっきりいってク●なことが多かった映画界。
スタブラソンを開催するにあたり、そのことがかなりな懸念事項だったわけなんですが……いざ再生してみたら、あら面白い。メタ要素の多い本シリーズは、たしかに『1』を見てないとわからないことが多々あれど、一挙全作を連続で見たことが幸いしたのか、4作目まですべて面白く見られ、御の字であります。

2の流れは以下。

1.二年前の惨劇を克服し、女子大生となったシドニー。ゴーストフェイスを模したいたずら電話がかかってくるも、軽くいなせる程度には成長……というか、ショートになって猛者感の増したシドニーちゃん。面差しにたくましさを感じる今日このごろです。
  ↓
ところが、その前日。ウッズボローの惨劇を元にした『スタブ』という映画の試写会にて、男女二人が惨される事件が発生。
被害者のモーリーンとフィルは、シドニーと親交こそなかったものの、同じ大学の学生ということもあり、再び注目の的となってしまう。
  ↓
女性記者のデビー・ソルトをはじめ、大挙する報道陣の中に、ゲイルの姿を見つけるシドニー。
『1』で危なかったところを救ってくれた、命の恩人だしなあ……と思い、好意的態度を示していると、なんと彼女の陰からぬうっと現れる、コットン・ウェアリー。
モーリーン害の真犯人が捕まったことで、無罪となったウェアリーだったが、世間の目は未だに厳しく、疑惑が払拭しきれていないという。そこで彼が目論んだのが、被害者の娘シドニーと一緒にTVに出ること。お茶の間に和解した二人の姿が流れれば、今度こそ世間も彼が無罪だと理解するはず。
  ↓
が、当然のようにアポなど取っていなかったゲイルにより、不意を付かれたシドニーは動揺。
例によって顔にぐーパンをくらうゲイル。
学習という言葉をご存じないのか、彼女は。
  ↓
一方、シドニーを心配して、デューイもキャンパスへとやって来ていた。
何故か彼の登場とともに流れる『ブロークン・アロー』の名曲。
なんぞ? と思って検索してみたら、なんでもテスト段階でこの曲を流してみた → 最高に合ってね? → 完成版でも使おうぜ! → 許可取った! 的感じだったそうな。さすが名曲は引っ張りだこ。
  ↓
『1』でいい感じだったにも関わらず、その後ゲイルの書いた本の中で、散々な書かれ方をされたデューイは怒り心頭。背中を刺された影響で神経を損傷した片足を引きずりつつ、ゲイルに塩対応をかますのだった。

2.その晩、『友愛会』という、着衣はパステルカラーオンリーな女子たちのパーティに参加するシドニー。
明らかにパステルとは縁のないシドニーを、会に勧誘しようとするルームメイトのハル
  ↓
同じ頃、別の寮で一人留守番中だった学生シーシーがゴーストフェイスに襲われる。
彼女は、前作から続投したランディ、新キャラのミッキーらとともに、映画論の講義で楽しく論じ合う仲間だった。
だが、例によって二階に逃げた後、背中を刺される → 二階から投げ落とす、のコンボを決められ、敢え無く撃沈してしまうシーシー。

3.シーシーの事件で、隣の寮に警察が到着。野次馬が到し、パーティ会場が無人となる中、「上着を取ってくる」とその場をデレクが離れた隙に、宿敵ゴーストフェイスに襲われるシドニー。
ちょうど居合わせたデューイの助けもあり、難を逃れるシドニーだったが、人鬼を追いかけたデレクが腕に負傷 → 病院に行くも、「どうして君だけされずに済んだんだ?」と疑惑を発するデューイ。
何だよ、またしても彼氏が容疑者なのかよ。

4.翌日。今回の被害者の名前が、二年前の被害者の名前と類似していることを発見するシドニーたち。
  モーリーン=シドニー母と同名。
  フィル・スティーブンス=スティーブ。
  シーシーの本名=ケイシー
前作の模倣犯である線が濃厚となり、シドニーはデレクに一時的に距離を置くことを提案するが、『トップ・ガン』の真似をしたデレクのロマンティック攻撃に、まんざらでもない顔をするシドニー。歌上手男。
  ↓
そんなロマンティックとは縁遠い男たち=ランディとデューイは、続編の法則に従い、犯人は誰かをやいのやいの言い合っていた → そんなんだからモテないのではないのかね、チミたちは。
続編の法則として、
 ・害人数を増やす
 ・害シーンはさらにド派手に演出
 ・前作のキャラが犯人の場合もある
等があり、犯人論議を屋内から屋外へ移し、ゲイルも仲間に加えた時、犯人から着信が。
  ↓
話の流れから、どうやら犯人はこの付近にいるようだ。
ランディが犯人との会話を引き伸ばす隙に、携帯で通話中の人物を探るゲイルとデューイ。
だが、ランディがゲイルのバンの前に差し掛かったとき、突如としてドアが開き、中にいた人鬼にされてしまうのだった。
  ↓
……あれ? モテない男は助かるはずでは……?

5.ランディの死に心を痛め、犯人逮捕を誓うゲイル。二人はカメラマンの撮影したテープの中から、犯人の姿を割り出そうと決意する。
  ↓
その頃シドニーは、主役に抜擢された演劇の舞台で、ゴーストフェイスの残像を見て離脱 → トークショーで共演しようというコットンにしつこく付きまとわれたため、コットン連行 → ルームメイトのハルとともに、刑事に護送されて安全な場所に隔離されることに。
  ↓
何故かテープを再生するのに、わざわざ大学に忍び込むゲイルとデューイ。そこはゲイルの所属するTV局とかでイクナイ?
でもって、またしてもタイミングよく発動される夜間の外出禁止令。
ほぼ無人となった構内に、ほいほいと飛んで火にいる二人の虫。
  ↓
案の定現れたゴーストフェイスに襲われ、めった刺しにされるデューイ。
お前は、ほんと強くないな!
  ↓
デューイが崩れ落ちる様を目の当たりにし、必死に外へと逃げ出すゲイル。
途中でコットンに遭遇 → 両手が真っ赤 → 「あんたが犯人なのねぇぇぇ!」という目でガン見してくるゲイルに、「違ぇーよ、まみれのデューイを見つけて介抱したせいだよ!」と訴えるも、聞く耳を持たないゲイル。
  ↓
外に出ると記者デビーに遭遇。
ゲイル「コットンが犯人!」
デビー「コットンが犯人!?」
果たしてコットンが犯人なのか?

6.刑事二人に護送され中のシドニーとハル。
だが、突如来襲したゴーストフェイスによって、実にあっけなく害される刑事二人。
役に立たないにも限度ってものがないかね。
  ↓
一応、最後の力を振り絞った刑事Aの活躍により、シドニー&ゴーストフェイスを巻き込んで、自損事故を起こした車両。
人鬼よりも先に目を覚ましたシドニーたちは、気を失った犯人の身体を乗り越えて、窓から脱出。
  ↓
ここでハルが離脱だと思った人は挙手&懺悔だ。
  ↓
なんと揃って脱出できてしまった二人。
が、このままで済むわけがなく、「マスクの下の顔を見る」という死亡フラグを立てようと、車両に近づくシドニー。
  ↓
やめろ。君が立てようとしているのは、君自身のじゃない。ハルの死亡フラグなんだ。
  ↓
案の定、もぬけの殻だった車内。
何故か車の近くにいたシドニーではなく、後方に待機していたハルの後ろに現れ、彼女を害するゴーストフェイス。
だから言ったのになあぁ!

7.ほぼ無人と化した町を通り抜け、なぜか大学構内へと帰ってくるシドニー。
何故警察に行かんのだ、君は。
  ↓
演劇で使っていた講堂から音がする。
ほいほいと講堂に引き寄せられるシドニー。
普通は怪しむ……いやいや、誰か人がいるのかと思う被害者の心理デスよ。
  ↓
何故か舞台の中央で、天井から磔にされたデレクが降りてくる。
あれ、たしか君、シドニーを見送った後、友愛会のアフォなパーティに巻き込まれてなかったっけ?
  ↓
満を持して登場するゴーストフェイス。
マスクの下のその顔は……なんと、シドニーたちの学友、ミッキーだった。
なんと、と言うほど意外でもないというか、伏線が不十分というか、演劇科の教授を疑っていたため、「お前かよ……」となったというか、まあとにかくサプライズ感は若干低めだったものの、ビリーという前例を活かし、さもデレクが共犯であるかのように振る舞い、シドニーが彼に疑いを向けた途端に撃ちすという、性格の悪さで言えばタメを張る悪行を働くミッキー。
そういえば、ハルに粉をかけてフラレてたな、お前!
対するデレクは、末期の言葉が「僕は君を絶対に傷つけない」だったという、どこぞのアフォどもに爪の垢を煎じて飲ませてやりたいレベルの好青年であったことを証明して絶命。
まあ、怪しそうに見えて、単なるミスリード要員なんじゃねーのと思っていたら、そのとおりだった。
こうして世界からまた一人好青年が消えていくのだった。しかも医学生だぞ。人類の財産をなんだと思っとるんだ、貴様。

8.で、動機は……というと、「映画が動機で人というアートな事件を裁判まで持っていき、そこで歴史に残る名弁論を繰り広げた後、無罪になって伝説となる」的な、アフォがアフォを通り越し、百週回って結局アフォという内容だったことが判明。
しかも、そんな熱弁を奮ったにも関わらず、結局は学費の援助を条件に、真犯人と契約 → 実行犯を引き受けたという、なんとも底の浅い真の動機を露呈。
結局、現れた真犯人に撃たれてフェードアウトする……という顛末を見せる。
  ↓
果たして、満を持して現れた真犯人とは一体……?

というわけで、出来の危ぶまれた二作目ながら、なかなかの面白さだった本作。
しがさらに派手になっていたかはともかく、バッタバッタと人が死んでいくのはいっそ清々しいくらいでした。

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人物紹介

●シドニー
二年前は初々しかった女子高生が、今回はたくましい女子大生に。髪の毛もショートに改め、前作よりも護身術のレベルが爆上げとなった状態で登場。
連続人事件の犯人=彼氏、という過去があると、その後の恋愛にも臆病になったりするんではないかい? という懸念を薙ぎ払い、医学生でイケメンかつ性格も超善人という、現実に存在するのかという良物件をゲットしていた。

ところが、例によって始まった人事件により、ときめきの大学生活は一気になまぐさいものとなり、さらに例によってまったく役に立たない男性陣を尻目に、ミッキー相手にキレのある格闘シーンを繰り広げ、さらにその後現れた真犯人相手に、舞台の小道具をフルに使い切っての大反撃を見せる。
強い。
さらにその後、撃たれた……と思ったら実は生きていたミッキー相手に、ゲイルと二人、思う様銃弾の嵐を浴びせた……と思ったら、「念の為」と称し、すでに息の絶えた真犯人の額に、止めの一発を撃ち込むなど、最早自他共に認めるコマンドーへと進化した。
強い。

●ゲイル
前作生き残り組。二年前の事件を本にし、知名度を上げ、リポーターは引退した模様。
本作では、コットン・ウェアリーを引き連れ、さらなる知名度をあげようと、取材に精を出すつもりでやってくる。
が、ランディの死をきっかけに、自分の中に沸き立つ正義感に気づき、純粋に犯人を捕まえたいという思いを伝え、デューイと和解。
その後、和解以上のことをしようとした矢先、突如現れたゴーストフェイスの襲撃を受ける。
二人にはバッドタイミングだが、学び舎の関係者としてはグッドタイミングが過ぎる。いい大人が講堂で何をしとるんじゃい。

デューイと分断され、ガラス越しに彼がブスブス刺される様を目撃。
前述のように、コットンについて通報した後で、なんと真犯人にとっ捕まり、最終決戦の場に引き出される。
その後、犯人同士のいざこざの最中に銃弾に当たり、舞台の下に落下。死んだ……と思われていたが、最後の最後で復活。
セオリー通り、がばっと起き上がったミッキーに、シドニーと二人揃って銃弾を浴びせるという活躍を見せ、一作目での早々に死ぬ賑やかし要員という印象を払拭し、見事シリーズ通してのヒロインであることを証明した。

●デューイ
ウッズボローの保安官代理。今回は、再び事件に巻き込まれたシドニーを心配し、大学までやってきた設定。
まさかのブロークン・アロー』のテーマ曲を背負って立つ男。
いくらなんでも……劇的過ぎやしないか……!

しかし、ビリーだのミッキーだの性悪男がのさばる中で、彼だけは徹底してシリーズの良心となっており、ある意味抜群の安定感を誇ると言っていい。
弱いけど。
前作で受けた傷が元で神経を損傷し、片腕と片足に若干の後遺症を残している。
だが、いざ人鬼の襲撃を受けた際は、勇敢に立ち向かい、結果、ゲイルの見ている前で、これは助からないだろう……というくらいにバカスカ刺された。
  ↓
どっこい生きてた。
どこまでも悪運の強い兄ちゃんである。
でもって、事件のリポートそっちのけで、ゲイルが救急車に同乗してくれるという、最高のハッピーエンドを迎えて終わる。

……まあ、続編で再び破局してるんですけどね。

●ランディ
前作から続投。相変わらずシドニーに片思い中の映画オタク。
『1』ではあまりお利巧そうには見えなかったのだが(メンゴ)、優秀そうなシドニーと同じ大学に進学していることから、そこそこ学業方面での評価は高かった模様。
「続編ではギークに恋人ができるのさ」と言って、息フレッシュを一振りしているため、まさか……? と思ったらまさかではなかったというお約束。
前述のようにデューイと犯人は誰か当てゲームで楽しそうにしていた……と思いきや、直後の犯人探しゲームにて、車に引きこまれた挙句にメッタ刺しという悲しい最期を遂げてしまう。
会話の途中で、前作の犯人ビリーを馬鹿にする発言をしたのが逆鱗に触れた → もしやその発言がなかったら、されずに済んだかもしれないと思うと切ない。 
続編あるあるに、『前作の人気キャラがあっけなく死ぬ』も追加オーダーでお願いしゃっす(『パシフィック・●ム』とかな! → いやいや、あれは同じタイトルを冠しただけの『パ●フィック・リム』ではない何かだからセーフ)。
身持ちの固いヤツは助かるというホラーのルールに反してるんじゃ……? と思った君は、『3』を見よう!
どちらにしろ、ナイスなキャラだったので非常に残念。しかも、犯人がアレなので余計にな!

●ミッキー
今回の犯人の一人。実行犯。
当初は映画論の講義にて、ランディとタメを張る熱心さで議論をするただの映画オタクかと思われていたが、各地であれだけ無双したゴーストフェイスの中の人だった。
動機は前述のようにアフォがアフォを呼ぶアフォのための内容だったが、なんと共犯となる真犯人にも、「動機がアフォすぎ」と発言されるなど、容赦のない扱いを受ける。
だが、そんなアフォでも身体能力はずば抜けて高かったようで、真犯人の銃弾を食らっても一度は立ち上がり、シドニーたちに肉薄しようとするも、覚悟がガン決まった二人の銃撃を受け、今度こそ完全に絶命した。

もしかすると彼の存在は、高すぎる授業料が払えず、道を誤る学生がいることに対する警鐘を鳴らすんだかなんなんだかではないかと思わないこともないが多分違う気がする。

●デビー・ソルト
ゲイルに憧れる女性記者。
……とは仮の姿で、実は本名デビー・ルーミス。そう、前作の犯人、ビリーの実母だったのだ。

上記のことは、最終決戦の場にゲイルを伴って現れた彼女を見て、シドニーが「ルーミスさん」と発言することで判明するのだが、一体ビリーの姓がルーミスであることを覚えていた視聴者が何人いたのであろうか。
筆者はまったく覚えておらず、「誰??」的反応しか返せずマジサーセン。

その正体は、まさにこの親にしてこの子あり。
「確かにビリーはとんでもないことをしたけどさあ……それでも私の息子なのよ!」という復讐宣言の後、満を持して始まる被害者&加害者同士のキャットバトルもとい、近づきたくないガチバトル。
バッコバッコ銃を撃ちまくるビリー母もたいがいだが、舞台の小道具は反撃のチャンスとばかりに、岩でも緞帳でも何でも落としまくるシドニーもかなりのもの。
というか、舞台用の岩がズンガラ落っこち、ビリー母の身体が埋まったときは、あの岩一体何でできてんだと戦慄したことを告白します。
その後、特にビリー母が潰れてなかったことから、やはり岩に見せかけたハリボテであることがわかり、ほっとしたけれども当たり前だよ!

そんな女傑二人のバトルは、突如乱入したコットンによって中断。彼の活躍によってビリー母の敗北で終わる。
彼女の元々の計画では、すべての罪をミッキーに着せ、自分はのうのうと日常に戻るつもりだった模様。
息子と思考回路がまるで一緒というか……進歩ねえな!

●ビリー父
一作目から、とんと出番のないビリーの父。
どうやら地元の名士のようだが、息子と、離婚したとはいえ元配偶者がそろって人鬼というとんでもない汚点に囲まれ、今どうしているのかと心配になる。
が、そもそもは彼が浮気をしなければよかっただけの話なので、身から出た錆ではある。
出た錆が、行いに反して大きすぎたのは同情に値するが。

●コットン・ウェアリー
前作では、TVの報道映像として一瞬だけ出てくる → 今作では、がっつり主要キャラとして登場するうえに、最後は真犯人のビリー母を討ち取るという大活躍を見せる出世株。
だが、シドニーをビリー母に人質に取られた際、「俺と一緒にトークショーの出るか?」の問に、シドニーが「No」と答えたらどうなっていたのだろうか。
「僕は最初から君を傷つける気はなかったよ」とは、あくまで後の弁。
でもまあ、冤罪で死刑になりそうだったのに、告発した本人を助けてくれるので、善人であることはたしか。
元はシドニー母とアーン☆したことが原因なので、やはり身から出た錆。

●デレク
シドニーの恋人。
前作の影響で、主人公の恋人ポジションというだけで嫌疑の対象だが、前述のように根っからのいい人。
友愛会のお遊びで、鎖で縛られ、磔にされた……と思ったら、どういうわけか、そのままの姿で舞台中央より降りてくる。
どうしてそうなった。
歌はうまいし、顔はいいし、おまけに勉強もできるしで、間違いなく本作きっての将来有望株だったのだが、ホラー映画がそんな彼を放っておいてくれるわけはなかった。

●カメラマン
『1』のケニーに代わり、ゲイルにくっついてきたカメラマン。
だが事件の最中に、ゲイルの本を読んで予習。
「カメラマン死んどるやん! 逃げな!」と一度は逃亡。
それだけでもかなりの英断だが、彼のクレバーなところは、舞い戻るタイミングを間違えないという点にある。
すべてが終わった後で、「スクープには相棒が必要だろ、へへっ」と気恥ずかしそうに戻ってくるのだが、あと数時間早ければ間違いなくゴーストフェイスの魔の手にかかっていたであろうから、よくぞ生き延びたと褒めてやりたい。
まあ、デューイが大事なゲイルに、結局すっぽかされるんスけどね。そこはしゃーない。

●刑事二人
シドニーの警護を担当する刑事さんたち。いかにもベテランといった雰囲気を醸すが、本作きっての役立たずっぷりにため息が出る。
だがゴーストフェイスは、マスクを被っている間は無敵でチートなため、仕方ないといえば仕方ない。
むしろ、見事な散りっぷりを称賛するのが、ホラーとしての正しい楽しみ方ではあるまいか。
その意味では、彼らは立派に職務を果たしたといえよう。あっぱれなり。

●演劇科の教授
犯人だと思ってたーーーー!
メンゴーーーー!

●フィル
冒頭の『スタブ』試写会で、本作の犠牲者第一号を飾った青年。
男子トイレにて、隣の個室から妙な音がするため、仕切りに耳をつけて様子を伺ったところ、なんと仕切り越しにナイフで頭をぶっ刺されるという、シリーズきっての痛い死に方をする。
正直、感想がアイタタタァーしか出てこんかった。

●モーリーン
フィルの恋人。ホラーは苦手ながら、『スタブ』の試写会に嫌々参加した。
トイレに行ったフィルがなかなか帰ってこない=さては難物か……なんぞと思っていたかどうかは定かではないが、戻ってきた彼氏が『スタブ』のマスクを被っていたため、冷ややかに「ウケる」と言い放つ。
だがもちろん、中身は人鬼だよ!
その後、映画の最中にぶすっと刺され、観衆が見守る中、スクリーンの前で息絶えた。

●『スタブ』試写会の観衆
スクリーン前で息絶えたモーリーンを見ながら、凝った演出だなぁーーと眺めていた人たち。
実際に起こったら、まさにありえそうな反応なのが怖い。
怖い。

●友愛会の女性たち
とりあえず、パステルカラーが似合わんと入れない雰囲気を醸す。
ちょこちょこ登場するため、なんかあるのかと思ったが、清々しいくらいに何もないミスリード要員。
いや、誰もミスリードしなかったかもしれない。

●ゴーストフェイス
やはり今回も無敵が過ぎる人鬼。
フィルやモーリーン、シーシーを含め、ゲイルたちが大学に入り込んだことを察知するなど、二人しかいないわりに、標的全員の動向を把握しすぎている節があったり、歴戦の刑事二人をいともたやすく葬りすぎだとか、そもそも秘密裏の護送のはずが、なんで先回りできとるんだとか、でもデューイ兄さんを圧倒していたのは順当だったとか、気絶するほどの事故に遭ったにもかかわらず、その後ぴんぴんしているとか、そもそも車の中から一瞬で姿を消し過ぎだとか、中の人が本当に人間なのか疑いたくなってくる。

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スクリーム3

原題:Scream 3
2000年の映画
おすすめ度:☆☆☆

【一言説明】
やっぱり元凶はおかん。

あらすじ

まさか、三部作になろうとは……。
元からそういう構想だったならともかく、映画も三作目となると、たいていの人がこういう感想を抱くのでは……と思う今日このごろ。
シリーズの主役ことシドニー・プレスコットは、すっかり俗世が嫌になり、山奥の高セキュリティ住宅に絶賛引きこもり中ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さすがに、次はない。
犯人が恋人ときて、その恋人の母親が犯人ときて。
さすがに、もう自分絡みの人は起きない……。

そんなシドニーの願いも虚しく、今度は舞台をハリウッドに移し、三度惨劇の幕は開くのだった。

感想

スタブラソンも折り返し。三部作の完結編と言われる、『スクリーム3』。
多分『三部』作というのは完全な後付けだろうとは思うものの、ここまで来たら、最後まで突っ走るしかないとばかりに押す再生ボタン。
さすがに三作目ともなると、ネタ切れというかマンネリというか、クオリティ的に大丈夫なのか……? という懸念を見事打ち破り、今作もなかなかどうして面白かったです、母さん。

3の大まかな流れは以下。

1.初っ端登場するコットン・ウェアリー。
『2』での活躍が効いたのか、すっかり有名人となり、看板番組も持っているらしき彼。
だがこのシリーズ。冒頭に出たカップルは死ぬというのがお約束。
なんと、次なる犠牲者はコットンなのか……? という予想に違わず、自宅で彼の帰りを待つ恋人の元に忍び寄るゴーストフェイス。
  ↓
いたずらかと思われた犯人からの電話を受け、自宅へと急行したコットン君。
電話受信から自宅まで、そこそこ時間があったような気がするのですが、ちゃんと通報とかしたのデスかね?
普通なら、警察を引き連れて帰りませんかね?
  ↓
あいにく、恋人が大事なコットンは単身で帰宅。
予想に反して生き残っていた恋人だったが、犯人の策略により、襲撃者=コットンだと誤認させられ、突如始まる内輪もめ。
「クリス、後ろだ、後ろ!」
恋人の背後に迫るゴーストフェイスを見つけ、警告するも、あっけなくされてしまう彼女。
「シドニー・プレスコットの居場所を教えろ」
質問に答えなかったコットンもあえなく魔の手にかかってしまう。
  ↓
今回の犯人もシドニー推しであることが確定。
人にものを尋ねる態度じゃねーぞ、ブァァカ!

2.コットンの身に起こった悲劇を、シドニーは引きこもり先の自宅で知る。
彼女は偽名を使い、心理士として悩める人々の相談を電話で受ける仕事をしていた。
その側にはわんこの姿が。
  ↓
……おい、わんこは無事なんだろうな? 
わんこに手をかけたが最後、ク●映画の烙印を押すことは必至だぞ、覚悟しておけ。

3.一方、再び起こった『スタブ』絡みの人を聞きつけ、ちょうど講義のためにL.A.に来ていたゲイルが取材を開始。
新作『スタブ3』の撮影現場にやってきたところ、そこでデューイと再会する。
気まずい雰囲気の二人 → なんだね、また破局してたのかね、君たちは。
  ↓
『スタブ3』のアドバイザーとして雇われ、出演女優の一人、ジェニファーと親密になっていたデューイは、再びゲイルに塩対応を取る。
だが、コットン事件の担当刑事であるキンケイドから、犯行現場に残されていた写真が、シドニーの母モーリーンの若かりし頃の写真であることを知り驚愕。
  ↓
実は、モーリーンの経歴には謎の部分があった。
ずっとウッズボローから出なかったと思われていたが、シドニーの父と出会う前の二年間、町を出た空白の期間があるという。
  ↓
またしても……またしても、シドニー母絡みの事件なのか。

4.そんな中、『スタブ3』に出演する予定だった女優サラが、ゴーストフェイスによって惨される。
  ↓
もしや、新作映画の脚本通りの順番でされている?
戦々恐々となる役者たち。
だが、脚本は三通りある → 結局誰が死ぬかわからんのと一緒なのでは。
  ↓
その晩、役者たちが一箇所に集まっていると、まずはジェニファーのボディガードがされ、次にガス爆発を利用し、出演者の一人が爆死。
  ↓
直前に脱出して崖下に逃れたゲイルだったが、車の裏から現れたゴーストフェイスに襲われそうに → 崖上にいたデューイが発砲 → 犯人が逃げて事なきを得る。
バカスカ撃ったにも関わらず、一発も当たらないデューイの射撃能力については後でとっちめるとして、とりあえず、まだゲイルに未練があることが発覚 → まんざらでもない雰囲気をかもす二人 → このやり取り何度目デスかね。

5.引きこもり中のシドニーの元に、相談者の女性から電話がかかってくる。
  ↓
この声……どこかで聞き覚えが……。
まさか、お母さん?
  ↓
いくらボイスチェンジャー技術が発達しようと、数年前に死んだご婦人の声を正確に再現とかパなすぎないだろうか……という疑問はさておき、ついに犯人に居場所を知られてしまったシドニーは、『スタブ』関連の事件が報道されていることもあり、山を下りる決意をする。

6.ハリウッドの警察署で、シドニーと再会するデューイとゲイル。
三人が撮影所に出向くと、なんとランディの妹マーサが登場。兄から遺言書ならぬ遺言テープを預かったと言われ、早速再生 → 在りし日のランディが映り、感慨に浸る……間もなく、『三部作のルール』についての解説が始まる。
とっくに亡くなっているのに、お勤めご苦労様です。

曰く、
 ・犯人は超人の可能性がある。
 ・主役も死ぬかもしれんから気をつけろ。
 ・過去が襲い掛かって来る。

過去=シドニーの過去……ではなく、母モーリーンの過去であることが明らか。
人現場に残された若きモーリーンの写真の背景が、映画セットであることに気付いたゲイルは、一人別行動を取り、実は彼女がかつてここハリウッドで、女優『リナ・レイノルズ』として、映画に出ていたことを突き止める。
そして、その時の監督だったジョン・ミルトンは『スタブ3』のプロデューサーも務めていた=怪しい。
  ↓
デューイを伴い、ミルトンの事務所を急襲したゲイルたち。
なんと、モーリーンはミルトンの手により、不道徳な☆☆☆パーティに参加させられ、ひでー目に遭って地元に帰ったことが判明。
つまり、モーリーンがアーン☆な女性になった原因は、ミルトンが作ったと言っても過言ではないのだ。
すべての元凶はお前かよ。
しかし、今更ミルトンを断罪することもできず、なんとも言えない顔をするゲイルたち。

7.一方その頃シドニーは、ウッズボローを完全再現した撮影セットの自宅内にて、例によって例のごとくゴーストフェイスの襲撃を受けていた。
毎回思うが、犯人はどうしてこうもピンポイントに標的の動向を把握できるんすかね。シドニーがセットに行ったのってただの偶然なんすけどね。
  ↓
そしてやはり例によって例のごとく、二階に逃亡 → 屋根を伝って地面に落下 → 助けがやって来るのコンボで、助かったシドニー。
  ↓
その後、保護された警察署でキンケイド刑事とちょっといい雰囲気になるも、シドニーが心を許したイケメン=容疑者の図式は今回も健在。
ハリウッドの誇る二枚目パトリック・デンプシー氏がキンケイドを演じていることもあり、怪しさが指数関数的に爆上がり。
多分コイツが犯人デスよ。

8.ゲイルとデューイは、シドニーの声を装った犯人からの電話により、本日がお誕生だという『スタブ3』の監督ローマンのハピバパーティに呼び出される。
着いた先はミルトン邸。
さすがはホラー映画のプロデューサーだけあり、豪邸もさることながら、隠し通路や秘密の地下室など、あちこちに仕掛けがいっぱい=最終決戦の舞台に最適。
  ↓
モチのロンで現れたゴーストフェイスの活躍により、ローマンはじめ、次々と祭りに上げられていく出演者たち。
何故か別行動を取るゲイルとデューイ。
「あっちの様子を見に行く!」
「じゃあ、私はこっち!」
いや、一緒に行動しろよ。
  ↓
案の定、別行動したせいで、ピンチに襲われるゲイル……を助けようと現れたデューイだったが、ゴーストフェイスの投げたナイフの柄が額に当たり階段を落下 → 気絶という奇跡のコンボを見せ、敢え無く人質に取られてしまう。
弱ぇ……。
多分別行動せんでも結果は同じだったと思われる。

9.警察署にかかってきた犯人からの電話を受け、一人ミルトン邸に乗り込むシドニー。
ゲイルとデューイを助けるため、地下室で犯人と対峙する。
  ↓
満を持して外されるゴーストフェイスのマスク。
「やあ、シドニー」
  ↓
……。
誰?
視聴者もポカーンながら、多分本人と大して面識のなかったシドニーもポカーン。
  ↓
ローマン監督だよ」
あまりのことに、自分で名乗ってしまう犯人。
あっ、そうか! メガネ外してたからわからんかった。
メガネキャラはメガネが本体なんだから、メガネ取ったらアカンじゃろ。
あれ、君たしか地下室の棺の中で死んでなかったっけ?
  ↓
どっこいフェイクで、死んだふりをしていただけのローマン。
実は彼、モーリーンがリナ・レイノルズ時代に産んだ子ども=シドニーの実兄。
産みの母を探し、『1』の一年前にモーリーンを探し当てる → 触れられたくない過去の亡霊を前に、「私の子はシドニーだけ」と塩対応される → 傷ついたローマンがルーミス家に不倫をバラす → ビリーの両親が離婚し、『1』の悲劇が起きる、という流れだったことが発覚。
つまり、『1』及び『2』の惨劇はローマンが仕組んだと言っても過言ではないわけで、結局の所、三作も費やして描かれてきたのは、盛大な兄妹喧嘩だったわけで、「元凶はお前だ!」と首をかっさばかれたミルトン氏を前に、繰り広げられる骨肉の争い。
  ↓
殴る! 蹴る! 椅子!
「撃ってやったわ!」
「ブッブー! 防弾チョッキを着てましたぁ〜〜」
  ↓
「撃ってやったぜ!」
「バァーーカ! こっちだって防弾チョッキよ!」
デューイ「さすが兄妹」
「やかましい!」
  ↓
途中、キンケイドの加勢もあり、勝利を収めた……かに見えたシドニー。
だが、シリーズのお約束。
ガバっと起き上がってきたローマンにとどめを刺したのは、三度目の正直というか、最後の最後でというか、まさかのデューイ。
激しくサムズアップ。
  ↓
その後、無事に事件の傷を癒やしたシドニーが、ちゃっかりキンケイドと良い仲になっていたり、デューイがゲイルにようやくプロポーズしたり、もちろんわんこは無事だったりと、めでたいことラッシュ。
過去のすべてを清算し終え、見事三部作の幕は閉じられたのだった……。

多分。

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人物紹介

●シドニー
ご存知シリーズ通しての主人公。
三作目ともなると、『1』の初々しさはどこへやら。ショートカットが板についた、たくましさ炸裂の女傑と化す。
本作では、しばらく山奥に引きこもっていた影響からか、何やらオカルトチックに母親の亡霊的なものを目にしたりするのだが、それが話になにか影響を与えたかというと、特にそうでもなかった。
逆にあれはなんだったのかね? と作った人に尋ねたくなる。

前半は出番が少なく、ゲイルとデューイが出張っていたため、若干ハラハラしたのだが、後半になり、いざシドニーが戦場へ乗り込んだ際は、最早ハラハラのハの字も要らない、安定の格闘アクションを繰り広げ、見事実兄を討ち取ってくれるのだから、お見事という他はない。
主役が死ぬこともあるって? んなわけあるか、シドニーだぞ。
だが、『2』でデレクからもらった友愛会のお守りを、今も首から下げているあたりに感じる乙女心が実にかわゆい。かわゆい。

恋人、恋人の母ときて、ラスボスの兄を倒した後は、流石にもう続編はないだろうとばかりに、引きこもりを引退。ちゃっかりイケメン刑事のキンケイドのハートをゲットし、人生を謳歌しようとする姿で幕を下ろす。
モーリーンの死から合わせると、実に五年もひでー目に遭ったわけで、ぜひ幸せになっていただきたい。
……というファンの心を、『4』が台無しにすることを、この時彼女はまだ知らない。

●ゲイル
ご存知シリーズのヒロイン。今作でも、例によって例のごとく、デューイと破局した姿で登場。田舎町におとなしく収まっている器ではなかったこともあり、現在はNYだかどこかだかで活躍しているらしい。
出番の少なめなシドニーに代わり、前半は探偵役を引き受け、怪しげな地下資料室に降りていき、そこでレイア姫のそっくりさんに出会うなどの大冒険を繰り広げる。
このあたりのやり取りは、さすがはキャリー・フィッシャーさんというべきか。好き。

ローマン宅では、決定打こそ打たなかったものの、襲いくるゴーストフェイスをかいくぐり、見事デューイとともに生還。その後、満を持してのプロポーズを受け、幸せを予感させての終わりとなる。
……が。
続編があったらその限りではないのだが、果たして。

●デューイ
ご存知シリーズ通してのレギュラー枠。
多分まだウッズボローの町で保安官代理として働いていると思う……のだが、なぜか今作ではハリウッドでアドバイザーなんぞをやっている。
『2』といい、ほいほい職場に穴を空け、クビにならんのか?

今作でも、案の定ゲイルと破局スタートを切るが、心はまだ彼女にあるのが丸わかり → ともにあれやこれやを乗り越えるうちに、絆を再確認 → 見事最終決戦を生き延び、ゴールインという快挙を果たす。
てっきり、またしても犯人にバカスカ刺されるんだろうなと思っていたのだが、なんと今回は刺されなかったばかりか、最後の最後で止めをさすという、ファンが待ちに待った展開を迎えるので、実にあっぱれ。
ゲイルと末永くお幸せになのだ!

●ランディ
『2』で死んでしまったため、出番なしかと思われていたが、なんと妹を登場させ、死ぬ前に撮影した映像という形で出演を果たす。
事件が『三部作』になることを見越していたとは、さすがランディであると言わざるを得ない。
彼の解説したルールが予言書のようにピタリと当てはまっているのはご愛嬌ながら、なんと『2』で死んでしまったのは、バイト先の女性とアーン☆な経験を済ませていたからだったことが判明。なるほどねぇー!
……ということは、貞操を守ってさえいれば、『2』でも生き残れたのだろうか。そう思うと残念なような、本人としては、本望だったような。複雑ぅ!

●キンケイド
本作で初登場する人課の刑事。ハリウッド生まれのハリウッド育ちということで、土地に明るいことを理由に、事件の担当として抜擢された。
一見頼りがいのありそうなイケメンなのだが、途中でデューイの携帯を借りてみたり(直後に、犯人にシドニーの番号が割れる)、ゴーストフェイス登場時は姿を消していたりと、終盤まで有力な犯人候補としてミスリード要素を担当する。
というか、犯人だと思ってた。
だが、ミルトン邸において、ようやく白であることが確定(メンゴ)。
その後はちゃっかりシドニーの恋人候補に収まったわけだが、途中で匂わされた彼のバックボーンには何やら彼女とタメを張りそうな薄暗さが感じられ、キンケイドを主役に一本の映画を作っても面白いんでねーのと思ったりしました。イケメンだし。

●コットン
映画冒頭で登場し、おいおい、まさか……という懸念が現実になり、命を落としてしまった三部作のレギュラーキャラ。
せっかく容疑が晴れて、人生を謳歌していたのに、まったく気の毒。
というか、何故犯人は彼がシドニーの居場所を知っていると思ったのであろうか。
突き詰めれば、元死刑囚と、彼を冤罪に追い込んだ元凶という仲。もしくは母親の不倫相手なんだぞ。
一応、『スタブ3』の脚本通りにされる=カメオ出演する予定だった、というのが狙われた理由ではあるようだけれども。
どちらにしろ、非常に惜しいキャラを亡くしたものであります。『2』とか大好きだったぞ!

●ローマン
本作の犯人。初の単独犯。その正体は、シドニーの異父兄。
ミルトン邸の地下で満を持してマスクを脱ぐが、眼鏡キャラのくせに眼鏡を外していたせいで、多分ほとんどの人が「誰?」ってなったと思われる。
そう考えると、犯人的中率としては、制作陣側の勝利といえなくもない。

共犯者もおらず、前作までと違って一人で倍の作業をこなさなくてはならなかったにも関わらず、いつにも増して人外な要素が多かったりと、驚くべきはプレスコット家……ではなく、モーリーンのであることは明らか。
妹が憎いなら憎いで、『1』の時点でしておけばよかったのだが、『1』を経てさらに『2』を生き延びた彼女は歴戦の戦士と化しており、準備万端で出張った本人=兄は返り討ちにされてしまった。
だが、最後のお約束として再び起き上がった後は、防弾チョッキを着ているとはいっても、銃弾をバカスカ浴びせられてもびくともせず、ようやく額を撃ち抜かれてから絶命するという、ホラーモンスターもびっくりな強靭さを見せてくれる。
さすがはシドニーの兄ちゃん。

●モーリーン
写真で若かりし頃のかわゆい姿を披露したシドニーの母。
ザ・すべての元凶。
……というにはひどい目に遭っているので、同情する気持ちが湧く……と言いたいような、そうでもないような。
幸せな家庭を築いた後で、今更現れた息子を受け入れられなかった気持ちはわかるが、それ以前に、幸せな家庭を崩壊させることを自らやっとるからね、この人。

それにしても、数十年前のホラー映画とはいえ、ハリウッドの映画に出ていたのだから、誰か一人くらい気づく人はいなかったのでしょうか。
それとも、よっぽど日の目を見ない映画だったとかでしょうか。謎ん。

●ミルトン
ザ・すべての元凶その2。
こいつさえオイタをしなければ、三作通しての惨劇は起きなかったのかもしれないと思うと、実に罪深きおっちゃん。
だが、演じるのが『エイリアン2』のランス・ヘンリクセン氏なので、どこか憎めない要素もある……と思ったが、最後は激高したローマンの手によって、首をかっさばかれて絶命した。
一応、シドニーは「きゃぁ」みたいなことを言っていたが、もし真相をすべて知ったとしたら、もしかするとゴミを見るような目を向けた可能性が無きにしもあらず

●『スタブ3』の出演者
とばっちりでされた人たち。
結局の所、映画の脚本通りにされたんだかなんなんだか、ようわからん。
ゲイル役のジェニファーやランディ役のタイソンなどはいい感じをかもしていたので、全員さず、実は生きてましたとかでもよかったんではあるまいかと残念。
特にガス爆発でされたトム君。『スタブ』なんだから、きちんと刺せっちゅーねん。

●シドニー父
序盤でちらっとだけ姿を見せるシドニーのおとん。
こういうシリーズもののお約束で、幾人かのキャラは前作と顔が違うことが多々あるものの、本シリーズではきちんと同じ顔でなにか感動。
フツーは顔が変わったりしないのデスが。そこは大人の事情ってやつダヨ。

●わんこ
シドニーの隠れ家にて登場のかわゆいゴールデンレトリーバー。
正直出てきたときはハラハラしたが、ハリウッドまでは同行せず(多分おとんが面倒を見ていた)、ラストにてハッピーな姿で再登場してくれる。
ホラーにおけるわんこの生存率は高いというルールが、またしても再確認された。

●ゴーストフェイス
無敵どころか、どうなっとるんだレベルに進化した人鬼。
特に今回は単独犯なこともあり、各標的の動向把握度合いと、出没レベルは半端なく難易度高し。
サラ害時は、そもそもローマン本人が呼び出したからいいとして、ガス爆発はどうやってやったん? 
いつガス充満させたん???
しかも、ガスを充満させたはずなのに、コロコロと岸壁を転がってきたゲイルたちに先んじて下で待ってるとかどうなっとるんじゃい。

田舎町と違って、さすがに刑事はされなかったものの、キンケイドは危なかったし、シドニーの番号はどこで割れたのかもよくわからんし、そもそも監督にも監視の目というか、いつ襲われるかわからんのだから警護の人とかついてなかったんかいとか、最初の事件から四年も経っているにも関わらず、まだそのマスク売っとるんかいとか(フツー映画では不謹慎だからとマスクのデザイン変えないか?)、結局のところ、ゴーストフェイスは無敵なのデスという結論に落ち着かざるを得ないのデス。ヒューッ!

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スクリーム4:ネクスト・ジェネレーション

原題:Scream 4
2011年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆

【一言説明】
まさか四作目があるとはね!

あらすじ

ないでしょ。
『4』はないでしょ。
そもそも三部作って言っちゃってたしー。さすがにこれ以上、プレスコット家で引っ張れないっしょ。

……なんぞと思っていたシドニー・プレスコットだったが、この度十年もの時を経て、故郷ウッズボローの町に戻ってきた。
過去の事件を振り切り、前を向いて歩こうと書いた本『闇を抜けて』
その販促のために訪れた書店で、懐かしい顔ぶれと再会した彼女は、四度、惨劇の訪れを予感することとなる。

果たして、新たな世代を巻き込み、再び町を恐怖に陥れる、ゴーストフェイスの下の顔とは……?

感想

ついにたどり着いた四作目。
ぶっちゃけ書いても書いても終わらない記事に、ひたすら天を仰ぎつつ、けれどここまで来たなら最後までお付き合いするってものが人の情。
実の兄まで出し切って、今度はどんな展開にするんじゃい……と心配すれば、新たに若い世代を追加。新旧ファンを抱き込み、ホラーのお約束も上書きし、大変楽しい作品として仕上がっておりました。

4のおおまかな流れは以下デス。

1.冒頭でされる男女カップルがお約束だった前三部作。だが今回は、キュートな女子コンビを三連発!
『スタブ7』の冒頭で、『スタブ6』の冒頭シーンを鑑賞する女子コンビが、さらに『スタブ5』を鑑賞しており……というメタフィクション的な入れ子状態。
かわゆい女子も、セクシィな女子も、等しくバカスカ刺されまくり
だが最後はついに現実に戻り、ウッズボローの町に住む、女子高生マーニージェニー害される。

2.十年の時を経て、著作の宣伝のため、故郷の町ウッズボローを訪れたシドニー
ところが、サイン会はデューイの来訪で中断。
「被害者の携帯を追って来た」
車のトランクを開けると、ジェニーの携帯とともに、まみれのシドニーの写真や事件の記事が入っていた。
惨劇の予感。

3.またしても事件=自分絡みであることが明らかとなり、町から出ることを禁止されたシドニー。仕方なく、従妹ジルの家に滞在することになった。
一応、警護の警官二人が外で守ってくれてはいるものの、過去の経験から、警察=役立たずであることは明白。毛ほども安心できない状況の中、ジルのスマホに元カレのトレヴァーから電話がかかってくる。
  ↓
ちょうどお泊り中だった友人のカーヴィが代わりに出ると、例のあの声
十年経っても変わらぬ声に、心地よい懐かしさを感じ……ねーわ。
  ↓
「あんた誰よ?」
「クローゼットは安全か?」
恐る恐るクローゼットを確認するカーヴィ。
  ↓
お向かいに住む友人オリヴィアのクローゼットから犯人がドーン!
なんでや。

窓越しに見守るジルとカーヴィの前で、ゴーストフェイスにバカスカ刺されるオリヴィア。
騒ぎを聞きつけたシドニーが躊躇なくオリヴィア宅に向かう → メンタル無敵か → ゴーストフェイスと遭遇 → 得意の格闘術で犯人を撃退 → フィジカルも無敵か → 一瞬の隙に逃げ出す犯人 → 物音に気を取られ、遅れて駆け付ける警察二人 → 案の定役に立たねぇな!
  ↓
オリヴィア宅から出て来たシドニーを見て、集まったご近所の人々が「とんだ疫病神だ」。
ぐうの音もでないシドニー&視聴者。

4.十年越しの襲撃を受けたシドニーに、空気読めない子=KYKこと広報担当のレベッカが、「そんなことよりN.Y.にPRに行こうぜ!」と言って解雇される。
  ↓
レベッカ「やーね、空気読んでほしいわー」
  ↓
空気を読んだゴーストフェイスに襲われるレベッカ。
  ↓
「犯人はもうちょっとで捕まるよ!」と報道陣の前でビッグマウスをかますデューイの前に、レベッカの遺体が上から降ってくる → 捕まる予感がしないのだが?

5.ゲイルとシドニーが、ウッズボロー高校の映研に招待される。
そこで部長のチャーリーロビーから、近く『スタブラソン』という『スタブ』シリーズの鑑賞会をかねたパーティが開催されるという情報を得る。
彼らの意見によると、犯人は模倣犯。ということは、一作目はパーティが最終決戦の場だったため、今回もパーティを犯行の舞台として選ぶだろう。
そう当たりをつけたゲイルは、何故か単身で『スタブラソン』のパーティ会場に潜入。『3』でも単独行動中にひでー目に遭ったと思うのだが、学習という言葉が辞書にないのでしょうか、この世界は。
  ↓
会場に隠しカメラを設置するも、何者かがカメラの角度を変える → のこのことカメラを確認しに行くゲイル → 案の定ゴーストフェイスに襲われてピンチ!
  ↓
間一髪、助けに来たデューイの活躍で難を逃れたゲイル。けれど肩を刺されて負傷 → 緊急搬送されてしまう。

6.一方そのころ、自宅軟禁に飽きたジルはこっそり家を抜け出していた。
  ↓
まったく気づかない警護役の警察二人。
「なんか音しなかった?」
「見て来るわ」
「あ、それ死亡フラグ」
「知ってる? 最近は、待ってる方がされたりするんだぜ」
「ほんとかよ」
  ↓
二人ともバカスカ刺された。
最近(?)は、警護ってだけで死ぬフラグなんだぜ!
  ↓
ゴーストフェイスの襲撃を受け、ジルの母ケイト=モーリーンの妹が死亡。
デューイの部下ジュディが駆け付け、シドニーは助かるが、ジルが危ないと思った彼女は盗んだパトカーで走り出す。さすが女傑はチョイ乗りのレベルが違います。

7.カーヴィの家に集まるジルとロビー、チャーリーたち。そこに招かざる客のトレヴァーも姿を現し、面子が揃ったところで、ゴーストフェイスの襲撃を受け、まずロビーが死亡。
  ↓
シドニーが現着。ジルを二階に隠し、カーヴィと合流。彼女といい雰囲気だったチャーリーが外から助けを求めてくるが、いい仲=犯人のフラグというトラウマ持ちのシドニーに横やりを入れられ、躊躇するカーヴィ。
  ↓
『1』の再現で、ガラス戸越しに、椅子に縛られて座らされるチャーリー。
犯人から電話がかかってきるが、「会話を引き延ばして」と無茶ぶりをかまし、ジルの様子を見に二階に上るシドニー。
何故そのタイミングで別行動を取る。
電話が終わってから行けや。
  ↓
電話越しの犯人クイズに、映画オタクのロビーも顔負けの知識で、正解を連発するカーヴィ。
「クイズに勝ったわ!」
外に出てチャーリーの拘束を解く。
  ↓
チャーリーに腹をぶっ刺されるカーヴィ。
おまえが犯人かよ。

8.ジルを探し中のシドニーを、チャーリーとゴーストフェイスが襲撃。
マスクの下のその顔は、なんとジル。
おまえも犯人かよ。
  ↓
曰く、近しい肉親が大の有名人で、幼い頃から「あのシドニーの従妹」として扱われてきたジル。
「見て。あの子がシドニーの従妹よ」
「へー、あれがシドニーの従妹か」
シドニー、シドニー、うるせぇ。
すっかりシドニーアレルギーとなったジルは、彼女を葬り、自分が同じポジションに収まる=新たな伝説=ネクスト・ジェネレーションとなるため、チャーリーと組み、今回の事件を起こしたという。
容赦なく、従姉の腹をぶっ刺すジル。
ついにシドニー・プレスコットに死が訪れるのか……?
  ↓
スケープ・ゴートは元カレトレヴァー。彼が自分以外の全員を惨、相打ちとなって死んだように見せかけるため、自ら肩をぶっ刺し、背中からガラス張りのテーブルに倒れ込むジル。
ド根性が過ぎる。
だが、新世代の彼女は知らなかった。本シリーズにおいて身代わりを立てることは、失敗&自らの死亡フラグだということを……!

9.事件の生き残りとして、病院に運び込まれたジル。見舞いに来たデューイに、「ゲイルとは同じ場所を刺されたし、一緒に本を書きたいわ」としおらしく語る。
だが彼の口から、てっきり死んだと思っていたシドニーがまだ生きていることを知らされた途端、豹変する表情が怖っ!
りに行く気満々だズラ。
  ↓
ICUに忍び込み、さすがにここで刺したら不自然なので、シドニーの首を絞め始めるジル。
彼女が新ヒロインだと思っていた時代が懐かしい。
  ↓
「何故同じ場所を刺されたと知っていたの?」というゲイルの疑問から、ジルが犯人だと気づいたデューイ。
慌ててシドニーの元へ向かうも、隠れていたジルに背後から頭を殴られて気絶。
安定のデューイっぷりに、なぜか安心する自分がおります。
  ↓
頼りない上司に代わり、飛び込んできた部下ジュディ。
そのわちゃわちゃの隙きを付き、AEDを最大出力、ジルの頭部に食らわせるシドニー。
さすがは姐さん。美少女にも容赦がない。
  ↓
脳みそが感電したにも関わらず、例によって起き上がるジル。
待ってましたとばかりに、銃弾を撃ち込むシドニー。
本当に美少女にも容赦がない。
  ↓
真犯人を討ち取り、ようやく解決した事件だったが、病院の外では、新たな生き残り=新ヒーローのジルを讃える報道が、あちこちで繰り広げられていたのだった……。

完。

……と一応は完結したかに見える本シリーズですが、巷では『5』が作られ、しかもレギュラー3人が出演する気配が濃厚だそうで、そんなことになったら今度こそ三人ともども死んでしまうような気がするしで、正直作らなくていいんじゃないでしょうか。
もしくは、作るならまったく新しいシリーズとしてリブートしたらいいと思います。
公開されたらモチロン見るよ!

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人物紹介

●シドニー
十年経って、貫禄というか落ち着きが増したシリーズ通しての主人公。
普通は『ネクスト・ジェネレーション』なんぞと銘打つと、旧キャラが死んでの世代交代が行われるのが常ですが、さすがはシドニー姐さん。
今回もばっちり生き残るどころか、新世代に引導まで渡してしまった。
何しろ交代要員=犯人だったからまあしゃーない。

今作では作家として成功しており、故郷に錦を飾った姿で登場したわけだが、着いたその晩にはもう疫病神呼ばわりという、暴落にも程がある扱いを受ける。
正直マジで疫病が……。
カーヴィ宅の決戦にて、包丁を握る姿が実に様になっている。

彼女が穏やかに暮らすためには、『3』みたいに山奥に引っ込むか、それとも外国に行くかだが、結局は現地で陰惨な事件が起きるような気がするので、もういっそのこと警察官になって、人課の刑事でも目指したらどうだいと言いたいがどうだい?

●ゲイル
四作目も安定のヒロイン度を保つ我らが姐さん。
てっきりデューイと破局しているかと思いきや、なんと十年経ってもまだ仲良しという、いい意味で予想を裏切ってきたため実にあっぱれ。
でも多分『5』があったら破局している。

デューイとの生活は上々だが、その反面、作家としての創作意欲は低下しており、現在絶賛スランプ中 → 降って湧いた事件に意気揚々 → 勢い余って単独行動 → 肩ぶっ刺されるという、昔取った杵柄的な行動を連発。
マジでこの世界に学習という言葉は存在しないらしいが、ゲイル姐さんが楽しそうで何よりです。
負傷後は入院したため、一線を離れていたが、最終決戦の場にはきちんと登場。真相に触れる発言をし、夫の注意を促すというグッジョブさを見せ、まさに内助の功という、いい女ここに極まれりな存在感を見せつける。

もし続編があっても、絶対に、絶対に死なんでくれー。

●デューイ
なんと今回は代理ではなく、保安官に昇進。ウッズボローの治安の要となった姿で登場する。
ゲイルとの結婚生活も上々で、順風満帆の大した出世株……かと思われたが、やはり弱かった。
「もうすぐ犯人捕まるヨ」からの死体ドーン! に加え、十代の少女にたやすく気絶させられたりと、やはりデューイ君はデューイ君で、時代が進んでも変わらぬ姿に一安心するという、本シリーズきっての癒やし系な姿は健在。
けれど、『2』と『3』で描かれていた神経損傷による後遺症がいつの間にかなくなっていたり、武力がシドニー、知性がゲイルだとすれば、実はシリーズ随一のタフネスさを持つのは彼ではないかと思う今日このごろです。
何度刺されてもけろっとしている。やはりレギュラー陣は一味違うのであります。

●ランディ君
さすがに十年も経つので、今作での登場はなし。
ちょい残念。

●ジル
シドニーの従妹。新世代代表。
演じるエマ・ロバーツさんがめちゃんこかわゆく、名実ともに新ヒロイン候補……かと思われたが、どっこい犯人枠だったことが判明。
その動機も、自作自演で事件を起こし、自分が新ヒロインに成り代わって有名になる、という『1』とタメを張るアフォなもので、まさに『ネクスト・ジェネレーション』と呼ぶにふさわしい、サイコな魅力が満載。
まあねえ、子供の頃から、●●の従妹扱いされてきたんじゃたまりませんよ……とは思えど、普通そんな発想にはならんので、やはりさすがはモーリーン側の親族といったところ。
間違ってもおとん側の従妹ではないので、そのへん間違わないでやってつかーさい。

格闘したように見せるため、「アー!」とか言って肩を刺したり、「ぅおっしゃ!」とか気合を入れて額縁にぶち当たったりと、サービス精神旺盛。
しかも容赦なく従妹の腹をぶっ刺してくるもんだから、せっかくの美少女が台無し。
だがその過剰サービスが仇となり、シドニーがきちんと息絶えているかの確認を怠ったため、足元をすくわれる羽目になった。
デューイからシドニー生存を聞いた際の顔が、まさに『あのゴ●ブリ』的な表情だったような気がするが、多分気のせいではない。

●チャーリー
ウッズボロー高校の映研部の部長。
シリーズに一人は出てくる映画オタク要員だが、本作では常に映像をリアルタイムでネット配信するなど、最新にグレードアップされている。
だが共犯者。
少なくとも、オリヴィアとゲイル、そして警官二人を襲ったのは彼であろうと思われるが、たいして強そうに見えないのにようやった。やはりゴーストフェイスのマスクはチート。

当初はカーヴィに気がある様子だったが、一年もの長患いの後、ジルに粉をかけられ、あっさり陥落した模様。積極性のあるギャル&オタクという属性は大変好みだったので残念至極。

本人の認識としては、アートを創り出すパートナーだったのが、ジルからしてみればただの道具というすれ違いにより、あっさり心臓を刺されて死亡するのが、若干不憫……でもないか。

●カーヴィ
ジルの親友の一人。イケてる女子だが、かなりの映画オタク。それ故、チャーリーとはどこか通じ合うものがあったようだが、アレな友人のせいで、お腹を刺されて死ぬ羽目になってしまった。
ジルが変なちょっかいを出さなければ、そのまま二人はハッピーエンドだったんじゃないかな! 
演じるヘイデン・パネッティーアさんがたいそうかわゆく、正直好みで生き残ってほしかった。腹は刺されたけど、実は生き残っていたよとか、そういう救済があってもよかったのではないでしょうか。

●オリヴィア
もうひとりのジルの親友。
……と思っていたのはこちらだけで、そういえばなんでジルは彼女とカーヴィを犠牲者に選んだんだブアァァカ。
てっきりジルたちが襲われるのかと思いきや、なんと彼女宅のクローゼットに潜んでいたゴーストフェイス=チャーリーにより、バカスカ刺された。
多分チャーリーの質問に塩対応したからだと思うが、ジルがサイコすぎてなんだもうあいつ。

●ロビー
映研部の副部長。チャーリーの親友。
配信用のカメラを常に構えており、新時代の映像を創り出すことに熱心。
だが親友だと思っていたのはロビーのみで、カーヴィ宅に招かれた際、呑気に映像を取っていたところ、ゴーストフェイスに襲われて死亡した。
下手人は多分チャーリー……だと思うと非常に不憫。犯人の目論見通り、害の瞬間もリアルタイムで配信されていた。

●トレヴァー
ジルの元カレ。彼女がいながらマーニーにちょっかいを出し、一方的に破局を言い渡された。その後も未練たらたらでジルの周囲をうろつき、最終決戦の場となるカーヴィ宅にまで押しかける。

ジルの計画としては、『1』のリメイクである今回は犯人役はトレヴァー以外にいなかったわけで、多分浮気がなくてもスケープ・ゴートにさせられていたと思うと、マジであの子サイコ。
本性を現したジルにサクッと刺され、シドニーの生存がなければ、事件の犯人になってしまうところだった。

●マーニーとジェニー
冒頭で第一の被害者となる女子高生二人組。
トレヴァーと浮気したマーニーは百歩譲って仕方ないとして、ジェニーはなんの罪もなかったのではなかろうか。
それにしても、本シリーズにおけるホラー映画大好き層の厚いことこの上なし。

●レベッカ
作家シドニーの広報係。
空気の読めない発言を連発する女性ではあったが、なんで彼女が犠牲者になったの? → 多分シドニーの関係者だったから、だと思うと、マジであの疫病神。
駐車場で不気味な気配を感じた際に逃げ出せばよかったのだが、のこのこ自分の車に近づくという悪手を見せる。
しかしその後、すかさず後部座席に誰もいないことを確認したのはグッジョブ → エンジンのかからない車から出る → 再びエレベーターに戻る、という悪手を再度見せ、結局はゴーストフェイスの手にかかって死亡した。

●警官二人
シドニーの警護にあたっていた警察官二人。
「すぐ戻る」「それ死亡フラグ」「ブルース・ウィリスが警察官なら助かる」等など、ホラー界における警察あるあるを語り、「あはは」と笑い合った後で、二人共死亡した。不憫。
突然の襲撃とはいえ、チャーリーには勝てたんじゃないのかなー。

●ケイト
モーリーンの妹にして、ジルの母。シドニーの叔母。
姉とは似ても似つかぬ善良な女性だったが、ゴーストフェイスの魔の手にかかって死亡する。
なんでや。
多分、シドニーの母も死んでいることと、『たった一人生き残った少女』の悲劇性を上げるためかと思われるが、何も実母にまで手にかけんでも……。

●ジュディ
デューイの部下。シドニーとは同級生で、同じ演劇の舞台に立ったこともあった模様。
病院でジルに彼女とゲイルが襲われた際に助けに現れ、銃弾を食らうも、防弾チョッキのおかげで無事。最終的に生き残った。
「覚えてないわ」と言われたり、「ケーキまずい」と言われたり、パトカーを盗まれたりしたにも関わらず、両者を助けてくれるできた女性である。

●ゴーストフェイス
今回も安定の無敵さを誇る人鬼。『3』と違って二人に増えたが、中身がもやし男子と女子高生とは思えないほどの大活躍。
一応、厳戒態勢が敷かれているはずだが、その中で実に追加八人もの人間を祭りにあげるとは、二人が無敵と言うより、ウッズボローの警察は何しとんの? と言うべきか。
だがその警察のトップがデューイ君なので、そこは仕方ない。
それにしたって、白昼堂々駐車場で淑女を襲ったり、警察官二人を瞬したり、レンタカーで借りたはずのシドニーの車にいつの間にか物騒なものを忍ばせたり、やはり人知を超えた力が働く模様。
いずれスピンオフで、被ったものが連続人鬼となる曰く付きのマスクとしてホラー映画が撮影されたりするかもしんない。

●電話の声
本作における人鬼からの電話の声は、一貫してロジャー・L・ジャクソン氏が務める=同じ声なのだが、実に十年以上にも渡り、不特定多数の犯人がまったく同一の声音で電話をかけてくるというのが、ある意味一番の恐怖要素である(『2』にいたっては、一般人のいたずら電話まで同じ声だった)。
多分、事件の記録として、初代犯人であるビリーとスチュの使ったボイスチェンジャーのデータが残ってるんだろうとは思うものの、そういうのって警察で極秘事項として大事に保管されてんでねーのとか、『3』まではともかく、一介の高校生である『4』の犯人はなんでわかったのとか、まあとにかく細けぇことはいいんだよ!

●監督
一貫して、ウェス・クレイヴン氏が務めていらっしゃいます。
『エルム街の悪魔』といい、本シリーズといい、大変面白い映画をありがとうございます。偉大な監督さんであります。

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