映画史に燦然と輝く不朽の名作、『ターミネーター』と『ターミネーター2』。
Amazon Videoにて、この度『2』が配信となっていたので再視聴。
やはり名作はええのう……となった次第です。
ターミネーターことT-800にはアーノルド・シュワルツネッガー氏。無敵のヒロイン、サラ・コナーには女傑リンダ・ハミルトンさん。孤高の戦士カイル・リースにはマイケル・ビーン氏。そして世紀の美少年、ジョン・コナーにはエドワード・ファーロング氏。でもって、彼らの宿敵T-1000にはロバート・パトリック氏が扮しておられます。
シリーズの顔すぎて、今更書くまでもねーわ、これ。
※以下ネタバレ。未見の方はご注意を。
もしまだ見たことがないよ、という幸運な人がいましたら、ぜひ前知識なしで見てくなんし。超面白いよ!
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ターミネーター
原題:The Terminator
1984年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆☆☆
【一言説明】
未来からの刺客、来る。
あらすじ
デデンデンデデン。
伝説のイントロに乗せて、2029年の未来から刺客が放たれた!レストランで働くサラ・コナーは、ある日自分と同姓同名の女性たちが次々と殺されているのを知る。
殺害の順番は、電話帳に載っている通り。次は、自分――?
戦慄したサラは、大衆の中に身を隠し、警察の助けを待つことにした。人ごみの中では、手を出すことはできないはず……。だがそんな理屈をものともせず、一発の銃声が鳴り響く。
人類VS機械。
未来での存亡をかけた、最終決戦の火ぶたが今切られたのだった――。
感想
存外、ホラー。
展開がホラー!
Amazon、Netflixでも『1』は配信となっとらんので、自前のコレクションにて再視聴してみた『ターミネーター』。
伝説の幕開けとなるすべての始まりは、意外や意外。とってもホラー風味だったんですよ、おくさん!
まず冒頭にて、2029年の荒廃した未来が映され、人類の文明は崩壊し、機械がブイブイ言わせる世の中になっていることが知らされる。
そして両者の雌雄を決する戦いは、なんでか1984年の現代で――まさに今夜行われるんだよ! という、最高に何言っとるのかわからんテロップが表示される。
『2』から入った筆者としては、『未来から来た刺客』という設定がすんなり理解できたんですが、当時初見でこれを見た観客さんたちは、さぞや度肝を抜かれたのではあるまいか……と想像。タイムパラドックスものの草分けたる、本作の偉大さを思い知った次第です。
たしかに『2』のほうがより完成度と予算が高く、評価が上なのもうなずけるんですが、やはりあなた。設定では『1』が最の高。
・未来から来た刺客と守護者。
・刺客は機械=無敵なのに、守護者=人間=脆いという神采配。
・殺害対象が、未来の指導者自身――ではなく、その母親という、ある意味とばっちり感。
・守護者の志願理由=写真でしか知らない女性を思い続けていたから。
「写真の君はどこか悲しそうだった」→まさか自分のことを思っていたとはね!
・守護者=指導者の父親=死ぬ運命。
・「嵐が来るよ」「知っているわ」
かっ……かっけぇーーーー!
これをロマンと言わず、なんと言おうか。
何もかもが完璧すぎて、ジェームズ・キャメロン御大はまさに天才ではなかろうかという。
とくに好きなのが写真の下り。
荒廃した反乱軍の拠点にて、束の間休息する守護者カイル・リース。ふと胸ポケットから取り出した、一人の女性の写真。会ったこともない、声さえ聞いたことのない女性の姿を、じっと見つめるカイル。
そこに来襲したターミネーター。彼らが放った炎の中で、燃え上がり消えていく女性の顔……。
ロマンが過ぎる。
ただですね、カイル・リースパートは大変ロマンだったんですが、対するターミネーターパートが存外ホラー。
眉毛がねーんだずら。
眉毛のないシュワルツネッガー氏が、こんなに怖いとは思いませんでした。
機械の骨格が全面に出た途端、急に動きがカクカクになるのはご愛嬌としても、人と違って休む必要のない機械が延々と追っかけてくるのは、恐怖以外の何ものでもないですね。
『2』と違い、守る側も人間オンリーな『1』は、ターミネーターを前にした無力感が凄まじく、スリルもひとしおでした。
人物紹介
●サラ・コナー
ご存知天下の戦うヒロイン。
……のオリジン。開始当初はごくごく普通の一般人。レストランで働く19歳のうら若きギャルなため、ただただ殺人兵器に追いかけられ、ぎゃーと叫ぶポジションに収まる。
が、終盤間際に覚醒。
重症を負い、「俺のことは置いていけ」としょぼくれるカイルに対し、「立て! 立つんだ、ソルジャー!」と叱咤する鬼軍曹みたいな女傑に変身。頼もしさを醸し始める。
カイル亡き後は、足を負傷しながらもプレス機にターミネーターを誘導 → 押し潰して完全に機能を停止させるという快挙を達成する。
時代が1984年とあって、髪型は非常にボリューミーなふわふわヘッドをしている。
でもって、衣装もウェイトレスと金曜夜のお楽しみドレスアップを束の間披露……したと思ったら、デートがぽしゃげ、ピンクのまだら模様のシャツにジーンズという、おいまさかそれでずっと行くのか? という服装に固定され、途中でシャワーシーンがあるので着替えるのかと思いきや、やっぱり同じ服で最終決戦にまで突入していった。
当時はあれが流行りだったのかい?
時代を感じるのであります。
そんな彼女は、未来の指導者、ジョン・コナーの母親。
2029年にて、人間側に手を焼いた機械軍が、指導者が生まれる前に母親を殺せばいんじゃね? という作戦を思いつき、タイムマシンを開発したため、命を狙われることになった。
なんというか、指導者本人ではなく、まず母親を狙ってくるところが、機械の合理性……と言っていいのか悩むポイントであり、性格悪いなお前ら、とツッコみたいところでもあるのだが、『タイムレス』というTVドラマでも、殺人犯の両親が出会うのを阻止すれば、殺人犯生まれないから後の被害者助かるよね、的発想をしていたので、やはり狙うのはオリジンというのが共通の思想なのかもしらん。
そして、そもそも機械がサラを狙ったりしなければ、彼女がジョンを訓練することもなかっただろうし、カイルも過去に来なかっただろうし、そのあたりはタイムパラドックスの抱える矛盾があばばばば。
もしT-800がサラ殺害に成功したとして、そこから未来が分岐しちゃったら、送った元の世界は特に改変されないわけで、じゃあなんのために送ったの? ってことになるのかなんなのかやっぱりあばばばば。
細けぇことはいいんだよ!
●カイル・リース
ご存知天下の守護者&ジョン・コナーのおとん。
改めて見直してみると、不憫すぎる人生に涙が出るレベル。
まずもって生まれが核戦争後なうえに、彼女いない歴=年齢が発覚。イケメン属性なのにまさかのジェダイだったのは、多分いいなと思う相手がことごとく爆散したからじゃないのかと思うとなんとも不憫。
作中でも、回想時に行動をともにしていた女性ソルジャーが爆発してたしなあ……。
wikiを読むと、なんとホットドッグの存在も知らないらしい。
せっかく資源豊かな過去に来たんだし、少しは80年代を楽しめばいいのに、浮浪者から奪ったパンツを最終決戦まで履き続けたり、工場脇で車中泊して悪夢にうなされてみたり、せっかく流行りのクラブに入ったのに、酒も飲まずにターミネーターを警戒し続けたりと、遊び下手というより、遊びの概念が未来には存在せんのかと疑うレベル。
しかも「子供の父親は大戦前に死ぬよ」とサラに語った父親=自分なんだから、なんかもうジョンは鬼や。
そんな不憫属性ながらも、無敵の機械相手に善戦し、サラを守り抜くことに貢献する。重症を負った後は、最後の力を振り絞って爆弾を仕掛け、ターミネーターを破壊。サラの勝利に貢献して逝った。
サラと同じで衣装には恵まれず、下は浮浪者の履いてたパンツ、上はたまたま逃げ込んだ衣料品店で適当に奪ったコートと、足元だけはシャレオツなナイキのスニーカーという出で立ち。
それでもなんとか格好がついてしまうのだから、イケメンってのは得である。
●ターミネーター
タイトル・ロールにして裏の主役。
核戦争後の世界にて、機械軍が開発した人間型の殺人兵器。
頑強な機械の骨格に人間の皮膚をかぶせてあり、刺せば血が流れ、一見人間と変わりないように作られている。唯一犬だけが彼らを嗅ぎ分けることができるというから、やはりわんこは有能なのだ。
さて、本作のターミネーターことT-800君は、『2』と違って愛想もク●もない。ついでに眉毛もない。
ただひたすらサラ・コナー抹殺を目指し、逃げゆく二人を追ってくる。
どうやら機械側には、サラの外見に関する情報はなかったらしく、電話帳に載っているサラ・コナーを上から順に抹殺していくという末恐ろしい手段に出る(電話帳殺人事件と命名される)。
ある意味カイルの出現が、サラが目的の人物であることを相手に知らしめた結果となった気もする。
銃弾はもとより、タンクローリーが大爆発しても外皮が剥がれただけで骨格は無事という無敵さを誇るが、『最終的に、悪玉のターミネーターは工場のなんか知らん機械か設備を使って倒される』というシリーズの基礎を築く。
今回はプレス機だった。
タイム・マシーンは生体しか送ることができない、という理論のもと、カイルとともに真っ裸で転送されてくるのだが、T-800が成功した着地に、カイルは若干上からべちゃっと落ちてくるのが笑える。
でも機械が開発したはずのタイム・マシーンが、生体しか送れないとはなんぞや……? 時間旅行の理論? 細けぇことは以下略。
●ジョン・コナー
人類側の救世主。第一作目には、名前だけが登場。
カイルが自身の父親という事実、かつ彼のたどる運命を知りつつも、過去へと送り込む。母親を守るためでもあり、自分が生まれるためでもあり。どんな心境だったかは想像するしかないが、おとんが20歳近く年下の時点で、心にくるものがある。
他にも、若かりしおかんが映った写真をそれとなくカイルに渡してみたりと、存在確保の裏工作をしていたようだ。ただ、兵士としてのカイルにはわりと危険な任務も任せていたようで、過去に行く前に彼が死んだりしないか心配じゃなかったのかと不思議ですが、そこはジョン・コナー。母譲りのアイアンマインドを有していたとみるべきか。
そんなジョン君は、カイルを通し、サラに自身のメッセージを伝えさせる。
曰く、「これから色々大変でしょうが、力強く生き抜いて、絶対に自分を生んでくださいね、母さん」とのこと。
改めて考えると、ジョンも機械軍も、サラを通り越して、その先にいる未来の指導者しか見てねーなというのがこの台詞に現れているような気がしますが、ジョンにしてみれば、自分の存在を消すためにタイムトラベルまでしでかす敵にびっくりだろうから、あんなコメントになったのもやむを得ない面はあるような。
というか、本当にびっくりだよ。
面と向かって殺しにやって来るならともかく、こっそり過去に飛んで母親殺害を画策するとか、合理性を突き詰めるとそういう発想になんの? という、さすがは人知を超えたマシン・マインドですわー。パないわー。
●スカイネット
機械軍を率いる人工知能。
ネットワークとAIがなんたらでかんたらし、とりあえず核戦争を引き起こし、その後の世界を牛耳っている。
審判の日は1997年。
わりと近い。
というか、2020年時点で、テクノロジーはそこまで進化していないのだよチミたち。
2029年にはドローンのハイテク版みたいなのがすでに飛んでっけど、こっちはまだ宅配便にも本格採用されてないからね? 気が早いからね??その点、22世紀と銘打った猫型ロボットは先見の明があるよね。
そして未来世界が、機械にとってもまったく楽しくなさそうなのが気になります。屑鉄がそこら中に溢れているけど、金属を肉体とする機械にとって、その光景は同胞の死体が山ほど転がっているに等しいのではないかと心配になるぞ。
やはり青空と緑の園は大事だと思うんだな。
●警察署の人たち
サラ・コナー連続殺人事件を追っている州警察。
カイルをサラ誘拐の容疑者として引っ立て、ターミネーターに「I’ll be back」されるという憂き目に遭う。
たしかに「I’ll be back」っちゃ「I’ll be back」なんだけど、そんなbackの仕方すんなや。
ここでの出来事はわりと重要で、カイルの精神鑑定をしたシルバーマン博士や、ターミネーターによる職員大虐殺の事実は『2』にも出てくるので、みんな予習復習しっかりな!
●死にたくなければついてこい
クラブで襲撃にあったサラに対し、カイル・リースが発するセリフ。
当初はカイル君も怪しさ満点だったので、ぶっちゃけどっちにもついていきたくないというサラの乙女心は理解できます。
●You are terminated.
こちらもシリーズお約束のセリフ。サラがターミネーターをプレス機で圧搾するときに発します。
ターミネーターなのに、ターミネートされちったぜ☆的な。……的な。まさに渾身のギャグ。
ターミネーター2
原題:Terminator 2: Judgment Day
1991年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆☆☆
【一言説明】
未来からの刺客、再び。
あらすじ
[adchord]デデンデンデデン2。
再び伝説のイントロに乗せて、20●●年の未来から刺客が放たれた!人類の指導者ジョン・コナーの母親、サラ・コナー殺害に失敗した機械軍。
サラがダメなら、ジョンを討とう。
あっ、ジョンっていっても、四十路を越えた眼光鋭い強面ジョン・コナーのことじゃないよ。
1994年の、齢十歳の少年ジョンのことだよ!
↓
発想が卑怯。だが、反撃する人類を前に、だんだんヤバなってきた機械軍は、なりふり構っていられないのだった。
とにもかくにも、目の上のたんこぶ、機械史に残る汚点であるジョン・コナーを抹殺しなくてはならない。……そもそも過去におけるサラ・コナー殺害作戦の失敗を、未来の機械軍はどうやって知ったのかというドでかい謎があるのだが、そこはそれ。
人類VS機械。
互いの存亡をかけた決戦の火ぶたが、今再び切られたのだった――。
感想
眉毛が……生えてる……!!
劇的ビフォーアフターも真っ青。
たかが眉毛。されど眉毛。
眉毛があるだけで、これほど善玉アピールができるとは、誰が想像しただろうか……。
ってな具合に、『1』と『2』を連続して視聴すると、その眉毛もっさー具合にほっとした次第です。
やはりねー。シュワルツネッガー氏はねー。眉毛がないとねー。
名作が名作すぎて、今更語ることもないほどの『ターミネーター2』。
手元にある筆者コレクションはいくつかのシーンが追加された特別版なため、Amazon先生で配信の通常版は、なんだか新鮮な気持ちで見ることができました。
やはり尺はすっきりしていたほうが、テンポよく見られるなと感心しきり。
例によって例のごとく、真っ裸状態にて登場する未来からの守護者と刺客。
けれど、前作と違って今回は様子がおかしい。
最初に登場するのはおなじみのT-800。すわまたしてもターミネーターを刺客として送り込んできたか……と身構えれば、服を奪うやり取りで、どことなくただよう善玉臭(おっさんの肩にナイフぶっ刺してたけど)。
それを裏付けるかのように、別場所に現れたもう一人は、明らかに顔が善玉っぽくない……どころか、よりによって警察官を迷わず刺殺するという凶悪さ。
どういうことだ?
もしや、今回は刺客&刺客のダブル刺客が送られてきちゃったわけ? 守護者不在?
↓
かーらーの。
薔薇の中から、ショットガンがズドーン!
少年ジョン・コナーを抱きしめ、自ら銃弾の盾になるT-800。
↓
なんだと!? 今度はお前が守護者側か!
前述の記事で、設定は『1』が最高と書きましたが、すいません。
やっぱり『2』も最の高!
ジェームズ・キャメロン監督が長年温めたという『少年とターミネーター』のテーマ。
少年とターミネーターですよ、おくさん!
外見もさながら、中身も無骨で融通のきかない殺人兵器が、少年との交流を経て、最後は涙の意味を理解する……。
ロマンが過ぎる!
かつての敵が、今度は味方。
しかも最新版の敵と比べて、旧型で若干ロートル気味……という神采配。
CG技術が発達した現代にあって、実に30年も前の作品ながら、未だに色褪せない魅力を放つ本作。ストーリーもさることながら、特殊メイクや撮影技術でCGに劣らぬ迫力を見せるけてくれる、まさに映画界の至宝であります。
大好き。
人物紹介
●ジョン・コナー
ご存知未来の指導者。
……のオリジン。母親に教育を施されたとはいえ、まだ十歳の非力な少年。
にしては、相当のク●悪ガキ。
免許もないのにバイクにタンデムするわ、ATMで不当にお金を下ろすわ、教え込まれた技術でやりたい放題。補導歴も数しれず。
それもそのはず。数年前まで母とともに外国で暮らし、荒くれ者の男性ばかりが父親代わり。しかも当のおかんはIT企業を爆破未遂した罪で州立の精神病院に収容というから、グレるなというほうが無理。
そのためか、冒頭でちらっと映るジョン・コナー45歳のお姿はヒェッ……。
このかわいいジョン坊やが、35年経つとああなるんけ、という。核戦争後の世界の無情さが身にしみるのであります。
未来よりやって来たT-800君に、窮地を救われたジョン君。幼いゆえに順応力の高さを発揮し、すんなりと状況を受け入れる。
当初は、自分の言うことを何でも聞く便利な兵隊が来たぜ! なノリだったのが、どんなときでも守ってくれる頼れる保護者=擬似親子のような関係を築くに至り、映画史に残る涙の別離シーンへと突入する。
正直、T-1000は倒したわけだし、別にT-800生きててもよくない? とか思ってしまうのだが、そこはそれ。別個体が元とはいえ、本国で大暴れしちゃったうえに、左腕もなくなってしまったし、明らかに機械とバレては残存できなかったよなあ……としみじみ。
晴れて未来から開放されたジョン少年だが、多分おかんのやらかしにより本国にとどまることは無理ゲーっぽいので、海外でのびのびと生きていくことでしょう。
あっぱれ。
●サラ・コナー
荒ぶる天下のヒロイン。
前作も衣装が一種類のみだったが、今作は今作で、入院着と戦闘服のみという、やはり潔いものとなっている。
前作の後は国外に脱出。あちこちでコネを作り、武器を蓄え、来る審判の日に向けて備えていた。
だが物語開始当初は精神病院に収容されており、『1』からは想像もつかないような鋭い視線&筋肉を披露してくれる。
というか前髪が邪魔。目が悪くなんで。
彼女が病院からの脱走を試みたまさにその夜、T-1000の襲撃とT-800の救出劇とが同時に発生するという、ヒロイン力を発揮する展開に。
『1』の悪夢故に無理もないとはいえ、久しぶりに再会した息子の前でガチ逃げを披露するという、なんだか心に傷を残しそうなリアクションを披露。
その後はT-800を警戒しつつも、認識を改め、ターミネーターは最良の保護者だでーと述懐。和解したのか……と思いきや、独力でスカイネット誕生の元凶であるダイソンの屋敷に乗り込み、殺害を目論むという鬼っぷりを発揮する。
その際の言動といい、息子をして「審判の日の話しかしない」と言わせることといい、ジョン少年の苦労が忍ばれる。
そんな彼女も、自分を追いかけてダイソンの家にやってきたジョンを見て、ようやく我に返り、親子の絆を再確認。
無事に最終決戦を生き抜き、二人を守り抜いたT-800に感謝の握手を求め、彼を炎の中へと見送った。
その後はジョンと二人、幸せにしていると信じたいが、なにぶん国内でやらかしまくっているため、国外脱出したのは間違いない。
●T-800
前作の悪玉から、本作の主役へと転身を遂げた善玉ターミネーター。
眉毛のある安心感。
タイムトラベルは生体しかできないことから、服は現地調達がお約束。が、何も誰かの服を奪わないでも、どこぞの衣料品店に不法侵入すればいいだけの話。
だが行く。
彼らは行くのだ。人前に。
一応店は選んでいるようで、真っ裸のマッチョメンが入店しても、誰一人「きゃぁ」とか「通報しろ」とか騒ぎ立てない面子が揃っている。
そこでいざ体型が一致すると見るや、上下一式はもとより、靴にバイクまで要求してくるのだからたちが悪い。
というか下着まではさすがに奪っていないと信じたい。
信じたいが、実際、履いてなかったらそれもどうかっていう話なんだがまあそこはそれ。
バイカーファッションはもとより、初コンタクト時はショットガンを薔薇の花束に隠すという謎のセンスを見せる。
特別版ではジョンに習って笑顔の練習などもしており、武器庫でガトリングガンを見つけた際のニヒルな笑顔は、まさに練習の賜物。
機械の骨格を覆う皮膚はある程度の傷を負っても再生するらしく、撃たれることには無頓着。銃弾の嵐の中も、むしろ当たりに行ってる節があるくらいズンドコ進む。
ジョンと出会ってすぐの頃には、彼を守るためとはいえ、平気で人に発砲しようとしたり、殺人兵器の素養は残している。
未来ジョンはちゃんとプログラムしとけってんだ。
少年ジョンに、「絶対人を殺すなよ」と念を押された後は、徹底して相手のニー(膝)を撃ち抜くニーマンと化す。TVドラマ『パーソン・オブ・インタレスト』でも、主役のリース先生がバカスカ膝下ばかり撃っていたが、死ななきゃいいってもんじゃねーと思うな。
前作では最新型のターミネーターだった彼だが、今作ではT-1000という上位互換が現れ、ターミネーター界隈にも型落ちってあるのか……という機械界の悲哀を感じさせる。
それでも、やはり人よりは何倍も強力。機械の体を活かしてT-1000相手に善戦し、最後は満身創痍ながらもグレネードランチャーをぶち込み、勝利を決定的なものとした。
グレネードランチャー、ゴイス。
だが喜びもつかの間。
未来に残してはおけないチップが自身の頭に埋め込まれていることを指摘。
T-1000が消えていった溶鉱炉に、自らも沈むことを宣言し、ジョン親子との別れを惜しむ名シーンへと進む。
最期は頭上で見守る二人を見上げたまま、炎に包まれ消えていき、最後に残った右手を、ジョンより教わったサムズアップの形にしてから消滅した。
からの、デデンデンデデンは神。
その後の後継シリーズでも、T-800が軒並み善玉化していたところを見ると(『4』は除く)、当シリーズのAIには機械からすると致命的な欠陥が含まれていたのではないかと推察してしまう。
サラ・コナーの言う通り、心を学ぶ機械――未来に残された希望とも言うべき存在だ。
●T-1000
本作の悪玉ターミネーター。
前作でボツとなった、一見貧弱そうなヤツが超強いというテーマを体現。T-800に比べ、体格的には強そうに見えないが、実は全身液体金属のすごいヤツ。
触れたものを生体問わずコピーすることができ、精神病院侵入時には、一時期床のタイルに擬態していた。
表情豊かなT-800とは対象的に、常に真顔。
標的以外には、やり取りの円滑化のためか、表情を見せることがあるものの、ジョンたち相手には一貫して真顔。
走るときも真顔。怖っ。
初登場時は、T-800と違い、視界がサーチ画面に切り替わることもなく、一見こちらが人間=守護者……と見せかけて、なんか変じゃね? という違和感を抱かせるというナイスな演出がなされる。
T-800同様、ジョンの容姿に関するデータは持っておらず、自宅を訪ねて顔写真を入手している。
ジョンを追跡するため、警官はもとより、養父母やサラの姿に擬態して追いかけてくるのだが、触れた相手は必ず殺すというのがお約束。
だがなんで犬を殺した。
バーカ、バーカ。擬態しないくせに、バーカバーカ!
警察無線を傍受し、トラックやヘリ、ひいてはタンクローリーを奪ってしつこくしつこく追いかけてくる。
が、その過程でどこぞの工場に逃げ込まれたから運の尽き。
サラとT-800の活躍により、溶鉱炉にジリジリと追い込まれてついには落下。今まで擬態した人物の姿を取りながら、実に見苦しく燃え尽きていった。
対して、T-800の最期のなんとお行儀のいいことよ……と感心するも、あいつと同じ場所で溶けるのはなんかやだなと思わないでもない。
あと不思議なのが、寿命120年もある電池とか、燃やして大丈夫だったんですかね。そんだけのエネルギー、爆発とかしなかったんすかね。
●カイル・リース
特別編にだけ登場。精神病院に収容されるサラの前に、幻覚という形で現れる。
息子と離れ離れになり、弱気になったサラを励まし、ジョンを守ってくれと頼んで消える。
本当に幻覚だったのかは個人の判断によるが、十年経った今でも、サラがカイルを心の支えにしていることがわかる名シーン。
●マイルズ・ダイソン
『スカイネット』の生みの親。サイバー・ダイン社の開発部長。
前作で残されたT-800の腕を密かに回収。それを元に開発された防衛システムことスカイネットが暴走し、1997年の審判の日を引き起こす手はずだった。
T-800からダイソンの情報を聞いたサラが自宅に乗り込み、彼がスカイネットを完成させる前に殺害し、審判の日を回避しようとする。
あれ、これ機械側と発想が一緒だ。
「私が未来にすることを責めるのか」と撃たれたダイソンがぼやくが、まあですよね……と若干の同情を感じる。
最初はサラたちの話に半信半疑だったが、T-800のテクノロジーを目の前にし、真実だと判断。その足でサイバー・ダイン社に乗り込み、開発中のシステムはもとより、保管してあったT-800のチップと腕を破壊しようとする。
だがやってきた警察の銃弾に倒れ、命が消える瞬間まで、爆破装置を握りしめて時間をかせぐ。
非常にあっぱれ……なのだが、このシーンはわりとトラウマになるレベルで怖い。超怖い。
残された妻と息子が不憫です。
●シルバーマン博士
前作で、カイル・リースの精神鑑定をした医者。
今作ではサラが収容された病院に勤めており、彼女を狂人扱いしている。
息子に会うため、治った振りをしていたサラの演技を見抜き、彼女の要求を拒む。そのせいか、脱走の途中で出会った際は、人質にされ、危うく猛毒の液体を首に注入されそうになる。
その後、サラを追ってきたT-1000が鉄格子にめり込んで通り抜けるのを目にし、多少は信じる気になったのではないかと想像するが、どうだろう。
「人って過度のストレス下では、ありもしない幻覚を見るからさ」という持論に従い、あれは妄想だったと自分に言い聞かせるかもしらん。
●精神病院の人々
狙ったくらいに感じの悪い眼鏡男子などが在籍。
サラがわざとおとなしくしているのをいいことに、やりたい放題。おのれ、今に見てろよ……と思っていると、脱走時にボコボコに報復されるのでちとかわいそうにもなる。
●サイバー・ダイン社を包囲した警察の皆様
死なないように、死なないように……という優しさにより、絶対に当たらないようにガトリングガンをぶっ放されたり、次々と膝を撃ち抜かれたり、催涙弾を容赦なく打ち込まれたりして散々な目に遭う。
死ななければ何をやってもいいというわけじゃないぞ!
●審判の日
サラたちがサイバー・ダイン社を破壊したことにより、なかったことになった問題の日。
「やったー、これで未来は明るいぜ!」と喜ぶ二人だが、そうなるとカイル・リースは過去にやってこないわけで、じゃあジョンってどうなるの? と首をかしげるのだが、普通に存在しているので、まあなんかこううまい具合に分岐ったというか、そういう感じであばばばば。
というか、あらすじでも書いたけれど、未来のスカイネットさんは過去におけるサラ・コナー殺害が失敗したと何で判断したんでしょうか。
前作のT-800を過去に送った時点で、ジョン・コナーの存在が確認できたら、はい失敗とかそんな?
だから急いで上位互換のT-1000を作ったとか、そんな?
細けぇことはいいんだよ!
●監督
いわずと知れたジェームズ・キャメロン氏。
『エイリアン2』や『トゥルー・ライズ』も大好きです。素晴らしい作品をありがとうございます。
↓ディスク版はこちら。
↓『2』の正統派続編『ターミネーター:ニュー・フェイト』の感想はこちら。
↓パラレル扱いになった過去作の感想もあるよ!