映画『僕のワンダフル・ライフ』『僕のワンダフル・ジャーニー』ネタバレ感想。犬と人をめぐるファンタジー映画。

僕のワンダフル・ライフ 映画 ドラマ

2017年に公開された『僕のワンダフル・ライフ』の続編『僕のワンダフル・ジャーニー』がこの秋公開となりました。『ワイルド・スピード:スーパーコンボ』で予告編が初見だったんですが、

泣くわ、こんなん。

涙腺が早々にクライマックスを迎えました。本編は涙とか関係ないどんちゃら映画だったのもあって余計に。BGMにフィリップ・フィリップス氏の『Gone, Gone, Gone』を持ってくるとか卑怯すぎるからやめてつかーさい。体内の水分が全部外に出る勢いで犬好きには来るものがあったっス。

あいにく『僕のワンダフル・ライフ』のほうは未見だったので、急ぎAmazon Prime Videoにて視聴。万全の体勢で映画館に行ってまいりました。
今回は二作合わせての感想となります。

※ネタバレ全開となっております。未見の方は注意。

ちなみにエンドクレジット後に映像はないよ!

 

僕のワンダフル・ジャーニー ベイリーとイーサン

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僕のワンダフル・ライフ

原題:A Dog’s Purpose
2017年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆
犬好きはヤバイ度:☆☆☆

【一言説明】
ワンコかわゆい。

↓Amazon Videoにて配信中。ワンコワンコわんこ!!


記念すべき第一作目。
主演は『オーロラの彼方に』のパパン役デニス・クエイド氏。ヒロイン役に『トゥモローランド』のブリット・ロバートソンさんが出演されています。

あらすじ

僕はワンコ。名前はまだない。
一度目の犬生はまだ元気いっぱいの子犬だった頃、野犬管理局につかまってあっけなく終わった。

けれど二度目に生まれ変わったとき、僕は幸運にも最高にご機嫌な少年に拾ってもらった。
彼の名前はイーサン
運命を感じたね。お互い瞳を見た途端にビビッと来たんだ。
イーサンは僕をベイリーと名付け、『ボスドッグ』と呼んではかわいがってくれた。僕はイーサンが大好きだった。

だけど僕は犬でイーサンは人だから、別れの時はすぐそこまでやってきていた。
大好きなイーサン。
君のそばで僕は眠りにつく。
君に出会えてとても幸せだった……。

……。

うん?
……あれ?

僕、また生まれ変わってるんだけど??

感想

犬好きの夢を詰め込んだ一種のファンタジー映画でした。

死別した愛犬が何度も生まれ変わり、もう一度自分の元に戻って来る。
愛犬家の誰しもが思い描く夢が実現する本作。
『ジャーニー』の予告編を見た限りでは、ベイリーが必死になって主人を探す姿が印象的で、きっと第一作でも放浪の旅の末にイーサンと感動の再会を果たすのじゃろうて……と思っていたら、

案外探してなかった。

意外なほど探していなかった!
三回目、四回目ではきちんと別のご主人がいて、彼らの元で犬生をまっとうしている。そこにイーサンの姿はまったくない。
おやおや?
そして犬と人との絆がメイン……かと思いきや、ベイリー周辺の人間ドラマがかなりのウェイトを占め、犬はどちらかと言えば狂言回しのような立場に置かれる。
おまけに生まれ変わることが前提のため、死のシーンはそれほどの悲しみを呼ばず、イーサン以外のご主人が単なる通過点……のような扱いになっている。

なんか思ってたのと違う。

と感じてしまったわけだが、お話としては面白かった。

とりわけイーサンの青春時代。夢破れて自暴自棄になった彼が農業学校に入学するために家を離れるシーン。広大な麦畑をベイリーが突っ走り、イーサンの車に飛び乗って無邪気にボールを落とす。
ベイリーはイーサンが何故出て行くのかを理解していない。一時的に家を離れるのはわかっているが、いずれ帰って来ると思っている。再び遊んでもらえると思っている。
だが、子どもは家を出て行くものなのだ。
名作『マイ・ドッグ・スキップ』でも描かれたように、子供時代にどれほど密な時間を過ごした犬であっても、若者は実家を去ると同時に彼らを置いていく。子どもたちが本当の意味で添い遂げるのは、最初の犬ではなく大人になってから飼った二番目以降の犬なのだ。
とても大事だったはずの犬の晩年に、ほとんどの者は添い遂げることができない。最期の瞬間に間に合う者すら半数に満たないだろう。
イーサンはかろうじて間に合ったけれど、この不義理とも言える人間の行動に、しかし犬は怒りもせず、ただただ会えたことを喜ぶ。その事実が胸に刺さる。

物語は三度生まれ変わったベイリーが、偶然に恵まれ老人となったイーサンと再会するところで終わりを迎える。
イーサンがずっと独り身だったことにも驚いたが、何が衝撃かって、

あのかわいかったイーサンが強面のデニス・クエイド氏になっていたことだ。

クエイド氏になあ……あの少年がなあ……。
だがどんな姿であろうと、ベイリーにとってイーサンはイーサンであり、逆もまた然り。犬と人との絆に心打たれてのハッピーエンドは美しい。

本作を見終わった後で感極まり、自宅の愛犬をかわいがろうとした人は多いでしょう。筆者の場合は歯をむかれた挙句に逃亡されたことを付け加えておきます(多分深夜だったので眠かった)。
犬がみんなベイリーのように従順だと思ったら大間違いだYO。

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人物紹介

●ベイリー
ラブワンコ。五回も生まれ変わるけど、どの姿もとにかくかわゆい。
雄雌の区別なくナレーションは『アナ雪』のオラフでおなじみジョシュ・ギャッド氏。
初っ端「生きる意味とは」と哲学的なことを言い出すため身構えてしまったが、ワンコはワンコだったのでやっぱりかわゆい。結局は「ご主人を愛することだぁよ」と最後に言い出すのでとんでもなくかわゆい。

ちなみに生まれ変わった犬種ですが、
 一匹目:多分雑種。子犬のうちに終わってしまったので不明だが中型犬かな?
 二匹目:ゴールデン・レトリーバー。みんな大好き穏やかワンコ。
 三匹目:ジャーマン・シェパード。頭良い犬の代表格。
 四匹目:ウェルシュ・コーギー。英国王室御用達。お尻のかわいさは天下一品。
 五匹目:グレート・ピレニーズとバーニーズ・マウンテン・ドッグの雑種。
だそうです。
なんにせよワンコはめんこい。

予告や説明文だと生まれ変わりつつイーサンを探している感じだったが、そんなことはなかった。再会はまったくの偶然だった。
五回目の最初の主人が飼って早速庭に放置し、数年経った後にトラックで捨てに行った先が、たまたまイーサンの農場の近くだったというのが真相。
周辺を歩くうちに懐かしい匂いに惹かれ、「あっ、ここイーサンの家じゃん!」と走り込んで見事再び彼の愛犬の座に収まる。
なんてなんてかわゆいワンコでしょうか。君に幸あれ。

●イーサン
ベイリーの運命のご主人。
めんこい少年→アメフト上手なイケメン→デニス・クエイド氏という変遷をたどる。
クエイド氏は素敵な役者さんですが、なんでいきなり強面になるんじゃい。年月の経過を感じろという監督のご意思なんでしょうか。そーですか。

幼いころからベイリーとアメフトのボールを投げて遊んでいたため、高校時代は名クォーターバックとして活躍し、大学にも推薦入学できるほどだった。
だが同級生の嫉妬を買い、そいつが自宅に火をつけたせいで脱出の際に足を骨折。アメフトの道を断たれてしまう。
自暴自棄になったイーサンは恋人のハンナに一方的に別れを告げ、しかも最悪の時期にベイリーとも死別。すっかり人生にそっぽを向かれた彼は、そのままずっと独りで農場暮らしを送っていたことが判明する。
優しい祖父母やお母さんがその後どうなったかは描かれず。年齢的に死別してしまったのだろうが、お前そんなキャラだったっけ? と首をひねってしまった。進路が上手くいかなかったとはいえ、あんだけイケメンで性格もよかったんだから、もっと人生開けてよかったんじゃないかなと思うのですが。
けれど幸運の犬・ベイリーと再会してからは上向き調子に。ベイリーの尽力で夫と死別したハンナと再会し、再婚。彼女の家族も含め、再び周囲との交流が始まった模様。

しばらくは新しく来た犬がベイリーだとは知らず、『バディ』なんて名前をつけていたが、アメフトボールにて二人だけの技を披露したことで真実に気づく。
イーサン「ボスドッグか?」
ベイリー「ワン!」
ハッピーエンド!

●ハンナ
イーサンの高校時代のガールフレンド。犬好きで途方もなく感じがよい。
彼と同じ大学に進むはずだったが、前述の放火により別々の道を歩むことに。
せっかく訪ねてきてくれた彼女を追い払うイーサンはポンチキだが、気持ちはわかるのでううむ……となる。
そして数十年後。こじらせまくったイーサンと再会。彼にプロポーズされ、あっさりと受け入れる。
急に強面化したイーサンとは違い、若ハンナがそのまま美しく年を重ねたような姿だったので配役グッジョブ。

●イーサン母と祖父母
優しくイーサンの成長を見守る。広々とした農地を持っており、そこがイーサンの生涯の家となった。ワンコと少年にはまさに理想的環境。

●イーサン父
優秀な営業マンだったが、本人は内勤を希望していた。
上司夫妻を家に呼んだ際、ベイリーのやんちゃによる致命的な失敗を犯し、出世の道を断たれてしまう。そのせいでやさぐれたのか、後に離婚。嫉妬ボーイが放火する原因を作る。
その後の経緯はまったく描かれなかったが、続編を見るにきっと和解の道があったのだろうと信じたい。

●カルロス
三度目の犬生での主人。警察官。
警察犬に生まれ変わったベイリーとともに事件解決に奔走するが、とある犯人を追い詰めた際、ベイリーが銃で撃たれて死別してしまう。
別れたのか死別したのか、妻が去ってからは寂しい独り身の生活を送っており、長らくベイリーをベッドには入れてくれなかった。そしてようやく受け入れてくれた矢先の悲劇。
彼についてベイリーはまったく心配していないのだが、その後きっといいことがあったと思いたい。ベイリーは幸運の犬だし。

●マヤ
四度目の犬生での主人。大学生→結婚。
人付き合いが苦手でぼっち学生だったため、食に楽しみを見出していた模様。だがピザとかアイスとか犬にあげたらいかんじゃろ。
食生活は不健康だったが、彼女の元でベイリーは寿命を全うした。
愛する夫と子供たちに恵まれたので、マヤについては何の心配もいらないようだ。

●監督
ラッセ・ハルストム氏。名作『ギルバート・グレイプ』を撮ったお方。
さすがの手腕。とても面白かったです。ありがとうございます。

↓では二作目。

僕のワンダフル・ジャーニー

原題:A Dog’s Journey
2019年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆
犬好きはヤバイ度:☆☆☆☆☆☆

【一言説明】
犬好きはアカン。

↓DVDが出たよ!


『僕のワンダフル・ライフ』の続編。
今度はイーサンの孫娘CJを巡ってベイリーが大活躍。
イーサン役のデニス・クエイド氏が続投。義理の孫娘CJ役に『24:レガシー』等TVで活躍中のキャスリン・プレスコットさんが出演されています。

あらすじ

僕はベイリー
イーサンと再会してから早数年。農場には新しい家族が増えた。
ハンナの孫CJはとてもいい子だけど、母さんのグロリアはいつもツンケンしてる。

ある日グロリアがCJを連れて出て行ってしまった。追いかけたかったけど、年をとった僕にその力はなかった。
イーサンとハンナはとてもがっかりして悲しそうだ。
そんな二人を元気づけてあげたい。でも、僕には五回目のお迎えの時期が迫っていた。

僕が目を閉じる前に、イーサンが言った。
「CJを頼む」って。

うん、わかった。

そうして、CJを探して僕の六度目の旅が始まったんだ。

感想

一作目に引き続き、ベイリーが何度も生まれ変わって、今度はCJの元へと帰って来る展開となる本作。
何度か挟まれる別れの時は悲しいけれど、また生まれ変わるし……と高をくくっていたら。

アカン。

ラスト数分で、全犬好きの心をえぐる……もとい涙を根こそぎ搾り取る展開が待っているため、犬好きだけならず一度でも動物と心を通わせたことのある人は気をつけろ!
予想していなかっただけに、かなりきました。
てっきりベイリーは今後も生まれ変わってイーサンの子孫一族を見守り続ける犬になるんじゃろと思っていたのですが。

そうではなかった。

母グロリアによって祖父母と引き離され、ネグレクト気味の生活を送ってきたCJ。ベイリーはイーサンの指示通りに生まれ変わってはCJを探し、彼女のそばで彼女が孤独にならないように導き続ける。
幼馴染のトレントとの仲を取り持ち、彼女に寄って来る悪い虫は排除する。三回生まれ変わったのち、ついにCJをイーサンたちと再会させ、幸せな家庭を築くことを後押しする。

そして訪れる寿命が尽きる時。
何度も訪れた生と死の狭間にある大草原を走るベイリーの前に、待っているCJの姿はない。
彼はかつて生まれ変わった犬の姿を遡り、映画冒頭の大きな犬の姿となって、虹の橋を渡っていく。

橋の向こう側で待つイーサン。

イーサン「やるか? ボスドッグ」
ベイリー「ワン!」

再びボール遊びを始める一人と一匹の前には、無限の大草原が広がっていた。

アカーーーン!!

これはアカン。涙腺がアカン。
映画が終わった後、周囲には鼻水すする音しかしてなかったですからね。
本当にアカン……。

つまりは、ベイリーの主人はイーサンだったということなんですね。
CJを追いかけたのは、イーサンに頼まれたから。彼女が幸せになったら、ベイリーはイーサンの元に帰って来る。
作中で、年老いたイーサンが先に逝きます。ベイリーと家族に看取られ、眠りについたイーサンの後で、ベイリーにも老衰という名のその時が訪れる。

けれどベイリーは、二度と生まれ変わることはない。
最愛の主人の待つ場所を目指し、一目散に虹の橋を渡っていくのです。

なんつーエゴ満載の。
けれど幸福な結末なのか。

主人が死んだら、犬もその輪廻を閉じる……というのは、人間の身勝手な願望満載の展開です。けれどそれがすとんと腑に落ちてしまうのは、犬という生き物がそれほど忠実で優しい存在だからでしょう。

ベイリーは特別な犬だったけれど、彼が特別なのは記憶を持ち越せるという点において。
きっとこの作品が言いたいのは、犬はみんな生涯の主人に出会うまで生まれ変わり続け、そしてひとたび主人を見つけたら、その人が生きている限り何度もそのそばに帰ってくる。
そして主人が亡くなったら共に虹の橋を渡る。

こんなん泣くわ。

というわけで、もしこれから見ようとしている人がいたら気を付けて。
ティッシュが何枚あっても足りませぬ。

筆者はレイトショー後に感極まって帰宅したのですが、宅の愛犬は出迎えてはくれたものの、鍵を閉めて振り返ったらいませんでした。そして寝床まで探しに行ったら、例によって歯をむかれて唸られた次第です(多分眠かった)。
何度も言うけど犬が全員ベイリーのようだと思ったら大間違いだYO!

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人物紹介

●ベイリー
ラブワンコ。めちゃんこかわゆい上に、健気が度を超すケナゲンティウス族。
今回は三回生まれ変わって、CJの幸せ道をサポートする。
犬種は以下。
 最初:前作の終わりにも出ていたミックス犬。
 一回目:ビーグル犬。女の子。たれ耳がかわゆい。
 二回目:アフリカン・ボーアボール。舐められたら唾液がすごかろう。
 三回目:ヨークシャー・テリア。ワシワシ! と鳴く小ちゃいやつ。

二回目はジョーという別の主人の元で犬生を全うしたため、CJとは一度接触しただけで終わる。テリアはちっちゃいのによく頑張った。
イーサンと再会後、得意のボールキャッチ技を見せ、CJにも彼がベイリーであることを理解してもらい、満足しながら天に召された。
もしイーサンが生まれ変わることがあったら、ベイリーも再び輪廻の道に入るに違いない。天国でも元気でね。

●イーサン
ベイリーの運命のご主人。
本作ではCJが主役なので時々しか出てこないが、最後にすべてをかっさらっていった。
ベイリーと末永く仲良しでいてね。

●ハンナ
イーサンと最後まで添い遂げる。
夫を先に亡くした女性は長生きするというから、ハンナが虹の橋を渡るのはまだまだ先になりそうな。
イーサンとベイリーが喜んで迎えてくれるでしょう。

●CJ
本作の主人公。ハンナの孫。
歌手を目指しているというが、作曲はするものの一度も人前で歌ったことがない。十代の頃はまだいいが、二十代になっても一度も……となると、トレントの彼女が言った嫌みは嫌みでなくなってしまうのだが、それでもしばらく歌わなかった。
だがようやく歌ったら大成功。レコードも出せたようで何より。

ベイリーの尽力のおかげでトレントと幸せな家庭を築く。
モリー・マックスは二度と彼女の元に戻っては来ないが、きっと彼女だけの愛犬とこの先出会えるだろう。幸あれ。

●トレント
CJの幼馴染。中国系アメリカ人。
少年時代は地味な感じだったが、再会したらやたら豪華なマンションに住んでるし、かなりできる男だった模様。
癌を嗅ぎ分ける訓練をベイリーが受けていたおかげで早期発見でき、一命をとりとめる。その後は無事CJと結ばれ、幸せな家庭を築く。
ワンコにも理解が深い、いい奴だ。

●グロリア
CJの母。娘を妊娠し、幸せが待ち受けているはずだったところに、夫が交通事故で死別してしまう。
若さゆえにCJをイーサンたちに取り上げられると誤解し、娘を連れて家を出て行ってしまった。
だがその後は案の定ネグレクトに走り、夫の残したCJ用の遺産を使い込むという離れ業を披露。どう弁護しろっちゅーねん。
一応お酒を抜いたら後悔の念が押し寄せてきたようで、和解の道を模索することとなった。人の好い家族に恵まれてよかったのう。

●ヘンリー
馬鹿男。CJの運転する車を執拗に煽り、生まれ変わったベイリー=モリーが死亡する原因を作る。
何がしたかったんだ、お前は。

●トレント彼女
CJを見る目が問答無用で怖い。
怖い。

●監督
ゲイル・マンキューソさん。女性の監督。TVシリーズなどを撮っておられる方だそうです。
とても面白かったです。ありがとうございます。

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