原題:Hereditary
2018年の映画
おすすめ度:☆☆☆
【一言説明】
ばーちゃん死んだ。
忘れたころにやって来る――それが災難というものである。
昨年三月。なんだか映画館でひんでー目に遭わされた気がするけど、多分気のせいだったんじゃねえのかな、なははん。
……なんつってのんびりしていたところ、突如Netflixのホーム画面にて、『アナタへのおすすめ』の文字とともに飛び込んできた映画『ヘレディタリー/継承』。
おすすめすんなや。
一つもおすすめでないのだが?
即座に顎がしゃくれたんだが??
なんでこれを配信にした。
他にいくらでも人々の益になる映画っつーか、心の糧っつーか、大勢の人をして幸福な気持にさせる名作があると思うのですが。
Netflixのバイヤーもといセレクト担当の人は何なの? サドなの?
人なの?
ぜってー見ねーぞ。ぜってーーにだ!
……と言いながら、何故この記事を書いているのかといえば、やはり好奇心は身を滅ぼすのですよ、母さん。
※本作は、次作『ミッドサマー』よりはるかにマイルドながら、やっぱり鑑賞後に「このク●が」となるところはまったく一緒であり、「嫌なもん見たぞ畜●」と顎がしゃくれるところも一緒であり、なんなら監督が生まれたその日を永久に祝ってやると言いたくなるところもほぼ一緒なため、ホラーが苦手な人はできるだけ見ないほうがいいと申し上げておきます。
マイルドはマイルドでも、あくまで当社比だということをご理解しつつ、それでも続きを読みたい人のみ画面をスクロールしてくだしゃんせ。
[adchord]
あらすじ
祖母が死んだその日から、世界はいびつさを増していった。
父と母、兄、妹の四人で暮らすグラハム一家。
彼らの平和な日常は、祖母エレンの死をきっかけに、じわじわと崩壊していく。果たして、四人が亡き祖母から受け継いでしまったものとは……。
※以下ネタバレ。未見の方はご注意。
感想
多分、『ミッドサマー』よりはマシ。
そんな希望を合言葉に、いざ挑んだ『ヘレディタリー/継承』。
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……うん。まあ……マシ……??
『ミッドサマー』を先に見てしまった身としては、(主に視覚的には)はるかにマイルドに感じられた本作。
けれど、一般的にはこちらが処女作。アリ・アスター氏初体験の当時の人々の衝撃は推して知るべし、といった有様でした。
とくに終盤における怒涛の展開は理解不能を通り越し、監督は何かをキメているか、もしくは宇宙の電波を受信しているとしか思えないぶっ飛び具合。
もしかすると、おかしいのはこれを理解できない我々のほうではなかろうか……という異次元空間に放り込まれ、最後は素っ裸の男女共々、「ペイモン様ぁーー」と異界の何かを信仰する羽目になったりは絶対にしないのですが、まあなんかとにかくすんげー目に遭ったのは間違いないデス。
そんなワケワカメ的流れは以下ダヨ。
1.映画の初っ端、まずもって画面に大写しにされるツリーハウス。
切妻型の屋根に四角く外壁をくっつけた=三角形の形をしている(特に内部はほぼ三角)。
文字通りこの映画はツリーハウスに始まり、ツリーハウスに終わるということを心に刻んでから視聴すると、何かいいことがあったりは全くない。単にまあその通りだねってだけである。
2.エレンことばーちゃんの葬儀に出席するグラハム一家。
ミニチュア作家の母アニー、博士号を持つ父スティーブ、高校生の兄ピーター。そして『コッ』と舌を鳴らす癖を持つ不思議っ子な妹チャーリーの四人。
そんなチャーリー=ナッツアレルギーであることが判明 → これ多分後でテストに出るやつ(伏線)。
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エレンとはなんとも微妙な距離感だったらしき家族は、それほど悲しんでいる様子もない。
ただ、横たわる母と同じ形のペンダントを、アニーも身に着けているのが映される=これも多分後でテストに出る以下略。
3.葬儀から一週間。アニーは親しい人物を亡くした人たちの集団カウンセリングに出席し、そこで胸のうちを吐露。
曰く、父はアニーが赤ん坊の頃に餓死、兄は16歳の頃に自殺し、遺書には「母が自分の中に何か別のものを入れようとした」と書き残したという。
新入りが突如ぶち込んできたファミリーヒストリーに、真顔で固まるその場の人々。
むしろ母親以外が大変なことになってないか?
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「ばあちゃん死んだけど悲しいか?」
「うんにゃ」
と語るメンズ二人に比べ、ばあちゃんっ子だったチャーリーは、その死を悼んでいる……ように見せかけて、鳩の頭を☆☆☆して持ち歩いてみたりと、不穏ムーブをかまし始める。
しかも外に出てみれば、何故か人ん家の敷地で野焼きしている婦人がいるので、ちょっとびっくり → いやもっと驚くか、お母さんに言いつけるべきだぞ。火事になったらどうするんじゃい。
4.友人に誘われ、ビッグなパーティに参加することにしたピーター。
「妹モツレテイケ」という母に従い、子連れ参加する羽目に。
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意中の彼女とイケナイ葉っぱでアハーン☆なピーターが目を離した隙に、ナッツ入りのケーキを食べ、アナフィラキシーショックを起こすチャーリー(伏線回収)。
病院に向かう車中で、息苦しさから窓を開け、頭を出してしまう。
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ちょうどその時、ピーターが道路のど真ん中に動物の死骸を発見 → 慌ててハンドルを切ったその先に電柱 → あっ……。
5.実際は、「あっ……」どころでない事態が起こった車の後部座席。
急に無音になる後部座席。
何をどう考えても、最悪を想定したさらにその上を行く状態になっているのはたしかだが、なんとピーターはそのまま自宅へと戻り、ベッドで横になるという行動に出る。
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まんじりともしないまま夜が明け、車で出かけようとする両親の会話が聞こえてくる。
「どこ行くの?」
「ちょっと買い物に行ってくはんぎゃおぁぁ!」
声だけが聞こえてくるアニーの慟哭がまことに胃に悪いものの、チャーリーの事故自体ははっきりと映さず、そうなの、監督まだこのときは自主規制って言葉を知ってたの……となんだかほっとする気持ちになった次の瞬間。
画面のど真ん中に突如大写しとなる、チャーリーの☆☆た☆。
はんぐぅ……っ!
みんな、気をつけろ……三つ子の魂百までとはよく言ったもので、人の本性はそう簡単には変わらないぞ……!
しかも映るのがただの☆ではなく、黒い☆☆まみれ、かつ☆☆☆付きという、この悪意。
チャーリーはまだ13歳の少女なんだぞ!
6.再び喪主側となるグラハム家の残り三人。
アニーは集団カウンセリングでジョーンという女性に偶然出会い、交流するも心は晴れず。
……どころか、ミニチュアにてチャーリーの事故現場を再現するという途方も無い行為を披露。ドン引きするスティーブ(&視聴者)。
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直後の夕食はまったく流行らないどころか、映画史上まれに見る険悪な空気になるのだが、「あんたが自分のしたことを認めないからよ!」「無理矢理パーティに行かせた母さんも悪いよね?」うんぬん以前に、もっと照明を明るくしたほうがいいと思います。
なんで君たちは薄暗いところで飯食っとるんだ?
7.家庭崩壊待ったなしのアニーは、たまたま訪れた店舗の駐車場で、たまたまそこに来ていたジョーンと再会。
半ば無理やり降霊術を披露され、「これや!」となるアニー。
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早速自宅で実践 → 成功。
メンズ二人を叩き起こし、「チャーリー・降・臨!!」とはしゃぎまくる。
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完全表情が死ぬメンズ。
だが儀式は最高潮!
炎が燃え上がり、ポルターガイストが起こり、なんとアニーがチャーリーの声で話し始める。
「正気に返れ!」と水バッシャー!
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「どうしたの? なんで泣いてるの?」
あんたが怖いからダヨ!
8.降霊術から一夜明け、異変が加速度的に起こり始めるグラハム家。
ピーターはガラスの中の自分がひとりでに微笑むのを目撃。スティーブはエレンの墓が荒らされたのを目の当たりにし、家には異臭が漂い始める。
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一方、アニーはチャーリーの部屋で、彼女が遺したノートにピーターの絵が描かれているのを発見。目を潰されて泣いているらしき息子の絵に、戦慄を覚えるアニー。
これは本当にチャーリーが描いたのだろうか?
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試しにノートを暖炉にくべてみると、ノートと呼応して燃え上がる自身の腕。
ノートの火を消すと腕の火も消える。
アニー「マジかよ……」
9.あれはもしやヤバい儀式だったのでは……とジョーン宅を訪れるも留守。
だが、ドアの前に置かれたクッションに見覚えのあったアニーは急いで帰宅。
エレンの遺品を探ると、出てくる出てくる、母が悪魔信仰に傾倒していた証拠の数々。
崇める悪魔の名は『ペイモン』=降霊術の呪文に出てきた名前。
やだ……私、悪魔を召喚しちゃった?
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しかもアルバムには、教祖的衣装のエレンと、その隣で微笑むジョーンの姿があった。
つまり、ジョーン=エレンの仲間=ペイモン復活を企む教徒の一人。
すべては、『現世に復活するには男性の肉体が要る』というペイモンのために、ピーターの肉体を手に入れんとする教徒たちの壮大な企みであったことが判明する。
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カルトじゃねーか。
まぁーーーーたカルトじゃないすかーーーー。
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そしてなんと屋根裏には盗まれたエレンの遺体が、☆を☆☆された状態で転がっていた(異臭の正体)。
誰が、いつどうやって運び込んだのかとは、ツッコんではいけない。多分、アニーがジョーン宅を訪ねて家を留守にしていたときでしょうか。
10.その頃ピーターは、自分に向かって「肉体から出ていけぇーー」と叫ぶ婦人(=ジョーン)を目撃。
出てけっつったって、もともと自分の身体なんだから理不尽この上ないのだが、なんとこの婦人、他の生徒たちには一切認識されていない。
果たして、ペイモンとやらが力を貸しているのか、それとも見るからにヤバい人なので、わざと見えないふりをしているのかは定かでない。
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真偽はともかく、「出ていけ」の言葉が効いたらしく、授業中一時的にペイモン=謎の光に意識を乗っ取られてしまうピーター。
ペイモンの持つ杖そっくりなポーズを取った挙げ句、自ら顔を机に何度も強打 → 「うわあぁぁぁ!」。
「うわぁー」じゃねえよ。
叫びたいのはこっちなのだが?
というか、復活のために肉体を狙われているわりに、取らされたポーズが『杖を持つペイモン』ではなく、『ペイモンの持った杖』なのは何なんでしょうか。
ピーター、杖なの?
所詮お前は容れ物=道具でしか無いという悪魔側のアピールなんでしょうか。芸が細かいのデス。
11.敵の狙いがピーターであることがはっきりした今、身命を賭しても息子を守ると決めたアニー。
そのためには元凶のノートを燃さねばならないが、自分でやる勇気はない。だからあなたが燃やしてくれと、切々と夫に訴える。
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ひたすら真顔のスティーブ。
筆者も、もし家族がある日突然こんなことを言ってきたら、彼とまったく同じ顔になるだろうと思うほど、スティーブ役ガブリエル・バーン氏のとまどいの演技がゴイス。
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「あなたが好き! 本当に好き! だからあなたの手で死にたいの!」
「病院に行こう、アニー。君は病気だ」
「だから違うんだってば!」
業を煮やし、ノートを自ら火に放り込むアニー。
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何故か燃え上がるスティーブの身体。
「いやぁぁーーーーーーー!」
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からの真顔。
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残り二人。
12.何やら不穏な気配を察知し、夜中に目を覚ましたピーター。
そろそろと階下に降りていくと、なんと暖炉の前で父が燃えて死んでいる。
フツーそういうことにはならんのだが、この映画はフツーとは程遠いので、そういうこともあるのかもしらん。
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驚くピーターは、部屋の端にさらにとんでもないものを発見。天井に張り付く母親と、暗がりに佇む裸体の男女である。
正直、どちらが衝撃かと言ったらどっちもなのだが、個人的には母親よりも、他人の家で服を脱ぎだす見知らぬ人がいることにドびっくり。
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屋根裏部屋に逃げ込んだピーターを追って、天井にあるはずの入り口を、激しく下から叩き始めるアニー。
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どうやって叩いてるんだ。
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ヒェッ……。
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ろうそくや魔法陣など、いかにもそれっぽくデコられた屋根裏部屋。
ギコギコと音がするので上を向けば、どこから入り込んだのか、宙に浮かんだアニーが、手にした糸で自分の☆を☆☆☆☆そうとしている。
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追い打ちをかける真ッ裸の男女。
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精神の限界に達し、窓から身を投げて絶命するピーター。正直、見ているこっちもお供したい。
ついでに、☆を自分で☆☆したアニーも落命。
そして誰もいなくなった。
13.……わけではなく、黒い影の抜けたピーターの身体に、謎の光が重なり、死んだはずの彼がむくりと起き上がる。
『コッ』と舌を鳴らした後、導かれるようにツリーハウスの中へ入るピーター。
そこには、ペイモンを模したと思われる像を中心に、☆を失くしたエレンとアニー、そして裸の男女が多数ひれ伏していた。
「チャーリー、あなたはペイモンとなった」
こうして、見事ペイモンは現世へと復活を遂げ、彼の信徒たる人々の輝かしい歴史が始まったのだった……。
[adchord]最後は光輝くツリーハウスで、ピーター=ペイモンが人々に崇められて終了、という。ペイモン教徒からするとハッピーエンドな結末に。
そもそも物語の始まりからして、遠景からミニチュアハウスの内部にカメラが寄っていったら、実はそこが現実の部屋そのままで、物語が開始……という演出からわかるように、この物語はペイモン側に立って描かれていると考えられます。
ピーターの魂が黒い影で、逆に禍々しいはずの悪魔ペイモンが光として表現されていたように、あくまでペイモン復活を是とするのが正しいわけで。
だから結末はあれで当然。エンドクレジットの穏やかな音楽も、悲願が達成された余韻を味わうための演出と見るべきでしょうか。
……うん。
ヨカッタネェー。
人物紹介
●アニー
本作の主人公。物語の元凶こと、エレン・リーの実の娘。
この映画の恐怖演出は、八割方彼女の顔芸によるものであると言っても過言ではないくらい、マジで演技がパない。
聞けば、スティーブ燃える → 光来る → アニー真顔のシーンを、トニ・コレットさんはなんと一発でOKを出したというから、まさに伝説と言っていい女優さんである。ゴイス。
母は解離性障害、父はうつ病、兄は統合失調症、自身は夢遊病と説明されるが、まず間違いなく元凶はペイモンなので、まったくもってエレンこの野郎となる。
二年前、まだピーターとチャーリーが一緒に寝ていた頃、彼らにシンナーをかけて燃やそうとしたことがあったと判明。「あなた達を救いたくて……」と夢の中だが述懐していたところを見るに、エレンの目論見に無意識下で気づいていた節がある。
ではなぜ母の真意に気づけなかったのかといえば、やはりそこは『家族』という愛憎入り交じった感情が、はっきり自覚することを避けていたのではないだろうか。
グラハム家が崩壊するのは、究極的には外部からの悪意――カルト教団の企みによってなのだが、反面、彼らが破滅への道を抜け出す機会を失ったのは、家族というしがらみにとらわれていたせいでもある。
もし、アニーがもっと早く母への憎悪の念を捨て、遺品を検分していたのなら、降霊術は行われず、少なくともピーターは助かっていた。
だからというか、これは想像だが、エレンはわざと謝罪の手紙を遺品の中に忍ばせたのではないか。アニーが自分に対して抱く情を的確に見抜き、事が手遅れになる前に判明しないよう、遺品から自分の娘を遠ざけたのだ。
実にろくでもないばーちゃんである。
チャーリーの死後は、色々とアカン感じに突っ走っていく印象だったアニーだが、エレンの真意判明後は懸命に家族を守ろうとしていたわけで、母親がアレなだけで、本来は家族思いのよき母だったのではないかと思われる。
スティーブが燃えた後に変調したのは、精神が乱れた隙を突き悪魔に操られてしまったためで、アニーの自我はほとんど残っていなかったと見ていい。
●ピーター
グラハム家の長男。高校生。突如杖化する系男子。
実はこの物語の真の主人公であることが後に発覚。
生まれたときから祖母エレンに身体を狙われ、しかもカルト教徒たちから、さっさと身体から出ていったらいいのにと長年思われていたことが判明。
なんなら道ですれ違う度に思われていた。
実に気の毒。
母アニーとの仲は、シンナー事件以降芳しくなかったようだが、父との絆は万全。
チャーリーの事故後における行動はとんでもないが、個人的にはあの行動は、『怖いものを親に確認してもらう子ども』の心理と同じように思えた。自分ではどうしようもなく怖くて確認できないものを、親に任せる――ある意味、彼らへの信頼を失っていないからこそできる行動である。
つまるところ、グラハム一家はきちんと『家族』として機能している一団であり、外部の悪意さえなければ、いずれは悲劇からきちんと立ち直ったのではないかと思えるのだ。
そんな彼自身も、亡くした妹チャーリーと母アニーへの情を捨てきれず、降霊術を許してしまったことで事態は最終局面へと進んでしまう。
肉体は残ったとはいえ、ピーター自身の魂は死を迎えた。悪魔の王復活の礎となった者が天国に行けるとは思えないので、母親共々、その魂は地獄に囚われている……と想像すると、なんとも胸糞な結末に顎がしゃくれ警報を発し始めるのだった。
●チャーリー
グラハム家の長女。荒ぶる妹属性&チョコ大好き系女子。
しょっちゅうチョコをもぐもぐしているのを見るに、多分彼女の服のポケットにはいつもチョコが常備されている。
が、夏にチョコを持ち歩くのはやめたほうがいい。何度自身の尻熱もしくは腹熱によって微妙な感じに溶けた、もしくは一度溶けた後に再度固まったチョコをポケットから発見したことか。
一度溶けるとチョコは格段にまずくなるということを、各自念頭に置いてほしい。
鳩の頭を☆☆したり、生まれた瞬間から一度も泣かなかったり、公式で『彼女の中には生まれたときからペイモンが宿っている』と言及されていたりと、チャーリー=ペイモンであることは確定。
それにしては要所要所で女子っぽいのだが、多分現世に復活といっても、ペイモンさんご本人がそのまま現世に来てしまうわけではなく、本体は地獄にいる(そうでないと地獄でのお仕事どうなんのとなる)ため、おそらくは分身的存在なんだろうなと想像。
だから復活後もジョーンに『チャーリー』と呼ばれていたわけで、あくまで現世版ペイモンである、という認識でよいかと思われる。
彼女の名前は欧米版降霊術の『チャーリーゲーム』に由来していると言われているが、アニーの死んだ兄もチャールズという名前だったので、おそらくエレンはペイモンの容れ物となる人物に、意図してこの名を贈っていたようだ。
となると、本来はピーターに『チャールズ』とつけようとしたはずで、兄の顛末を知っているアニーが猛反対=不可侵条約を結ぶ一因となったと考えられる。
残念ながら、女性の肉体を持つチャーリーは不完全で、祖母からはずっと「男にな〜〜れ」と言われて育った。
無理ダヨ。
なので、一度魂を肉体から切り離し、ピーターの身体に乗り移る必要があった。が、そのための手段がアレとは、いささか過激という表現では物足りない気がする。
彼女が作中で色々と手作りしている物体は、ポスターを見るに、自分にひれ伏す☆のない女性=エレンとアニーの将来の姿=ヒェッ……。
●スティーブ
グラハム家の大黒柱。博士号を持っているだけあり、非常に理性的な人物。
チャーリーが死んだときも、絶対零度級の食卓時も、降霊術の最中も、『あたし燃えるノート』の主張のときも、とにかく理性的態度を崩さない、絶対の安定度を誇っている。
なのに、この人にいたってはエレンから何一つ継承してない(血縁なし)にも関わらず、ひんでー目に遭わされるので、とにかく気の毒。
チャーリーの事故死はもとより、義理の母の遺体が盗まれるわ、腕をふるった夕食の席が凍るわ、突如夜中に起こされ降霊術に巻き込まれるわ、しかもそれが実は悪魔召喚の儀式だったわ、妻がノート燃やすと自分も燃えると叫ぶわ、なのになぜかこっちが燃えるわ、そしかもそんな姿を真顔で見てくるわ、とにかく踏んだり蹴ったりが過ぎる。
だがこの人には何の非もないため、死後は一人だけ天国に行けたのではないかと想像。ピーターが一緒に来ないのは悲しいだろうが、せめてこの人だけでも助かったら幸いだな……。
と思ったのだが、降霊術=悪魔召喚術を一緒に実行しちゃったし、やっぱり地獄行きかもしらん。
監督はサド。
●レクシー
グラハム家の愛犬。犬種は何やらようわからんが、とにかくもふぁもふぁしていて超かわいい。
とりあえず序盤で出演し、途中の恐怖演出の際に協力した以後はちっとも出番がない。
なので、便りがないのは良い証拠……と思っていたら、チャーリー復活後のツリーハウスの道中にて、道端に倒れて動かない姿が一瞬映る。
監督この野郎。
貴様が犬を●したのは一生忘れんぞ!
●エレン・リー
諸悪の根源。マジろくでもないばあば。
冒頭で、すでに遺影がイエー! 状態で登場するも、『犠牲を悲しまないで、アニー』的な謎の手紙を遺し、その後芋づる式に起こる悲劇の連鎖が実は全部こいつのせいということが判明。
遺品のアルバムに、『白いドレスでみんなに囲まれて大歓喜!』な笑顔で映っている写真があり、多分これペイモンと結婚し、王妃リーとなった瞬間の写真なんじゃねーのと気づいて心が☆☆☆。
『悪意が家族を崩壊させる話』と前述したものの、『悪意』そのものが内部にあったらもはやどうにもならん。
一見すると、エレンにとってアニーたちはペイモン復活の道具のようだが、この人の道理では、彼らを家族として愛しているのは事実で、愛情があるからこそペイモン復活の礎とするのは当然というわけで、そんな心理なんざ知ったことかブァァーーーカ。
●ジョーン
偶然を装ってアニーに近づくカルト教徒。エレン亡き後の教団の指導者的位置づけと思われる。
チャーリーを亡くしたアニーの悲しみに巧みにつけ込み、見事降霊術=召喚の儀式を実行させるに至る。
学校の外にて、「滅びよピーター」と念じていたのもこの人。日本なら絶賛事案案件だが、なぜか周囲の生徒たちはスルー。
最後の真ッ裸街道にて、もしやこの人も脱いどるんかなーと思っていたら、一人だけ白い衣をまとっていたので、相当位は高いようだ。
●野焼きしていた婦人
多分、儀式の一環的な何かだと思われるが、詳細はよくわからん。
人んちに無断で野焼きしたらアカンじゃろ。
直後に迎えに来たアニーが何も言及しなかったところを見ると、やはりこの人もペイモンの器以外には見えないのかもしれない。
●葬式でにっこりしてた人
エレンの葬儀にて、チャーリーを見てにっこりしてた男性。
パンクな見た目に反し、もしかすると心のなかで、「ペイモン様だ、ペイモン様だぁー」とドキワクしていた可能性が大。
多分、後の真ッ裸街道のどこかにいた。
●ナッツを切る女子ーズ
ケーキに入れるナッツだって、極めれば超スタイリッシュに切れるのよ! をパーティ会場にて披露してくれる。
多分この子たちの親が会場宅の持ち主で、ペイモン教の信者。でもって、お客さんにナッツ入りケーキを振る舞ってやりんせ、とか指示を受けていたのではなかろーか。
●電柱
ピーターがパーティ会場に行く途中にある電柱。
意味深に画面中央に映されるのでよく見ると、ペイモンの紋章がきちんと刻まれている。
↓のピタゴラスイッチシーンを見ると役割がわかるわけだが、電柱に一生懸命文様を刻む教徒の姿を想像すると、ちょっと笑えるような、やっぱり反吐が出そうな気持ちになってコロッケ食べたいです。
●悪意のピタゴラスイッチ装置
ナッツ入りケーキ → 道路の鹿 → 電柱、のトリプルコンボにて引き起こされたチャーリーの魂解放計画装置。
そんなうまくいくわけあるか? と思ってしまうが、そこはもちろんペイモン様の出番です。
一つ疑問なのは、こういう場合は鹿じゃなくて山羊が適任なのでは? と思うのだが、やはり大きさ的に山羊では視認が厳しいと判断したのか、わざわざ鹿にしたのかもしれない。
●ボブ
「妻がアカン」とスティーブがメールをしていた相手。
ボブが誰なのかさっぱりわからんが、とりあえずメールをもらった相手が当日に焼死するという衝撃的な訃報が後日届くのでドびっくり。
●wiki
本作の日本語版wikiのストーリー欄を読むと、後半に行くに従い、何言っとるのかわからん描写が増えていくが、その通りに話が進んだのは間違いないという謎の現象が起きる。
『瞬間的に移動すら可能となったアニー』とか、『いつの間にか天井近くに浮遊するアニー』とか、『いつの間にか全裸の人々が複数名たたずんでいる』とか、何言っているのかマジでわからんのだがその通りである。
なんだこの映画。
●監督
アリ・アスター監督。ご存知『ミッドサマー』も撮ったお方。
多分今回もありがとうは言えないなと思っちゃいたが、もちろんその通りになった。
果たして、今生中に彼にお礼を述べる機会は来るのだろうか。多分永遠に来ない。
↓Amazon Prime Videoにて好評配信中。『ミッドサマー』よりはずっとマイルドだから、イケる人はイッてみて、そして同じ気持ちを味わえ。と思いマス。すいません。
↓次作『ミッドサマー』の感想はこちら。万人にオススメできるものでは絶対にナイよ。