映画『ワールド・ウォーZ』ネタバレ感想。終盤の研究所シーンが感涙もの。

ワールド・ウォーZ 映画 サスペンス

原題:World War Z
2013年の映画
おすすめ度:☆☆☆☆

【一言説明】
ZはゾンビのZ!

ワールド・ウォーZ 映画

Netflixで好評配信中の『ワールド・ウォーZ』。
和訳すると、世界大戦Z。
何やらかっこいい響きながら、公開当時はZってなんぞや? と不思議に思いつつ見てみたら……まさかのゾンビ。
世界大戦……ではなく、ゾンビ大戦だったんですよ、奥さん!

主演は名優ブラット・ピット氏。奥さん役に、『THE KILLING 〜闇に眠る美少女』のミレイユ・イーノスさん。でもって、ちょっとだけ出る元CIAエージェント役に、デヴィッド・モース氏が出演されています。

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あらすじ

突如世界に激震が走った。
噛まれて12秒で感染、発症する謎のウィルスが蔓延し、人類は存亡の危機に陥っていた。
噛まれた者は自我を失い、ひたすら感染を広めるための亡者――ゾンビと化す。

大都市が軒並み地獄と化す中、フィラデルフィアに住む、一見普通のお父さんことジェリー・レインが、軍からの要請を受け、世界を救うために立ち上がった。

元国連調査員にしては、イケメン
元有能な調査員にしては、ロン毛
そして、現役を退いた民間人にしては……マッチョ

一体どこが普通のお父さんなんだかようわからんが、まあとにかく、人類の希望は彼に託されたのだった!

※以下ネタバレです。未見の方ご注意。

 

 

 

 

感想

興行的に大ヒットした作品ながら、世間の評価はイマイチというか、Yahoo!大先生では3.2点。googleの検索候補で『ワールド・ウォーZ ひどい』なんぞと出て来る始末。
けれども、けれども。
筆者は大好きです。

確かになんだかご都合主義というか、ジェリーだけ無敵感が半端ないというか、いつも都合よく生き残ってしまう感が漂ってはいるんですが、そんなものが一切どうでもよくなるのが、終盤の研究所。
初代『バイオ・ハザード』を愛好した筆者には、ここの展開がまさに神がかっていたんです。

初代というか、『バイオ・ハザード0』くらいまででしょうか(後続シリーズはよくわからん)。
ゾンビがいるとわかっている部屋の前で、踏ん切りがつかずに、ずーーーーっとうろうろし続けたあの時。
「あー……」「うあ……」と声帯が擦り切れたみたいな声だけが聞こえ、壁一枚を隔てた、もしくは廊下の角を曲がった先には、確実にいる、というあの緊張感。
かゆい うま の恐怖!

ゾンビ複数体のいる部屋の前を、ジェリーたち三人が身をかがめつつ、こそこそ通り抜けていくあのシーン。
最高じゃん、ってなりましたね。

あそこでジェリーを付け狙うゾンビを演じていらっしゃったのは、マイケル・ジェン氏という俳優さんだそうですが、ベスト・オブ・ゾンビを選ぶとしたら、彼に差し上げたいくらい、いいゾンビでした。
腐ってるけど、いいゾンビでした。

……とまあ、ゾンビ談義はともかく。研究所以外の部分も、個人的にはとても面白かったです。
何しろ襲ってくるゾンビが、タイトル通り、世界級の量。
わしゃしゃしゃしゃーーーって走るわ飛ぶわ、車に突っ込むわ、しかも通常30分くらいかかる発症までの間隔が、なんとたったの12秒という。
ついさっき隣を走っていた人が、もうゾンビ。設定が鬼か!

おそらくあと一週間もすれば、地球上の人類はほぼ壊滅。こんな絶望的な状況を、どうやって覆すのか……? と思っていたところ、さすができる男は違います。
混乱の最中、何度かゾンビの大群にまったく襲われない人たちを目にしたジェリー。ゾンビたちは彼らを無視するどころか、まるで避けるように走っていく。
何故か?
  ↓
彼らが致死性の病を患っていたからだと仮定したジェリー。
とにかく感染を広めることが本能=種(ウィルス)は健康な土壌があってこそ育つ=病人は除外、という図式。
運良くWHOの研究所にたどり着いたジェリーは、そこで自身を実験台に、致死性のウィルスを投与する。
すると、あら不思議。まるでジェリーを透明人間のように扱うゾンビたち。
  ↓
病人に擬態するワクチンを開発し、世界中に配布。ゾンビたちの目を欺くことで、当面の危険を回避する生存者たち。
だが、ゾンビ自体は残ったまま……そう、俺たちの戦いはこれからだ! という結末を迎え、物語は終了。
続きがー、気になるんじゃがーーー。

なんでも飛行機墜落後の当初の予定は、WHOの研究所ではなくロシアだったとか。
そこで、対ゾンビを相手に、生き残った人類たちが総力戦=まさにゾンビ大戦『ワールド・ウォーZ』だったそうなんですが、あまりに絵面がエグイので配給側がNGを出したとか。
取り直すにも予算が足らず、でも世界のペプシさんがスポンサーになってくれたので、急遽誕生したのが例の研究所。
ペプシさん、ありがとうございます!
感謝の証なんでしょうが、本編で一仕事終えたジェリーが若干不自然なほどCM調で爽やかにペプシを飲み干すシーンが挟まれてたのはそういうことだったんですね!
その後、あろうことか装置を壊してコーラの缶が床にざんばらざーんっつって、一部割れちゃったりしたのにヒェッとなりましたけどね!

一応続編の計画もあったそうですが、2019年に再びとん挫したとか。
監督はまさかのデヴィッド・フィンチャー氏になる予定だったそうで、めちゃくちゃ見たかったと残念至極。氏がメガホンを取ったなら、一体どんなゾンビワールドが展開されたんでしょうか。
なんならリブートでもいいので、ぜひ前向きに検討していただきたいですね!

人物紹介

●ジェリー・レイン
有能すぎる主人公にして、イケメンすぎる元国連職員。
職員時代に、勤め先の悪事を暴露したら解雇されたそうで、マインドがパンクってるのはさすが天下のブラピ氏。
いざ人類壊滅の危機を前にし、軍からお呼びがかかって救援のヘリが派遣されることになるという超VIP。
それもそのはず。大混乱の最中でも、噛まれた人間が何秒でゾンビ化するかを測ったり、雑誌を腕に巻いて噛みつきを防いだり(子どもの頃に段ボールで鎧かロボットの外郭作った派と思われる)、ゾンビの血液が口に入ったら、ビルの屋上から身を乗り出し、すぐに死ねるように構えてみたり……とにかくとっさの判断が冴えている。
これなら、生き残り続けても不思議ではない。
韓国基地では、まさかのチャリだったが。
雨の中、音を立てたらいけないってのに、キコキコチャリこいで出てったが。
せめて油くらい差しとけ!

他にもジェリー君の起こしたミラクルとしては、

・なんと飛行機の操縦ができる。すました顔で副操縦席に座り、「指示くれ」じゃねーッス。どんだけ有能なんだね。
イスラエルに着いた数時間後に、ゾンビの壁越えイベントが発生。都市が壊滅する。
・ゾンビに噛まれた護衛の腕をぶった切って感染を防ぐ。
泣く護衛の女性に、「大丈夫だ、君は感染していない」を繰り返す。痛くて泣いとるんだが?
・ゾンビが大発生した飛行機。生き残るため、なんと機内で爆弾を爆発させ、しかも不時着後に生き残る(主たる被害は、腹に破片が刺さって「痛ぇ」と言う程度。その程度で済むカヨ!)。
・研究所の奥部屋にて、中身のわからん致死性のウィルスによるロシアン・ルーレットに挑む。 → 成功(感染してもすぐに具合が悪くなるわけじゃなく、歩いて仲間の元に戻れるくらいは元気なうえに、きちんと治療薬も開発済のウィルスを偶然選んだよ、という凶運)。
・走りくるゾンビ軍団相手に、「ペプシのセール会場は向こうだぜ?」

他にも色々ありますが、とにかくゾンビを前にしても、ブラッド・ピット氏はイケメンだなあーと思った次第です。
家族と再会できてヨカッタね!

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●ゾンビ
作中での呼称は『Z』。
序盤で12秒を測られた人の様子から見るに、感染 → 死亡 → 蘇生=ゾンビ化、という過程をたどる様子。
とにかく凶暴。視覚と嗅覚は衰えているのか、音に敏感で、未感染者の存在を察知するや、噛みついて感染を広めることしか考えずに突進してくる。
速い。
WHOの職員曰く、「妻だった何か」。
伝説のモサド高官曰く、「人を一人助ければ、ゾンビが一体減る」。
なんとも端的に、本作の殺伐さを表している。

●ジェリーの家族
妻カリン、長女レイチェル、次女コニー。通学のために四人そろっていたところを、ゾンビの群れに襲われる。
父ジェリーが軍に協力することになったため、海上の軍艦に席を与えられるも、飛行機が墜落し、ジェリーの制止が不明になった途端、無情にも追い出される羽目になってしまう。
その後はカナダにあるセーフ・エリアで父の帰りを待ち、終盤で再会する。
喘息持ちのコニーや、雨中のチャリンコ中に電話をかけてくるカリンなど、要所でハラハラさせてくれる。
決着はまだまだ先だが、とりあえず無事で何より。

●ユルゲン
イスラエルで要職に就く、モサドの高官。
インドの要人の文書を入手。そこにラクサシャ=不死者=ゾンビと記述があったため、十人中九人が「んな馬鹿な」というところを、「ゾンビに備えよ!」と言う十人目になった……という説明がある。
それでイスラエルにゾンビが入って来られない壁を築いたって?
ふーん?
んな馬鹿な!

ゾンビの壁越えイベント発生後は、政府の車に乗ったのを最後にどうなったかは定かではない。多分ヘリとかで脱出したと思われ、続編がもしあったら登場するはず。続編ないけど。

●ファスバック
期待のウィルス学者。謎を解き明かすため、危険な韓国基地の任務に志願。
「自然は有能な連続殺人者だ」という名言を残し、コイツ……できるヤツ……と思わせてからの、「滑って転んで死んだ」
人類の希望ガ……。

だが「自然は弱さを強さと偽る。最凶と思われた部分が、実は弱点かもしれない」という台詞が、後にジェリーが謎を解くきっかけとなったので、彼の死は無駄ではなかった……。
多分……。

●元CIAエージェント
「全人口の歯を抜いたのさ」「2000年にわたる仕事が、1週間前に完成?」「モサドのユルゲンに会いに行け……」等々、意味深な言葉を残すわりに、その後とんと出て来ない。
結局、君は何だったの?
デヴィッド・モース氏ってだけで身構えちゃったぞ。

●スーパーで薬くれた若者
大混乱のスーパーで略奪が始まる中、いかにも悪そうな顔で登場した……と思ったら、親切にもコニーのために吸入器と良く効く薬を渡してくれる青年。
いかにも意味ありげながら、その後登場しない。
君も何だったの?

●ティエリー
ジェリーの友人。軍に所属。
カリンたちが艦に残れるよう進言してくれたが、力及ばずでどうしようもなかった。

●俺もZかよの人
郷里のおふくろに渡してくれ……と大事な品をジェリーに渡すという、盛大な死亡フラグを立てる。
「さあ行くぞ!」と勇壮に部下を鼓舞した後の、まさかのキコキコにはびっくりしたヨ。
二回言うけど、油は差そうぜ!

●イスラエルで歌っていた人たち
なぜ! 壁際で! 歌う!
あと、もっと早く止めようぜ!

●フライト・アテンダント
「これってどこ行き?」の質問に、「ここが目的地ですぅ……」と途方に暮れたように返すめんこい乗務員。
その後、まさかのゾンビ顔を披露してくれる。

●チワワ
ゾンビいるよ! と鳴いてた子。
ゾンビいるから! と鳴いていたにも関わらず、乗務員がトイレのドアを開けやがったために、大変なことになった。
チワワはどうしたか不明ですが、多分犬とか動物が感染したって話はとんと聞かぬので、客室の奥にでも隠れていて、その後不時着したけど軽いから多分生き残ったと思われます。
そして、野生に還……らないで、どこかの優しい誰かに拾われるんだと思います。

●ウィルスの出自
結局ウィルスはどこから来たのかも謎。
韓国基地では、現地の村で起こった……みたいな感じだったのが、ユルゲンはインド産だというし、続編があれば詳しいことがわかったのでしょうか。
何故続編がデナイ。

●監督
マーク・フォスター氏。『プーと大人になった僕』も撮っていらっしゃるんですね! ワオ!
大変面白かったです。ありがとうございます。

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↓原作は小説らしいのですが、ゲームも出ております。全方位ゾンビです。

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